東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜   作:蒼いなんでも屋

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 今アンケートやってるじゃないっすか(執筆時点でのはなし)。

 地霊殿か星蓮船、どっちかって聞いたのですがみなさんおまかせなんすね。任されちった……まぁいっか。


 というわけで永夜抄編三話です。
 やっと本日の主役登場です。やっとかよ。





027. 地上の月兎

 妹紅に連れられて永遠亭に赴いた星羅は、輝夜との対話で、一部だが「外の世界にいた頃」の記憶を呼び覚ました。

 

 目覚めた記憶に少しだけ違和感を覚える星羅だが、落ち着いて受け入れればそのうち慣れるだろう、と永琳に言われる。

 

 

 

 その頃。

 

 永遠亭へ、一人の兎が帰ってきていた。

 

 

 

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「おかえり〜。ちょっと遅かったんじゃないの?」

 

 

 

 

 

 一人の兎妖怪が、竹林の入口で少女を出迎えた。

 

 

 迎えられた方は、被っていた笠を外して答えた。

 

 

 

「……ただいま。珍しいわね、てゐ。あんたがここにいるなんて」

「まぁ、流石に今は一大事の最中だからさ。見張りだよ。見張り。このてゐが自分からここにいるんだもの」

「はいはい、自慢は結構よ」

 

 

 笠を外された頭からは、笠で隠れていた少しだけしわしわな兎の耳が現れた。

 

 背中の籠を背負い直し、続ける。

 

 

 

「……お師匠様のところに戻りましょう」

「うん。まったくいたずらもろくにできないしね」

「そもそもしないでほしいわ……」

「長年の性だよ、鈴仙。ご〜めんね」

 

 

 

 

 

 

 元・月の玉兎、鈴仙(れいせん)優曇華院(うどんげいん)・イナバと、竹林を管理する妖怪兎の因幡(いなば) てゐ。

 

 

 

 二人は永遠亭へと駆け出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……ふむふむ、学校?か……寺子屋みたいなもん……?か。しかも外じゃあ当たり前に学ぶものなんだな、かぐや姫って。いい時代になったもんだな」

 

「となると私、外だと案外有名なのね。幻想郷にいて大丈夫かしら……」

 

「外に伝わってる“かぐや姫”は輝夜(おまえ)ほどいい人じゃねーよ」

 

「なんですって!?それ言ったら、星羅のいう話にはあなたの名前どころか影も形もないでしょう?」

 

「うぐ、それはそうだが……!」

 

 

 

「……仲悪すぎですよ、姫。妹紅も落ち着いて」

 

 

「「あなたが落ち着かないからでしょ!?」だろ!?」

 

 

 

 

 

 

 あのあと、永琳は「少しだけ準備させてちょうだい」と言って、自室__といっても診察室だけど__へ戻っていった。

 

 

 

 

 その間、妹紅と輝夜は星羅の記憶整理を手伝いたいと言い、彼女が断片的に思い出した内容を聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 曰く、外の世界の学校に通っていた事、

 

 そこで竹取物語について学んだ事、

 

 そして、それとは別に、なにか「憧れのヒーロー」みたいなものがいた、事をぼんやり思い出したらしい。

 

 

 

 

「……はぁ。総括させてもらうが……すまん。内容の偏りが過ぎて、イマイチわからないな」

「私もよ。正直、断言できないことばかりね」

「そうっすよね〜…………」

「……こんなん、そりゃあ混乱するわな」

 

 妹紅は腕を組み、嘆く。

 

「でもどうせ面倒な話なんだろうなぁ〜……お前の隠されてる諸事情も」

 

 

 

 

 まるで自分もそうだったとでも言うように、彼女はそう言葉を吐いた。

 輝夜はそれを見て、何を思ったのか目を逸らした。

 

 星羅にはいまいち、その意味がわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 ふと、妹紅は外を見た。

 

 

「……ん、星羅」

「どしたの?」

 

「あんなところにうさぎさんがいるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「またかよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どこを見ても兎だらけな永遠亭。

 

 

 そんな場所のせいで、星羅はうっかりそう呟いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「はじめまして、私は鈴仙・優曇華院・イナバ。端的に言えば永遠亭の雑用係をしてるわ。よろしくおねがいしますね」

 

「私は因幡てゐ。この竹林の持ち主さ。何か困ったら何でも言ってよね」

 

 

 

 

 

 

(……また兎か……)

(またとか言わねーんだよ、そこは)

(立派な私達の仲間なのよ)

(はぁ)

 

 

 

 

 

 そんなことを、ヒソヒソと三人は交わした。

 

 

 

 

 

 妹紅の仲介経て、星羅は鈴仙とてゐを紹介された。

 

 

 

 

 永遠亭中それなりに兎がうようよしていて、竹林でも何度か見かけたので、星羅はどちらかといえば「見飽きたなぁ……」となってしまっていた。

 

 

 鈴仙のロングヘアはぎりぎり足元手前まで広がっていて、頭からは若干しわのよったうさ耳を生やし、外の世界の記憶で垣間見たような、きちっとした制服を着ていた。

 

 一方てゐは丸みを帯びたうさ耳に薄ピンクワンピ、にんじんネックレス(?)を纏っている。

 

 

「あ、そうそう。私の目はあんまり見つめない方が良いですよ?」

 

「えっ、なんで?」

 

 

 鈴仙の言葉に、ボーッとしていた星羅が我に返ると、

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………狂ってしまうから、です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 右手で銃の形を作り、鈴仙はそう言うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 星羅は思いっきり首を傾げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 一方その頃。

 

 

 

 

 

 

 

 

「火事?竹林で!?」

 

 

 

 

 

 霊夢は魔理沙の眼前に迫って問いただした。

 

 

 

「待て待て待て〜い、近い!」

「う……ごめん……」

 

 

 

 

 博麗神社へやってきた魔理沙は、小耳に挟んだ『迷いの竹林火災事件』について、霊夢へ話していたのだ。

 

 

「……で、原因は不明なのね」

「あぁ。どうせ機怪だろうけどな……」

 

 

 魔理沙は言いながら箒にまたがる。

 

「永琳にでも聞きに行くか?手伝いが必要かどうか」

 

 

「……そうね。何か機怪について分かるかも知れないし。行ってみるか……」

 

 

 

 霊夢もため息ひとつついて、幣と御札を掴んで宙へ翔んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 再び、永遠亭。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鈴仙は右手の銃ポーズをそのままに、星羅へ能力について話していた。

 

 

 

 

「私は【波長を操る程度の能力】を持ってるんです。この能力で、相手の性格を掴んだり、幻覚を見せたり、波長をずらして視認出来なくさせたりするんですよ。それらは私の目を通して発動するので、見つめてると狂ってしまいますよ」

 

 

 軽く目を、赤色に光らせてみる。

 

 

 

「……やめろ、私達も影響くらうじゃないか」

 

 

 

 妹紅が後ろで目を逸らした。

 

 

 

「……だいたいわかった……と思う」

 

 

 

 

 星羅はさっぱりわからなかったが頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 が、星羅は告げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まぁ……、たぶん平気だけどね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ?どうして??」

 

 

 鈴仙の問いに、星羅はあっさりと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だって……

 

 

 

 

 

悪影響を及ぼす他人の能力は、私、効かないもん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ!?」

 

 

「はい!?」

 

 

「なんだと!?」

 

 

「はぁ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突拍子もない、皆の予想の斜め上を行く返答に、周囲四人は(あの輝夜や妹紅さえ)唖然としていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……んーと、つまり?紅魔んとこのメイドの時間停止中に一緒に動けて?あそこの妹も壊せなくって??そこの魔女によればお前はそういう悪影響は一切効かない【幻想力に触れる程度の能力】なのか……???」

 

 

 

 

 妹紅は眉をぴくぴくと動かしながら必死に理解しようと整理した。

 

 

「……あれ?本当だ……あなたの波長をずらせない?しかもさっきから幻覚見せてるはずなのに……??」

 

「……至って平気だよ?」

 

 

 その横では鈴仙が色々試行錯誤しているが星羅はぼーっと何もないといった顔でそれを眺めていた。

 

 星羅にはやはり効かないらしい。

 

 

「てゐの幸運はどうなのよ」

「うーん、見た感じ与えられそうだけど」

「じゃあなんで私のは効かないのよ??」

 

 

 てゐは【人間に幸運を与える程度の能力】をもつ。

 

 それは普通に与えられそうなのだという。

 

 

 

「……いい影響は受けるけど、悪い影響は受け付けないか良くしてしまうんじゃないかしら」

 

 輝夜がそれらを見て、推測を述べた。

 

 

「姫様?」

「恐らく……彼女にとっての特権なのよ。信じがたいけど、この子はあからさまに特別な存在。しかも話によれば、冥界の半人半霊の剣士と例のメイドのスペカを受け継いでる」

「……要は、こいつならではの最強能力ってことか」

 

 妹紅がやっと納得出来たように頷いて続いた。

 

「ま、こいつは追われてる身なんだろ?だったら信じてやろうぜ。こいつの能力なら異変解決の特効薬になるだろうし」

 

「うーん、波長を使えばちょっとは本性がわかるかなって思ったのですが……仕方ないですね」

 

 鈴仙はふむ、と言いながらいつもの眼に戻した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「星羅、ちょっといいかしら」

 

 

 

 

 

 ふと、奥から永琳が顔を出した。

 

 

 

 

「試したいことがあるのだけれど」

 

「なんだ?能力なら判明してるぞ?」

 

 

 妹紅が言うと、永琳は首を振って、

 

 

 

 

 

 

 

「実験よ。

 

 

星羅の記憶を引き出すための、ね」

 

 

 

 

 

 

 

と、人差し指を立てて、真剣な表情で告げるのだった。

 

 

 

 

 

 




 鈴仙のスペカってどこか中2臭い良い感じにかっけぇ名前ばかりですよね。

 皆さんお気に入りはありますか?



この中で、番外編やってほしいのは?

  • 紅魔館組
  • レイマリ
  • うどみょん

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