東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜 作:蒼いなんでも屋
地霊殿か星蓮船、どっちかって聞いたのですがみなさんおまかせなんすね。任されちった……まぁいっか。
というわけで永夜抄編三話です。
やっと本日の主役登場です。やっとかよ。
妹紅に連れられて永遠亭に赴いた星羅は、輝夜との対話で、一部だが「外の世界にいた頃」の記憶を呼び覚ました。
目覚めた記憶に少しだけ違和感を覚える星羅だが、落ち着いて受け入れればそのうち慣れるだろう、と永琳に言われる。
その頃。
永遠亭へ、一人の兎が帰ってきていた。
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「おかえり〜。ちょっと遅かったんじゃないの?」
一人の兎妖怪が、竹林の入口で少女を出迎えた。
迎えられた方は、被っていた笠を外して答えた。
「……ただいま。珍しいわね、てゐ。あんたがここにいるなんて」
「まぁ、流石に今は一大事の最中だからさ。見張りだよ。見張り。このてゐが自分からここにいるんだもの」
「はいはい、自慢は結構よ」
笠を外された頭からは、笠で隠れていた少しだけしわしわな兎の耳が現れた。
背中の籠を背負い直し、続ける。
「……お師匠様のところに戻りましょう」
「うん。まったくいたずらもろくにできないしね」
「そもそもしないでほしいわ……」
「長年の性だよ、鈴仙。ご〜めんね」
元・月の玉兎、
二人は永遠亭へと駆け出していった。
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「……ふむふむ、学校?か……寺子屋みたいなもん……?か。しかも外じゃあ当たり前に学ぶものなんだな、かぐや姫って。いい時代になったもんだな」
「となると私、外だと案外有名なのね。幻想郷にいて大丈夫かしら……」
「外に伝わってる“かぐや姫”は
「なんですって!?それ言ったら、星羅のいう話にはあなたの名前どころか影も形もないでしょう?」
「うぐ、それはそうだが……!」
「……仲悪すぎですよ、姫。妹紅も落ち着いて」
「「あなたが落ち着かないからでしょ!?」だろ!?」
あのあと、永琳は「少しだけ準備させてちょうだい」と言って、自室__といっても診察室だけど__へ戻っていった。
その間、妹紅と輝夜は星羅の記憶整理を手伝いたいと言い、彼女が断片的に思い出した内容を聞いていた。
曰く、外の世界の学校に通っていた事、
そこで竹取物語について学んだ事、
そして、それとは別に、なにか「憧れのヒーロー」みたいなものがいた、事をぼんやり思い出したらしい。
「……はぁ。総括させてもらうが……すまん。内容の偏りが過ぎて、イマイチわからないな」
「私もよ。正直、断言できないことばかりね」
「そうっすよね〜…………」
「……こんなん、そりゃあ混乱するわな」
妹紅は腕を組み、嘆く。
「でもどうせ面倒な話なんだろうなぁ〜……お前の隠されてる諸事情も」
まるで自分もそうだったとでも言うように、彼女はそう言葉を吐いた。
輝夜はそれを見て、何を思ったのか目を逸らした。
星羅にはいまいち、その意味がわからなかった。
ふと、妹紅は外を見た。
「……ん、星羅」
「どしたの?」
「あんなところにうさぎさんがいるぞ」
「またかよ……」
どこを見ても兎だらけな永遠亭。
そんな場所のせいで、星羅はうっかりそう呟いてしまった。
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「はじめまして、私は鈴仙・優曇華院・イナバ。端的に言えば永遠亭の雑用係をしてるわ。よろしくおねがいしますね」
「私は因幡てゐ。この竹林の持ち主さ。何か困ったら何でも言ってよね」
(……また兎か……)
(またとか言わねーんだよ、そこは)
(立派な私達の仲間なのよ)
(はぁ)
そんなことを、ヒソヒソと三人は交わした。
妹紅の仲介経て、星羅は鈴仙とてゐを紹介された。
永遠亭中それなりに兎がうようよしていて、竹林でも何度か見かけたので、星羅はどちらかといえば「見飽きたなぁ……」となってしまっていた。
鈴仙のロングヘアはぎりぎり足元手前まで広がっていて、頭からは若干しわのよったうさ耳を生やし、外の世界の記憶で垣間見たような、きちっとした制服を着ていた。
一方てゐは丸みを帯びたうさ耳に薄ピンクワンピ、にんじんネックレス(?)を纏っている。
「あ、そうそう。私の目はあんまり見つめない方が良いですよ?」
「えっ、なんで?」
鈴仙の言葉に、ボーッとしていた星羅が我に返ると、
「…………狂ってしまうから、です」
右手で銃の形を作り、鈴仙はそう言うのであった。
「はい??」
星羅は思いっきり首を傾げた。
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一方その頃。
「火事?竹林で!?」
霊夢は魔理沙の眼前に迫って問いただした。
「待て待て待て〜い、近い!」
「う……ごめん……」
博麗神社へやってきた魔理沙は、小耳に挟んだ『迷いの竹林火災事件』について、霊夢へ話していたのだ。
「……で、原因は不明なのね」
「あぁ。どうせ機怪だろうけどな……」
魔理沙は言いながら箒にまたがる。
「永琳にでも聞きに行くか?手伝いが必要かどうか」
「……そうね。何か機怪について分かるかも知れないし。行ってみるか……」
霊夢もため息ひとつついて、幣と御札を掴んで宙へ翔んだ。
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再び、永遠亭。
鈴仙は右手の銃ポーズをそのままに、星羅へ能力について話していた。
「私は【波長を操る程度の能力】を持ってるんです。この能力で、相手の性格を掴んだり、幻覚を見せたり、波長をずらして視認出来なくさせたりするんですよ。それらは私の目を通して発動するので、見つめてると狂ってしまいますよ」
軽く目を、赤色に光らせてみる。
「……やめろ、私達も影響くらうじゃないか」
妹紅が後ろで目を逸らした。
「……だいたいわかった……と思う」
星羅はさっぱりわからなかったが頷いた。
が、星羅は告げる。
「……まぁ……、たぶん平気だけどね」
「えっ?どうして??」
鈴仙の問いに、星羅はあっさりと
「だって……
悪影響を及ぼす他人の能力は、私、効かないもん」
と、答えた。
「えぇ!?」
「はい!?」
「なんだと!?」
「はぁ!?」
突拍子もない、皆の予想の斜め上を行く返答に、周囲四人は(あの輝夜や妹紅さえ)唖然としていた。
「……んーと、つまり?紅魔んとこのメイドの時間停止中に一緒に動けて?あそこの妹も壊せなくって??そこの魔女によればお前はそういう悪影響は一切効かない【幻想力に触れる程度の能力】なのか……???」
妹紅は眉をぴくぴくと動かしながら必死に理解しようと整理した。
「……あれ?本当だ……あなたの波長をずらせない?しかもさっきから幻覚見せてるはずなのに……??」
「……至って平気だよ?」
その横では鈴仙が色々試行錯誤しているが星羅はぼーっと何もないといった顔でそれを眺めていた。
星羅にはやはり効かないらしい。
「てゐの幸運はどうなのよ」
「うーん、見た感じ与えられそうだけど」
「じゃあなんで私のは効かないのよ??」
てゐは【人間に幸運を与える程度の能力】をもつ。
それは普通に与えられそうなのだという。
「……いい影響は受けるけど、悪い影響は受け付けないか良くしてしまうんじゃないかしら」
輝夜がそれらを見て、推測を述べた。
「姫様?」
「恐らく……彼女にとっての特権なのよ。信じがたいけど、この子はあからさまに特別な存在。しかも話によれば、冥界の半人半霊の剣士と例のメイドのスペカを受け継いでる」
「……要は、こいつならではの最強能力ってことか」
妹紅がやっと納得出来たように頷いて続いた。
「ま、こいつは追われてる身なんだろ?だったら信じてやろうぜ。こいつの能力なら異変解決の特効薬になるだろうし」
「うーん、波長を使えばちょっとは本性がわかるかなって思ったのですが……仕方ないですね」
鈴仙はふむ、と言いながらいつもの眼に戻した。
「星羅、ちょっといいかしら」
ふと、奥から永琳が顔を出した。
「試したいことがあるのだけれど」
「なんだ?能力なら判明してるぞ?」
妹紅が言うと、永琳は首を振って、
「実験よ。
星羅の記憶を引き出すための、ね」
と、人差し指を立てて、真剣な表情で告げるのだった。
鈴仙のスペカってどこか中2臭い良い感じにかっけぇ名前ばかりですよね。
皆さんお気に入りはありますか?
この中で、番外編やってほしいのは?
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紅魔館組
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レイマリ
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うどみょん