東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜 作:蒼いなんでも屋
早苗と菫子って年代的には同じ位なのかな、と思います。
多分。
早苗の過去が実際にどうなっているのか、気になりますね。
まぁ恐らくしばらくは明かされないと思いますが。
というわけで始まります。
全ての過去を知る裏人格・来是が語る星羅の秘密。
その頃星羅は夢の支配者ドレミー・スイートによって軽い手解きを受け、自分が変わることについて考えさせられる。
外の世界と“過去になった未来”の幻想郷、そして“今生きている”幻想郷の記憶を有する星羅のために、早苗は菫子を呼び、
そして星羅は“元”現代人と“現在進行系の”現代人に、あることを尋ねるのだった。
______________________
「……二人に、聞きたいことがあるんだ。教えてくれるかな」
ちゃぶ台を囲んだ面々を前に、星羅は言う。
「話は聞いてるよ、星羅っち。なんでも聞いてね」
帽子とマントを外した菫子は快く頷いて返した。
「あ、でもその前に軽く、自己紹介するわね。改めて、私は
「うん。よろしくね、菫子ちゃん」
しっかり握手を交わす二人。
「……確か早苗も外の世界から来たのよね」
霊夢が早苗を向くと、彼女は頷いた。
「はい。星羅さんの持っている外の世界の記憶のフォローも、ある程度できると思います」
「助かるわ。外の世界は非常識だからわからないのよ」
「それは霊夢さんの目線でしょうが」
霊夢は射命丸が書きまとめておいてくれた、今回の事件のメモ帳を片手に言った。
「とりあえず、菫子のために状況把握から行くわね」
「よろしく、霊夢っち」
「えーっと……まず、星羅は幻想入りしてきた存在で、記憶喪失。何故か機怪に狙われていて、私達は彼女を守りつつ失われている記憶を取り戻す手伝いをしているわけ」
「うんうん、オッケー。それから?」
「それで、昨日妖怪の山に現れた黒い私……俗に言う、黒霊夢。彼女と星羅は、どうやら“別の時間軸の幻想郷から遡ってきた”存在みたいなのよ」
「……えっ? つまり……タイムトラベルしてきた、てこと?」
「そういうことになりますね。ね、霊夢さん」
「えぇ。それと、星羅の記憶を持っている裏の人格――来是ってやつが星羅に眠っているの。黒霊夢の話も“彼”から聞いたわ」
「……“彼”? ……お、男の子!?」
「……さぁ? 口調は星羅とあまり変わらなかった……というか、星羅の口調自体割と中性的だし。星羅の人格との区別の可能性も否めないからわからないわ。
ただ一つ言えることは、来是はこの異変の全てを知っているみたいよ」
「だったら彼に聞くのが手っ取り早いじゃん?」
「それが……どうやら彼が意識を表に出すためには一定条件が必要みたいで、しかも長時間は維持できないんです」
「うーわ何そのご都合展開、面倒ね……」
赤縁の眼鏡を直しながら、菫子はため息を1つ。
「とにかく、今は来是が残した情報と、星羅っちが引き出した記憶を元に色々解読するしかないってことね。わかったわ」
そう言うと、菫子は改めて星羅に向き直った。
「それじゃあ、星羅っちの聞きたいことについて答えようかな。できるだけ答えてみせるから、なんでも言ってね?」
「う〜ん……じゃあ……」
少し考えたあと、星羅が問う。
「…………高校って、何?」
「「……そこからかー」ですかー」
割と外の記憶が根本的に欠けていることに、菫子と早苗は嘆いた。
「……えっと、まず日本の学校は小中高分かれていて、5〜12歳の6年間は小学校、12〜15歳での3年間は中学校、そして今菫子さんも通っている、15〜18歳の3年間を高校で過ごすんです」
「ふむふむ」
「で、すごくざっくり言うと……高校は今まで習ったことを更に深く、高校によってはより専門的分野別に学ぶところなのよ。私の学校は普通のところだけどさ」
「へぇ。なるほどね……だいたいわかった」
星羅は頷き、霊夢もメモを書き足しつつ補足する。
「ほら星羅、人里に慧音がいるじゃない。寺子屋の専門分野版ってことよ、たぶん」
「あ〜、だいたいわかった」
「それわかってないでしょ?」
「次。たまに記憶によぎる、“青いロボットヒーロー”って誰だろ」
「青い……ロボット?」
「うん。私のライズバスターみたいに腕が銃になって、敵を倒すの。なんかのゲームだったかな……」
「えぇ……? あ、でも私、なんか聞いたことあるよーな……?」
「あ! それってもしかしてアレですよね?」
「え? 早苗っち知ってるの?」
「はい! たぶん……」
「……はっ! 嫌な予感……」
「? どしたの霊夢っち」
「たぶんそれロック○ンです!!」
「あ、それだ☆」
「どわー!! 伏せろ伏せろ〜!!」
「え?」
「あっ!? ごめんなさい!!」
「は?」
「聞かなかったことにしてね星羅っち分かった???」
「えっえっ、う、うん……?」
「気を取り直して……次。えっと、私って何歳に見える?」
「女の子なのに年齢の話するんだ」
「へ?」
「……うーん……ま、私とか早苗っちと同じ、高校生くらいじゃない? 高校の記憶もあるんでしょ?」
「だったら16,17歳かぁ。ちなみに霊夢はいくt」
「……あのね星羅。乙女に年齢を聞かないの。わかった??」
「あ〜……大変申し訳ございませんでした」
「じゃあ私から逆に質問。昔の星羅っち、どんな生徒だったの?」
「うーん……思い出せる限りだと……あんま今と変わってないと思う。正義感高くて、優しいって……よく言われてたような、気がする」
「そうなの?」
「その……来是、だっけ? 来是に聞かなきゃわからないなぁ」
「そっかー。……うーん、まぁ、不完全な記憶だろうし、やっぱナシで。ゴメン、星羅っち〜」
「ううん、気にしてないから」
「はいはい! 私からも質問です! 昔の趣味はなんですか!?」
「早苗……アンタ話聞いてた???」
その後もいくつかの質問を通して、菫子と早苗は星羅がどんな存在なのかを大まかに掴んだ。
「だいぶ星羅っちについてわかってきたわ。他には何か聞きたいことはある?」
「えぇ、うーん……じゃあ……」
星羅は再び少し間を空け、こう聞いた。
「……外の世界って……、理不尽?」
「「「…………え?」」」
菫子も、早苗も、手を止めた霊夢も、思わず顔を上げた。
「……私が集めてる
真剣な表情に、皆が思わず唸る。
「……そうだなぁ」
菫子は、険しい表情で答えた。
「人によるけど……少なくとも、何もかも理不尽ではないとは言えないんじゃない?」
「……」
「私も色々あるけどさ。なんだかんだ楽しめてはいるよ、オカルト探し。それに幻想郷に来れば霊夢っちや魔理沙っちもいるから。なんていうかなぁ……そう、“楽しみ”を探しながら毎日生きてれば……理不尽なんて、へっちゃらなの」
険しかった顔を笑みに変え、彼女は続ける。
「……今、思ったんだけどさ。星羅っちも、過去ばっかり見てないで、もうちょい前向きになったらどう?」
「え?」
「例えば……ほら、早苗っち。早苗っちはそうして生きてるらしいじゃん?」
「ハイ! 何せ“幻想郷では常識に囚われてはいけない”ですからね!」
「……?」
「早苗……もう少しわかりやすく言いなさいよ」
「あ、すみません! でも……やりたいことに熱心になってたら、毎日が楽しいんですよ! この幻想郷には、まだまだ知らないこと、驚いたことで溢れてますから。自分にとっての非常識を探してモノにする、そんな日々を送ってます」
「……早苗ちゃん」
「実は私も、ここに来てから色々変わったんだよ。星羅っちも……もっと素直に色々受け入れてみたらどう?」
二人の言葉に、星羅は思い出す。
今まで受け継いできたのは過去の記憶だけではない。
今の自分が関わり、創ってきたものも沢山あるのだ。
メモリはガワではなく自分自身を構成してる一部……星羅という存在の、一欠片なのだと。
「……そっか。私……囚われてたんだ」
星羅は立ち上がる。
「……前を見なきゃ、歩けない。進めない。私が前を向かなくちゃ……始まらない! みんなのために、私のために、私が変わらなきゃいけないんだ!!」
「おー、よく言ったじゃん!」
菫子が思わず拍手で褒めた。
「私だって知らないことが沢山あるもん。それを見つけていくのが、幻想郷で星羅っちができること、じゃないかな?」
「……うん!」
「それに……」
言いながら、早苗を向く菫子。
「……早苗っちとの“新しい”思い出も、作らなきゃ。でしょ?」
「……!」
記憶集めは、過去を取り戻すだけじゃない。
自分の新しい未来を切り開くための、基盤――舞台装置を創るようなものなのだ。
星羅は決心したように強く肯いた。
________________________
その後、星羅と早苗は、やるべきことのために守矢神社へ飛び立っていた。
「そう言えば星羅さん」
「何?」
「怖くは……ないのですか? 突然知らされた裏人格……来是さんのこと。自分の知らない自分を語る存在のこと……」
「うーん……」
早苗の言葉に少しだけ考えた星羅は、こう答えた。
「……実際に会ってもいないのに、決めつけちゃうのはアレかな、って思ってさ。きっとその人も私の一部。拒絶するかどうかは……全てがわかったその時までわからない。今は受け入れるしかないよ」
「…………」
少しは吹っ切れたのか、星羅は前を向いて山へと加速していった。
複雑な心境を抱えたまま、早苗はその後を追う。
「とりあえず今は、早苗ちゃんとの思い出作りに集中しようよ。まだ時間は幾らでもあるんだし、敵が現れたら追い払うだけ。自分で巻き込ませてしまってるんだから、それくらいの……ケジメというか折り合いというか、そういうのは付けたくてさ」
「……なんというか、強いですね。星羅さんは」
「えっ?」
「普通なら、全部が抜け落ちた状態だったら絶望しますよ。何もわからない、何も知らないのに、ただただ狙われる――そんなの恐ろしくてたまらないですから。……でも星羅さんは、いつもそうやって前向きになれるだけ、強いと思います」
「…………強い、か」
何か噛み締めるように、星羅はつぶやいた。
「私……もっと強くなれるのかな」
その頃、
「……アンタすごいわね。話術でも学んでる?」
そう霊夢に問われ、菫子は
「や、別に。ただまぁ……」
少し考え、こう応えた。
「……私、超能力者だし? 天才のカンよ。なんてね♪」
陽の光にレンズが反射し、菫子は軽く決めポーズ。
霊夢はそれに苦笑しつつも「菫子らしいわね」と零した。
「……それに。早苗っちの能力……【奇跡を起こす程度の能力】じゃん。きっとあの2人なら……起こせるよ。誰もが予測できないほどの、
奇跡。
確率の低い事象を引き当てる力。
良いことも悪いことも、低ければ引き当てられる力。
今の星羅なら、きっととんでもない奇跡を引き寄せるようになるのだろう、早苗とのメモリを覚醒すれば。
「ふふ、それもそうよね。……あれ、でも早苗の能力って幸運とかそういう奇跡じゃないわよね」
「えっ……あぁ〜なんかそんなこと言ってた気がする……」
「…ま、なんとかなるでしょ。今までだってそうだったんだから。
……それに」
霊夢は一呼吸置いて続ける。
「アイツ……星羅は、私達よりも沢山悩んでると思うの」
「……?」
「気が付いたら記憶が消えた状態で、見知らぬ敵に襲われて、理屈もわからない力に助けられて。いろんな人達と関わる中で、アイツも自分のことについて沢山悩んでると思うんだ、私。一緒にいると案外発見があるものね」
「……霊夢っち」
「だからこそアイツは無限の可能性を持ってるとも思う。それに気付いてるから……メモリというものに時に怯えちゃうのよ、たぶん。
射命丸は言っていた。
――星羅さんには無限の可能性、そして進化の可能性があります。私達とは次元が違う程の強さを引き出せる可能性が……。私達の使命はきっと……それを覚醒させることではないでしょうか?
あのとき力を貸した時に確信したんです。星羅さんならば、きっとできると。
霊夢さんも、薄々勘付いているのでは……?
――と。
「……可能性、か」
遠くを見やる。
かすかに星羅と早苗が見える。
「今はアイツの見せる可能性と、早苗の奇跡を信じましょ」
「……うん!」
行く先わからぬ未来に思いを馳せ、霊夢は2人を追うために歩き出した。
蓮子とメリーは出ないかなぁ……。
出たらゴメン。
この中で、番外編やってほしいのは?
-
紅魔館組
-
レイマリ
-
うどみょん