ハーフの恵くんは居場所がほしい   作:かりん2022

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初仕事 兼 大仕事

「ここが、父さんの故郷……?」

「あー。平行世界って奴らしいがな。ま、大した違いはね―だろ。最後にもう一度だけ聞く。本当に良いんだな?」

「あっちに俺の居場所はないよ」

「ちっ まあな。卒業くらいまでは生き延びろよ」

「わかってる」

 

 父さんは呪専の門を叩く。

 

「あー。俺の子、戸籍がない上に呪霊が見えるんだが、なんとかしてやってくれ。得意だろ、そういうの。じゃあな」

 

 くしゃっと頭を撫でて、地獄蝶とともに帰っていった。

 もう、帰ることは出来ない。

 ここで生きていくしかないんだ。

 中から人が出てきて、俺を見て声を上げた。

 

「恵くん!?」

「確かに、俺は茨 恵ですが。なんで俺の名前を?」

「人違い……? 確かに、言われてみればちょっと違う気が……とにかく、中へ入って」

 

 ずっしりとした荷物を持って、中に入る。

 応接室に案内され、しっかりとタブレットを持って待った。

 人界に相応しい服は一護さんに用意してもらったし、実際に人界に降りた事もある。それでも、ソウルソサエティと人界ではだいぶ勝手が違う。故に、死神お手製のアプリに「人界の歩み方」というアプリを入れてもらっていた。なお、甚爾からは呪術界についてのデータを入れてもらっている。

 わからない言葉があれば、これで検索すれば一発……のはずだ。

 そして、待つことしばし。

 

 強面の男がやってきた。と言っても、死神にも強面は多いので、それが強面だという意識すら、茨は思わない。何せ、幼い時から剣八達を見ているのである。

 

「茨 恵くんと言ったね。私は学長の夜蛾だ」

「はい」

「これは見えるかな?」

 

 指し示されたのは蠅頭だった。

 恵が初めて見る二体目の呪霊である。ちなみに一体目は父の保有している呪霊だ。

 父のはまだ見慣れているが、初めて見るそのエグさにビクッとなる。

 虚とは全く別種の恐ろしさだ。

 

「見えます」

「そうか。恵にそっくりだが、禪院家という名前に聞き覚えは?」

「本当の本当の本当にどうにもならなくなったらそこを頼れと言われました」

「お父さんの名前は言えるかな?」

「茨 甚爾です」

「……なるほど。君をこちらへ送り届けたのは?」

「父です」

「義理の父?」

「いえ、茨 甚爾です」

「まさか。連絡は取れるかな?」

「取れません。帰れる手段もないですし、帰らない覚悟で来ました」

「そのタブレットに連絡先は載ってないのかな?」

「これは、呪術界についての事とか、勉強の事とかしか載ってないです」

 

 夜蛾学長は頭を抑えた。

 

「……色々聞きたい事はあるが、まずはこれを聞こう。戦えるかな?」

「護身術は習ってます。後は見えれば何か仕事は貰えると父が。呪霊との戦闘経験はありません」

「全く?」

「はい」

「試しに、この呪霊を祓ってみろ」

「呪具を使ってもいいですか? 呪力の練り方がわからないので」

「そこからか……構わない」

 

 荷物の中から、父から餞別で貰った呪具を取り出す。

 

「待て。蠅頭に特級呪具を使うな」

「??? あの、間違ってましたか?」

「はぁ……。呪術師として生きてきたなら、呪力の把握ぐらいしないのか?」

「呪力を今まで封じて生きてました」

「何故」

「母が呪力駄目なので。でも、呪力を含めて俺だから」

「それはそうだ。……君は何故、ここに来た?」

「俺の居場所がほしいから。俺が、俺のままでいていい居場所がほしいから。命の危険があることはお聞きしてます。全然訓練してなくて、ついていくのも大変だと思います。甘ったれな俺が生きていける場所じゃないとか、呪術師ってすごく大変な仕事だとかは父から散々聞きました。でも、俺、自分の存在を否定したくないんです。居場所を得るためだったら、命がけでも頑張って食らいついていきます。それに、呪力のある友達も欲しいです」

「……合格だ。入学を許可しよう。伊地知に案内させる」

「ありがとうございます!」

 

 ほっと笑顔になる。

 それから、部屋に荷物を置き、他の一年生に紹介された。

 

「茨 恵です。よろしくおねがいします!」

「うおっ 伏黒にそっくり! 俺、虎杖 悠仁!」

「伏黒 恵。あんた、禪院家か」

「釘崎 野薔薇よ」

「父が元関係者だったみたいです。でも、父が呪術界と縁を切ったのは俺が産まれたときで、俺は知識も何もないので、色々教えて下さい」

「俺も何も知らねーんだ、よろしくな! 敬語は良いよ」

「ありがとう。虎杖」

 

 親交を温めていると、早速任務が来た。

 特級呪霊が相手だが、避難誘導がお仕事である。

 

「逃げ足なら自信ある!」

「頑張ろうぜ!」

「素人が二人って大丈夫なの?」

「まあ、禪院家だし、問題ね―だろ、多分」

 

 初仕事、頑張ろう。俺は早速準備をしたのだった。

 

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