東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜 作:蒼いなんでも屋
ただ明るいだけじゃない、頑張り屋で努力家で繊細な一面も持ってる彼女を描けたらいいな。
黒霊夢と相対する白魔理沙。
2人の時間軸の幻想郷は機怪によって滅ぼされたこと、
白魔理沙はなんとか終止符を打つのと引き換えにいなくなったこと、
来是は星羅として未来から過去へ飛ばされたこと、
黒霊夢が何らかの理由で“八つ当たりのために”この世界を滅ぼそうとしていること……が、判明する。
圧倒的戦力差をもろともせず逆に圧倒する白魔理沙に疑問を抱く魔理沙だったが、その答えは自分で探すよう言われてしまう。
曰く、『星羅に会うこと』がカギらしいが……?
追ってきたアリスに事情を説明した魔理沙は、吹き飛ばされた家の一部を直しながら、今後を語っていた。
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「……もうひとりの、魔理沙……ね。白い事以外はあなたと同じで、だけど強い……か」
「アリスも見ただろ? 森を一閃する、凄まじい威力のマスパを」
「ええ。正直、森を薙ぎ払うくらいなら私でもできなくはないけど……その威力で霊夢を吹き飛ばせるかって言われると……」
「あぁ。だから、私はあいつに聞いたんだよ。その力はどっから来るんだ、ってな。……はぐらかしやがった」
「魔理沙ならやりかねないわね。ていうか、常習犯じゃない」
「お前までそんな事言うのかよ……」
申し訳程度にこしらえた仮組みの屋根の下で、机を囲んで2人は座っていた。
白魔理沙があの時、魔法障壁を展開していたおかげか、外壁が破壊された以外に一切の被害はなかった。
仮にも霊夢の夢想封印、威力も射程も言うまでもない程のもの……それを、外壁が崩れた程度まで抑えるなど、相当な魔力がないと無理な話だ。
白魔理沙から釘を刺された「白魔理沙が死んでいる事実」だけは話さなかったが、それ以外の事はほぼそのまんま伝えた。
「……過去を変えて、滅びの未来を止める。要約するとそんな感じなのね」
「あぁ。そのために……人格をリセットした来是は星羅としてこの世界に顕現したってわけだな」
「……本人の意志、なのかしら」
「たぶんな。……相当な覚悟がないと、人格の再構築なんてやらねえよ」
2人は顔を見合わせ、同じことを思った。
――星羅に、会わなければ。
「……どの道、行かなきゃでしょう?」
「思ったことは同じらしいな。だったら、善は急げだぜ」
半壊した自宅をそのまま置いて、アリスを後ろに乗せた魔理沙は博麗神社へと進路を取った。
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「……魔理沙の、ファンタズムメモリ?」
妖怪退治から帰った霊夢は、星羅に1枚のメモリを見せられていた。
色のない、ブランク状態。
しかし、魔理沙のものだとわかりやすく示すように、星が描かれている。
「……このタイミングで、魔理沙なの?」
「それは私も思った。霊夢の話だと確か……次は、地底がどうのこうのって」
「えぇ。……何かあるのかしら」
訝しがる霊夢を、華扇が諭した。
「……黒い霊夢の事、知ってるでしょう」
「何よ急に……なんなら襲われたわよ」
「…………もし。
黒いあなたと、過去の魔理沙が、かつての星羅……来是にとっても特別な存在だった。
……としたら、どう?」
霊夢の目が見開かれた。
「……華扇?」
「霊夢と魔理沙は、初めて星羅と会った存在。メモリというのは記憶を反映するもの。
……もしも、来是もまた同じだとしたら? ファンタズムメモリが、過去を変えつつも来是の道程を辿るための指標だとしたら? 過去の霊夢達が、来是にとって何よりも大切な存在だったなら? ……そう考えると、最も一緒にいて、なおかつ恩人でもあるはずの貴女達のメモリが特殊だとしても、違和感はないわ」
「私達が特殊……か」
霊夢は顔をしかめる。
薄々勘づいてはいたが、改めて意識すると複雑だ。
星羅にとって自分達が必要なのはわかっている。
裏で眠る来是にとっても。
しかし、未来からやってきた黒い自分は……逆にそれを拒絶し、私達を攻撃し、果てにはまるごと消し去ろうとしている。
何があってあそこまでキレてるのかはわからないが……「何かあった」ことで、豹変していることは間違いない。
星羅と共にいることで……もしも同じ道を辿る事になったら。
そんな不安が過り始めた。
「…よう。帰ったんだな、霊夢」
「……魔理沙」
そこへ、聞き慣れた声が響く。
振り返ると、魔理沙がアリスを伴って降りてきたところだった。
箒を立てかけ、星羅の元へ近づく。
「その様子。何かあったんだな。私の方でも色々あったんだ。
……今朝の続きっちゃ何だが、意見交換しようぜ」
「……わかった」
星羅はこくりと頷き、華扇と霊夢にも目線を送った。
「……私はそろそろお暇するわ。役目も終えたし、霊夢や星羅に言いたいことも言えたもの」
「やった」
「……何か言った? 霊夢」
「なんでもない」
「星羅、頑張ってね。私の方でもできるだけ情報を集めてみるから」
「はい」
華扇と交代する形で2人を加えた博麗神社。
ちゃぶ台を囲み、お互いに起きた近況を話し合う。
「……私のメモリか」
右手でつまみ、まじまじと自身のブランクメモリを見つめる魔理沙。
自分のものができて嬉しいような、また星羅が苦しみかねないかという心配のような、複雑な感情が湧き上がってきた。
「これが、メモリ……改めて見ると、無機質なはずなのにどこか儚げで、綺麗ね」
アリスもいくつかのスペルメモリを手にとっては、珍しい物を見る目で物色していた。
「こんな小さなカードで、あれだけの技を出せるのね。不思議」
「まぁ私達にも原理は不明だけどね」
霊夢が皮肉げに言う。
「スペカだけじゃなくて、星羅の記憶も入ってるんだもの。どうやって人間の記憶をこんなカードに入れたのか、そもそもスペカと一緒になってるのは何故なのか……ある意味星羅以上に謎なのよね」
「へぇ」
羨ましそうに見ていた上海と蓬莱に渡してあげながら、アリスは魔理沙に話を振った。
「で、魔理沙? こっちも話すことあるでしょ」
「おっと、そうだったな」
魔理沙は自分のブランクメモリを返し、その話を切り出した。
「……霊夢、あれから黒霊夢には会ったか?」
「いや。全く」
「……白い私に会ったぜ」
「……はい?」
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「……黒い私に、白い魔理沙。そして、来是。みんな、過去からやって来て、この世界で何かを成そうとしている……か」
話を聞き、霊夢は目を細めて呟く。
「……知らぬ間に好き勝手されるのは、正直困るんだけどなぁ」
「ま、あっちからすれば過去改変だが、こっちからすればやってることはただの荒らしみたいなもんだからな……」
魔理沙も頷く。
しっかりと理由を話すこと無く暴れ回る黒霊夢。
制限のせいであまりこちらに顕現できない、しかし今回の最重要人物、来是。
謎の振る舞いを見せ、黒霊夢を止めようとしているらしい、白魔理沙。
常に星羅と共にある来是はともかく、黒霊夢と白魔理沙はいつの間にか現代にやってきて、それでいて独自の行動をしている。
あちらはすべてを知っているのに対し、こちらは未だにほとんどの情報を知らされていないのだ。
「とにかく」
アリスが言う。
「今は……黒い霊夢に気をつけつつ、白魔理沙から情報を引き出す他ないわね」
「ついでに、あいつに会うまでにあいつの力の源を掴まなきゃならないからな……」
魔理沙が付け加えた。
「私、ちょっと人里に行ってみようかな」
「珍しいなアリス」
「なんとなくよ。機怪についての情報収集。あいつらのことを追えば、おのずと何かわかるかもしれないじゃない。魔理沙だと面倒事になりそうだからね。素材も買わなくちゃいけないし」
「本命そっちのくせに……まぁいいわ、私もついてく。暇だし」
「さっきの発言ブーメランしていい?」
「え、霊夢また人里に行くの?」
「たまには動きたくなるもんなのよ」
そう言い立ち上がる霊夢とアリス。
戸を閉める直前、アリスは一瞬、魔理沙に視線を送った。
「……」
「……! ……わかった」
何かを察し、こくりと頷く魔理沙。
何をしたのかわかっていない星羅はただ首を傾げるしかなかった。
「星羅。私がここに来たのには、別の理由があるんだ」
「……え?」
座り直した魔理沙は、静かに話し始めた。
「……白魔理沙の、あの力。黒霊夢さえも翻弄し圧倒できる、あいつのあの力。それの秘密を知るためにここに来たんだ」
「力?」
星羅が首を傾げると、魔理沙は言った。
「殺意むき出しの霊夢の攻撃を全部無効化するばかりか……まるで全部わかってるみたいな動きと、無敵なはずの霊夢の防御を貫くマスパを撃つ力を、兼ね備えてたんだぜ」
「……霊夢の力を、無効化……!? ……たまたまじゃ、ないの?」
「んなわけないだろ。でなかったら、あそこまで行動の読めた反撃には転じられないって、自分がよくわかってる」
「……そうなの?」
彼女は、ミニ八卦炉を取り出した。
「……霊夢の力は、正直私なんかよりも遥かに上だ。なにせ、この幻想郷そのもののバランスを保つためにいるんだからな。……でも、そんな霊夢の力を……真っ向から打ち破る術を、白い私は持ってた。その謎がわかれば、私達も黒霊夢に対抗できる」
握りしめるその手が、震えていた。
「……」
「それは、お前に聞けばわかるって言われた。だから、一緒に解き明かして欲しいんだ」
星羅に向き直り、告げる。
「頼む、黒霊夢もぶっ倒せるような力を……見つける手伝いをして欲しい」
「…………」
沈黙が流れる。
「……………………」
更に、沈黙が流れる。
「……星羅? おーい」
魔理沙が心配そうに聞くと、うつむいていた顔が唐突に上がった。
「……………………無理」
返されたその言葉は魔理沙の予想を遥かに飛び越えた。
「……な…なんでだよ!?」
「魔理沙、たぶん……わかってないと思うよ。白魔理沙の持ってる力の意味」
ため息混じりに続ける。
「……あのさ。たぶん白魔理沙って…黒霊夢を倒したいんじゃなくて、止めたいんじゃないの?」
「!?」
「だって……あの時戦った黒霊夢、苦しそうだったもん。悲しそうだったんだもん。……辛そうだったんだもん。そんな黒霊夢を、きっと助けたいんじゃないかな」
「……」
更にこう付け加えた。
「……気付いてないだけで、たぶん……魔理沙は持ってるよ。その力」
「…そう、なのか?」
魔理沙は今一度、八卦炉に目をやる。
「……………………、まさか」
長い、長い沈黙の後、彼女は立ち上がった。
「どこに行くの?」
「……もうちょい、考えてみる。私の持ってる、力ってのを」
何かに気付いたような、堂々とした足取りで、彼女は神社をあとにした。
「……それで良いんだ、魔理沙」
星羅が、一人呟く。
「……君は、君らしく進んでくれれば、それで良いんだ。悩まないでほしい。
だって…まだ、霧雨魔理沙として、幻想郷に生きてるんだから」
……否、その瞳は来是のものであった。
いつの間にか切り替わった意識が、魔理沙を導いていたのである。
「……さて、魔理沙にもアドバイスできたし……星羅に身体を渡そっかな」
そう言うと、その身体はちゃぶ台にうつ伏せになった。
「……う……あれ?
みんなは……どこに……魔理沙? さっきの質問は??? えっ……えっ??」
目覚めた星羅が、誰もいなくなった神社に困惑してしまっていたことは、後で3人が知ることになる。
久々の来是。
まだ彼?の真意は不明です。
いつになったら星羅と邂逅するのか? ご期待ください。
そろそろ、現在の主役がいつの間にか魔理沙になっている事に気付くはず。
この中で、番外編やってほしいのは?
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紅魔館組
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レイマリ
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うどみょん