東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜   作:蒼いなんでも屋

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 同名のラストワードから取りました。

 早苗さんって霊夢と色々な意味で対比されることが多いよね。そりゃあそうか。



 彼女の過去は色々わからないことだらけなので、こんな感じであってほしいと思って書きました。








042. 奇跡の価値

 

 

 菫子の登場で、進展する星羅の過去の記憶。

 

 彼女と早苗の言葉を受け、凄惨な過去ばかり見ていないでそれらを糧に前に歩み続けることを誓った星羅は、早苗と共に山へと戻った。

 

 霊夢もまた、そんな星羅が見せる可能性を信じてみると心に決めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「君が噂のなんでも屋かい? 私は飯綱丸(いいづなまる) (めぐむ)、天狗たちを率いる大天狗だ。以後、よろしく」

 

「そして私は管巻(くだまき) (つかさ)です。飯綱丸様のお付きをさせてもらっております。お見知りおきを」

 

 

 山に戻った星羅と早苗は、射命丸に連れられて二人に会わされていた。

 

「大天狗様はすごく偉い方なのです! この人の命令は絶対なんですよ〜」

「は、はぁ」

「君のことはこの間山で見かけたわ。射命丸や椛が世話になったね、礼を言う」

「いえいえ、私の方こそ助けられましたから……」

 

 

 

 青を基調とした服装に金の肩当てが映える飯綱丸。

 純白の服とは裏腹になんか胡散臭い雰囲気を醸す狐の典。

 星羅的には「ほんとにこの人達、お偉いさんなのかよ……」と思わず心で呟いてしまうほどだった。

 

 とはいえ飯綱丸からは立場故の威厳があったので、少なくとも本当なんだろうが(狐の方は微妙)。

 

 

「早苗は久しぶりだな。元気だったかい?」

「そりゃあもう! 大天狗さんこそ元気そうで何よりです」

 

 早苗と軽く挨拶を済ませ、

 

「さて。突然だが星羅。君にある相談があってね」

「はい? なんすか」

「見せたいものがある」

 

と、飯綱丸は典からなにやら模造紙を受け取り、バッと広げてみせた。

 

「この間……と言っても数週間前だが、椛が持ってきたんだ。……新型機怪の設計図を」

 

 

 そこには解読不可能な文章で描かれたなにかの機怪の設計図が示されていた。

 

 ざっと見てみる。

 

 

 全身の浮遊ユニット、沢山のミサイル。やたらとセンサーも増加している。

 

 ……ように見える。

 

 

「……重武装なのは、見て取れますけど……」

 

と感想を零すと、飯綱丸は言った。

 

 

「……問題なのはそのサイズでね。これを見てくれ」

 

 よく見ると、射命丸の字でなにやら補足説明が書いてある。

 

 

 

「射命丸によれば、この機怪の推定サイズは……この山の半分くらいはあるらしい」

 

 

 

「…………え??」

 

 

 

 さらっと告げられた事態に星羅は唖然とした。

 

 

「これだけの設備を一度に稼働させるにはサイズが必要だ。そこから逆算したらしい」

「その通りです、飯綱丸様。星羅さんもわかるでしょう?」

「……言われてみればそうですけど……」

「つまりこれはどこかを丸ごと破壊するための、いわゆる拠点攻略用の存在らしい」

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!そんなのが襲ってきたらどうやって倒すんですか!?」

「まあまあ落ち着いてくださいな、星羅さん」

 

 典が割って入る。

 

「それを考えるために、機怪をたっくさん倒してきたというあなたをお呼びしたのですよ。機怪を素早く、かつ確実に破壊してきたあなたならばなにかわかると思いまして」

「そんなこと言われても……」

「何でも構わないんだ。何でもいいから聞かせてほしい」

 

飯綱丸も続けた。

 

「君は今まで、3箇所もの重要な場所を守ってきている。この山も一度救ってくれたと聞く。そんな君ならば何かしら思うことはあるのではないか、って思った次第さ。それに奴らに狙われているのだから理由も無く襲われることはないだろう?」

 

「……」

 

 星羅は少し思い返す。

 

 そして、

 

「……そう、いえば」

「?」

 

 

あの時感じた違和感、そしてずっと抱いてきた違和感を回想した。

 

 

 

「この間の襲撃、リーダーがいませんでした」

 

「……何?」

 

「それにあいつら、倒れる直前に……創造主(マスター)って言葉を残すんです。誰のことかは、わからないけれど……」

 

 

 

 

 

「……創造主、ですか?」

 

 

 口を開いたのは、早苗だった。

 

「それって、あの機怪たちの製造者……生みの親がいる、ってことでしょうか?」

「間違いないだろうとは思うが、わざわざ死に際に告げる理由は何だろうか?」

「うーむ、私にもさっぱり」

 

 飯綱丸と射命丸もうなる。

 

 

「ま、とにかくです、飯綱丸様。彼女の証言が確かならば、リーダー格の機怪がこの山へ襲来するのも時間の問題ですよ?」

「そうだな……既に河童達と協力して防衛前線は作っているが、敵の規模がわからない以上油断はならない」

「大丈夫ですよ飯綱丸様〜、割りかし最新兵器も投入してるそうじゃありませんか? それに、空は我々の戦場。わけのわからぬ侵略者に遅れは取りませんって」

 

 典がそう言ってニヤニヤするが、飯綱丸は顔を変えずに星羅へ向き直った。

 

「とにかく……星羅、恐らく次の戦いには君が必要不可欠だ。いつでも戦える用意はしておいてくれ」

「あっ、私も出るんだ」

「や、星羅さんそりゃそうでしょ」

「いやまあ分かってたけどさ、さも当然のように言われて動揺しちゃった。……分かりました」

「頼りにさせてもらおう。君の活躍は射命丸から聞いてるよ」

「えっへーん」

「なんか誇張表現ありそうで怖い」

「んなっ!? なぜバレた!! …あっ」

「何? お前また誇張して伝えてたのか?」

「うぎゃー!!」

 

 射命丸の頭に飯綱丸の三脚がクリーンヒットしたところで、天狗達と典は山を登って行った。

 

 星羅はポケットを漁り、未だブランクメモリのままの早苗のメモリを見つめた。

 

 

「……これが、必要なのかな。だとしたら、何を……」

 

 

「星羅さん」

 

 

 すると、後ろから早苗が肩に触れた。

 

 

「少し、ついてきてくれませんか」

 

「…………え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……少し、昔話でもしますね。私がまだ普通の高校生だった頃の話……いや、初めから普通ではなかったかもしれない。そんな頃からのお話です。そんなに重くもないので、聞いていってください」

 

 

 

 

 

 早苗は歩きながら、後ろをついていく星羅に語りだした。

 

 

 

 

「私は……風祝の末裔であり、神奈子さまや諏訪子さまの信仰を集める存在として巫女になりました。

 

高校生として生きる一方で、風祝としていろんな人たちに出会いました。それはもう、沢山の人がいました。……時に怒られたりもしましたが、お二人はとても優しくしてくださったんです。幻想郷移住を本当に決めるまで、まともに信仰を集められなかったにも関わらず……」

 

 

 特別な存在に生まれながらなっていた早苗。

 どれだけ大変だったかは、星羅にも直感で感じられた。

 

 きっと今考えているよりもすごく大変だったのだろうが、とも思う。

 

 でも、何故だろう。

 

 早苗の立場が……何となく、自分にもわかる気がしていた。

 

 

 

「そして、お二人はこの世界にやってきて、信仰心集めを始めた。……でも、真っ先に選んだ相手は間違ってたんですけどね」

 

 

 そう言い苦笑する早苗。

 

 

 前に霊夢が言っていた、妖怪の山での騒動の事だろう。

 魔理沙もいたとはいえ、霊夢は並み居る妖怪を蹴散らし、風祝も、2人の神も打倒してしまったのだから、早苗が鮮明に覚えているのも無理はない。

 

 

 

「でも。

そんな私を、霊夢さんは結局見捨てたりはしなかった。

 

神奈子さまが遠因でやらかした事も難なく片付けてしまうし、どんどん壮大になっていく異変も尽く解決してしまった。

私のことも認めてくれたし、分社を建てた今でも邪魔だからって壊したりはしないし……。

 

そんな心根の優しさに、霊夢さんの人柄に、そしてこの世界の本当に様々な価値観に、私は驚かされ、影響され、学びました。今でも沢山発見があります。

 

始まりや日の長さこそ違えど……星羅さんも、だいたい同じなのではないでしょうか。沢山の人に出会って、影響されてきた日々は……」

 

 

「……?」

 

 

 

 言って、立ち止まる早苗。

 

 

 同時に、急に視界が開けた。

 

 

 

 

 振り返って、一言告げる。

 

 

 

 

 

「初めて外から来ると……ここの途方も無い広さに、ワクワクしたのではありませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

「…………っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思わず、星羅は息を呑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの日……博麗神社から見た、どこまでも広がっていそうな幻想郷の景色。

 真っ青な空と、緑の大自然と、ところどころにある人工物が、文字通り「幻想的に」噛み合った景色。

 

 

 

 場所は違ったが、その時と同じように、星羅を包み込む幻想が、視界いっぱいに広がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あのときのワクワクが、もう一度込み上げてくる。

 

 

 なくしかけていた思い出が補強される。

 

 

 

 

 そして気付いた。

 

 

 記憶をもらうこと、思い出すことに夢中で……目の前の、瞬間瞬間の思い出を忘れかけていたことに。

 

 

 

 

 

「未来を歩むには、それまでの積み重ねがないと。違いますか、星羅さん?」

 

 

 

 

 早苗は微笑んだ。

 

 

 

「星羅さんなら起こせる奇跡が沢山ある。その数は、この景色よりももっと広いですよ。可能性は、星羅さんが考えただけ生まれるから。

 

星羅さんの使命なんてそれを成す一部にしかなりませんよ、きっと。星羅さんが本当に望むことをやろうと思えば、奇跡はいくらでも生み出せます。

 

これからも沢山影響されまくりましょう。

色んな人に会って、新しい記憶を作りましょう。

 

だって―――

 

あなたが、ここにいる。それだけでも奇跡ですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 差した陽の光が、背景になった大自然を照らして、その緑に早苗が溶け込む。

 

 

「…………」

 

 

 それを見て、星羅の瞳から、一つの涙が伝った。

 

 

 

 

 

 

「……あれ、星羅さん? 大丈夫ですか……!?」

 

 

 

 思わず早苗が尋ねた、その時。

 

 

 

 

 

 

 

 背景の景色が、音を立てて割れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……」

 

 

 

 山へ向かって、霊夢は飛ぶ。

 

 菫子は「そろそろ起きる(現実世界に帰る)わ〜」と言って戻っているため今の霊夢は独りである。

 

 

「……剣……時間……幻影……疾風……そして、奇跡……」

 

 

 霊夢は呟く。

 星羅が手にし、あるいは手に入れようとしている”記憶“を。

 

 

「……星羅が得ている力って、どうして特定の奴ばっかで、なおかつ強い奴らなんだろう」

 

 

 思い返せば、星羅のファンタズムメモリ解放は【ある程度異変の順に沿っている】【その中でもよく事件解決で共闘、あるいは別口に戦っていた】【本人がいる状況下で特定の条件を満たせばそれ以降使い放題】といった特徴がある気がする。

 

 

「……それに、アイツ……どこ行ったのかしら」

 

 

 次に脳裏を過ぎったのは、黒い自分。

 

 来是に追い払われてから姿を見せていない。

 幻想郷は”隔離空間“のため、普通は異次元にでも隠れなければ、かつての某天邪鬼のようにどこかしらで目撃情報が現れ即刻捕まる。

 

 だが、一日経っても何も無い。

 

 焦り過ぎだろうか。

 

 

「……ま、いいや。今は目前のことに集中しなきゃ……?」

 

 と、霊夢が首を振った時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――パリン。

 

 

 

 

「……えっ」

 

 

 

 

 ――パリン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………は? 何あれ……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 山の上空に、一際大きな”裂け目“が現れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




 拠点攻略用兵器って普通にやばいですよね。

 
 めちゃくちゃ久しぶりの投稿ごめんなさい(_ _;)
 こっからの折り返し地点、頑張って書いていきまっせ。




 ……毎週投稿頑張らねば(三日坊主)。

この中で、番外編やってほしいのは?

  • 紅魔館組
  • レイマリ
  • うどみょん
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