東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜 作:蒼いなんでも屋
インはしません。……やっぱりするかも(しません)
永夜抄編 第一話。
今回から文字のサイズなどの特殊効果も使っていきます。
ところで……
前回までの紅魔郷編のクライマックス、文章が長すぎたと感じておりちょっと反省してます。
……もう少し文章力鍛えたいものです。
025. 不死身のボランティア
「……ふーん、こいつらが噂の機怪か。幻想郷のセオリーが効かないなんて、マナーのなってない連中だ」
人里の一角で、少女は呟いた。
手には焼け焦げた鉄の塊が握られ、地には残余が散らばる。
全て、彼女が燃やし尽くした後だ。
「……こんなもんが
そう言って塊ごと残余を拾い上げると、
「……こんな黒焦げだけど、河童なら喜ぶかな」
と、山へ歩みを進めた。
ふと吹いた風が、小さなリボンをところどころ取り付けた、彼女の白銀の長髪をたゆたわせていた。
「……永い時間生きてきたが…こんな規模のは、ちょっと初めてだな」
━━━━━━━━━━━━━━━
──紅魔館インターンシップから数週間。
あれからも地道な活動を続け、知名度が更に増した星羅は、ある日、神社でとある人物に取材されていた。
「あやや!! これがウワサの、スペルメモリですね!!!」
「……これがウワサの新聞記者なの?霊夢」
「えぇ、めんどくさいパパラッチ記者よ」
当然それは、ホットな噂に目がない神速の烏天狗……射命丸 文である。
文はやっと出会えた取材ネタの宝庫たる星羅に、いつも以上に目を輝かせて取材を行っていた。なんでも屋としての諸々を聞いた彼女は、やはりメモリに惹かれている。
「あや。これはちょっと加工の質が違いますね」
「これは……妖夢とのメモリなんです」
「ほぉ、あの半人半霊の庭師さんの。一体どのようなご縁で?」
「あー、それはちょっとかくかくじかじかで……」
例の特殊なメモリたちについて、霊夢と星羅はざっくり話した。
「なるほど……『他人との記憶を以て放つ必殺の一撃』、『使用には記憶の持ち主との絆が必要』、ということですか」
「はい」
「確かに見た目もどこかキラキラしてますねぇ。確か河童曰く…“ラメ”でしたっけか」
妖夢との【瞑想永弾斬】、咲夜との【サウザンダガーウェーブ】を両手に眺める文だったが、
「……あ! いい名前思いつきましたよ!!」
と唐突に叫んだ。
「名前?」
「そうです霊夢さん。この特殊なメモリ、今後も増える可能性が高いですよ。区別するための名前、考えておいた方が良いと思いませんか」
「…アンタの考えることだしロクな名前にならなそうね」
霊夢が眉をハの字にして訝しむが、
「聞きたいです!!!」
……星羅は嬉々として文に視線を送っていた。
「……え? 本気、星羅?」
「うん!!」
「流石はなんでも屋さん! 物分かりの良い方です!!」
どうやら星羅は他者の意見ならとにかく参考にしたいらしい。幻想郷の新参者故の好奇心か、あるいは。
「はあ」と霊夢は諦めた。
文は咳払いのあと、高らかに発した。
「それでは早速、発表しますね! この系統のメモリ、星羅さんとの絆の証のこのメモリたちは……」
「「ごくり……」」
星羅はもちろん、なんだかんだ気になった霊夢も文に顔を寄せる。
そして文は自信満々に、その名を宣言した。
「ファンタズムメモリ!!!ですっ!!!」
「………………は?」
霊夢は拍子抜けたような声を上げた。
「ふぁんたずむ…???」
「西洋の言葉で『幻想』だそうですよ」
「ホント?」
文は手帳をパラパラとめくって続ける。
「このメモリたちは星羅さんが今まで共に歩んできた大切な友との記憶の結晶なのでしょう? なら、『幻想郷での記録』として機能するこのメモリにはピッタリです」
「……あ、そうなのね……」
案外説得力があったものだから、霊夢は潔く頷いて黙った。一方の星羅は文句無し、といった声でさらに目を輝かせ。
「いいですね!! ファンタズムメモリ、かぁ。気に入りました!」
「ヨシ!本人の受諾を確認!やったぁ!!」
文はガッツポーズをとってメモをとった。次の記事の見出しにするようだ。
『星羅の絆の証、名称決まる!!』
『絆の証、ファンタズムメモリ!!』
「……ダサっ。ネーミングセンスの高さは記事の見出しには直結しないのね」
「霊夢さんったらそんなこと言わないでくださいよ〜……仮題ですよっ」
その後。
文は「ネタはホットな内に形にせねば!!」と、神社を飛び出していった。
天狗って忙しいんだなぁ、と、星羅はぼんやり思った。
「……ファンタズムメモリ。うんうん、覚えた。なんかしっくりくる」
「アイツにしてはやたら良い感じの名前つけたわね……ほんの少し見直したかも」
霊夢は、そんな星羅に問いかけた。
「ところで星羅、新しいコートは気に入ったの?」
この間のインターンシップで咲夜の世話になった星羅。
その際咲夜は、なんと星羅のぼろぼろだったコートをアリスと共に仕立て直し、わざわざ新調してくれたのである。
袖の半分が展開でき、右腕にバスターを装備しても袖が干渉しないようになっている、星羅専用のコートだ。更に、メモリを運びやすくするために内側にポケットが増設されていた。
「うん! 凄く便利だよ、ホント」
「ちゃんとお礼、言っておきなさいよ」
「もちろん!」
白銀にも見えるグレーのコート。差し色に入れられた黄色や青色がよく映える。
夏場も良い感じに体温調節ができる袖のおかげで、年中着ていられそうだ。あとでお礼言わなきゃ、と星羅は改めて思った。
しばらくコートの話で盛り上がった二人だが、ふと霊夢が彼女のポケットに視線を移した。
「……それで? また、新しいメモリがあったの?」
「うん、確かこれと……これ」
星羅が取り出したのは、二つの新規のスペルメモリ。
一枚は星が描かれた【メテオストーム】
もう一枚は何やら板のようなものが描かれた【バスタードアイギス】
いまいちメモリの絵柄のみでは使い方がわからない、新たな2つのスペルメモリが、またしてもいつの間にか生成されていたらしい。
「……なにこれ、流星群? と…………板?」
「盾じゃね?」
「そうなの?」
「知らない」
「どっちなのよ」
などと話していたが、ふと霊夢が気付く。
「……あれ、星羅。何だっけ……ふぁ……ファミ○ンメモリ?」
「違うよファンタズムメモリだよ!ファ○コンと一緒にしちゃだめ!!」
「それそれ、ファンタズムメモリ。んでさ、そっちはなかったの?」
「うーんと……」
星羅はしばらくポケットを漁ったが、
「……うん、無い!」
…やがて、ドヤ顔で言い放った。
「ドヤることではないわよ、決して……全くもう」
霊夢は仕方ないか、と首を振り、気を取り直すようにお茶を啜ったのであった。
……焦っても何も起きないものね、と呟きながら。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
昼下がりになり、星羅は人里へ降りた。
今日はたまたま依頼もなく平和だったので、散歩がてら見回ろうと考えたのだ。
すると。
「……ん?」
「お姉さん、ありがとー!またお話聞かせてね!」
「明日も来てくれる?」
「えぇ、もちろんよ。また明日、続きを語り聞かせてあげるわ」
里の一角に、子どもたちに囲まれた女性がいた。
何を聞かせていたのだろうか、明日も会う約束をしている。
だが星羅がなにより驚いたのは――
「……綺麗だなぁ」
正に、絵に描いた人物が、そのまま出てきたかのような美しさ。彼女はそんな輝きを纏っていた。
長い黒髪は荘厳な彼女を引き立て、優しい眼差しは美貌に安心を加えてくれる。
星羅が気がつくと、彼女はどこかへいなくなっていた。
「……」
何故か目に焼き付いて離れない。
絶句したまま、子供達のいた場所を眺めていると、
「……お前は、あの姫さんに会うのは初めてだったか?」
と後ろから声をかけられた。
振り向くと、そこには見覚えのある人物が。
「……あっ、けーね先生。お久しぶりです!! ご無沙汰してます!」
「久しぶりだな、星羅。元気そうで何よりだ」
特注の帽子、青を帯びた長髪、紺色の服。小脇に抱えているのは、名簿のような本となにかの歴史書。
彼女の名は、
人里で寺子屋を開く、ワーハクタクと呼ばれる半妖の女性である。
星羅とは何度か依頼主として関わっており、縁もそれなりにあった。彼女の記憶探しに協力している者の一人でもある。星羅は親しみを込めて──というよりは、寺子屋の子供達の真似をして──、「けーね先生」と呼び慕っている。
「けーね先生は、あの人を知ってるんですか?」
「まぁ、色々あってな。少し話そうか、久々に会ったわけだし」
慧音に誘われた星羅は、近くの甘味処へと歩いた。
慧音は人里で寺子屋をしながら人間社会に溶け込んでいる。
子供たちにも慕われているが、生真面目な彼女の授業はどうしてもつまらないのか寝てしまう子が多い。
慧音もそれを自覚はしているが、どうすれば寝ないで熱心に受けてくれるだろうと色々工夫してみるものの上手くいっていないようだ。証拠に、それの手伝いを頼まれた星羅さえうっかり寝てしまったほどである。
しかし、彼女はその裏で、【歴史を食べる程度の能力】と、満月の夜に変身するハクタクの力による【歴史を創る程度の能力】を使って、幻想郷の歴史編纂作業を行っている。
なかったことにしたり、一方的な都合で抹消された記録を復元したりなど行っているが、基本はハクタクの時……つまり、月一の満月の日に纏めて編纂作業をしているので忙しく、その日は気が立っているという。
なお、実際に変身した姿を星羅は見たことがない。
「ほぉ。他人との記憶を元に、自身の力とする……か。聞いたことは無いが、興味深い話だ」
白玉楼襲撃事件、紅魔館インターンシップ騒動を経た星羅の話を受けて、慧音はふむ、とつぶやきながら手元の書物を開いた。
特に、他者との記憶と絆が生む力・ファンタズムメモリについては、彼女も興味深いようだ。
「……例の魔法使いが言っていたなら、私もおそらくそれに関する本はしばらく出てこないだろう。でも……独自に調べてみる価値は大いにある。何か分かったら伝えるよ」
「ありがとうございます、先生」
「この間とりあえず助けてもらったからな」
「寝てしまいましたけどね……はは」
「私も授業そのもののスタイルを変えてみる必要があるのかも知れないから、あまり気に病むことはないさ」
ぽんと肩に手を置かれ、星羅はちょっと安心した。
「それで。……あの人は…一体、どなたなんですか? なんか人里ではあんまり見ないような雰囲気でしたけど」
「あぁ、その話だったな。お前も外来人なら聞いたことはあるかも知れない。覚えていれば、だけど」
こほん、と咳払いし、慧音は口を開いた。
「あの人は、【永遠と須臾の罪人】、【永遠のお姫様】。その名も………………」
「……
「……へっ?」
「……
二人が顔を上げると、そこには銀髪の少女がみたらし団子をくわえて立っていた。
片手は赤いもんぺに突っ込み、髪のあちこちに小さな紅白リボンを付けてある。
「……よう、お前が星羅、だな? はじめまして、か。話は慧音から聞いてる」
妹紅、と呼ばれた彼女はそう言うと、星羅の目線の高さまでしゃがみ、くわえていた串を抜いた。
「…………
「……あぁっ。もしかして!」
「ん。星羅、知っているのか?」
だが星羅は心当たりがあったらしい。人差し指立てて、答えた。
「
「……お、おぅ……???」
もこたん……もとい妹紅は、啞然としながら思わず首を傾げた。
「もこ……たん? なんだそりゃ」
「人里の子供たちがそう言ってて。聞いたこと無い?」
「……無い」
「そうなの? まぁとにかくそういうわけだから」
戸惑う妹紅だったが、とりあえず気を取り直して続けた。
「ん゛んっ……えぇと。輝夜の話だろ? だったら永遠亭にでも行け。そこで直で見たほうがいい」
「あぁ、噂の薬屋さんかぁ。話ならちょっとだけ聞いたことあるんだけど、行ったことないんだよね」
名前は知っていたようだが、よくわからないと言う星羅。
すると、
「安心しろ。私が連れてく」
…と、妹紅はみたらし団子の最後を食べながら、星羅に告げた。
「あそこは誰もが迷う場所だ。お前がひとりで行ったら、たぶん二度と帰ってこれなくなるぞ」
「そ……そうなの?」
「妹紅の言うとおりだ。案内してもらいなさい、星羅」
「……うーん、そうですよね。はい」
慧音の後押しもあって、星羅はひとまず承諾する。
同時に、慧音は妹紅に尋ねた。
「…にしても珍しいな、妹紅。お前が自ら他人に接触しただけでなく、自ら案内役を買って出るとは」
「……別に気まぐれだよ。…それに…なんかコイツのこと、放っておけないっていうか」
「フッ、奇遇だな。私も同じ気持ちなんだ。星羅を前にするとそういう気持ちになる。不思議な奴だろう?」
「どうだかなぁ」
「…まぁ、とにかく。頼んだぞ妹紅」
「言われずとも任せとけ、慧音。竹林のボランティア舐めんなよ」
2人の会話に、星羅は「ボランティアだって…なんでも屋と似てるかも」と、ボソリと呟いた。
彼女の中で、多少は妹紅への緊張が和らいだようだ。
「よし、ごちそうさま。行くか、星羅」
「うん。先生、今日はありがとうございましたー!」
「あぁ、またいつでも訪ねてくれ!」
自分達の団子を食べ終えた星羅は、慧音と別れ、妹紅を追って外へ走った。
2人の背中を見送りながら、慧音は呟く。
「…………。
機怪……か。気をつけてな、妹紅、星羅……」
せいら:「もこたんってもこもこだね〜!」
もこたん:「これはモンペっていうらしいぞ」
せ:「これがリアルのもんぺか!!」
も:「見たことないのか!?」
せ:「ない!!」
も:「外の世界にはモンペないのか!?」
せ:「それは知らん!!!」
もんぺって教科書くらいでしか見たことないです。
しかもサスペンダーついてるもんぺって……それもんぺなん…??
この中で、番外編やってほしいのは?
-
紅魔館組
-
レイマリ
-
うどみょん