ハーフの恵くんは居場所がほしい   作:かりん2022

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勧誘 兼 逢瀬

 

「なーんか茨ってちぐはぐなんだよな。武術の基礎は出来てるのに、体に慣れてねぇみたいな」

「霊体で育ったので、肉体を持って行動するのはあんまり……」

「霊体で育ったってのがもう意味わかんねーよ。霊体への逃げグセは修正しろ。呪霊と間違われて祓われても知らねーぞ」

「肉体って重くないですか?」

「悟が模擬戦やりにくいだろ。あと、私も心臓に悪い」

「わかりました」

 

 俺はコクコクと頷いた。

 なお、徐々に霊力の人体への影響を試していくため、マンツーマンである。

 恵からは、術式の使い方も教えてもらうこととなっていた。

 

 訓練をしていると、五条先生が来た。

 

「茨ー。禪院家から直毘人が来てるけど。会うの断ってたんだって?」

 

 実は手紙はいっぱい貰ってたりする。しかし、霊力はセーブするにしても、常識の問題がある以上、あちこち出歩くつもりはないし、何より担任を封印してしまったりとバタついていた。何より、俺は異世界人。縁もゆかりもない奴がどんな用事なんだよ、というわけで。一律で断りの返事を出していた。そもそも、初っ端のあの依頼、有耶無耶になってはいるが、素人二人の混じった一年生を特級呪霊に突っ込ませるのはありえないのだという。警戒はいくらしても足りなかった。単独任務も五条先生を盾に断っている。異世界人を単独で突っ込ませるとか罠の香りしかない。

 なお、今生の別れと思っていた両親から地獄蝶が送られたりしてきている。

 そっちには返事をしていたが、父から競馬がしたいからお金を貸してと直訴されていた。これも先生に相談しないといけないんだった。

 

「異世界人に所有権を言い出す人と会うのは嫌です。それより、一週間後に父が競馬しに遊びに来たいからお金貸してって言ってるんですけど、競馬ってどれくらいお金掛かるんです? 競馬ってなんです? 100万って死神界のお金でいくらですか? 俺、稼げました?」

「僕が君を騙してるって思われて困ってるんだよ。失礼しちゃうよね。会うだけだからさ。あと、競馬はきっぱりお断りしようか。甚爾には代わりに僕が依頼用意しておくからね。君は君でそろそろ常識の勉強もしたほうが良いね。皆で買い物とか。よし! 早速、明日行こう!」

 

 五条先生に迷惑は掛けられない。嫌なことはさっさと済ませて、楽しい事をしよう。

 

「わかりました」

「縛りは結ばないように気をつけてね」

「縛り……破れない約束でしたっけ」

「そーだよ。そっちではないんだっけ?」

「ないですね。ちょっと不安ですし、一緒にいていただいてもいいですか?」

「うーん。それだと尚更疑われるからね。頑張って」

 

 残念。まあ、すぐ済むだろう。どんな要求であろうと突っぱねるだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最初に言っておきますけど、俺の母は異世界人だし、父も平行世界の人間ですから、俺自身に柵はありません。俺と貴方方は他人です」

「そんな事はわかっている。だが、だからといって、当家の相伝がよそへ流れるのは困る」

「俺は子供を作りません。俺の魂は父基準ですが、俺の子供がどうなるかはわからないし、万一母基準の魂の子が生まれて悪霊化しては困りますから。お話はそれで以上ですか?」

「六眼を倒した異世界の技術。禪院が持ってこそ意味がある」

「それこそ、貴方方には関係ありません」

「居場所がほしいのだろう? 禪院家なら用意してやれる」

「居心地のいい居場所に訂正しておいてください」

「あの六眼のどこが良いのだ?」

「普通に聖人みたいな人だと思いますけど? あんな穏やかで器の大きなタイプは初めて見ますね。いえ、死神のみなさんもご立派で器の大きい方が多いですけど、方向性がちがうというか」

 

 死神が規律を護ってしっかり律してくるタイプなら、先生はどこまでも肯定してくれる人だ。

 

「なん……だと?」

「尊敬する人の一人です」

「パパ。本人もこういうてるし、そもそも平行世界人だからしゃーないやん。それより、異世界の甚爾くん来週来るんやって?」

 

 二人連れのもう一人が、声を掛けてきた。

 

「ええ、来ますよ。貴方の知っている父ではないと思いますが」

「それでも、会いたいわ。こっちの甚爾君、悪い事して死んでしまったんや」

「そう、なんですね。父は母の世界に来るまでは世界を恨んでいたと言っていました」

「直哉……っ」

「なんや、向こうの甚爾くんは悪い事してないやろ、そうやろ。そうに決まっとる。それなら会ってもええやろ!」

「すみませんが、貴方は父とどういったご関係で?」

 

 うっと直哉さんは怯んだ。

 

「血縁以外は、なんも……なんもないわ。それでも! 自分、甚爾くんを超えたかったんや! せやから、せやから、会って手合わせしてほしいわ。競馬代くらい、僕が払うし!」

 

 その言葉は、父への想いは本当なんだと思った。

 

「父に、問い合わせてみます」

「甚爾君! 今、死神様なんやろ!? 僕、甚爾くんのお仕事見たい! 斬魄刀見たい!」

「一週間で霊感に目覚めるかどうかはわかりませんが、やってみますか? 父の斬魄刀はそれはそれは美しいんですよ。それに、仕事は五条先生が入れると言っていましたから、同行をお願いできるかも」

「ほんま!? やるわ!」

「はあ……直哉、残るからには成果を上げろよ」

 

 ということで、地獄蝶で連絡と、五条先生に連絡をした。

 父と五条先生、ついでに真希先輩と三方向に嫌がられてしまったんだが、あの聖人五条先生に嫌がられるとは何やったんだあの人。

 

 翌日のショッピングは宿儺に罵倒されるのは悲しかったが、とても楽しかった。

 

 

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