ハーフの恵くんは居場所がほしい   作:かりん2022

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生徒 兼 先生

 

「いやー、結構油断しちゃったかな―。まさか数日封印されっぱとは思わなかったけど」

「すみません……」

 

 封印直後、ふらついていたので医務室に直行である。今は診察を終えた所で、念の為一日安静にということになった。俺はビクビクしながら果物を献上していた。となりでは、ぬいぐるみの体を得たポチもお菓子の皿を掲げている。なお、頼れる同級生たちは、五条先生封印により数日間のボーナスタイムだヒャッハー! となった呪詛師退治に出撃させられている。

 

「だーいじょうぶ。怒ってないから。単なる模擬戦でしょ? でも、霊体っていうの? あれで戦うのはお互い心臓に悪いね。手加減難しいし、君もやりにくそうだったね。茨は対人戦をもう少ししたほうが良いのかな―。僕に攻撃することを酷くためらってたみたいだけど、対人戦は初めてじゃないよね? この辺は信頼かな」

「その。秘伝を使える人としか、対峙したことがなくて。秘伝を使えない人は、護る対象で。父さんが言ってた、禪院家の者にあらずんば人にあらず、みたいなものです。でも俺、結局自分の命おしさに人間相手に使って……。あまつさえ、邪道まで。皆だったら、ちゃんと自分の命より、規則を優先できるのに……。俺、いつもこうなんです。だから、馴染めなくて……。あの時も、悪霊を成仏させるのに呪力は使ってはだめだって言われたのに、俺、相手が強くて、死ぬかもって思って、軽率に呪力使って……。怒られても、全然悪いと思えなくて、それどころか、呪力も俺の一部なのにとか、呪力で倒して、何が悪いんだって言い訳ばかり浮かんで、もう無理だって、俺、最低で……いくら鬼道が出来ても、卍解が出来ても、一番重要な心がこれじゃ……」

 

 駄目なのだ。ずっと見下していた、鬼道もろくに操れない先輩死神に、心の強さで負けてしまった。それが俺の心に影を落としていた。

 大切なのは力だけじゃない。心が伴って初めて力。いくら鬼道ができても、俺は死神失格。そう、心に刻まれた初陣だった。

 

 頭にぽんと優しく手が乗せられる。

 

「それは僕が人じゃないってことかなー?」

 

 ギリギリギリギリ。

 

「あいたたたたたたた」

「とにかく! 君が前いたところでは、呪力は駄目みたいだけど、呪術界では君の持てるもの全部使ってオーケー! だからもうウジウジしない! 後は、信頼だね。それにしても、君のとこの事情はすっごく気になるな―。まさか僕の知らないオカルトな業界があるわけ?」

 

 うう。やっぱり、言わないと駄目だよな?

 

「母さん、異世界人なんです……。異世界に迷い込んで困っていたところを、父に救われて。異世界では、呪霊ではなく悪霊が暴れてて。母は悪霊を正しき輪廻に戻す仕事をしていて。呪霊と悪霊が根本的に違うことは、悪霊は消滅させてはいけないことなんです。魂の総量が変わってしまうから……! だから、向こうでは呪力は厳禁で。でも、人間界では今度は霊力を使っては駄目なんです。霊力を一定出力以上で使っては、周囲にいる人が霊力にあてられて……! 虎杖達は大丈夫でしたけど、先生は直に俺の霊力を浴びてるので、なので、その、数日は側にいさせてください!」

「それってどうなんの?」

「こっちでは悪霊がいないのでどうなるかわからないですけど、霊感が強くなって霊が見えたり、悪霊に狙われやすくなります……。最悪、異能に目覚めてしまうことも……」

「マジ?」

「すみません!」

「いや、怒ってないから。そっちの力はさ。血筋には寄らないの?」

「血筋も重要ですが、譲渡させたり目覚めさせる例もわりと多いです……」

「譲渡? 譲渡できるの?」

「勝手に死神の力を譲渡したら死刑ですけど」

 

 一応、異世界で独り立ちして行きていくにあたって、回数限定でよく吟味した上での許可と浅打も貰っているのだが、それは言わない。

 

「でもそれ、異世界の法律でしょ?」

「そう、ですけど。でも、譲渡したら力減りますし……」

「じゃあ、霊力を浴びせる方は?」

「それは、減ったりしませんけど……」

「よし、茨。おいで。全力で霊力ってのを浴びせてよ。大丈夫。僕、最強だから」

 

 この人、強すぎないか。神様か何かと違うのだろうか。

 ぽすっと抱きしめられる。

 

「とにかくさ、大丈夫だから。君は、最強の僕に勝ったんだから、頭を下げて小さくなる必要はないんだよ。ね?」

 

 父性の化身なのだろうか、この人?

 

「はい」

 

 俺はきゅっと涙を拭いた。

 

「あっ そうだ。君の封印、よく出来てたからさ。宿儺の指を封印してみようか」

「――はい。五条先生みたいな無限はないので、もっと楽に封印できると思います」

「よし、良い返事だ。一緒に行動できるし、丁度いいね。あと、こうなると君の事情は一応報告しないとだからさ。後でしっかり話してね」

「わかりました」

「うん、じゃあ、今日一日使えるから、霊力出して」

「本当にやるんですか?」

「異能目覚めるまでやるよ!」

 

 俺は戸惑いつつも、霊力を五条先生に送るようにした。

 

 その日中に五条先生は霊体を見えるようになり、宿儺の指封印をして回る数日間で、異能に目覚めた。霊力の翼に依る高速飛行と羽による攻撃で、とても喜んで貰えたのだけど、よ、良かったのかな?

 そうそう。呪詛師ボーナスタイムは五条先生復活により、速やかに収束されました。

 

 人形を眠せる修行も、ようやく軌道に乗り始めたよ!

 

 霊力について色々教えてよ、とのことだけど、覚えが良すぎて独学で十分なんじゃないかな? 鬼道は死神の力がないと出来ないし。

 

 そこで、五条先生から先輩への指導をお願いされた。

 俺も指導されるんだけどね。霊力を吹き出しつつ授業を受けるかんたんなお仕事である。

 

 

 ……良いのかな!??

 

 

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