ハーフの恵くんは居場所がほしい   作:かりん2022

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自暴自棄 兼 優しさ

「久しぶりに肉体を持ったな」

 

 体の具合を確かめつつ、父は呟いた。

 

「手合わせだったか。良いぜ、やろうぜ。試運転だ」

「胸を貸してや、甚爾くん♫」

 

 直哉さんは父と何度か戦う。

 

「斬魄刀や鬼道もみたい! 自分じゃ物足りんかもしれんけど、頑張るから使ってや!」

「人間相手に死んだって死神の力は振るわねーよ。……今の俺には、死神の誇りがあるんだ」

「えー! せやったら、見るだけ! 見るだけでええから! 呪霊相手やったら手加減なしやろ?」

「流石に、呪霊相手には使うが。俺の霊力だと、どこまで通用するかな……」

「恵くんは特級倒したいうたで」

「恵の霊力は桁外れなんだよ。俺は平均」

「せやったら、自分が対応できる範囲の呪霊やったらええやろ」

「そうだな」

「一応、その方向で十件ぐらいピックアップしてるよ。大好きな競馬のために頑張ろう!」

「多っ」

「頑張ろうな、甚爾君♪」

 

 そして、直哉さんは父を眺めた。

 

「丸くなったなぁ、甚爾君。そういう甚爾くんもええで♪」

 

 

 

 

 

「いや、お前が誰だよ」

 

 直哉さんを真希先輩はドン引きで見ている。

 

「あれが、平行世界の俺の父さん……」

「伏黒、甘えてくる?」

「俺とは血が繋がってないし。血が繋がっててもどうでもいい。茨、甘えてこいよ」

「今の時期の父さん、扱い難しいんだよな」

「なんで?」

「母の命日が近づくと、すごく優しくなったり自暴自棄になったりするんだ。俺の事売ろうとしたときは流石にぶん殴られてたけど。今回特に危ない感じ。とりあえず、とんでもないことしようとした時以外はそっとしておく感じで、見張ってないと」

「「「あー」」間違いない、俺の父だ……」

「意外に苦労してんのね。お、五条先生が呼んでる」

 

 ててて、と近寄ると、街案内を兼ねて伏黒と一緒に任務に行くことを提案された。

 任務と観光を重ねて、最後の日。

 甚爾は直哉に問うた。

 

「なー、直哉。お前さ、本当に俺の事そんけーしてんの?」

「したらあかん?」

「いや。じゃー、受け入れろよ」

「はあ父さん。後で後悔するよ?」

 

 目にも留まらぬ早業で、甚爾の斬魄刀は直哉を貫く。

 

「!!」

「死神の力の譲渡です。後で、鬼道を教えますね」

「ほ、ホンマに? ええの?」

 

 直哉さんが戸惑う。

 その後、嬉しそうに微笑んだ。

 

「甚爾くんみたいになるわ。絶対!」

「そーかよ」

「避けようとしたら死んでたんですけどね、あれ。少しずれても駄目ですから」

「ふーん。ああやって譲渡するんだ。茨、僕にもして? 真希でもいいよ!」

「力が減るんで嫌です」

「回復しないの?」

「戻すのに年単位で時間掛かるんです」

「んー。なんとかなんない?」

「いくら五条先生の頼みでも嫌です」

「恵。あー。呪術界って糞ったれだからな。少し手助けしてやれ」

 

 父に言われて、ため息を吐く。

 

「悪用はしなさそうですし、ね」

 

 仕方ないか。

 帰った時、虎杖たちの任務に寄ると、魂を捻じ曲げられた人がいた。

 治すのくっそ大変だったが、同級生が増えた。

 

 父は競馬で得たお金をすべてスッテ帰っていった。

 やれやれ、今年も無事に乗り切った。

 しばらく弱くなってしまうので、父が死なないことを祈るのみである。

 

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