東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜   作:蒼いなんでも屋

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 やっとスタート第一章。

 オリジナル主人公、星羅の登場です。
 彼女との出会いがもたらすものとは?







001. 流れ星の目覚め

 

 

 

 

 

……

 

 

…………

 

 

………………?

 

 

 

 

 

 あれ、わた……し……?

 

 

 

 何をやっていたんだっけ……

 

 

 

 

 

 

「……ぅ、ん……?」

 

 

 

 

 

 

 

「おっ?起きたか?」

 

 

 

 少女が目を覚ますと、そこには誰かの顔が眼前に。

 

 

 

「うわぁぁ!?!?」

 

「うおっ、悪い悪い近すぎたな」

 

 

 

 

 

 神社の外で倒れていた少女を、取り敢えず連れて行くことにした霊夢と魔理沙。

 目立った傷は見受けられず、単純に気絶していただけのようだったので、なんとか境内に運び込んで霊夢の部屋のひとつで様子を見ていたのだった。

 

 

 で、看病? していたのは魔理沙。

 霊夢は一応のためにお茶を淹れていた。

 

 

 

 ゆっくりと起き上がる彼女を見て、

 

「……なぁ、大丈夫か? ぶっ倒れていたみたいだけど……何があったんだ?」

 

 魔理沙が尋ねてみる。

 なにもしてこない辺り、敵意は一切無さそうだった。

 

 

 すると。

 

 

「……倒れていた? そうなの?」

 

「……え? 知らないのか?」

「そう……なの? ていうか」

 

困惑を深めるばかりの彼女に、首を傾げた魔理沙。

 

 

 だが、続けて発した言葉は、魔理沙の考えの斜め上に行く事になる。

 

 

 

「……ここ、どこなの?」

 

 

 

「……な!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何も覚えていない?」

「そうみたいだ」

「……」

 

 

 おぼんに三人分のお茶を乗せ、霊夢がやってくると、魔理沙は彼女の事を軽く話した。

 

 聞くところによれば、彼女は一切の記憶を失っているらしい。

 強いて言うならば、名前だけは覚えていた。

 そもそもここが何なのか、なんで自分はここにいるのか、など、根本的な事まで分からないというのだ。

 

 

「それで、アンタ名前は?」

「おい霊夢。こういう時は先に自分から名乗るモンだぜ」

「……わかったわよ」

 

 ひとつ咳払いをして、ふたりは言った。

 

 

 

 

「私は、博麗 霊夢。ここ、博麗神社の巫女よ。まぁ霊夢って呼んでくれていいわ」

 

「私は霧雨 魔理沙! 幻想郷の普通の魔法使いさんだ。魔理沙って呼んでくれよ!」

 

 

 

 

 

「……わぁ」

 

 

 

 まるで憧れの何かを見るような目で、ふたりの自己紹介を聞く少女。

 

「霊夢と、魔理沙……か。うん。覚えた」

 

「……そんな目で見ないでよ……なんか恥ずかしい」

「照れるなよ霊夢ー、カワイイ」

「うっさい!」

 

 

 やり取りを見て少女は思った。

 間違いなく、このふたりは信用できる。

 いや、しないとここから先がなにも見えない。

 

 

 だって。

 出会いを大切にしろと、自分が告げているから。

 

 

 

 

 

「それで、アンタは?」

「そうだった、名前は覚えてるんだろ?」

 

 

 ふたりが視線を向ける。

 

 少女は少し戸惑いながら、こう答えた。

 

 

 

 

「……私、幻島 星羅(げんとう せいら)。その……星羅って、呼んでくれるかな」

 

 

 

 はにかむ彼女に、ふたりは笑って応じた。

 

 

「勿論、いいわよ。よろしくね星羅!」

 

「星羅か。個性的でいい名前じゃねーか! よろしくだぜ!」

 

 

 快く答えてくれたふたりに少し驚いたようだったが、星羅はすぐににっこりと笑顔を浮かべた。

 

 

 

「うん! よろしくね霊夢、魔理沙!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん、なるほど。幻想郷、かぁ」

「本当になんにも知らないのか……」

 

 

 大雑把に霊夢と魔理沙は幻想郷の諸々を話した。

 

 どういうところか、とか。

 弾幕ごっことは何なのか、とか。

 博麗神社は寂しい、とか(魔理沙が勝手に言いふらしたので霊夢に怒られた)。

 

 

「見た感じ、あなたはスペカを持っていないのね」

「弾幕も使えなさそうだぜ」

 

 という会話をして、霊夢が呟いた。

 

 

 

「見た感じ……で思い出したわ。そういえば星羅、アンタの格好……何があったのっていうくらいぼろぼろね」

 

 

 

 

 言われて星羅は自分の格好に目を通した。

 

 

 コートは薄いグレー。

 何故か袖の肘から先が破れたように欠損しており、そこを含んだあちこちの破れ目や切れ目は焦げ跡のように周りが黒ずんでいる。

 

 服は何かの制服? に近しい、Yシャツにスカートだった。

 

 そして目に写ったのは、左手の腕時計。

 

 

 

 デジタル。

 針ではなく数字が時を刻むデジタル腕時計だった。

 

 左側には3つのボタンがあり、何かの英単語が横に並んでいる。

 

 

 気にはなったが、取り敢えずスルーした。

 

 

 

 

 

 

「なんなんだろこの格好。覚えがないや」

「……だよなぁ」

 

 魔理沙が腕を組んで頷く。

 なにせ名前以外の情報がないのだ。手掛かりがないのでは考えようがない。

 

 

 

 すると、

 

 

 

「……ねぇ、何だろこれ」

 

 

 と、コートのポケットをあさった星羅が言った。

 

 

「?」

「なんだ?」

 

 ふたりが顔を寄せる。

 

 何故か少し顔を赤らめて、彼女は続けた。

 

「えーと……これ……」

 

 

 

 

 

 

 取り出したのは、一枚の何かのメモリ。

 

 カセットにもチップにも近い、端子と何かのイラストがついたものだった。

 

 

 正方形に近いカタチで、端子が三分の一ほど、イラストが残りを、その面の中を占めていた。

 

 イラストには、なにやら電気を纏った巨大な光弾が描かれているようだ。

 

 

 

 

 

 

「……なんだぁ? 見たこともないぜ」

「何かの……メモリっぽいわね? 確か河童のところで何度か見た事があるわ」

 

 

 魔理沙も霊夢も、幻想郷では見かけないものだけに、思わず疑問符を浮かべた。

 

 

 

 

 それもそのはず。

 幻想郷では「失われた技術」「忘れ去られた存在」「非科学的事象」しか、普通には入ってこれない。

 

 結界も完璧ではなく、時々一部の場所に外のアイテムが流れ着く事は勿論ある。

 だがこういった、新品かつ未知のメモリカードが、誰かと一緒にやってくる事は今まで無かったのだ。

 

 

 

 

「……お前のメモリ、だろ?」

 

 

 沈黙を破ったのは魔理沙だった。

 

「お前のポケットの中にあったんなら、きっとお前の物だ。ちゃんと持っとけ」

 

 

(……意味もなく幻想入りするなんて、基本的になさそうだからな……)

 

 魔理沙は心の中でそう思った。

 

 

 

 星羅は「わかった」と言ってメモリをコートにしまった。

 

 

 

 それを見た霊夢は尋ねる。

 

 

 

「それで……どうするの?」

「え?」

「アンタ、家とかないじゃない」

「あー……」

 

 

 

 霊夢は少し考え、こう続けた。

 

 

「本当は、幻想入りした人は早く返さなきゃいけないのよ。例外もあるけど……決まり事なの。でも、そんな様子じゃ返したところで可哀想過ぎるわ。だから……

 

記憶が戻るまでの間、ここにいる?」

 

 

 

 珍しい態度に、魔理沙が驚く。

 

 

「いいのか霊夢? 珍しいじゃねえか」

「別にいても邪魔にならないし、放っておいても辛いだろうし。そんな事なら私が面倒見てあげるわ。どうせアンタの家は散らかってるでしょ?」

「う……そう、だな。……星羅はそれでいいんだな?」

 

 

 突然の誘いに、迷った素振りを見せる星羅。

 

 だが、すぐに笑った。

 

 

 

 

 

 

「じゃあ。遠慮なく、よろしくおねがいさせてもらいます」

 

 

 

「よろしくね。困ったら私に聞いてくれれば答えてあげる」

 

 

 

「私もこまめに来るからな! よろしくだぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この時、誰が想像しただろう。

 

 

 

 

 彼女が、これから迫りくる危機に立ち向かう為のカギになろうなど。

 

 

 




 主人公は作者の分身。
 というか実体験を元にストーリーに合わせたキャラになっています。
 星羅をよろしくね。


訂正

 1マス空けをしました

この中で、番外編やってほしいのは?

  • 紅魔館組
  • レイマリ
  • うどみょん

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