東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜   作:蒼いなんでも屋

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 永遠亭突入。
 タイトル初めて2倍にした……違和感あったらすみません。





026. 月の頭脳と永遠のお姫様

 咲夜の新調した新たなコートをまとった星羅。

 

 

 そんな彼女に、文はこれまで得た特殊なメモリたちを『ファンタズムメモリ』と命名する。

 

 

 

 

 その後、人里で輝夜を目撃した星羅は、慧音との再開を経て、妹紅に永遠亭へ連れて行ってもらうこととなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、一方で永遠亭ではある問題が起こっていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……火事?」

 

 

 

 永遠亭へと至る道を歩きながら、星羅は妹紅に問い返していた。

 

 

 

「あぁ。最近、迷いの竹林で火元不明の火災が後を絶たないんだ」

 

 

 ポケットに手を突っ込み、妹紅はそう返す。

 

 

「てゐによれば、人為的火災なのはわかってるんだが、痕跡もろとも焼き尽くされてるせいで手の打ちようもないんだと」

 

 

 

 

 迷いの竹林は、幻想郷にある広大な竹林である。

 無数の竹に覆われ、日に日に変化し続けるだけでなく、わずかに傾斜しているため方向感覚を奪われてしまう。

 そのため一度迷うと出られないと言われている。

 

 妹紅は昔からここを熟知しているため絶対に迷わない。星羅のみならず、永遠亭へ行く場合の案内人として自ら進んで行動しているのはこれが理由だ。

 

 

 そんな竹林の所有者が、兎の妖怪・因幡(いなば) てゐ。

 幻想郷の古参であり【人間を幸運にする程度の能力】を持ちながら、いたずら好きで嘘つきな兎である。

 

 

 

 

「てゐに会ったら気をつけろ。あいつ言葉巧みに騙すから」

「そうなんだ……」

「大丈夫だとは思うけどな」

 

 

 訳あって浅からぬ縁を持つ彼女にとって、てゐのいたずらは痛いほど思い知らされている。それは輝夜や永遠亭の面々ならば関係なくわかっていること……周知の事実だ。

 

 ため息ひとつつくと、妹紅は話を戻した。

 

 

「……で、あいつが言うには、最近世間を騒がす連中……機怪の仕業だろうって、勝手に憶測立ててんのさ」

「やっぱり機怪か……」

 

 だろうね、と星羅は頷く。

 

「……やっぱり?何か心当たりでもあるのか?ていうか機怪知ってるのか?そういえば慧音がそんなこと言ってたか……?」

 

妹紅が問うと、

 

「まぁ……色々あったの。詳しくは永遠亭に着いたら話すよ」

 

と、ひらひら手を振って流したので、妹紅は

 

「……わかったよ」

 

頭を掻いてそう答えた。

 

 

 

 

 

「この先が迷いの竹林、この奥に永遠亭がある。しっかり付いてこいよ、一度はぐれたら終わりだ」

 

「わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「上がるぞ」

 

 

 

「こんちは〜……」

 

 

 

 

 

 

 迷いの竹林を抜け、星羅は永遠亭へ着いた。

 

 

 

 永遠亭は竹林の奥深くにある和風の木造建築屋敷である。

 遥かな昔からあるはずなのに、その建物に経年劣化は全く見られない。

 

 

 

 周りには普通のも妖怪も関係なく、兎がうじゃうじゃしていた。

 なんでこんなところにこんなたくさん……?と、星羅は横目に見ながら思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、いらっしゃい。久しぶりね妹紅」

 

 

 

 

 出迎えたのは一人の女性。

 

 赤と紺のツートンカラーに星座が散りばめられた服、赤十字マークのナース帽、銀の三編み。

 若く見えるその外見からは想像できない貫禄と雰囲気が溢れている。

 

 

「よう、永琳。久しぶりだな」

「そっちの子は?」

「こいつは星羅、最近幻想入りした例のやつだ。ほら、名乗りな」

「はじめまして、幻島 星羅といいます。新参者ですがよろしくおねがいします」

 

 ぺこりと頭を下げる星羅。

 

 うん、と頷くと彼女は答えた。

 

 

「私は、八意(やごころ) 永琳(えいりん)。この永遠亭で薬師をしている者よ。よろしくね」

 

 

 優しい笑顔に星羅は惹き込まれた。

 

 

 妹紅が切り出す。

 

「……で、ここに来た用件なんだが。輝夜のヤツはいるか?」

 

「えぇ、さっき帰ってきたわ。また何かするの?」

「や、単にコイツが用があるってだけだ。私は今日は別にいい」

 

 

「……“何かするの”……?」

 

 星羅は永琳から飛び出したワードに耳を疑った。

 

 なにか面倒な事でもあるのだろうか?

 

 

「姫様ならこの奥よ。どうせ暇を持て余してるはずだから」

「は、はい。おじゃましま〜す……」

 

 永琳に案内され、とりあえず星羅は奥へ進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………あれ?」

 

 

 

 残った妹紅は、ふと周りを見渡し、

 

 

 

 

 

 

 

「…………鈴仙ちゃん……どこいった?」

 

 

 

 

と、頭をひねった。

 

 

 

 

 

 

「……まぁいいか、どうせ人里で薬配ってんだろうし。私も追うか、あの輝夜が下手なこと吹き込むかも知れないし」

 

 

 

 

 

 そう言うと、妹紅も二人を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「話は子供たちからよく聞いているわ。蓬莱山(ほうらいさん) 輝夜(かぐや)よ。あなたは確か外来人だから……『竹取物語』のかぐや姫っていえば、わかるかしら?」

 

 

 

 

 

 

 桃色に和風の装飾が施された、いわゆる「十二単衣」のような装いに、どこかで見たような気がする型の髪、そして人里でも見た、絵に描いたような美貌と優しい笑顔。

 

 

 輝夜はそこにいるだけで輝いているようなオーラを醸しながら、そう語りかけてきた。

 

 

 

 

「……けっ、お前外来人に決まってそれ言うのやめろよ」

 

 

 後ろで柱に寄りかかって腕を組む妹紅が呟く。

 

 

「他にいい例でもある?“いつも妹紅に勝ちまくってるお姫様”って言ったほうが良かったかしら?」

「あぁん!?」

「まぁまぁ、姫様、妹紅」

 

 一触即発になりそうな二人を永琳が止めた。

 

 

 

 

 そんな周りにお構いなしに、星羅は、

 

 

 

 

 

 

 

「……………………竹取、物語…………?」

 

 

 

 

 

 

フリーズしたようにその場でじっとしていた。

 

 

 

 

「……あら?かぐや姫じゃ、わからなかった??」

 

 

 輝夜が首をかしげると、妹紅が

 

 

「……んなわけないだろ?」

 

と流石に異議を唱えた。

 

「あの道具屋の店主が、確か……外では竹取物語は義務教育とかで誰でも必ず学ぶ内容らしいぞ」

「……なるほど」

 

 

 

 

 

 すると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然、星羅はその場にかがんで、頭を抑えた。

 

 

 

 

「んあ!?」

 

「星羅!?」

 

「な、何!?」

 

 

 

 三人は一斉に彼女の近くでしゃがみ、顔色を見る。

 

 

 

 

 

 

 

「……………………」

 

 

 

 

 

「……そっか、確かこいつ……慧音が言ってたが、こいつは記憶喪失だったんだ!!」

 

 

 妹紅がはっとして二人に言うと、

 

 

「それ先に言いなさいよ!!」

 

 

輝夜がとりあえず言い返して星羅に問う。

 

「星羅!大丈夫!?もしかして……さっきの言葉で……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………っ…………………そうだ。そうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

思い出した…………習ったよ、習いましたよ。それ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………『それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしゅうてゐたり』

 

 

 

 

 

『この児のかたち、けうらなること世になく、屋の内は暗き所なく光満ちたり』

 

 

 

 

 

『なよ竹のかぐや姫とつけつ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………竹取物語。作り物、作者未詳。平安時代、十世紀ごろ成立、現存する最古の物語。

 

 

 

合ってますか、かぐや姫(・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すらすらと、竹取物語の一部と、その成り立ちを暗唱した星羅。

 

 

 

 突然の出来事に三人はあ然としていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………でも、思い出したのは……それだけじゃなくて。

 

 

 

 

 

昔の……外の……記憶も、ちょっとだけ思い出しました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ええっ!?」」

 

 

 

 

 

 突然の言葉に妹紅と輝夜が発狂。

 

 

 

 

 

 

「……一緒に思い出されたのね?」

 

 

 

 

 永琳はとりあえず落ち着き、そう問いかけた。

 

 

「……でも自分のことじゃ無いみたいで……よく、わからなくて」

 

「たぶん、混乱してるのよ。あなたも落ち着いたら少しは平気になるわ……酷な話だけど」

 

「はい」

 

 

 

 

 立ち上がった星羅は、気丈に笑うと、

 

 

「あのかぐや姫に会えてなんか幸せです!!」

 

 

と、輝夜に言った。

 

 

「……ふふ、その様子なら安心ね」

「やれやれ……」

 

 

 それを見て輝夜も微笑み、妹紅はニヤけながら両手をひらひらと振った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 永琳も微笑みながら、ふと顔をしかめ、

 

 

 

 

 

 

 

「……、一応、しっかり見ておく必要がありそうね……」

 

 

 

 

 

と、一人呟くのだった。

 

 

 

 

 




 え?

 どうせうどんげのメモリもらうのになにしてんだって?


 次回でるから勘弁……




 ところで。
 キャラ達の色々な過去話は自分で考えています。
 もちろん原作設定もしっかり考慮し、なるだけ矛盾をなくしています。

 すると他の方の設定とかにも似てしまうのです。
 どうしても似通った内容に近付くのは同じキャラクターなんだから仕方がないです。
 その中でオリジナリティ出すのは結構大変なんですよ。

 なので「これは確信犯」というの以外は、ある程度似ていてもできれば通報しないでください。
 こち他の作品パロディや参考にすることくらいはありますが、他人の東方設定をまるごとパクろうなんて微塵も思っておりません。「流石にこれはヤバい」とかいうのがありましたらコメントください。

 長文失礼。

この中で、番外編やってほしいのは?

  • 紅魔館組
  • レイマリ
  • うどみょん

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