欲望の獣   作:魔女っ子アルト姫

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騎馬戦で望む欲。

『さあ此処でトップ3を改めてご紹介だぁ!!第一位はまさかのダークホースの緑谷 出久ぅぅぅっ!!!大本命、先頭を走り続けていた二人をまさかの奇策!!雄英が準備していた地雷を自分の加速に使いやがったぁ!!超パワー個性だが、結構なクレバーボーイ!!』

『緑谷は運もあった。元々ミニガンは飛行可能個性への牽制用。飛行を牽制し地上を行く奴が妨害させる為の物だからな、そしてそれはミニガンの威力を知っていれば必然的に避ける。獣王が避けたからこその順位だな』

 

まさかまさかの大勝利、翔纏と焦凍を追い抜いての大健闘を見せ付けた緑谷。そして意外と解説役をやる相澤に司会のマイクはご満悦。

 

『第二位は大本命の片割れ、獣王 翔纏ぁ!!あの獣王一族からの刺客ぅ!!その一族に相応しい数多の動物がその身体に宿っている個性持ちぃ!!だが結構苦労しているらしいぜっその辺りは解説如何ぞぉ!!』

『個性によっては制御の為にアイテムの使用が許可、義務付けられている者もいる、青山もそうだが獣王はそれが顕著。制御しなければ個性は暴走する、故に獣王もアイテムの使用は許可されている』

『っという訳だぜっご理解したか疑問に思ったそこのリスナー!!』

 

第二位は翔纏。この後の種目の事も考えて姿はタトバコンボ、この後の状況によっては変更するかもしれないが基本的にはこれで通すつもりでいる。

 

『そしてそして第三位!!轟 焦凍ぉ!!氷による妨害、移動、攻撃何でもござれだなこいつぅ!!終盤までの獣王とのデッドヒートは燃えたぜぇ!!こっからも期待させて貰うからなぁぁクールボーイ!!』

『力押しな部分が目立つ奴だったが、随分と繊細さと精密性を身に着けてる。今の轟は強いぞ』

 

三位の焦凍。翔纏との特訓が相当に生きているのか、精密性を身に着け始めている。氷の道はまだ練習が必要だが十分に脅威。それは爆豪相手に証明している。それらが君臨するトップ3、それを睨む他の者達。それが如何影響するのか、それがもろに来るのが第二種目―――騎馬戦。

 

障害物競走の順位ごとにポイントが振り分けられる、そしてそのポイントを合計した数字を表示した鉢巻を騎手が装着しそのポイントを奪い合い、制限時間終了時に上位4チームが通過するというシステム。組む人数、相手によって合計もポイントも変わってくる。そしてその肝心のポイントは42位に5ポイント、上位に行く毎に5ポイントずつポイントが与えられていく。

 

「つまり俺は205で焦凍は200か」

「だな」

「そして一位のポイントは―――1000万!!!」

 

ミッドナイトが高らかに宣言したそれにほぼ全ての視線が釘付けになる。誰もが狙う鉢巻という事になり、それを確保し守り抜けば勝ち抜けは確実になる。思わず硬直し圧倒的なアウェーとなった緑谷は一位というプレッシャーを体験していた。そして始まるチームの編成タイム―――

 

「翔纏」

「ああいいよ」

『早っ!?』

 

あっという間に決定した二位と三位の同盟に周囲は戦々恐々とする。蹴落とすのではなく結託し上を目指す事を選択したという事なのかと周囲が思うのだが……二人はそんな事は考えてない。

 

「ちなみになんで俺選んだ?」

「友達だから、迷惑だったか」

「ハハッそりゃ最高の理由だな、ありがと」

 

焦凍としては雄英で最も付き合いがあって個性も把握して息も合わせられるのが翔纏、だからこそ選択した。それだけでしかない。

 

「いっその事俺と焦凍だけって言うのもありだと思うけど、如何する?」

「俺も考えてた、俺だけなら足をチーターにして加速できるよな」

「まあ他の人がいても出来るけど、一人の方が速度は上がる……けどそれだと別の問題が出てくる」

 

速度で言えば二人だけで良い、速度を加減すれば十分にトラクロー無しでブレーキも可能。だがそれでいいのだろうか、人数を増やせばその分使える個性が増えて選択肢も増える。翔纏はそれをメダルでカバー出来るが人数的な不利はカバーしきれない。

 

「流石にガタキリバを切る訳には行かないし……」

「あれは負担デカすぎるだろ、やめとけ。途中で倒れたらまずい」

「だな」

 

一応手段はあるが勝ち進む前提ならば遠慮しておきたい、最強のコンボであるが故にあれは使う場面を厳選したいというのが翔纏の本音。

 

「だから切れる最強は切るつもりで行く、焦凍お前は如何する」

「決まってる―――氷だけで攻める、取れる最善を掴み続けながらな」

「じゃあっ―――そうしますか」

 

チーム、ではなくコンビ結成。二人だけ、小回りは利くがその分ポイントは少ないし出来る事も限られるがそれでもそれを選択する。この二人にとってはそれが最良であり最善であり最強。チームが決まった事を翔纏はミッドナイトへと報告しに行くのだがその時に焦凍は思わず自分の手を見た。無意識に握りしめたその手を。

 

「消えてる……さっきの、なんだったんだ……?」

 

首を傾げ疑問に思う。自分は強い物を抱いていた、緑谷へのリベンジというそれを激しく思っていた。だがそれは何でだろう、もうどうでも良い事なのだろうか。自分で自分が分からないが、兎も角鉢巻きを貰ってきた翔纏からそれを受け取って首にかけておく。

 

「さてと……やったりますか焦凍」

「ああっ……下は任せるぞ翔纏」

「「見せ付ける……俺達の力を!!」」

 

焦凍と翔纏のタッグ、いざっ騎馬戦へっ!!




敢えての二人で行きます。

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