東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜   作:蒼いなんでも屋

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 一週間一話更新が辛くなってきた。
 テストが近いのよ。

 でもやれるだけやります。


 


 という訳で星羅の謎解明回。
 その一部が垣間見えます。





021. 他への干渉

 初体験のメイドとしては不思議なほどに紅魔館に適応する星羅。

 その様子に、咲夜は複雑な感情を抱く。

 

 翌朝、襲いかかってきた機怪を星羅は新たなスペルメモリ、バーニングナックルで撃退する。

 その際、星羅は咲夜のメモリによって紅魔館内での迷子を脱する事ができたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……こあ、ここあ? 見つかった?」

 

「ごめんなさいパチュリー様、まだこれといっていいのは無いです」

 

「それっぽいのはたくさんあるんですけど……これってのが無いですね……」

 

「そう、わかったわ。なるべく急いで、何か進展があったら言って」

 

「「はい」」

 

 

 

 

 

 

 

 パチュリーは眼鏡を外し、天を仰いだ。

 

 

 

 

 

「……ふぅ。こんなにも沢山の本を一気に読み漁るのはいつぶりかしら。

 

 

 

 

 

待ってなさい星羅、七曜の魔女の本気……見せてあげるから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……あなたの実力。見せてもらったわよ星羅」

 

 

 

 

 

 レミリアは椅子に腰掛けて、星羅に向かって言う。

 

「メモリの力、とは言っていたけれど……確かに、あの鉄の塊たちにはよく効くみたいね」

「原理は私もわからないんですけどね」

 

 咲夜も付け足す。

 

「ですが、星羅の力はメモリに依存している、とも言えます」

「……」

 

 それには星羅も何も言わなかった。

 

 

「……それは自覚しているのね」

「はい」

 

 レミリアの問に即答するあたり本当らしい。

 

「……それと」

 

レミリアは質問を変えた。

 

 

 

「あなたの適応する力……身体が覚えているの?」

 

 

「……多分」

 

 

 自分もわからないと言いたげにゆっくり肯く。

 

 

「……なるほど。わかったわ。質問は以上よ。悪いわね、せっかく勝利したのにこんな話して」

「いえいえ、お嬢様のお言葉、しっかり覚えておくので」

「……私なんか言ったかしら」

 

 

 

 締めくくったレミリアは、咲夜と星羅に遅れた朝ご飯の支度を頼み、ふぅ、とため息をついた。

 

 

「あの子、見込みがありそうとは思ったけれど……あそこまでとは、ね」

 

 誰にも聞こえぬ声で、呟く。

 

 

「……私の視た運命……ひょっとしたら変えられるかも、ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、遅れを取り戻すわよ」

 

 

 咲夜は洗った手を拭きながら言う。

 

「今から時間を止めて下準備だけ終わらせるわ、星羅はその後から頼めるかしら」

「了解です」

 

ビシッと敬礼して返す星羅。

 

「さて、と」

 

 咲夜は懐中時計を取り出し、そのボタンを押し込んだ。

 

 

「……時よ、止まれ! ……なんて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間世界がモノクロに包まれる。

 

 あらゆるものの動き……木々も、雲も、妖精も、全てがただただ静止する。

 

 動いていたものが止まり、時間に縛られていた咲夜だけが動ける空間となった。

 

 

 

 

 

 

「さぁ、さっさと終わらせましょう」

 

 

 

 と、咲夜は軽く気合を入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ところが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………あの」

 

 

 

 

 

「……え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「動けるんですけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

「え??」

 

 

 

 

 

「え??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「……なんで???」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 モノクロのハズの、咲夜の時間で、星羅のみが色付いていた。

 

 

 何が起こったのかわからないといった顔で、咲夜を見ている。

 

 

 咲夜もまた何故こんなことになっているのかと混乱し始めた。

 

 

 

 

「……さ、咲夜さん??」

 

「……星羅、あなた何かした??」

 

「え、別になんにも……?」

 

 

 

と、星羅は気づく。

 

 

 

「あっ、もしかしたら……」

 

 

 

 

 

 

 

 そう言って、星羅はポケットに手を突っ込む。

 

 心当たりがあるとすればひとつしかない。

 

 

 

 

 

「やっぱり」

 

「……なるほど」

 

 

 

 

 そう。

 星羅と咲夜の、未だ色付かないメモリだ。

 

 まるでこの白黒の世界に抗うように、ほんのりと青色に光っている。

 

 

「……あなた……まさか」

 

 

 咲夜はそれを見て、呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「“他人の能力に干渉できる”、能力なの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……えっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 早急に仕事を終わらせた二人は、朝食の諸々を片付け、パチュリーの図書館へ向かった。

 

 

 

 

「……なるほど。“メモリが時止めから星羅を護った”ということね」

 

 

 パチュリーはそれだけで推論を述べた。

 

 

「どういうことですか?」

 

咲夜の問に、パチュリーは

 

「……フランのところへ行くわよ」

 

と答えた。

 

 

 

「多分あの子に“実演”してもらう方が、圧倒的に理解できるから」

 

 

 

 

 

 

 

 パチュリーは役目を小悪魔たちに任せ、二人を伴いフランの地下室へ歩んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 その頃……霧の湖。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこでは、戦火が飛び交っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 機怪たちが突如襲いかかってきたらしい。

 

 

 

 

「どりゃー!!」

 

 

 

 

 チルノは自身の強さを活かし、他の妖精たちを逃がしながら機怪を氷漬けにしていた。

 

 チルノは他の妖精よりも少し−−いや、かなり強い。

 妖精だからバカなのは否めないが、それでもその強さは侮れない。特に氷を扱うため割となんでも氷漬けにできることから、怒らせることだけは推奨されない。

 

 そして今彼女は、共に戦う大妖精やルーミアをバックに、スペカを放っていた。

 

 

「くらえ必殺!凍符!【アイシクルフォール】!!」

 

 

 

[ウオ!?]

 

[ギャア!?]

 

 

 温かな空気を、一瞬で冷気の風にする。

 

 弾幕が弾け、凍てつき、流れる。

 

 

 チルノの得意技に、一般機怪どもは為す術もない。

 

 

 

 

「はっはー、どーだ! これ以上凍らせられたくなかったら大人しくここからでていけー!」

 

 

 ぐっと力を込めた、その時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[……あぁん?ドノ口が言うんだ、バカ]

 

 

 

 

 

 

「……うわっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間、背後を一閃。

 

 

 

 

 

 

[こんな手駒(ザコ)がやられる事など……折り込み済みだ]

 

 

 

 

 

 

 

 さらに後ろで戦っていた、大妖精とルーミアも一太刀食らわされる。

 

 

 

 

「きゃあ!?」

 

 

「な、何今の!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[……所詮、妖精は妖精。いくらチカラをつけようとも、上の存在には敵わないってワケだ]

 

 

 

 

 

 

 

 ギュン、という風が吹く。

 

 

 漂っていた冷気を、無情に弾き飛ばす。

 

 

 

 

 

 そこに現れたのは、巨大なウイングを生やした一体の機怪。

 

 全身が流線型に磨かれ、ところどころに追加バーニアが取り付けられた、オーダーメイドタイプ。

 

 

 

 

 

 

[冥土の土産に、教えてやる。

 

 

 

私はバニッシュ。そうだなぁ……“時空切り裂く悪魔”、とでも名乗っておくか]

 

 

 両腕にエッジの効いた刃を纏う、「悪魔」はそう名乗った。

 

 

 

 

 

 

 

[そうそう、悪いなぁ……そこらの妖精、弱すぎて準備運動にすらならんかったわ]

 

「!!……ま、まさかみんなを!?」

 

 

 チルノは青ざめ、そしてすぐに怒りが込み上がってきた。

 

 せっかく皆のために戦っていたのに、全てこいつが無駄にして、しかも皆がこいつのせいでやられてしまった。

 

 妖精は自然の力でいくらでも復活するとはいえ、全員をやるなんて……酷すぎる。

 

 

「ふ……ふざけんな!!よくもみんなを……!!絶対許さないぞ!!いこう、大ちゃん!ルーミアちゃん!」

 

「……う、うん!!」

「わかった!」

 

 

 三人は次々に弾幕展開。

 

 

 同時にスペカを放った。

 

 

 

「闇符、【ダークサイドオブザムーン】!それー!!」

 

「交換!【チェンジリング】!」

 

「うおおおおお!!凍符!!【パーフェクトフリーズ】!!!」

 

 

 

 

 

 闇が、光が、氷が、倒すべき敵へ降り注ぐ。

 

 

 

 

 

 

 ところが。

 

 

 

 

 

[ケッ、ちょっと強い妖精に、自然が味方の妖精、闇の人食い妖怪……雑魚ばっかだなぁ、こりゃケッサクだ]

 

 

 

 

 微塵も動じない姿勢を見せ、的確に解析を済ませたバニッシュは、

 

 

 

 

 

忽然とその場から消えた。

 

 

 

 

 

 

「えっ……?」

[遅い遅い、ほら!!]

「うわあ!!」

 

 

「な、何がどう……??」

[見えないならその闇捨てとけ…よ!!]

「わぁ!?」

 

 

「く、くそ!?」

[……たかが妖精。驕り高ぶるその態度……要らねぇだろ!!]

「か、かはっ……!!」

 

 

 

 

 なんと異次元のスピードを以ってその弾幕をくぐり抜け、闇の中を突っ切り、氷を弾き、

 

 

三人をあっさりと切り捨てた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地に倒れ込む三人。

 

 致命傷は逃れたがそれでも痛かった。

 

 

「……くそぉ……っ」

 

 

 なおも立ち上がろうとするチルノに、バニッシュは目の前に着地すると、そのビーム刃をしまった。

 

[ま、健闘を称えてこのヘンにしといてやる。“まだ”制圧命令は出てないからなぁ]

 

「な、なんだって!?今なんて言ったの!?」

 

 

 言葉の理解は出来なかったが、流石のチルノでも大体の意味はわかる。

 

 

 

 “まだ”……つまりもう一度、こいつらが来る。

 

 

 

 

 

[じゃあな、雑魚ども。せいぜい、準備くらいはしておけ。

 

私を楽しませる準備を、なぁ……?]

 

 

 

 そして、バニッシュは現れた時空の裂け目に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 その様子を、満身創痍のチルノ、大妖精、ルーミアは、ただ見守る事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 時間止められるようになったら何がしたいですか?


 次回は咲夜さん回です。




 ちなみに大ちゃんのスペカは東方ロストワードに拠りました。
 それしかねーじゃんか……。
 やってないけどロスワありがとう(問題発言)



この中で、番外編やってほしいのは?

  • 紅魔館組
  • レイマリ
  • うどみょん

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