東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜   作:蒼いなんでも屋

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 もこたん。


 インはしません。


 ……やっぱりするかも。(しないって!!)






 永夜抄第一話。

 今回から文字のサイズなどの特殊効果も使ってみますね。


 ところで……
 前回までの紅魔郷編のクライマックスが、文章が長すぎたと感じており反省してます。
 ……もう少し分けたり文章力鍛えたいものです。


第五章 〜星羅と鈴仙と朧月夜〜
025. 不死身のボランティア


「……ふーん、これが機怪か。幻想郷のセオリーが効かないなんて、マナーのなってない連中だ」

 

 

 

 

 人里の一角で、少女は呟いた。

 

 

 

 手には焼け焦げた鉄の塊が握られ、地には残余が散らばる。

 全て彼女が燃やし尽くした、所謂、燃えカスだ。

 

 

 

「……こんなもんがここに攻め寄って来たら面倒だな」

 

 そう言って塊ごと残余を拾い上げると、

 

「……こんな黒焦げだけど、河童なら喜ぶかな」

 

と、山へ歩みを進めた。

 

 

 

 

 ふと吹いた風が、小さなリボンをところどころ取り付けた、彼女の白銀の長髪をたゆたわせていた。

 

 

 

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから知名度が更に増した星羅は、ある日、神社である人物に取材されていた。

 

 

 

 

「あやや!!これがウワサの、スペルメモリですね!!!」

 

「……これがウワサの新聞記者なの?霊夢」

 

「えぇ、めんどくさいパパラッチ記者よ」

 

 

 

 

 

 

 

 当然それは射命丸 文。

 

 文はやっと出会えたネタの宝庫に、いつも以上に目を輝かせて取材を行っていた。

 

 

 

 なんでも屋としての諸々を聞いた後、やはり文はメモリに惹かれていた。

 

 

 

「これはちょっと質が違いますね」

「これは……妖夢とのメモリです」

「へっ!?よ、妖夢さんの!?」

「あー、それはちょっとかくかくじかじかで……」

 

 

 例の特殊なメモリたちについて、霊夢と星羅はざっくり話した。

 

 

 

「なるほど……『他人との記憶を以て放つ必殺の一撃』、『使用には記憶の持ち主との絆が必要』、ということですか」

「はい」

「確かに見た目もどこかキラキラしてますねぇ」

 

 妖夢との【瞑想永弾斬】、咲夜との【サウザンダガーウェーブ】を両手に眺める文だったが、

 

 

「……あ!いい名前思いつきましたよ!!」

 

と唐突に叫んだ。

 

「名前?どーせろくなものじゃ……」

 

 霊夢が眉をハの字にして訝しんだ時だった。

 

 

 

 

 

 

「聞きたいです!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 星羅は嬉々として文に視線を送っていた。

 

 

 

「……本気?」

「うん」

「流石はなんでも屋さん!物分かりの良い方です!!」

 

 どうやら星羅はとにかく参考にしたいらしい。

 

 「はあ」と霊夢は諦めた。

 

 

 文は咳払いのあと、高らかに発した。

 

 

「それでは発表します!!この系統のメモリ、星羅さんとの絆の証のこのメモリたちは……」

 

 

 

 

 

 

「「ごくり……」」

 

 

 

 星羅はもちろん、なんだかんだ気になった霊夢も文に顔を寄せる。

 

 

 

 

 

 そして文は自信満々に、その名を宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファンタズムメモリ!!!ですっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………は?」

 

 

 

 

 霊夢は何語だよとでもいいたげな表情になった。

 

 

 

「ふぁんたずむ???」

「西洋の言葉で『幻想』だそうですよ」

「ホント?」

 

 文は手帳をパラパラとめくって続ける。

 

「このメモリたちは星羅さんが今まで共に歩んできた大切な友との記憶の結晶なのでしょう?なら、『幻想郷での記録』として機能するこのメモリにはピッタリでしょうに」

 

「……あ、そうなのね……」

 

 

 案外説得力があったものだから霊夢は黙った。

 

 

「いいですね!!ファンタズムメモリ、かぁ。気に入りました!」

「ヨシ!本人の受諾を確認!やったぁ!!」

 

 文はガッツポーズをとってメモをとった。

 

 

『星羅の絆の証、名称決まる!!』

『絆の証、ファンタズムメモリ!!』

 

 

「……ダサっ」

「霊夢さんたらそんなこと言わないでくださいよ〜……」

 

 

 

 

 

 

 その後。

 文は「ネタはホットな内に形にせねば!!」と飛び出していった。

 

 天狗って忙しいんだなー、と星羅はぼんやり思った。

 

 

「ファンタズムメモリ。うんうん、覚えた。なんかしっくりくる」

「アイツにしてはやたら良い感じの名前つけたわね……見直したかも」

 

 霊夢は呟くと、星羅に問いかけた。

 

 

「ところで星羅、新しいコートは気に入ったの?」

 

 

 

 この間の件で咲夜に世話になった星羅。

 

 その際咲夜は、なんと星羅のぼろぼろだったコートをアリスと共に仕立て直し、わざわざ新調してくれたのである。

 

 袖の半分が展開でき、バスターに干渉しないようになっている。更にポケットも内側に増加していた。

 

 

「うん!凄く便利だよ、ホント」

「ちゃんとお礼、言っておきなさいよ」

「もちろん!」

 

 

 

 白銀にも見えるグレーのコート。

 差し色に入れられた黄色や青色が映える。

 

 夏場も良い感じに体温調節ができる袖のおかげで、年中着ていられそうだ。

 

 あとでお礼言わなきゃ、と星羅は改めて思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくコートで盛り上がった二人だが、ふと霊夢が聞いた。

 

 

 

「……で?また、新しいメモリはあったの?」

 

「うん、確かこれと……これ」

 

 

 

 星羅が取り出したのは、二つの新規スペルメモリ。

 

 

 一枚は星が描かれた【メテオストーム】

 

 もう一枚は何やら板のようなものが描かれた【バスタードアイギス】

 

 

 いまいちメモリのみでは使い方がわからないものがあったらしい。

 

 

「……なにこれ、流星群?と…………板?」

「盾でしょ」

「そうなの?」

「知らない」

「どっちなのよ」

 

などと話していたが、ふと霊夢は気付いた。

 

 

「……あれ、星羅。何だっけ……ふぁ……ファミ○ンメモリ?」

「違うよファンタズムメモリだよ!ファ○コンと一緒にしちゃだめ!!」

「それそれ、ファンタズムメモリ。んでさ、それはなかったの?」

「うーんと……」

 

 

 星羅はポケットや小屋中を探してみたが、

 

「……うん。無いわ」

 

とドヤ顔で言った。

 

 

「ドヤることではないわよ、決して……全くもう」

 

 霊夢は仕方ないか、と首を振った。

 

 

 そして気を取り直すようにお茶を啜ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから、星羅は人里へ降りた。

 

 

 今日はたまたま依頼もなく平和だったので、散歩がてら見回っていた。

 

 

 すると。

 

 

 

「……ん?」

 

 

 

 

 

 

「お姉さん、ありがとー!またお話聞かせてね!」

「明日も来てくれる?」

 

「えぇ、もちろんよ。また明日、続きを語り聞かせてあげるわ」

 

 

 里の一角に、子どもたちに囲まれた女性がいた。

 

 何か聞かせていたのか、明日も会う約束をしている。

 

 

 だが星羅がなにより驚いたのは――

 

 

「……綺麗だなぁ」

 

 

正に、絵に描いた人物が、そのまま出てきたかのような美しさ。それを、その輝きを纏っていた。

 

 長い黒髪は荘厳な彼女を引き立て、優しい眼差しは美貌に安心を加えてくれる。

 

 

 

 星羅が気がつくと、その人はどこかへいなくなっていた。

 

 

 

 

 

「……」

 

 何故か目に焼き付いて離れない。

 

 絶句したままそこを眺めていると、

 

 

 

 

 

「……お前は、あの姫さんに会うのは初めてだったか」

 

 

 

 

 

と後ろから声をかけられた。

 

 

 

 

 

 

 振り向くと、そこには見覚えのある人物が。

 

 

 

 

「けーね先生!お久しぶりです!!」

 

 

「久しぶりだな、星羅。元気そうで何よりだ」

 

 

 

 特注の帽子、青を帯びた長髪、紺色の服。

 名簿のような本と、なにかの歴史書を抱えている。

 

 

 上白沢(かみしらさわ) 慧音(けいね)、人里で寺子屋を開くハクタクと呼ばれる半妖である。

 

 星羅とは何度か依頼主として関わっており、縁もそれなりにあった。彼女の記憶探しにも協力している。

 

 

 

「あの人を知ってるんですか?」

「まぁ、色々あってな。少し話そうか、久々に会ったわけだし」

 

 

 慧音に誘われた星羅は、近くの甘味処へと歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 慧音は人里で寺子屋をしながら人間社会に溶け込んでいる。

 子供たちにも慕われているが、彼女の授業はどうしてもつまらないのか寝てしまう子が多い。

 

 慧音もそれを自覚はしているが、どうすれば寝ないで熱心に受けてくれるだろうと色々工夫してみるものの上手くいかないようだ。

 証拠に、それの手伝いを頼まれた星羅さえうっかり寝てしまったほど。

 

 しかし彼女はその裏で、【歴史を食べる程度の能力】と、満月の夜に変身するハクタクの力による【歴史を創る程度の能力】を使って、幻想郷の歴史編纂作業を行っている。

 なかったことにしたり、一方的な都合で抹消された記録を復元したりなど行っているが、基本はハクタクの時……つまり、月一の満月の日に纏めて編纂作業をしているので忙しく、その日は気が立っているようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほぉ。他人との記憶を元に、自身の力とする……か。聞いたことは無いが、興味深い話だ」

 

 

 星羅の話を受けて、慧音はふむ、とつぶやきながら手元の書物を開いた。

 

「……例の魔法使いが言っていたなら、私もおそらくそれに関する本はしばらく出てこないだろう。でも……独自に調べてみる価値は大いにある。何か分かったら伝えるよ」

「ありがとうございます、先生」

「この間とりあえず助けてもらったからな」

「寝てしまいましたけどね……はは」

「私も授業そのもののスタイルを変えてみる必要があるのかも知れないから、あまり気に病むことはないさ」

 

 ぽんと肩に手を置かれ、星羅はちょっと安心した。

 

 

「それで……あの人は……誰なんですか」

「あぁ、その話だったな。お前も外来人なら聞いたことはあるかも知れない。覚えていれば、だけど」

 

 

 こほん、と咳払いし、慧音は口を開いた。

 

 

 

「あの人は、【永遠と須臾の罪人】、【永遠のお姫様】。その名も………………」

 

 

 

 

 

 

 

「……蓬莱山、輝夜。お前らの言う『竹取物語』のかぐやだ」

 

 

 

 

 

 

 

「……へ?」

 

 

 

「……妹紅?いつの間に」

 

 

 

 

 

 

 二人が顔を上げると、そこには銀髪の少女がみたらし団子をくわえて立っていた。

 片手は赤いもんぺに突っ込み、髪のあちこちに小さな紅白リボンを付けてある。

 

「……よう、お前が星羅、だな?はじめまして、か。話は慧音から聞いてるぞ」

 

 妹紅、と呼ばれた彼女はそう言うと、星羅の目線の高さまでしゃがみ、くわえていた串を抜いた。

 

 

「…………藤原(ふじわらの) 妹紅(もこう)だ、普通に妹紅って呼んでくれ」

 

 

「……あっ、もしかして」

 

 

 星羅は心当たりがあったらしい。

 

 人差し指立てて、答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

もこたんってあんたか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お、おぅ……???」

 

 

 

 

 一瞬白けた、もこたん……もとい妹紅は思わず首を傾げた。

 

 

 

「もこ……たん???」

「人里の子供たちがそう言ってて。聞いたこと無い?」

「……無い」

「そうなの?まぁとにかくそういうわけだから」

 

 

戸惑う妹紅だったが、とりあえず気を取り直して続けた。

 

「……ええと、輝夜の話だろ?だったら永遠亭に行け。そこで直で見たほうがいい」

「あぁ、噂の薬屋さんかぁ。行ったことないからなぁ……」

 

 名前は知っていたようだが、よくわからないと言う星羅。

 

 すると、

 

 

「安心しろ。私が連れてく」

 

 

と妹紅はみたらし団子の最後を食べて言った。

 

 

「あそこはよく迷う場所。お前が行ったらたぶん出れなくなるぞ」

「そうなの?」

「妹紅の言うとおりだ。案内してもらいなさい、星羅」

「……うーん、そうですよね。はい」

 

慧音の後押しもあって星羅はひとまず承諾。

 

 

「頼んだぞ妹紅」

「言われずとも任せとけ、慧音。ボランティア舐めんなよ」

 

二人の会話に、星羅はこっそり「ボランティアだってよ。なんでも屋と似てるかも」とボソリと言っていた。

 

 

 

 

「よし、ごちそうさま。行くか、星羅」

「うん。先生、今日はありがとうございましたー!」

「あぁ、またいつでも訪ねてくれ!」

 

 

 慧音と別れ、星羅は妹紅を追って外へ走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機怪……か。気をつけてな、妹紅、星羅……」

 

 

 

 

 

 

 その背中に、慧音は独り呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 せいら:「もこたんってもこもこだね〜」
 もこたん:「モンペなそれ」
 せ:「これがリアルのもんぺか!!」
 も:「見たことないのか!?」


 もんぺって教科書くらいでしか見たことないです。
 しかもサスペンダーついてるもんぺって……?

この中で、番外編やってほしいのは?

  • 紅魔館組
  • レイマリ
  • うどみょん

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