東方幻創弾 〜Phantasm memories from Buster.〜   作:蒼いなんでも屋

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第一章最終回。
星羅は果たしてどうなってしまうのでしょう?


ここからどうやって逆転するのか、しっかり見届けてもらえると嬉しいです。



因みに星羅のバスターには当然元ネタがあります。
もしもわかった方いらっしゃいましたら是非コメントをお願いします。


前置き長くなりすみません。
では本編のスタートです!







004. 蒼光の弾丸

 自分の腕時計に備わった三つのボタン。

 

 それを私は、無意識に手を動かして、正しい順序で押した。

 

 

 

 

 どこかで私は、これが正しいってわかってた。

 

 

 

 

 

 

 ライズバスターが装備された時、私の中で何かが変わった。

 

 

 記憶が少しだけ、戻ってきた。

 

 

________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まだ幼い頃、“僕”はヒーローに憧れた。

 

 

 誰よりも強く、何よりも平和を愛し、正義の為に悪と戦う。

 そんなヒーローに、気づけば憧れていた。

 

 

 

 

 

 

 そんな中、特に憧れた存在があった。

 

 

 世界征服を企む悪の人物に立ち向かう、一人の少年ロボット。

 

 

 立ちはだかる敵の力を宿して。

 時に危ない力を宿して。

 

 そのロボットはゆく。

 

 望まぬ戦いのその先に、平和な世界と、理想とする人とロボットとの共存の為に。

 

 

 

 

 

 

 独りぼっちだった“僕”は、そんな「青いロボットヒーロー」に憧れ、いつしかそんな風になりたいと思うようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、それを思い出した“私”は__

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[最重要目標ヲ確認!! 抹殺スル!!]

 

 

 唐突な動きに動揺する魔理沙。

 

 

「……えっ?」

 

 

 赤色の敵がこちらにその銃口を向け、弾丸を連射してきた。

 

 

 

 

「しまっ……!? 星羅っ!!!」

 

 

 

 霊夢の悲痛な叫びが聞こえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 刹那、思考が過る。

 

 

 

 

 __このまま、死ぬの?

 

 

 

 折角助けてもらったのに、何もできないの?

 

 折角取り戻せた自分を失うの?

 

 

 

 

 

 折角……霊夢と魔理沙という、“はじめての友達”ができたのに……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っ!」

 

 

 

 

 

 星羅は立ち上がる。

 

 右脚を強く踏みしめ、腕の銃身に、力を込める。

 

 

 

「……駄目だ。

 

 

こんなところで終われない。霊夢と魔理沙に救われた命を……無駄になんか、できるかっ!!!」

 

 

 

 ポケットからガッと取り出したのは、先程のメモリカード。

 

 

 そのイラスト……プラズマが描かれた部位がほのかに光っているように、香霖からは見えた。

 

 

 

「せ、星羅ちゃん……!?」

 

 

 

 

 

 

 そして星羅はメモリを、バスターのスロットに勢いよく挿し込んだ。

 

 

 

「スペルメモリ、セット!」

 

 

 

 ガキン、と音がして、メモリは吸い込まれるように内部へ入った。

 

 

《……Spell-memory,confirmed……Loading》

 

 

 再び響く機械音声。

 

 

 銃口にプラズマのような電磁波が集い始め、星羅の周囲に蒼いエネルギーが漂う。

 

 

 

 

「____はぁぁぁ……っ!!」

 

 

 

 

 

 右腕を前方に向ける。

 

 

 

 徐々に高鳴る光のチャージを、左手でしっかりと支える。

 

 

 

 

 青白いエネルギーが銃口に集中し、光が溶けては現れを繰り返した。

 

 

 

 

 使い方なんて、今更だった。

 

 

 自然にどうすればいいか、わかった。

 

 

 

 

 

 

「……うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、少女は叫ぶ。

 

 

 

 必殺技(スペルカード)の、その名前を。

 

 

 

 

 

 

《Ready,Go!!》

 

 

 

 

 

 

 

「……弾符!!!

 

 

 

プラズマぁ、チャージ、ショットぉぉっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__バッシュゥゥン____

 

 

 

 

 

 

 ____くぐもったような発射音と衝撃が響き渡り、星羅の右腕は反動で真上まで上がっていた。

 

 

 

 縦幅が身の丈程もある、超巨大な青き光弾は、プラズマエネルギーのオーラをまとって、敵のガトリング弾を全て相殺・貫通、そのまま高速で赤ずんぐり__もとい、機怪指揮官機に命中。

 

 

[……な、ナンダト!?]

 

 

 

 さらに命中時に現れた巨大なプラズマ放電球が、覆っていたバリアを粉砕し、更に機怪を数メートル先まで吹っ飛ばした。

 

 

[ウオォ……!?]

 

 

 

 勢いのまま、彼は進行方向にあった木に激突。

 しかしショットの凄まじさはとどまるところを知らず、その当たった木は倒れてしまった。

 

 

[マ、まさか力を取り戻すトハ……!!!]

 

 その言葉を最期に、機怪は粉々に爆散、ガトリング砲のみを遺して完全に消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この出来事、わずか数秒である。

 

 

 

 そこそこな距離が幸いし、また瞬間的にチャージされたお陰で、星羅はスペルメモリを発動出来たのだ。

 

 

 

 とはいえ、それでも初見の敵をイチコロしたのもあって__

 

 

 

「星羅……アンタ、やるじゃない!! すっごく見直したわ!!」

「あのずんぐりむっくりを一撃(ワンパン)でぶっ飛ばすなんて、すげぇぜ!!」

「星羅ちゃん! 君は凄い力を持ってたんだね!!」

「わーわー、押さないでー……」

 

 

 

半壊した香霖堂で、星羅は三人によってたかって褒められていた。

 

 未だにバスターは解除出来ていないが、さっきのメモリは勝手に

 

《Nice busting!》

 

と、スロット部分から排出された。

 

 

「どうやら君のスペルカードは、そのメモリが引き出すみたいだね」

 

 香霖が言った。

 

「スペルメモリ、だっけ。きっとそれは君の記憶を引き出すカギになるんだと思う。……大切にしなさい」

 

「……はい」

 

 

 星羅はメモリ__弾符【プラズマチャージショット】を見つめる。

 そして何かを噛みしめるように、それを強く握った。

 

 

 

 

「……でさぁ!!」

 

 

 すると、香霖はある方向を指さして、

 

 

「僕の店……どうしてくれるのさ!!??」

 

 

 

 

 霊夢がよそを向き、魔理沙が苦笑いする。

 

 星羅も、とほほ、と呟いた。

 

 

 

 

 そう、先程吹き飛んだ壁。

 星羅のチャージショットの煽りを食らって、三倍ぐらいまで広がってしまっただけでなく、周囲が焦げていたのである。

 

 

 

 

 大元の原因は霊夢と魔理沙、二次災害は星羅。

 

 

 三人はめんどくさくなり、しらばっくれて

 

 

「ご、ごめーん霖之助さん……私達、帰るわ〜!」

「悪いな!! 今度お詫びするから!!」

「香霖さんごめんなさい! 私次来たらなんかします〜!」

 

と、すたこらと外へ逃げていった。

 

 

 

 

「ぅおーい! 僕の店〜っ!! かーえーせぇぇ!!」

 

 

 

 彼女達の背中に届いた、絶叫にも似た香霖の悲痛な叫びが、魔法の森にそれなりに響いていた、というのは、後で魔理沙が知った事である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にしても星羅、よく頑張ったぜ」

 

 自分の後ろに乗った星羅に、魔理沙は言った。

 

「始めてのバトルがあんな風になるなんて思わなかったが、それでもアレは凄いぜ」

「いやいや、全然だよ。魔理沙だって機怪を五体もやっつけたじゃん」

 

「……私今回まともに敵倒せなかったわねー」

 

 霊夢が羨ましそうに言った。

 

「ま、アンタが少しでも記憶戻したんなら、別に良いわ。手伝わせるからには、ちゃんと全部の記憶を取り戻しなさいよ?」

 

 言われて星羅はハッとする。

 

 

 自分の記憶を取り戻して、記憶の中の“僕”を知らなければならない。

 そんな風に思ったのだ。

 

 

 

 

《Buster-off……》

 

 

 

「わっ」

 

 

 ふとライズバスターが勝手に解除され、光と共に腕時計に戻って左手に装着された。

 

 

 

「それについても、何かしらわかるといいな」

 

 魔理沙がその様子を見て言う。

 

 

 それを受け、星羅は心で呟いた。

 

 

 

 

 

 謎は確かに増えた。

 気になる事もたくさんある。

 

 

 でも、ふたりと一緒ならきっと思い出せる。

 

 

 だって、このふたりは__

 

 

 

「よっし! 霊夢、帰ったら星羅にお手本がてらさっきの二回戦やろうぜ!!」

 

「あのねぇ、博麗の巫女を何だと思っているのよ」

 

「暇人だろ?」

 

「白黒魔法使いが言うな!!」

 

 

 

 

 

 今の私にとっての、大切な友達なんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さ、早く帰ろっ!」

 

 

 

 

 星羅は笑ってふたりに言った。

 

 

 ニートだのサボりだの色々言い合っていた霊夢と魔理沙は、彼女の言葉に、自分達の行動がバカバカしくなって、あははっ、と笑い出し、

 

 

 

 

 

「「……勿論!!」」

 

 

 

と、博麗神社へぐんとスピードを上げていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________

 

 

 

 

 こうして、記憶喪失の少女は、楽園の素敵な巫女と普通の魔法使いに出会った。

 

 

 幻想を創り上げてゆく物語は、ここから始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 __丁度、季節は春。

 

 

 桜の花弁が散り、その横に薄っすらと、人魂が飛び回っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Continued to the next phantasm……




次回から第二章スタート。

誰が出てくるかはお楽しみに。

匂わせ気味な事は書いておきましたが……。





次章から話数が増えるかもしれません。

この中で、番外編やってほしいのは?

  • 紅魔館組
  • レイマリ
  • うどみょん

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