犠牲エンドからルフレが帰還した世界。ルキナがルフレの部屋を掃除しているとルフレの秘密の日記を見つけて読んでしまう話。

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プライベッターにあげていたものです。
いい夫婦の日にあわせてこちらにも上げました。
支援Sだけどまだ式は挙げていない時の話です。
なんでも読める人向けです。


ルフレキ短編

 ギムレーがルフレの命によって完全に討伐されてから一年、ルフレは奇跡的に生還することができた。晴れて恋人のルキナと共に平穏な日々を過ごせるようになったあるひのこと。

 イーリス城ルフレの私室兼執務室にて。

ルフレとルキナは、棚に押し込まれた本や床に積み上げられた本達を整理していた

事の顛末は、クロムに「さすがに本が多すぎる、仕事にも支障が出る程だ」と言われてしまい、ルフレも城主の命には従うことにした。ルフレはこのままでも問題ないと思っていたが。

 

 そんな経緯でルフレはバタバタとルキナと共に本を移動させている。幸いクロムがルフレの為に新しい書庫を作ってくれたので、ルフレは本を手放すことが無い嬉しさと、クロムへの感謝を込めて本気で大掃除をするのであった。

始めルフレの部屋の有様を見たルキナは

「これは…思っていたよりも凄いですね…。ルフレさんはご不便なさってるのでは…?」

ルフレ少し恥ずかしそうに目線を下げながら

「…僕としてはどこに何が置いてあるかわかるから苦労はしてないけど、やっぱり他の人から見ると酷い状態なのか…」

 

そんな会話から終わりの見えない大掃除は始まった。

ルフレは書庫へ移動させる本の選別、運搬を行い、ルキナは棚や床に積まれた本を集め、わかる範囲で仕分けを行う分業体制を取っていた。

 

 ルフレが何周目かわからない書庫への運搬で部屋を離れている際に、ルキナはあるものが目についた。

それは本の山から顔を出した木箱だった。床に積まれた本の山を切り崩して発見できたもので、大きさの割に重くはない。

特に鍵などは付いていないようだったので、ルキナはそっと蓋を開けた。中に入っていたのは使い込まれた手帳のようなものが詰まっていた。

表紙だけでもそれぞれが使い込まれたことがわかり、中には痛みがひどく装丁も剥げ落ちているものもある。

ある手帳を1つを手に取ろうとした時にルフレが書庫から戻ってきた。

ルキナが木箱を開けている事に気づいたルフレはひどく慌てた様子でルキナに駆けより

 

「あー!ルキナ !その箱はいい!開けないで!後で僕がしまっておくから!ね」

 

ルフレの様子が随分と慌てているのを気にはなったけれども、

 

「そうなのですか?この本はずいぶんと数が多いようですし…2人で分けた方がよいのではありませんか?」

「その手帳は僕にしかわからない順番があるし…ね、大丈夫だよ僕がやるよ」

そう言ってルフレは木箱の箱を閉じた。

ルキナは先程の行為は気にしながらも整頓続きをしていた。

その後しばらくして遠くからクロムがルフレを呼ぶ声がした。

「おーい!ルフレー掃除中だと思うが、悪い少しこっちに来てくれないか、急ぎの案件フレデリクから届いた」

そんなクロムの声を聞くと、小さくため息をついてからルフレは大声で

「まってくれークロム、今そっちに行く」

 

と、返事をすると今度はルキナに向かい申し訳なさそうに

「ごめんルキナ 、クロムが呼んでるから少し行ってくるよ、すぐ戻ってくるから。頼んでおいてホントに悪いね。その間掃除は休んででもいいからね」

 

「いいんですよ、私の勝手にやっていることですから」

 

そう言われて少し寂しそうな顔をしてから

戸口へ向かって出て行こうとしたとき、思い出したように振り返り

 

「ルキナ !さっきの箱絶対開けちゃダメだからね!もちろん中のも触っちゃダメだからね!!」

と念を押して早歩きで出ていった。

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ダメといわれれば気になってしまうのが人の性で、休んでもいいと言われたこともある。ルキナは再びそっと木箱の蓋を取り、隅にある一冊を取り出した。隅にあったものなら場所がわからなくなるもないだろうという判断だった。

部屋備え付けの長椅子に座り慎重な手で手帳を開く。

すると表紙の裏にはルキナが”マルス”を名乗っていた時代の日付が記されていた。インクは変色していたが文字はしっかり読むことができ、整った筆跡はルフレのもの間違で間違いはない。ルキナは興味本位でページをめくっていった。

 

[今日は一日中晴れ、武器の調達が少し難航している。明日の朝一から商人に交渉をしなくては。今日中に別件を処理してしまおう]

[今日は雨、予測通りの天気で対策はしていたが、やはり行軍に影響が出ている、作戦の練り直しが必要だ]

[今日は曇り、屍兵との戦闘があったが誰も怪我を負わずに済んでよかった…本当に良かった。今後の為にもまだまだ戦術の勉強をしなくては]

 

などの軍師としての記録が残っていた。どうやら戦時中のルフレの手記だったようだ。ただルキナが気になったには軍師としての記録の下に書かれている文章だった。

 

[今日はフレデ肉と模擬戦をした、剣のみの戦いで直ぐに負けてしまった。魔法が使えれば負けない自信はあったのに。こんどお礼に熊肉を食事に仕込んでおこうかな…それはこの前やったか]

[ノノと蛇を捕まえた、ノノのコントロール技術は進歩していた、ちなみにノノと一緒に捕まえた蛇を焼いて食べたが案外美味しかった]

[またヴィオールに負けた…勝てたことがない……だから次こそ勝ってみせる!そのためにまだまだ頑張らないと]

仲間たちとのその日あった交流も書かれていて、ルキナは自分の知らないルフレに触れられ心温まった。

ただところどころに書かれるルフレの言葉も気になった。

 

[皆は冬の休みに各々の実家に戻るらしい…僕にも本来帰る場所はあったのだろうか、あったとしたら今も僕を待つ人もいるのだろうか]

[城内へ行くと僕の噂を聞く、出自不明の人物…確かにそうだ。僕は本当にクロムの隣にいてもいい人物なのかな]

[みんなが子供の頃の話をしていた。普段は記憶喪失のことは気にしてないけど…あの輪の中に入ることが出来ない自分を寂しく感じる]

 

「ルフレさん…」

手帳を読み進める内に自然と言葉が溢れる。普段の素振りからは全く窺い知れないルフレの姿がそこにあった。

ルキナは手帳をそっと閉じ元の位置に戻した。そして部屋で見つけた栞手に木箱を長椅子の傍まで持ってきた。他の手記にはどんなルフレがいるのかが知りたくなり、読みやすい場をつくったのである。そして箱の中心よりも少し下の手帳を手に取りその隙間に栞を挟んだ。これでどこの手記を読んでも元の位置に戻すことができる。

手記の時代、内容は様々だった。フェリアの大会のこと、ヴァルム大陸での戦のこと、ソンシン国へ行ったこと、箱に納められた手記を読むに連れ時代が進んでいく。

そんな中、ルキナは次々読み進める内に気になる文章が出てきた。

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[彼女の戦い方はクロムに似て危なっかしい、守らなければ]

[今日も彼女のことをつい目で追ってしまう、ガイアによればこれは"恋"だというものらしい、僕が恋を?今までそんなこと無かったのに…でも胸が苦しい…]

[彼女はクロムの娘だぞ!それに大切な使命を持って未来から来た戦士なんだ…

だから……”好き”になんてなってはいけない存在なんだ!………ってあぁそうか、書いてわかった…僕はルキナが"好き"なんだ]

 

ここまで読んルキナの顔が赤くなったが、次の手帳ではさらに

[ルキナに告白した!彼女も僕が好きだっただって!?今もう…この気持ちをなんと表せばいいのか!今日は寝れない絶対…寝て夢だったら僕は…生きてはいけない]

[ルキナと一緒に商店街を見て回った、前もって何か買ってあげようと考えていたけど、一緒にいられるだけで嬉しくて忘れてしまった]

 

顔から火が出ているのではと思いながらページをめくっていたその時

 

「あーーー!開けちゃいけないって言ったのに!!!それどこのやつ?!」

「この段の…一列です…」

「あー、あぁ……」

ルフレは額に手を当て天を仰いだ。立ちつくすルフレを椅子から見上げたルキナ はルフレの顔が耳まで赤くに染まっているのがわかった。

ルフレは大きく息を吐き出すと、諦めたようなでもスッキリした顔でルキナの隣に座る。

 

「まぁ、…そう言うことだよ。絶対見られたく無かったけど、今ルキナに見られてある意味スッキリしたかも。どうだった?」

「すみません…ルフレさんの手記とは知らず…

あの…ちょっぴり私の知らないルフレさんが見れて良かったです」

「…そうか、なら良かったのかもね、こちらとしては恥ずかしさ極まりないけれども……。ところでこれも読んだのかい?」

そう言うとルフレは一番痛みの酷い一冊を優しく手に取った。

 

「いいえ、それは痛みが激しくて触るに触れるなくて…」

「そうか…これはね、ペレジアとの戦争が書いてあるものなんだ…。ペレジアから敗走して雨風に晒されたからこんなに傷んでしまったんだよ…。今はもう文字も読めない所もある」

「それ…は…」

悲しみを顔を浮かべながらルフレは続けた

「この本を見るとあの頃のことをよく思い出すよ…僅かな時間の中記したんだ。

エメリナ様を救えなかったこと……あの時のクロムの様子…ムスタファーと戦ったこと。ムスタファーとの戦闘はイーリス群の心も変えたよ。熱を出した時クロムが薬草を持ってきてくれたこと…一早くイーリスに戻らないといけないのに僕の為にとどまってくれて…感謝してる。でなければ僕はここにいない。

…ここで起きたことを思い出にはしない、何があっても忘れない。何もできなかった自分自身も」

 

 ルキナは俯きながらルフレと同じ悲しみ表情で

「ルフレさん…私もあの時のことは忘れられません…自分の無力さを思い知らされました。暗殺は防いでも結局エメリナ様を救うことはできなかった。

私は何も…あの時何もできなかった…」

 

ルフレはルキナの肩に手を置き、ゆっくりとでも力強く言った

 

「そう、あの時僕達は無力だった。だからこそより一層平和への道を作る努力ができたんだ。ヴァルム帝国を退け、ギムレー教団の思い通りにさせなかった。結果、ギムレーは消滅した。ペレジア戦が良かったとは言えないけど、無駄なことじゃなかったのは確かだ」

ルフレもルキナもお互いに慰めの言葉はかけなかった。ルフレは静かに立ち上がり決意がこもった手記を元の場所に戻す。

その姿を見るとルキナはふと、思いついたようにルフレに尋ねた。

 

「ルフレさんは今も手記を書いているのですか?」

「書いているよ、絶対に見せないけど」

いたずらっぽく笑って答えたルフレをルキナは少し怒り顔で

 

「見せてください!私のことを、私達のことがどんな風に書かれているのか気になります!」

[絶対見せない!もし隠し場所を見つけられたいいけどね。軍師の僕が隠したんだ。そう簡単に見つからないと思うけど」

 

見たい、見せない。そんな微笑ましいやり取りをしている2人に、掃除の進捗を確認しにきたクロムからの叱責が飛んでくるのはもう少し後だった。

 

 




ルフレが心の内を日記に密かにつけていて、それが愛するルキナに見つかって欲しいと思い書きました。
後で修正するかもしれません。


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