東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜 作:蒼いなんでも屋
ここ最近、テストだったので更新止まってしまい、すみませんでした。
改めて週一投稿頑張ります。
どシリアス内容。
射命丸、椛と共に、星羅は妖怪の山を探検、その自然に触れた。
星羅の前向きな姿勢に、椛は密かに感銘を受け、射命丸も何かを感じたようだ。
守矢神社へ戻った3人は、霊夢と早苗が、星羅を中心に異変が起きている事に関して話していたことを伝えられる。
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「……これを、こうして……こう、かな?よしよし、動く動く」
神社の片隅で、にとりは例の【にとりステーション2】改修に勤しんでいた。
メモリの読み取りがスムーズになってきた。
そろそろ星羅に試してあげても良い頃合いだろう。
「あややや、様になってきましたねー」
そこへ、山下りから戻った射命丸が、挨拶代わりにその様子をカメラに収めた。
「ちょっと、勝手に撮るな」
「まぁまぁ。私は異変を追っている身、こういうものもしっかり写真に残さなければ」
「……やれやれ。ちなみに、実用化はまだ先だよ。内部機構も企業秘密ってことで」
「なるほど、企業秘密ですか。追いかけがいがある」
面白そうにメモにペンを走らせる射命丸。
それを横目に、にとりは電源を切った。
「これで良し、と」
工具をバッグにしまうと、射命丸が言った。
「にとりさん。戻る前に……一つ、お聞きしてもいいですかね」
「なんだい?」
「……過去の昏い思い出を蘇らせる事は……本当に必要なんでしょうか」
にとりは、その言葉に一瞬、動揺する。
記憶というのは必ずしも良いものばかりではない。
誰だって辛いこと、苦しかったことが何かしらあるものだ。
霊夢も魔理沙も射命丸も、にとりさえ、何かしらそういった、心の「負の遺産」とでも呼ぶべき過去はある。
“綺麗な記憶だけなら、大した重さじゃない”のだ。
にとりは少し考え、やがて首を振った。
「……いや、必要かどうかは……使用者が決めることだと思う。それをするかは人間……星羅次第さ。使用者の意志を汲むのが、科学の仕事なのさ」
「おおぉ。素晴らしいですけど……、河童が言っても、説得力が乏しいですね」
「はは、そうだね……でもきっと、星羅なら大丈夫だよ。どうやら……頼もしい仲間もいるらしいからさ」
にとりは立ち上がり、【
「……ふぅ。
…………さぁ、実験を始めようか」
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「私を中心に、か……」
わかっていたように、星羅はつぶやいた。
「確かにアイツらは私を狙ってる。だから私がいるところで敵が現れるのも……あながち間違いじゃないと思う」
「……」
その様子を、霊夢は黙って見ていた。
「……でも私も、記憶を取り戻さないと、アイツらに狙われる理由がわからない。みんなを巻き込んでるのはわかってる……でも……」
狙う目的も理由もはっきりしていない異次元連中から狙われる、記憶喪失の少女。
今は霊夢たちがいるおかげでなんとかなっているが、下手すれば周りに相当な迷惑をかける可能性も否定できないのだ。
星羅は数ヶ月経ったとはいえ、まだまだ幻想郷には不慣れ。
しかも素性もわからない、外来人なのだ。
「……大丈夫ですよ、星羅さん」
沈黙を破ったのは、早苗だった。
星羅が顔を上げる。
「……えっ?」
「……私も昔は、幻想郷に来てばかりでわからないことだらけでしたし、なにより……受け入れられるか、皆さんと仲良くできるか。とても不安だったんてす」
「……早苗」
霊夢も思わず彼女を見やる。
同じ外からやってきた身、気持ちがわかるのだろう。
「でも今は、こうして色んな方々と仲良くさせてもらっていますし、幻想郷の素敵な日々を過ごしています。
大丈夫。
みんな、思ってるより優しいですから……
常識にとらわれない、素敵な方々ですから。
頼ってみてください。たくさんの人々に。
きっとみんな、応えてくれるはずですから」
「……早苗ちゃん……」
星羅は、何が言いたいのかはっきりとまではわからずとも……
彼女の言うとおりなんだろうな、と直感で理解していた。
きっとこの気持ちもいつかわかる。
今は早苗ちゃんを信じてみよう。
「うん。わかった。確かにみんな……言うとおり優しいし頼もしかったもん。今は……みんなに支えてもらうよ。
いつか支える側になっても、頼られるように、ね」
「よく言った、盟友。さすがは霊夢が見込んだ人間だね」
「あ、河童。いたんだ」
「ひどいなぁ、そもそも帰ってすらいないよ!」
「私、清く正しいしゃm」
「あーあーアンタは呼んでないわよ」
「なんてことでしょーか(泣)」
……と、唐突に割って入ってきたのはにとり。
小脇には【NS2】を抱えている。
後ろには射命丸も付いている。
「にとり?」
星羅が振り向くと、にとりは不敵な笑みを浮かべた。
やる気と自信に溢れた笑みを。
「待たせたねー、ようやく調整が済んだよ。
……試してみるかい?君に秘められた、記憶のロード……いや、リロードを」
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「ようこそ、にとりの秘密研究所へ!」
「入口に思いっきり書いてあったじゃないの」
「秘密とはいうけど割とウェルカムだからね」
「……秘密ってなんだっけ」
思わず愚痴を零されるような、にとりの例の秘密研究所へやって来た星羅、霊夢、射命丸、早苗。
施設内はわりかし簡素だが、むき出しの配線やケーブル、なにかの実験用具や設備などが不規則無造作に散らばっていた。
何かを踏まないように注意深く進むと、にとりはある壁のパネルを開いて、ボタンを入力した。
「“20070817”っと」
「……何かの語呂?」
「さぁ……?」
「並びからして、何かの記念日でしょうか?」
霊夢、早苗と星羅は顔を合わせて呟いた。
少しの間の後、ピコーン、と認証音が響き、ミシミシという音と共に壁だった目の前の“ソレ”がゆっくり持ち上がった。
「ほほぉ、隠し部屋ですか?」
「うん。私のメイン研究エリアであり、非常用シェルターさ」
「シェルターも兼ねているんですねー、なるほどぉ」
射命丸の問いに、にとりは歩きながら答えた。
金属製の壁と、さっきまでよりも更に高度な機械群が一行を出迎えた。
「さて、と。ちょっと準備するから待っててね。すぐ終わるから」
にとりは【NS2】を置くと、コードを引っ張って接続、電源を入れた。
「…………」
その様子を、星羅と早苗は、
射命丸は目を輝かせて写メを取りまくり、霊夢だけは「なにこれ」と言って、眉間にしわを寄せていた。
しばらくして、にとりは本体の用意を終えると、改修されたにとり専用テレビにコードを繋ぎ、更にバッグからなにかのゴーグルとイヤホンを取り出した。
「よーし。準備完了。あとはこの専用のイヤホンと、このVRゴーグル、【
「……またどこかで見たことがあるやつ……?」
「着けたらそこに座ってね」
星羅は首を傾げつつも、NTゴーグルとイヤホンを身に着け、椅子に掛けた。
にとりはどこからかハンドマイクを取り出すと、こほん、と咳払いし、話し始めた。
「……始める前に。人の記憶を強引に起こす責任者として伝えておく。
今から再生するのは星羅の記憶だ。
その中には苦痛になるもの、酷い話もあるかも知れない、でも星羅……それらから決して目を背けちゃいけないよ。とても、とっても辛いことだとは思うけれども、受け入れなければ……成功しない。
その覚悟の上で頼むよ」
「わかった。お願い」
星羅は迷いなく、はっきり答えた。
早苗ははっとする。
(……受け入れようとする心構えが出来てる……。さっきの私の話……意識してくれているのかな……)
そんな彼女に、霊夢は言った。
「心配しないで大丈夫よ、早苗」
「霊夢さん?」
「……アイツ、自分から受け入れようとしてる。今は信じましょ」
その言葉に、早苗は不思議と説得力を覚えた。
「それと巫女の二人、そして天狗。みんなはそこでこのテレビから見てくれ。一応、共有するべきものだと思うから」
「わかったわ」
「はいっ」
「了解です」
三人はテレビの見やすいところに移動した。
それを見届けたにとりは宣言する。
「……さぁ……始めよう。
【NS2】、スタート!
ファンタズムメモリ、装っ填!!」
本体ボタンを押し込み、予め貰っていたメモリ……【バーニングナックル】を、装填した。
瞬間、真っ暗だった星羅の視界が光に包まれた。
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《スペルメモリの挿入を確認》
《読み込み中……》
《読み込みに成功しました》
《メモリデータの再生を始めます》
メモリナンバー:005
―怒―
…
……
………
…………
怒り。
何度も、何度も感じた負の感情。
今までどれだけ頭を過ぎり、どれだけその衝動に突き動かされただろう。
やり場のないその怒りが心を埋め尽くしたこともあった。
親、家族、学校、世の中。
色んな事に怒りを覚えた。
どうしようもないから、心に降り積もった。
我を忘れて、取り返しのつかない事態も何度も引き起こした。
そしてそのたびに、自分へのやるせない感情が昂り、巻き起こり、それで塞ぎ込み――
「死」に心を誘おうとしてきた。
誰一人としてこの気持ちを理解してくれない。
いや。
今更、別に理解してほしいわけでもないし。
世の中は無情だ。
普段並べる綺麗事は、いざ自分に降りかかると実行出来やしないし、むしろそれを自ら拒絶してしまう。
なのに人間は降りかかるまでは真の意味でその事実を受け入れられない、受け入れない、理解しない。
“僕”はそんな無情な人間のエゴ……
いや、吐き捨てたいほど腐った“常識”の被害者だ。
僕は僕を許さない、許せない、許す訳が無い。
人を恨んだりはしたくないし、そんな下らないことをしたところで負の連鎖とやらが始まってそれこそ取り返しがつかなくなる。
だから僕は僕自身を許さない。
どうせ誰も理解しないなら――いや、理解なんてことすらしようともしないか。
そんな世の中なら、自分を恨まないで他の誰を呪う?
僕の怒りは、いつの間にか、外ではなく、内に向いていた。
これが理解される頃には、現実世界はよっぽど平和で舐め腐ったものにでもなってるんだろうな。
《……データ修復、完了》
《これ以上のデータはありません》
《バーチャル空間のシャットアウトを開始……》
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「……」
「……っ」
「……これは……なんというか……言い方が酷かも知れないけれど、初めに使うメモリを、完全に間違えた……かな……」
「……想像以上でしたね、この……秘められていた“モノ”は」
霊夢と早苗は黙りこくり、にとりは愕然とし、射命丸さえも言葉が上手く出てこなかった。
「………………」
当の星羅は、ゴーグルを外し、椅子にもたれかかって、目を見開いていた。
「…………………………これが、私……?」
つぶやいた彼女の声音に、感情は込められていなかった。
さっきまでの威勢なんて、たとえ霊夢でも保っていられない。むしろあんなモノを見せられて何も感じない方が狂っている。
内容なんかよりも感じられた「諦め」「自虐」「苦痛」「哀しみ」が、四人を襲っていたのだから仕方ない。
にとりはやっとの思いでメモリを抜くと、脱力したように自身の作業用椅子にどっかと座り込んだ。
「……」
しばらくの間の後、星羅に向き直る。
「……ごめん。星羅。かなり……いや、相当過酷なものを思い出させてしまった……まさかあそこまでとは……」
にとりは姿勢を正して頭を下げた。
「……にとりが謝ることは、ないよ」
しかし星羅は気丈に振る舞って言う。
「……きっとこれも私……なんだと思うから」
「し、しかし……!」
「元はと言えば……」
にとりを遮って彼女は続けた。
「……元はと言えば、私が頼んだモノでしょ?にとりが謝ることは……ないって。……私もこんなの知らなかった訳だし……全部……こういう内容だとは、限らないから……」
言いながら星羅は涙を浮かべる。
「……だから、みんなが気負うことは……ないよ」
やはりさっきのデータは、あまりにも自分のものだとは受け入れ難いものなのだ、無理もない。
周りよりも、自分自身の恐ろしい記憶を取り戻した星羅が一番過酷な心境なのは皆感じていた。
「星羅……でも……」
こんな泣くほどの辛い出来事まで、と言いかけたにとりを、早苗が手を置いて静止した。
「……早苗?」
にとりが思わず彼女を見やる。
そして、そのまま星羅に近付き――
「……星羅さん……辛かったんですよね」
そっと、この上なく優しく、その身を抱いた。
「……早苗……ちゃん……」
「かなり断片的で、過去に何があったのかはわからないですけど……辛い思い出から、あなたを支えることくらいは……出来るかなって、そう思って」
「……でも、早苗ちゃんは」
「不思議です……あなたを支えることが、今の私のやるべきことだって確信が持てるんです。……頼ってみて良いんですって、言ったじゃないですか」
「…………」
「一人で抱え込まないでください。それじゃあいつか、あなたが壊れてしまう……。でも、ここには私達がいます。いつでも頼ってください。いつでも、私は相談に乗ります。力になります。辛い過去に対する支えになります。
一人じゃ、ないんですよ、星羅さん……」
「……うん……ありがとう…………」
堪えられず涙を流す星羅を、早苗はただただ優しく抱きしめていた。
にとり、霊夢、射命丸も、それぞれの思いを胸に、二人を見守っていた。
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その頃。
「…………!」
一人山を歩いていた椛は、立ち止まり、空を見上げた。
背中の剣と盾を構える。
その視線の先に――
「……妖怪の山、侵入者発見……!ついに来たか……!!」
無数の、鋼の侵略者……機怪が飛来する様があった。
「……妖怪の山へは……星羅さんのところへは、絶対に通しません!!!」
刀を抜き、盾を構え、椛は飛び上がった。
次回はいよいよ機怪との戦い……になりそう。
過去の一端を取り戻した星羅は、どうするのか?
この中で、番外編やってほしいのは?
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紅魔館組
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レイマリ
-
うどみょん