東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜 作:蒼いなんでも屋
初めてなのでとはいいませんが、まだまだ勉強中故に拙い描写 があるかと思いますが、
原作の面白さをできるだけ伝えられたら、と思います。
まずは最後まで読んで頂けると嬉しいです。
時系列?
気にしなくていいです。
最新作はまだ、という程度で。
000. プロローグ
古の時代━━
まだ妖怪や神の存在が確立され、人々がそれを信じていた時代。
日本のとある辺境の地。
そこは多くの妖怪が住み着き、それ故人間の寄り付かない場所であった。一方ではその妖怪達を退治する者もまた住み着いた。
何時頃からか、人はその地を“
やがて時は流れ、500年前。
人間の勢力拡大に伴い、幻想郷で既にできていた社会バランスが崩される事を憂いた、幻想郷設立に深く関わっている妖怪の賢者「
そしてさらに時は流れて、日本が開国し維新が始まった頃になると、非科学的なものは「迷信」として、人々の間から次第に忘れられていった。必然的に幻想郷の事も「幻想」として忘れ去られていき、一部の人間の末裔と、忘れられた妖怪達は、幻想郷に展開された「博麗大結界」の中で生きていく事になる。
そうして幻想郷は都市伝説として細々と語られ、外としても幻想郷としても『存在そのものを拒絶され、忘れ去られた全てのものが辿り着く場所』となっていく。
博麗大結界は幻想郷を外の世界から隔離するため、当初は一部の妖怪から反対があったものの、現在は外とはまた違った文化を築き上げ、人間、妖怪手を取り合って暮らしている。
幻想郷の東の端にある、博麗神社。
常識の結界「博麗大結界」を管理する、博麗の巫女が住む場所で、外の世界と幻想郷の境目にあるため、どちらとも取れない立地となっている。
木々が作った囲いは外との境界とも言われ、たまに外の世界のものが流れ着く事がある。
そもそもとして妖怪のいるところを通過しないと辿り着けないので、神社なのに参拝客と信仰は皆無に近い。
また、幻想郷での事件「異変」などで博麗の巫女を気に入った妖怪が
そして、妖怪達にやたらと気に入られているその巫女というのが、
「……暇」
この少女、
現在の博麗の巫女にして、現在の幻想郷で最強と言われる存在。
博麗大結界を管理する少女だ。
といっても基本的に博麗大結界は突然破損したりする事は無く、あっても彼女にはわかるし、そんな事態になれば幻想郷の賢者である紫が黙っていないはずなのである。
前述の通り参拝客もいないので、境内は(人口密度的に)寂しい。
そのため普段の彼女は文字通りの暇人なのである。
異変となれば、天性の勘と圧倒的な実力をもって元凶を懲らしめる活躍を見せてくれるが、普段から彼女はアクティブな訳ではなく、むしろ面倒臭がりであるため、自分からあまり信仰を稼ごうとかなにか策を講じようとか考える事はしない。
何故ならその実力は、自分が生まれもった「才能」なのだから。
幻想郷住民は時々、何らかの「能力」を宿して生まれる。
特に妖怪は多く、その妖怪に因んだものが能力として現れる。
彼女の能力は、【空を飛ぶ程度の能力】
一見なんの変哲もなさそうな能力だが、「あらゆる事象から解放され縛られない」という、俗に言うチートじみた能力なのだ。
霊夢はこの能力と博麗の巫女故の封印の力により、数多くの異変を解決してきたのである。
霊夢の巫女服は少し変わっている。
袖が独立し、服とスカートに巫女袖がオプション、といった格好なのだ。しかも肩は丸出しである。
また、霊夢は頭に大きなリボンを、もみあげには同じく紅白のカフスのようなものをそれぞれつけている。
というかこれがないと「お前誰だ?」と皆が揃って言う(霊夢が思うに)。それくらいの印象を彼女のアクセサリーは発しているのだ。
「……ホント、最近は何もないわね」
霊夢はそう呟く。
どちらかといえば、「何も起きない」のだが。
霊夢はひとつ欠伸をすると、ぼんやり空を眺めた。
「……」
因みに結界は見えない。
外の世界ではキリのない大きな森となっていて、どこまで進んでも幻想郷には入れないが、引き返すと一瞬で帰れる仕組みらしい。最も霊夢は外の世界など行った事が無かったし、実際にそこを通ったという者に会った事もない。
あくまでも聞いたところによれば、である。
━━この空が幻想、嘘なのだとしたら、私はどうするだろう。
唐突にそんな事を思い浮かべてしまった。
「……何言ってるのかしら……」
考えるだけ不吉だし、気にしないでおこう。
霊夢はそう思い直した。
視線を空に戻すと、視界の隅の方になにやら飛んでくるなにかが写った。
白と黒。
霊夢は察した。
「……また来たのね、魔理沙」
霊夢はやれやれと言いたげに外に出た。
「よっと!待たせたな霊夢、遊びに来たぜ!」
「誰も待ってないわよ、魔理沙」
跨いでいた箒からひらりと飛び降り、境内の参道にスタッと着地。
弾みでズレた魔女の帽子を親指でクイっと上げると、彼女はニヤリと笑った顔で霊夢を見た。
彼女は
普通の魔法使いを自称する少女で、霊夢とは幼い頃からの腐れ縁である。
自称するだけあり、外見は正に「魔法使い」。
黒メインのワンピースに白いフリルや肩が映える服装で、ウェーブのかかった金髪、左から下げた三編みと、霊夢とはまた違った見た目をしている。彼女の箒は魔法をかけたら勝手に成長し始めたそうで、今は一枚だが小さな葉っぱを生やしている。
また、魔理沙は語尾に「〜だぜ」とつける事が多い。
霊夢とは別行動で異変解決にいそしむ。
彼女もまた霊夢と同じくらい多くの異変を解決して来た『異変解決者』のひとりである。
そのため魔理沙はこっそり霊夢の事を、親友であり、ライバル視もしている。
才能で元々強い霊夢だが、魔理沙は地道に努力して実力をつけていて、そこもまたふたりの違いなのだ。
彼女の能力は【魔法を使う程度の能力】
正に彼女にピッタリの能力である。
そんな魔理沙はよくこうして霊夢に会いに来る。
「よく飽きもしないで毎日来れるわね、アンタ」
霊夢がため息混じりにぼやく。
それに対して、魔理沙は左手で箒を持つと、言った。
「どうせ暇なんだろ、だから遊びに来たぜ」
「……確かに、暇だけどさ。何すんの」
「決まってんだろ?」
そうして、魔理沙は頭の帽子に手を突っ込み、中から小さな八角柱状の物を取り出した。
「昨日、メンテナンスしたばっかりのミニ八卦炉だぜ」
ミニ八卦炉。
魔理沙のマジックアイテムの中でも命並みに大切な物で、外装はヒヒイロカネ製、さらに内部動力炉により攻撃やカイロ代わり、果てはお湯沸かしもこなす、見た目に似合わずかなり万能な装備だ。
ツヤッツヤなそれを見せびらかして、魔理沙は続けた。
「弾幕勝負やろうぜ。負けた方が買った方の分も団子をおごるって事で」
「いや勝負に賭けるものそれなの……?」
そう言った霊夢だが、すぐに応じた。
「ま、いいわ。腕もなまってたところだし、肩慣らしさせなさいよ。簡単に負けないでね?」
「臨むところ!」
弾幕ごっことも呼ばれるそれは「弾幕」という、文字通りの弾丸の嵐を扱った遊びである。とは言っても弾幕には殺傷するほどまでの攻撃力はない。それもそのはず、あくまでも遊びの一環なのでそこまで火力を必要としないのだ。
そんな弾幕ごっこだが、ちょっとした賭け事からそこそこ重要なもの、更には異変での決闘まで、幻想郷の勝負は殆どこれで行うのが主流。
スペルカードという、美しさを競う特殊な必殺技を出し合い、全部のカードを攻略する、もしくは降参される事で勝ち。
これにより人間と妖怪の関係も形骸化したとはいえ擬似的に再現可能な上、バランスが崩れるのもしっかり防げるのだ。
実は、それを考案したのは、ある事件を切欠に妖怪達に頼まれた霊夢だったりする。
「さあ、行くぜ!」
「かかって来なさい!」
開幕直後、魔理沙は得意の魔法弾を放って霊夢に浴びせかける。
まずは様子見のショットで牽制していく。弾幕ごっこの定番だ。
当然ながら難なくそれを回避し、隙間を縫って霊夢も反撃を放つ。
発射したのは『ホーミングアミュレット』
その名の通りのホーミング攻撃である。
「追尾弾なんて相変わらずズルいぜ!」
「ごちゃごちゃ言わない!」
愚痴をこぼす魔理沙、追い打ちをかける霊夢。
回避が面倒になってきた魔理沙は、一気に攻勢に移った。
メンテ完璧というミニ八卦炉を突き出し、叫ぶ。
「お前のホーミング弾まとめて、ふっ飛ばしてやるぜ!
恋符!! 【マシンガンスパーク】!!!」
直後、小型圧縮された高エネルギー光弾が、その八卦炉の砲口から速射された。
魔理沙のスペルカードのひとつだ。
正にマシンガンの如き勢いを以て、霊夢のショットを相殺、さらにそのまま弾幕掃射した。
勿論霊夢も負けていない。
「こっちも行くわよ! 無鏡、【二重大結界】!!」
取り出した御札から、カッと光が放たれ、魔理沙のマシンガンスパークを防ぐ鉄壁の結界を展開した。
結界を維持したまま、霊夢は魔理沙へと突っ込んでいく。
「おおっ、そっちがその気ならこっちだって手はあるぜ!!」
そう言うと、魔理沙は再びミニ八卦炉を構え直し、砲口にさらなるエネルギーを充填していく。
「……行くぜ?
恋符! 【マスタースパーク】!!!
どりぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
虹色の光線が視界を覆い尽くす。
全てを貫通し打ち倒す、魔理沙の必殺の光が、霊夢に襲いかかった。
「……、流石にまずいか」
呟いた霊夢は、すぐさま、新たなスペルカードを発動する。
光輝く陰陽玉を周囲に展開、
「霊符!! 【夢想封印】!!
たぁぁぁ!!!」
いくつもの巨大な光が放たれ、飛んでゆく。
誘導を受ける輝く弾幕が魔理沙に降り注ぐ。
一筋の光線と無数の光弾が、お互い目指して突き進む。
「うおおおお!!!」
「はぁぁぁ!!!」
そして。
ふたりの
「あー負けた負けたー! くやし〜……」
「勝負ついてないじゃない……何が悔しいのよ」
神社の草地に寝そべる、霊夢と魔理沙。
結局あの爆発で視界をお互いに奪われてしまい、次の瞬間突っ込んでいたままだった霊夢が魔理沙に激突。
あまりに不意打ちだったので、そのままふたりして落下してしまったのである。
魔理沙は納得いかない様だが、霊夢はもういいやとでも言いたげに力を抜いた。
「……ふー、久しぶりにいい汗をかいた気がするわ」
言われて、やっと魔理沙も頷く。
「だな。最近平和過ぎてこういうの減ったからなぁ」
「ホントよね。まぁ本来それが良いんだけどさ」
ふたりは顔を見合わせると、クスッと笑った。
「じゃあお団子はふたりで割り勘ね」
「へいへい、仕方ないぜ」
そう言いふたりは立ち上がる。
パンパンと服の汚れを払って、人間の里に向かって団子を食べようとした、
その時だった。
「……霊夢、あれ……なんだ?」
魔理沙が神社の奥の方、森の中を指さして言った。
言われて振り向く。
「? ……何も見えないけど?」
「いや確かに何か光った! はず!」
「確証無いのね」
「いいから行くぞ! なんか光ったんだぜ! 多分、こっちだ」
魔理沙は森の中にずんずんと進んでいく。
一瞬放っておこうとした霊夢だったが、
(……なんか、イヤな予感がする。なんだろう、この感じ……?)
ふと感じた寒気に、勘がはたらいた。
「……わかったわよ、私も行く」
霊夢は彼女の後ろをついて行く事にした。
「……多分この辺りだったと思うんだけどさ」
「本当になんかあるの?」
魔理沙が言うには、何かが反射したような光が森から見えたのだという。
だいたいの目星は付けていたものの正直見当たらない。
草木を掻き分け、ふたりはもう少し探してみる事にした。
「おかしいな……」
「……怪しくなってきたんだけど」
「見間違いか?いや、そんなハズはないんだが……」
などとブツブツ言いながら探していると、
「……!」
ふと、霊夢の手が止まった。
「ん?どうした霊夢?」
魔理沙が駆け寄ると、彼女も言葉を失った。
「……な、なんだよ……これ……!?」
そこには、ぼろぼろのコートを着た、青髪の少女。
ふたりが今まで見た事がない容姿の少女がひとり、
その場に横たわっていた━━
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そして始まる幻創の物語。
Continue to the next phantasm……
原作とも二次創作ゲームとも違った弾幕の扱い方を模索中。
こういうところでしか見れない展開を、弾幕でつくれないかな……。
因みに話の大筋は既に決まってます(当たり前)
次回、遂に主人公・星羅が目覚めます。
彼女との出合いはふたりに何をもたらすのか?
乞うご期待です。
訂正
1マス空け、一部補填をしました
この中で、番外編やってほしいのは?
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紅魔館組
-
レイマリ
-
うどみょん