東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜 作:蒼いなんでも屋
タイトルも鈴仙っぽくアレンジ。恒例の当て字だよ。
永夜抄編、正直上手く書けなかったなぁ……
楽しんでもらえていたなら幸いです。
あとやたら長くなってしまったのと、遅くなってしまい申し訳ございませんでした。
もっと上手く書けるようになりたい。
近々リライトするかも知れない。
『ねぇ、聞いた?例の話』
その日、玉兎たちの間でとある噂が立っていた。
『うん、聞いた聞いた、アレでしょ?』
……なんだろう。
普段はそんな噂話など、気にも留めなかったのに。
私は何故か、その日だけはたまたま気になった。
下手に見られぬように耳だけ傾ける。
『……なんだっけ、地上の人間たちがここに来る、だよね』
『そーそー、一部は侵略なんじゃないのって話にもなってるよ』
『地上人……まさかここを知ってるの?』
『そうとは言い切れないけれど、じゃあ何をしに月まで来るのよ』
『さぁ……探検?』
『先進した連中がそんな生温いことする?』
『それこそ、さあ、だわ。やっぱり侵略なのかしら』
……
…………
………………
『………………………………侵略?』
ゾッと、背筋に悪寒が走った。
『一応綿月姉妹様は警戒をしてはいるみたいだけど……どうだかねー……』
『外の世界の連中でしょ?月より遥かに強かったらどうするんだろう』
『大丈夫かな、月の都…………』
……うそ?
……怖い。
そんなことが、これから起こるってことなの?
………………怖い……
ただただ、私の中に恐怖が満ちていった。
逃げなきゃ。
……心の中で、私が呟いた。
そして私は地上へ逃げ出し、幻想郷に迷い込んだ。
迷い込んで辿り着いた竹林で、お師匠様や姫様、てゐに拾われた。
その際、お師匠様からは「優曇華院」、姫様からは「イナバ」という名前を授かった。
色々な異変を通して、「地上の兎」だと誇れるようになったのは、当時としては先の話だけど。
過去の蟠りもすっかり乗り越え、今では誇れるものになっている。
確かに仲間を見捨てたかも知れない。
しかし、みんなはそんな私を受け入れ、認めてくれた。
「私はもう、月の兎じゃないわ」
その自覚が、私を、鈴仙という一人の兎だというのを、誇りにさせていた。
___________________
[ば、バカな……ナゼ、ココが分かった!?]
驚いてたじろぐバーナー。
周りの機怪たちも、思わず動揺している。
そこには星羅と鈴仙が、まっすぐ彼らに向かって立っていた。
「星羅の能力よ」
「幻覚には落ちるけど位相をずらされても見つけられるもん」
遡ること数時間前。
星羅は鈴仙に一枚のメモリを見せていた。
「……これが、私のファンタズムメモリ……?」
薄紫色に染まった、ラメ入りのメモリカード。
月兎と満月にもそれらしい色が付き、完成したことを物語っていた。
鈴仙はそれを見ながら呟く。
「……これがあれば、勝てるのかしら」
「……確証はないけど」
星羅は不安気味に答えた。
「肝心の機怪……バーナーたちに絶対勝てるという理由にはならないよ。あの幻覚を破れるのかな……」
「……自信を持ちなさいよ」
すると、奥から輝夜が言った。
「……姫様?」
「それは紛れもない、あなた達のメモリ。大切な結晶。できると思えばなんだって出来るわよ。自分を……信じなさい」
その笑みに、その言葉に、心做しか星羅は救われる気分になった。
自分を信じる。
妖夢に、レミリアに、そして輝夜に言われた言葉。
そうだ、信じる気持ちが大事だった。
鈴仙も強く肯き、星羅に語りかける。
「……行きましょう星羅。てゐを取り返して、わたし達月の民を敵に回すとどうなるのか……味わわせてやるんだから」
「……うん、行こう!」
「作戦はこうよ」
永琳は言っていた。
「敵は幻覚を見せて撤退する可能性があるわ。だから、念の為霊夢と魔理沙には先に外で待機してもらうわ」
「なるほど、待ち伏せって事ね」
「任せてくれ」
「それから星羅と鈴仙、あなた達はメモリで敵を暴いて時間稼ぎ。妹紅はスキを見ててゐを救出する。救出を確認次第、二人はバーナーを撃破して」
「おぅ」
「わかりました、お師匠様」
「了解!!」
「……おのれ……そこまでして抵抗するノカ……」
バーナーはその目をギラリと光らせた。
[……だが!ワレの幻覚そのものは……この世の下等な生き物どもには見破れまい!!]
赤く光った。
鈴仙と同じだ。
刹那、バーナーと雑魚機怪たちがぼやける。
「……また、わからなくなったわ!」
鈴仙が、弾丸をばら撒きながら言った。
なにか認識を阻害するものを使っているのかも知れない。
「……うわっ!?」
そんな二人を、前後左右から機怪たちの砲撃が涼める。
「……星羅!なにか周りを更地にできるスペルカードとか無いの?」
「えーと……えぇ……!?」
星羅は躱しながらポケットのメモリを漁る。
そういえば星羅のメモリは基本的に一体集中攻撃が多い。
焦る。焦ってしまう。
「……あっ、これだ!」
焦りに焦って、ようやく見つけたのは使っていなかったメモリが一枚。
賭けるしかない。
「おんどりゃー!」
《Spell memory confirmed……》
脳内によぎる、スペカの用途。
「……行ける!!」
星羅は博打でその技を叫んだ。
「彗星!!【メテオストーム】!!」
すると星羅の周りに
“流星群”が降り注いだ。
「わっ!?」
危うく鈴仙も当たりそうになる。
[な、ナニィ!?]
何処からかバーナーの驚愕する声も響いた。
[……!?]
[――!]
たちまちあちこちの雑魚機怪たちは言葉にならない電子音を鳴らして爆散した。
落ちた流星の数、およそ20発。
まさに掃滅力に長けたスペカだった。
星羅はメモリを引き抜き、
「よし、あとは何処かにいるバーナーを倒せれば……」
と周囲を見回した。
[やるではないか……だがしかし、私を見つけられなければドノミチキサマらの負けだぞ!?]
当然ながら居場所は掴めない。
鈴仙に向かって言う。
「鈴仙、ちょっと波長に集中してくれる?」
「えっ?どういうこと??」
「いいから!あいつの場所、もしかしたら見つけられるかも知れないの、現れた瞬間に狂気に叩き落として!」
「わ、わかったわ!」
こくりと頷いた鈴仙は、目を赤くして攻撃姿勢をとった。
「……上手く、いってくれよ……」
星羅はポケットから別のメモリを取り出す。
《Phantasm memory confirmed……》
[フハハ……何をしようとも私には当たらないゾ!!ナゼならキサマらは既に幻覚という狂気に落ちているからダ!!!]
周りの雑魚たちを散らされたにも関わらず、バーナーは勝ち誇ったように言ってくる。
そんな彼を他所に、星羅は意識を集中し、目を閉じた。
「……」
ぼんやりと、気配がする。
「…………」
徐々に気配が大きくなる。
「………………!」
――そこか!!!
「一刀両断!幽冥の光!!!
断命剣・改!【瞑想永弾斬】!!!」
[ナ、ナニィ!?何故、またわかった……!?]
鮮やかな、全てを斬り裂く冥界の剣。
星羅は眼前を、放ったその刃で斬り裂いた。
斬られて正体を表したバーナーが、大きく吹っ飛ぶ。
「!! そこね!!
喪心!!【
カッと目を見開いた鈴仙もまた、真紅の弾道を見せた狙撃を見舞う。
[シマッタ……!!?]
幻覚作用で気付くのが遅れたバーナーの背中に直撃し、鈴仙はその時はじめて彼の波動を認識できた。
「……これでもうあなたは逃げられないわよ!!」
同時に周囲の景色も元の竹林に戻っていった。
「……星羅、今どうやってわかったの?」
鈴仙の問いに、星羅はメモリを回収して言う。
「妖夢の力を使ったの。心眼……ってやつ?彼女の力で、意識を研ぎ澄まして気配を斬った感じ、かな」
「なるほど……私も妖夢にそうやって攻略されたかも……」
ちょっと昔を思い出したのか、鈴仙は軽く頭を掻いた。
そしてその奥で、またバーナーが立ち上がる。
[……おのれ……ならばここで確実に焼き尽くしてくれよう!!!]
___________________
「んお、幻覚が治った……!」
今なら、てゐを安全に捜せそうだ……!
隠れていた妹紅は、視界が元に戻るとすぐに動き出した。
――機怪たちは星羅が先に片付けていた、楽に辿り着けそうだ。
少し周囲を探っただけで、すんなりと見つけられた。
真っ先に気付いたのはてゐだった。
「……妹紅じゃん!」
「よう、助けにきたぞ。ちょっと熱いが我慢してくれ」
言いながら、妹紅は片手に火を灯した。
兎たちを縛っていた縄を次々と焼き切っていく。
兎たちはぴょこぴょこと喜んだ。
てゐも自由の身になり、その場でぴょんと飛び跳ね妹紅に礼を述べた。
「わーい、ありがと。なんかの形で返すよ、待ってて!」
「……期待しないで待ってる」
助けられたヤツの態度かよ、と妹紅は首を振った。
本心なら良いんだが、てゐは正直日頃の行い的に信じられない。
「……返さなかったらわかってるな」
「流石にお礼くらい脅されなくてもやるってば!!何でも言ってよ!!」
……ま、良いか。そう言うんなら、待っててやろう。
妹紅はくすっと笑うと、
「ったく、日頃の行いだぞ……さて、鈴仙ちゃんと星羅を助けるか」
と、再び炎を灯した。
「てゐ。兎どもを連れて先に戻ってろ」
「言われなくてもそうさせてもらいまーす」
バーナーの幻覚を破ったものの、本体の(文字通りの)火力に、二人は防戦一方だった。
下手に避けて、竹林を燃やすわけにはいかない。
星羅はバスタードアイギスで上手く防ぎつつ、鈴仙に攻撃させて連携をとっていた。
「……だめだ、激しすぎてファンタズムメモリを入れてる隙がないよ!!」
星羅は盾を振り回しながらいう。
鈴仙も、
「でも、使わないと勝てそうにないわよ……!」
と言って、鈴仙はちょっと考えた。
「…………待って」
「?」
「こうなったら一か八か……やられるその前に、押し切る!!」
「えぇ!?」
鈴仙の目が、再び赤く光り輝く。
視線を飛ばして、狂気に落とす。
[!? ……なんのマネだ]
バーナーは動き、炎を放ちながら周囲を警戒し始めた。
「もう遅いわよ!!
幻爆!!【
刹那、鈴仙は数発の弾丸を放つ。
赤色の爆風が周囲を覆い、同時に視せる幻の弾丸たちがバーナーの動きを狂わせた。
「ロボットなんだから最適解で動くわよね……!!」
[チ、逆手に取られたか……だが!!]
バーナーはそれらを見切って上手く回避し、バーニアで飛翔した。
[奢ったな……!!!]
両腕の炎が放たれる、その瞬間。
「……惜命……【不死身の捨て身】!!!」
突如として飛び出したのは、駆けつけた妹紅。
そちらに全く警戒していなかったバーナーはもろに当たってしまう。
[な、ナニ!?……だがその程度の炎など……]
「本場の炎ってやつを……見せてやる!!!!」
妹紅はさらに熱を高め、叫んだ。
「焔符!!
【自滅火焔大旋風】っ!!!!!」
[!?]
直後、スペカとは思えない熱量の爆発が巻き起こった。
弾幕代わりとでも言うように、炎がばら撒かれる。
「……鈴仙、まさか」
星羅はそれらを呆然と見つめていたが、我に返って鈴仙に問うた。
「うん。妹紅が来るのを、見越していたのよ」
鈴仙は炎をただ見つめて答えた。
やがて炎が収まり、妹紅が現れた。
捨て身技を二度も使用したからか、自身の能力で蘇ったらしい。服は再構成されて新品同様のものになっている。
散った炎が鳳凰の羽根のようだった。
「てゐは救出した。既に永琳のところへ行かせてある。……あいつも恐らくは」
「……終わった……の?」
「鈴仙ちゃん、たぶんな。……勝ったぞ」
と、妹紅が振り返った時だった。
[ウォォォォォォォォォォォォォ!!!!]
「……は?」
「嘘……でしょ」
「……っ!」
なんと炎を振り払って、黒焦げのバーナーが、何事も無かったかのように立ち上がって爆炎をばら撒き始めた。
あちこちに、飛び火してゆく。
「アイツしつこいな!?まずいまずいまずい!」
「止めなきゃ!!」
豹変ぶり……否、これは暴走とでも言うべきか。
見境なく、無作為に放火するバーナーに、二人は駆けていく。
「……」
星羅は鈴仙のメモリを改めて取り出した。
……今なのか。
このメモリが、力をくれるのは。
誰かと共に生きることを、誇りに思う。
それを……その思い出を壊そうとする者を打ち倒せる力をくれるのは、今なのか。
「…………よし」
だったら、使おう。
眼前の脅威を、打ち払うために。
仲間たちとの思い出を守るために。
大切な時間を、壊させないために!
《Phantasm memory confirmed…………》
「……鈴仙!行こう!
しつこいあいつを終わらせて、みんなを守るんだ!!」
鈴仙が振り返る。
星羅の表情を見る。
その目は、誇りに満ちた、覚悟を決めた瞳だった。
私はもう、地上の兎だ――
そう、言っていたあの日の自分も、あんな目をしていたのかな。
「……えぇ!!」
迷いなく、彼女はそう応えた。
鈴仙は敵を撃つ指先を向け。
星羅は赤紫に輝く銃口を向け。
幻覚の兎の真っ赤な目が、さながら月光のように、希望を示すように竹林中を照らし出した。
覚悟と、信念の。
幻覚と、幻創の。
鈴仙と星羅の一撃を、今、放つ。
「幻爆!」
「……改!!」
「「【
何発もの近眼花火が火を吹く。
それらは幻覚により二つ、四つと倍々に増えていき……
[ヌオオ!?]
バーナーのアイセンサーを埋め尽くす、文字通りの「弾」幕の雨として降り注いだ。
「狂い落ちなさい!!」
「……ファイアー!!」
――直後。
幻覚を操る炎の化身は、皮肉にも同じ幻覚によって逃げ場を失い、
弾幕が引き起こした真っ赤な爆発をあげて散った。
その様子を、空から霊夢と魔理沙は見ていた。
「出番、なかったわね……とほほ」
霊夢の残念そうな声に、魔理沙は「別にいいじゃねーか」と言って、視線を戻した。
「…………汚え花火、だな。
でも……
「そうね……たまにはこうして見てるだけってのも、良いかも知れないわね」
炎とまやかしの機怪はようやく倒れ、林から飛び出して逃げようとした機怪たちは全て魔理沙と霊夢が撃破した。
兎たちも全員無事に救い出されたので、てゐはいつにも増してご機嫌だったという。
「お師匠様……なんです?それ」
「消火剤を混ぜ込んだ矢よ。それを連射すればほら、そこらの炎もこの通り」
「流石はお師匠様ですね!」
火事はというと、後から駆けつけた永琳がその“消火剤弓矢”で次々と鎮火、輝夜もここぞとばかりにバケツを持って水をぶち撒けた。
「妹紅〜、えいっ☆」
「どぅぶれらっ!?輝夜!!てめー何しやがる!!」
……といったふうにおふざけも程々だったが。
「ふふふ〜、折角鈴仙が隙を作ってくれたのに無駄死にしたらしいじゃなーい?」
「るっせー!!てめーはそもそも参加すらしてねーだろー!!……ぶわっくしょ!」
「……あんな感じなんだ」
それらを横目に、星羅は呟いた。
「星羅」
呼びかけられて振り返る。
「ありがとう。なんとか……竹林は守られたわ。それに、おかげでちょっと、あのときの想いを思い出せたわ。……お礼にこれ、受け取ってちょうだい」
鈴仙が差し出したのは、いくつかのお団子。
お月見団子だろうか。
「季節外れだけど……」
と取り繕うとする彼女に、星羅は指を振った。
「……なら、こうしよ?」
「いやー、今日も月が綺麗だな」
「ふふ、きっとこれも、星羅が頑張ったおかげね」
「姫様も何かすれば良かったではありませんか」
「永琳だって作戦くらいしかしてないじゃない。良いのよ、鈴仙と星羅が頑張ったから、こうして見れるんだから」
今日はたまたま満月だというのを、思い出した星羅。
みんなで、永遠亭でお月見をすることにしたのだ。
「ねぇ、鈴仙」
星羅は隣に座る、鈴仙に言う。
「……季節が巡ったらまた、みんなで見ようよ。お月様」
えへ、気が早いか、と笑う彼女に、鈴仙はそれをしばらく見つめ、
「……もちろんよ。だって月は……
良くも悪くも、人を狂わす美しさだもの」
と、星羅が鈴仙のものの中で見た、最も綺麗な笑顔を見せた。
「……狂っちゃう」
「あっはは、効かないんじゃないの?」
「「って待てぇえぇえ!!??」」
「何いい感じの雰囲気になってんのよこのバカヤロー!?」
「一応私たち主役だぞ!?お前だけ浮き過ぎだぜ!!」
「や、メタいよ二人共、それにそんな気持ち微塵もないから」
その後は鈴仙の月見団子を3人そろって完食した。
たまには、と魔理沙も料理を手伝ったのだが、そこで星羅は初めて、魔理沙が料理上手だと知った。
「いっただきー!」
「こら、てゐ!!」
……てゐは傷は何処へやら好き放題やっていたが。
平穏が戻ってきた永遠亭を、満月はいつまでも照らし続けていた。
Continueed to the next phantasm……
ようやっと、終わりました。
次からはようやっと風神録じゃ。
あややじゃ、さなえじゃ、ようかいじゃー。
……頑張る。
投稿遅くなり大変申し訳ございませんでした(土下座)。
しかも長いわりになんか適当なところもあるかも知れないという不安にかられています。
なるだけ頑張るから温かく見守ってください。
この中で、番外編やってほしいのは?
-
紅魔館組
-
レイマリ
-
うどみょん