東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜 作:蒼いなんでも屋
「御柱」とか。
文から「もう一人の自分がいる」ことを知らされた霊夢。
紫から「今は迷わず前に進む」ことを忠告された星羅。
二人はそれぞれの思いを胸に、霊夢のカンを信じて、妖怪の山にある守矢神社へ赴くのであった。
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「そういえば霊夢」
星羅はゴンドラを降りながら問う。
「なんでここに来たの?」
「あぁ、話していなかったわね」
霊夢も降りながら答えた。
「カンよ、なんとなく次はここかなって」
「? どういうこと?」
ピンときていない星羅に、彼女は続けた。
「今のところアンタのメモリは、“幻想郷で大きな異変を起こした人たちの順”で起きてるのよ」
「……?」
「なんて言えばいいかしら……そうね、“今まで起きた異変の順にメモリが生まれてる”って言えばいいかな?」
「えっ……そうなの??」
星羅はやっと理解したと同時に驚いた。
「たぶん……敵は何かを狙っている。それと同時にアンタにも何かある。このことには理由があるとは思うけど、そこまではわかんない」
「……」
「黒い私のことも気になるし、奴ら……機怪の目的もちゃんとわかってない。とりあえずカンに従おうかなって思ったのよ」
「……なるほど」
霊夢のカンはよく当たる。
魔理沙がそんなことを言っていた。
未だにちゃんと幻想郷についてわかっていない星羅は、とりあえず彼女のカンに任せることにした。
「……で、永遠亭の次は……ここなの?」
「正確には違うけどたぶんここ」
「どゆこと」
「そのうち話すわ」
「あっそ」
周りを角柱が囲む境内の道をゆく2人。
しばらく進み、やっと本殿の前まで辿り着くと、
「……早苗ー、ちょっと良い?」
ちょっと棒読み気味に、霊夢は呼び掛けた。
「はーい\(^o^)/!!」
「……うん???」
「気にしない気にしない」
「うい」
唐突な返事と元気の良さに星羅は思わず(?)後退った。
霊夢は慣れた顔でスルーしている。
奥からやってきたのは、緑髪の……巫女。
……なのかな?
星羅は不思議と、一概に巫女と言えない雰囲気を感じた。
頭のカエルの髪飾り、左に垂らした髪に巻き付くヘビの飾り。
霊夢に似てる作りの、白と青の巫女服。
腰に刺した幣。
そして、
「こんにちは霊夢さん!守矢神社へようこそ!!参拝ですか?お土産購入ですか??それともそれとも……わ・た・し、ですか!?!?」
「全部違うわよバカらしい」
……ぶっ飛んだ社交性(?)。
霊夢は軽く受け流すとずかずかと進み少女の方へ近付いた。
「もっと真面目な用件なんだけd」
「あら、そちらの方は?」
「って聞きなさいよ!!」
そんなことよりも星羅に目が留まった少女が、たっと駆け下りてきた。
霊夢が人差し指を立てて説明しようとする。
「……あーもう、コイツは……」
「……あっ!?」
すると、少女は星羅が身に着けていた服――暑いのでコートは脱いでいるため外の複製のままである――を見て、ハッとした。
「こ、この格好…………外来人ですね!!??やったあ!!」
いわゆるポロシャツを星羅は初期から着ている。
なぜか、長袖だが。
ポロシャツ自体薄着なので、夏場とはいえ初夏なのもあって着ているのだ。
色は薄水色。
そんな外の
「……あー、そうだった」
霊夢はため息をつくと、今度こそ真面目に説明し始めた。
「あのね早苗、コイツはアンタと同じ外来人……外の世界の住人だった“かも知れない”者よ」
「……かも知れない??」
「記憶が曖昧なのよ。証拠にコイツは今記憶の大部分を欠落してる。最初に覚えていたのは名前だけだったのよ」
言われて、少女はようやく落ち着きを取り戻した。
キリッとした表情に変わる。
「……そう、だったんですね。すみません、ついいつもの調子で……」
「もういいわよ、気にしなくて。ほら、自己紹介くらい自分でやりなさい」
「任せてください!!」
ぴしっと背を伸ばし、笑みを向けた。
「わたしは
さっきまでの勢いはどこへやら。
とても礼儀正しい挨拶に、星羅は親近感を覚えた。
「えっと、私は幻島 星羅です。なんでも屋しながら記憶集めしてます。よろしくね、……えーっと」
「早苗で良いですよ!わたしも星羅さんって呼ばせてもらいますね!」
「……うん、よろしくね早苗ちゃん!」
「まさかまた外来人に会えるなんて思っていませんでした!」
「私も!!いたんだってなったよ」
「こういうの、いわゆる“運命の出会い”ってやつですかね!!」
「うんうんきっとそのとおりだよ!!」
「「うおおおー⤴!!」」
流石は同じ外の世界出身。
あっさり意気投合したのかにこにこと笑い合いながら会話していた。
「…………やれやれ」
こんなことなら先に
早苗はひとまず自身たちについて知ってもらうため、
「神奈子様!諏訪子様〜!お客様です〜!しかも珍しい外来人ですよ!!噂のなんでも屋さんです!!」
と声を上げ、
「おぉ、外の世界出身の人間か。幻想郷では珍しいから久しぶりに見たよ」
「何いってんの神奈子、私達そのものが外の世界出身でしょうに」
「はは、そうだったな」
さっきの霊夢同様、奥から誰か呼び出してきた。
「またなんか出てきた」
「……一応、コイツらも神様なのよ?」
「その神様をコイツら呼ばわりしてる霊夢も大概でしょ」
「私は例外よ」
霊夢とそう交わすと、星羅は前に向き直る。
そして密かに思った。
――神様多すぎ。
「やぁ、君が噂のなんでも屋かい」
「あ、ご存知なんですね」
「参拝客がよく話題にしてるんだよ。私や神奈子も一度は会ってみたいなって思ってたんだ!」
そう言うと、二人はそれぞれ自己紹介をする。
「改めて、私の名は、
「そして私は
八坂 神奈子。
頭にはちまきのように巻かれたしめ縄、そこに付く紅葉。
胸には小さな鏡がついていて、紫色の髪と凛々しい表情からは神様らしい威厳がそこはかとなく溢れている。
そして、洩矢 諏訪子。
つばの広い帽子にはカエルのような目玉が二つ。紺色の服をまとっていて、金髪に笑顔が映える。
長身な神奈子に対して子供くらいのサイズだが、星羅だからこそわかるそのオーラは明らかな神々しさを放っていた。
二人の神はそのオーラにたじたじな星羅の前に佇んでいた。
「……星羅怖気づいてるじゃない」
霊夢が言うと、神奈子は苦笑した。
「はは、すまない。かしこまらなくて良いよ。あまりそういうのは苦手なものでね」
「敬意があれば大丈夫だよ!」
「一言余計だっての」
明らかに疲れた様子の霊夢は星羅に向き直る。
「こんな連中だからあんまり気負わなくて大丈夫よ」
「そーなのかー」
「ルーミアに怒られろ」
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妖怪の山に建つ、由緒ある神社、守矢神社。
外の世界での信仰が薄れ、自身らの消滅を憂いた神奈子と諏訪子は、風祝である現人神の末裔こと早苗と共に、神社ごと幻想郷へやってきた。
その際、元々信仰が薄かった博麗神社へ早苗が営業停止命令を一方的にしてきたのである。
曲がりなりにも幻想郷の最重要神社の巫女、当然この仕打ちに怒った霊夢は妖怪の山へカチコミ。
なんやかんやあって守矢神社の面々をこらしめたが、結局、信仰確保の名目で、博麗神社の中には小さな「守矢神社分社」が置かれてしまったのである。
この一連の出来事は異変とは呼ばれてないが「妖怪の山小戦争」とか「妖怪の山騒動」などとこっそり呼ばれていたりいなかったり。
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※ちなみに作者が勝手に付けました
「ねぇ星羅ふざけないで」
「なんで私!?」
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「やっぱり守矢神社って人が集まるんですか?」
「妖怪神社と違って行きやすく、れっきとしたご利益もありますからねぇ!!」
「うちにもご利益一応あるわよ」
「聞いたことないですがね」
「そもそも勝手にやってきたのはそっちじゃないの。それに今は博麗神社は星羅の仮住居なのよ」
「えっ、あの妖怪神社に住んでるの?」
話に食いついたのは諏訪子。
神奈子も目線を向けている。
「言うほど、妖怪いませんよ」
「そう……なのか?狛犬がいるらしいぞ」
「……ん?」
神奈子が言うと、星羅は怪訝そうな目を霊夢に向けた。
「か、神奈子下手なこと言わないd」
「射命丸だったか、彼女によれば貧乏神や三妖精も住んでるというぞ」
「……はい??」
星羅の表情が明らかに変わった。
「……霊夢から聞いていないのかい?」
「……全くもって」
「そ、そうか……」
星羅は音もなく霊夢を振り返った。
その目付きは怒りとも悲しみとも取れる……
「……」
「えっと……その……」
「……霊夢?」
「は、話してなかったわね……その〜……」
「…………………………霊夢???」
「うっ……」
……何とも形容し難いものが放たれていた。
「そーゆー話は、押しかけてるのはこっちだけど先にしておいてよぉぉおぉ!!」
「ごめん星羅ぁ〜!!あとあのバカ天狗許さないわよぉぉお!!」
「……妖怪、苦手なのか?」
「単に怖がりなんじゃないの?」
「あはは……」
3人はとほほ、といった表情で、喚き散らす星羅を見ていた。
「………………………………っ!?」
と、早苗は何かを感じた。
――この感じは……!?
直後、星羅の身体が前に倒れ込んだ。
「ッ!!星羅!!」
一番近くにいた霊夢が、能力による
「星羅!どうしたの!?……まさか!?」
「……また、頭に……何かが、視えた」
目を見開き、冷や汗を流す星羅は弱々しくつぶやく。
霊夢は察したように頷き、支えて立たせた。
「せ、星羅さん!!」
「……視えた、だって?未来予測でも出来るのか?」
「ちょ、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ神奈子!」
「わかってるが……!」
たっと駆け出す早苗と、神奈子、諏訪子。
なんとか立ち上がった星羅は、ポケットに両手を突っ込んだ。
手のひらにばらっと広げたのは、もはやおなじみの必需品、スペルメモリ。
「これは……メモリーカード?」
唯一こういうものに精通している(正確にはしていた)早苗が真っ先に反応した。
「……うん。私の記憶が入ってるの」
「……えっ?」
星羅の答えに、早苗は唖然とした。
そしてメモリの中に、またしても“ブランクメモリ”が、二つ混ざっていた。
無塗装の無機質な灰色のそれらは、一枚はなにか竜巻のようなイラスト、もう一枚は光のようなものがそれぞれあった。
「星羅、これって」
霊夢の反応にうなずく。
「うん。……妖怪の山に、これに対応する人がいる」
「……ここに来て正解だったわね」
「待て待て、話に追いつけないのだが……」
神奈子が慌てて言うと、霊夢は、はぁ、とため息をついて話し始めた。
「めんどくさいわね〜……ざっくり言うと、コイツは……」
少女説明中……
「なるほど……突然博麗神社に現れたと思えば記憶喪失で、しかも謎の敵に追われている存在、と」
「オッケーオッケー、だいたいわかったよ」
ニ神は理解したと頷く。
が、
「……ど、どーゆーことでしょう……???」
なんと早苗は頭に「?」が10個くらい浮かんでいるような反応を見せていた。
「何よ、説明不足?」
「いやそういう訳ではなくて……」
霊夢は腕を組んだ。
「……ま、無理もないわね。記憶喪失で、不思議な力持ってて、謎めいた敵に狙われてるなんて言う話。事実だけ並べてもわからないか」
むしろそれが普通の反応だ、と霊夢は言う。
「説明しやすくできないものかしら」
「そんなこと言っても……」
星羅が呟いた時だった。
「その願い、私たちに任せてください!!」
「君の記憶、見せてあげるよ」
「「…………えっ??」」
突然の声に、早苗と星羅は振り向いた。
そこにはなにかの記事を抱えた射命丸。
そして、リュックを背負い堂々と仁王立ちする、にとりの姿があった。
あややはどこ行ったって?
待ってなさい()
執筆中にダンカグのあやもみがボーナス入ってたのでモチベアップしてました
この中で、番外編やってほしいのは?
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紅魔館組
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レイマリ
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うどみょん