東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜 作:蒼いなんでも屋
あやや、にとり、椛、はたて、そして守矢のメンツ。
雛と秋姉妹はゲスト程度には出すかもしれませんね。
……だいたい守矢のせい。
032. 暑中の幻想山
星羅がやってきて、早くもおよそ4ヶ月が過ぎた。
そう。夏がやってきたのだ。
幻想郷の夏は、温暖化という世界規模の問題のせいでほんの少し温度が上がったが、それでも外の世界よりは遥かに涼しい。
だがされど夏、暑いことには変わりはない。
そんな夏場といえば、オカルトじみた怪談話だとか肝試しだとかが、外の世界の影響なのか人里のみならず幻想郷全体レベルで流行る。
妖怪たちは好機とばかりに人を脅かし、オカルトもの大歓迎のとある少女は歓喜し、人里では怪談話があちこちで語られ子供たちの楽しみの一つになる。
「れれれれれ霊夢〜……こここ、怖いよぉぅ……」
「夜真っ暗なの当たり前でしょう!?」
「夏は駄目なの〜!!」
「知るか〜!!……はぁ、これが事件を3回も解決させたヤツの言うセリフかしら……」
……が、そういうものに免疫が欠片もない星羅は、霊夢をはたき起こしていた。
何かが覗いてると言って聞かないらしい。
「覗きなんて不届き者ねぇ……まぁ予想はつくけど」
霊夢はため息をつくと、外に向かって叫んだ。
「おーい、そこのパパラッチ天狗!何考えてるのよ!!」
「あやや。バレましたかー」
ガサガサと草むらから顔とカメラを出したのは射命丸。
ご丁寧に薄っすらと黒いレースを被っている。
「バレないとでも思ったの?この覗き魔!!」
「とほほ……、星羅さんのお家を撮影しようかなと思ってたら夜になってました」
「そんなことでか……いつからいたのよ」
「そうですねー、小腹が空くころですかな」
「……15時??」
射命丸は言いながら二人に歩み寄った。
「そうそう、耳寄りな情報をお持ちしましたよ」
「ガセネタじゃあないわよね」
「清く正しい射命丸に嘘はないですよ」
「それ自体が嘘な気がする」
呟く霊夢を他所に、射命丸は手帖「文花帖」に挟んだ、ある写真を取り出した。
……と、急に顔をしかめる。
「これ。
誰ですかねぇ……?れ・い・む・さ・ん?」
「……………………なに、これ」
そこに写っていたのは、霊夢。
――否、「黒い」霊夢だった。
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幻想郷で「山」といったら、ほとんどの場合、妖怪の山を指す。
名前の通り数多くの妖怪たちが凄む山であり、古来から独自の社会を形成している。
種族などによってある程度の階級分けがなされており、現状は最も強い天狗がそのトップにいる。
正真正銘の獣道だが、四季折々の木々の彩りは見たものに癒しを与える事も多く、また人間でも登りやすくするために頂上から人里周辺までを結ぶロープウェイが運行している。
そんな獣道の外れにあるのは、河童印の秘密基地。
外からではわかりにくい入口に、小さく「にとり秘密研究所」と書いてある。
「……オーバーテクノロジー……どこから来たんだ」
その秘密の研究所で、とある残骸を見つめて唸る、一人の少女。
緑色の河童印の帽子に、ポケットが無数に付いた青い光学迷彩の服をまとい、椅子の横には巨大なリュックが置かれている。
青いツインテールを帽子の横から飛び出させ、その好奇心に満ちた瞳で、なにやら分析を進めていた。
「これを解明できれば……この異変も、解決に向かうかも知れない……それに大きな技術の進展になるっ!!
この
先進的技術開発に定評のある河童の中でもトップクラスの技術力を誇る少女、河城 にとり。
目の前の未知の集合体……機怪の残余に興奮を隠せない彼女は、凡人にはとても理解できないような分析器具たちを総動員して研究に没頭するのだった。
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「偶然、人里の外れで見かけたのですよ。あなたのようでどこか違う、そんな……
「……」
写真には、曲がり角を行く、霊夢のような「誰か」が写っている。
巫女の印である紅白の巫女服は、紅いがどこか暗くなっている。
そう、黒いのだ。
「もちろん、あなたとは別人だとは思いますよ」
「え?」
「だって、私は曲がりなりにもあなたをずっと見守ってきた身ですからね。モノホンとの見分け程度、造作無いことです」
写真をしまいながら、射命丸は続けた。
「……ま、彼女もモノホンの可能性があるんですけどね」
「……は?」
視線を再度向けてくる霊夢に、彼女は人差し指を立てて言う。
「言ったでしょ?“モノホンとの見分け程度造作無いことです”、と。
いわば……
“
「ちょ、ちょっと意味分かんないんだけど!?つまりどういうことなのよ、私が二人いるとでも!?」
取り乱す霊夢。
射命丸は首を振った。
「さぁ、そこまでは。もしかしたら気づかぬうちにあなたが操られているかも知れないし、赤の他人のいたずら、愉快犯の嫌がらせかも知れない。
または……何らかの理由で、どこからかここにやってきた同一人物、っていうのもあり得る話ですよ?」
「……まさかぁ」
「可能性は幾らでも考えられる。それがベールに包まれた事件の真相ですよ」
仮説をずらずらとならべ、文花帖をしまう。
言うだけ言うと、射命丸は翼を広げた。
「まぁ全て私の仮説、あくまでも推測の域を出ません。
そう、今はまだ、全ては謎のままなのですよ。
……では、私はこのへんで。何かわかったら、山に来てくださいな。あ、皆には伝えてありますよ?とくに星羅さん、あなたはこの幻想郷のトレンドですから!」
そう言って、夜空に身を踊らせた射命丸は、おやすみなさいとだけ残して、山の方角へと飛翔していったのだった。
「ったく、ほんっと何なのよアイツ……星羅、さっさと寝るわよ。明日あそこに行くから。行き方は私が連れて行くから安心して」
「……あー、うん」
とりあえず傍観に徹していた星羅は生返事で応えると、射命丸が飛び去った漆黒の夜空を見上げた。
「……トレンド……か」
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――――翌朝。
「ろ、ろろろろろロープウェイ!?!?」
人里から少しだけ離れた場所にある、河童たちの運営している妖怪の山ロープウェイ乗り場。
山の頂上へ伸びる長いロープに、精巧な作りのゴンドラ。
それらが星羅と霊夢の前に広がっていた。
「随分前の話だけど、いつの間にか作られてたのよ。ロープウェイ。あそこの神社に登りやすくするために、ね」
霊夢は星羅を振り返って言う。
星羅はしばらく眺めていたが、
ふと脳裏をよぎる
「……ロープウェイ……うぅっ……!?」
「! 何か思い出したの?」
霊夢の問に星羅はうなずく。
「……乗ったことは……無い。けど……、記憶にあるんだ」
「……外の世界の記憶ね」
「うん……ここでの記憶じゃないみたい」
「だろうね。……大丈夫、下手に思い出すのは負担がかかってしまうわ。今は一旦おいておきましょう」
「……うん」
永琳たちから、幻想郷での記憶が垣間見えていることを聞かされている霊夢は、話の内容からここでの記憶ではないと直感的に感じていたのだ。
星羅も首を振って気を取り直し、ゴンドラへ向かった。
「人生初のロープウェイ!!星羅、いっきまーす!!」
「うんその様子なら平気そうね(汗)」
「わぁ……すごく高いし、それに……綺麗……」
「まぁなんだかんだ山だし。普通に登山するよりは遥かにマシでしょ?」
ゆっくりと、ゆらゆらと、しかし確実に進むロープウェイ。
まるで本当に、空を飛んでいるような感覚になってくる。
ゴンドラから見える景色に、星羅は釘付けだった。
夏場の山は木々が生い茂る青々とした綺麗な色を、星羅に見せていた。
霊夢は見飽きた景色だが、4ヶ月経ったとはいえまだ多くのものが初めての星羅には、十分新しいものである。
霊夢はゴンドラ内のベンチに座りながら言う。
「さっき乗り場で河童が言ってたけど、だいたい10分程度で着くわ。それまで何か聞きたいことがあれば聞いていいわよ」
星羅は振り向き、同じように座った。
「うん」
星羅はポケットからいくつかメモリを取り出した。
咲夜のメモリ。
妖夢のメモリ。
そしてついこの間得た、鈴仙のメモリ。
「ねぇ、霊夢。なんで私、このメモリたちを集めなきゃいけないんだっけ?」
星羅は問いかけた……というよりも、呟いた。
「なんでって………………そういえば……なんでだろう……?」
霊夢も言葉に詰まった。
言われてみれば、彼女のメモリは彼女自身の記憶に直結している節があるものの、ファンタズムメモリ――つまり、「他人の記憶」がなぜ彼女に集まるのかは、わかっていなかった。
確実なのは「それが各種事件の攻略のカギであり、必ずそれを作れる
だがなぜわざわざそれらを集めなければならないのか、そしてそれらがなぜ機怪に有効なのかもわかっていない。
まだまだ星羅には謎が多い。
「私……力に力でやり返しても意味ない気がしてきたんだ」
「どうしたのよ、急に?」
星羅の呟きに霊夢は問う。
「他にどうしようもないから、仕方ないじゃないの」
「…………でも」
「……あら、ついに迷い始めたのね?」
「!?」
声に二人が顔をあげると、そこにはスキマに腰掛けたあの妖怪の賢者が、またも意味のわからない笑みを浮かべていた。
そう、久しぶりに現れたのは、紫だった。
「……紫!?あんた乗車料金は!?」
霊夢のツッコミにも、紫はどこ吹く風だ。
「そんなもの無いわよ。あの霊夢が気にするのね、意外だわ」
「おい!!ていうか意外ってなによ!?」
「まぁまぁナイショにしておいて♪」
「駄目でしょ!!ルールにはアンタ一番厳しいじゃない!!!」
「それは幻想郷規模のルールでしょ?
「うっ……それは……」
正論じみた言葉で適当に霊夢をあしらうと、紫はそのまま星羅に向き合った。
「星羅、貴女の考えもよく分かるつもりよ。幻想郷はすべてを受け入れる分……残酷なの」
「…………」
彼女は以前、こういったことがある。
『幻想郷はすべてを受け入れるのよ。それはそれは、なんて残酷なんでしょう』と。
賢者として何百年間も見守ってきた紫にとって、そのことは誰よりも深く理解しているのだ。
「そのメモリがいつか示すハズよ。貴女を真の貴女に導くものが、そのメモリたちだ、と」
「……紫さん……」
「今はまだ納得いかないかも知れない。でもいつか分かるわ。だから今は、目の前の物事に集中しなさい」
まるで忠告するようなトーンで言った紫。
星羅は自然と肯いていた。
「……じゃあね。いい結果を期待しているわ」
再びスキマを開く。
紫は去り際、一度霊夢を振り返った。
「霊夢、貴女にも一つ言っておくわ」
「な……何よ?」
「真の敵は……
「……紫!?」
「ふふふふふふ……」
霊夢が立ち上がった頃には、スキマはすっと閉じていた。
霊夢は、はぁ、とため息一つ吐くと、またベンチに座った。
「もう、何なのよ……射命丸も、紫も、おんなじことを言ってくる……」
そんな霊夢に、星羅は言った。
「………………いつか分かる」
「えっ?」
「いつかは……すべての答えが示される。それまでは……今を進もう、霊夢」
霊夢に視線を向ける星羅。
迷いながらも進もうとする意志が、その瞳に現れていた。
心做しか、霊夢も同じことを思っていた気がしていた。
「……そうね。考えていても仕方がない。自分を信じていくか……」
ゴンドラはゆっくりと、ゆらゆらと、しかし確実に、頂上へ進んでいた。
星羅は外を見る。
博麗神社とは違う、それとは遥かに違う荘厳さを醸す神社が見えてきた。
角柱が左右に並んで境内を囲み、太いしめ縄がどっしりとぶら下がる。
しっかりとした造りの本殿の横には小さな屋台も見えてきた。
「……守矢神社。まるごと幻想入りしてきた、外来の神社よ」
「……守矢、神社……」
二人を乗せた電動の揺り籠は、柱並び立つ神の領域、守矢神社に到着していた。
これの執筆中、ダンマクカグラにて丁度守矢のイベントやってたのでタイムリー♪と思いモチベ高く書いてました。
この中で、番外編やってほしいのは?
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紅魔館組
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レイマリ
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うどみょん