「ゼェゼェゼェゼェッ……」
「翔纏大丈夫か」
「じぇっじぇんじぇん……!!」
「呂律回ってねぇぞ」
倒れこむように椅子に腰かけている翔纏、本来なら彼は表彰式に出なければいけないのだが……ガタキリバコンボの固有能力、分身生成の反動に苦しんでいた。単純に自分自身の分身を作り出し最終的にそれらを受けた疲労やダメージと共に再統合してしまう能力、それから受ける反動は尋常な物などではない。
「凄い疲れたし頭がガンガンするぅ……変身解く前にブラカワニ使えばよかった……」
「今は駄目なのか」
「駄目……個性が疲弊しきっててドライバーの安全機構が働いてて……電源すら入らない……」
最終的に最大人数まで分身こそしたが、それはあくまで爆豪へのとどめとして瞬間的に使用しただけ。それだけならば良いのだが……3人分の負担は確りと掛かっている、それだけでもこれだけのダメージが来るゆえにガタキリバは簡単に使えない。
「どんだけやばいんだよガタキリバ」
「今回は、3人で済ませたから良かったけど……これが最大活用してたら最悪の場合、自分が自分を見失ってただろうね」
「……やばいな」
「でしょ」
正直翔纏は確りと元に戻れた事に対した強い安堵感を覚えている、いざという時はこれを迷う事も無く使う覚悟は固めているのだが……コンボ慣れしている影響で解除直後に気絶する事が無くなった事はある意味考え物だと素直に思ってしまっている。
「ブラカワニの回復能力があれば疲労はカバー出来るだろうけど……流石に意識の再統合は無理だろうなぁ……」
「ガタキリバ、使うのやめた方がよくねぇか」
「ああいや固有能力抜きにすれば行ける、でも使うとキツい」
そんな事を焦凍と共に話していると控室の扉が開け放たれた、そこには―――
「優勝おめでとうっ翔纏君!!君の活躍とコンボ制覇のお祝いに来たぞっ!!ハッピーバースデイ!!!」
「か、会長……態々有難う御座います……」
鴻上が里中を連れながらお祝いへと駆けつけてきた。相変わらずの声のボリュームとテンションの高さは身体に響くのだが、尊敬する人が態々来てくれたのだからこの上ない位に嬉しい。
「翔纏と同じ言い回し……もしかしてお前が言ってた尊敬する人か」
「ああっ紹介するよ焦凍、俺が尊敬する大恩人の鴻上さんだ。知らないかな、鴻上ファウンデーションの会長さん」
「鴻上ファウンデーション……って確か親父がコスチューム開発断られたってキレたな」
昔に鴻上ファウンデーションに依頼をしたが断られてよくキレていたのはよく覚えている、何せあのエンデヴァーに屈辱を味合わせてくれたのだから。その時も欲望が如何たらと言っていた気がする。今なら分かる、欲望関係で拒否されたのだろう。
「轟 焦凍君だね。翔纏君から話は聞いているよ、自分が気に入る欲望を持っている人物だとね」
「そう言われて喜んでいいのか、分かりませんけど……まあ確かに欲望は持ってます」
「素晴らしぃ!!!欲望こそが生きるエネルギーだよ!!翔纏君が気に入るのだからきっと君の欲望は素晴らしいのだろう、その気があるなら我が社で君のサポートアイテムを用意してもいいが如何するかね?」
まさかの申し出に一瞬ポカンとして翔纏の方を向いてしまう、如何しようと助けを求めるような顔だが折角の厚意だから貰っておけという事で焦凍は鴻上ファウンデーションでサポートアイテムを作って貰う事になるのであった。
「それで会長、如何して此処へ?」
「君の優勝を祝う事と君を無事に自宅へと送る為だよ、君は優勝した事でマスコミから的にされているといってもいい。なので私と共に雄英を出ないかと誘いに来たのだよ」
「表彰式もすっぽかしちゃったからなぁ……余計に騒がれてそうだ」
悪気があった訳ではないが、マスコミからすれば欲しかった絵が取れなかったのだからどうしても翔纏へのインタビューなどは絶対に敢行したい筈。ならば間違いなく雄英から出る翔纏は狙い撃ちにされる事は間違いなし。
「猛さんと幻さんはお車を回してます」
「流石にガッカリしたかね、ご両親が直ぐに来なかった事は」
「いえ全く。あの二人より会長が来てくれた事の方が嬉しいですよ俺」
「それはそれで如何なんだよ翔纏」
親友の中では両親よりも目の前の鴻上会長の方が色々と優先順位が高いのだろうという事実に焦凍は呆れる。
「どうせだ、轟君も我々と一緒に行かないかね」
「あっそうだね、どうせなら俺の家まで行こうよ」
「でもいいのか?」
「問題ないだろう。寧ろ翔纏君の友人という事ならば一族から大歓迎される筈さ」
焦凍はその厚意に甘える事にして鴻上会長達と共に通路を行く事にした。VIP専用の路という事もあってマスコミなどの張り込みも一切無し、安心して道を行く事が出来る事に翔纏は素直に安堵しているとある事を思い出す。
「あっライドベンダー置きっぱなしになっちゃう」
「ああそれなら―――」
―――問題ないわよ翔纏。
そんな事を気にしていると前から一人の女性が木の影から姿を現した。青を基調としたワンピースにショートパンツ、黒タイツを纏ったモデルのような美しい女性が慈しむような表情を作りながら翔纏を出迎えた。それは翔纏の姉でもありプロヒーローのアクアティック・ビーストヒーローのメズール、獣王 愛水。
「ねっ姉さん、来てたの……!?」
「当然でしょう。愛しの弟の晴れ舞台だもの、姉として見に来るのは当然でしょ?ライドベンダーはこっちで回収したから安心なさい。それで貴方が翔纏のお友達の轟君ね?」
「はい、翔纏には何時も仲良くして貰ってます」
「あらっそれは翔纏の方よ、翔纏ったらご飯の時に楽しそうに友達の貴方の話ばかりするのよ」
「ちょっちょっと姉さん!!」
微笑ましそうに家での翔纏の事を話すのだが、翔纏からすればあまり話して欲しくはない事だったので慌てて止めに入ろうとするのだが……ガタキリバの負担でまだ激しく動けない為に膝をついてしまう。そんな弟に愛水はクスクスと笑いながらも優しく頭を撫でてから抱き上げる。
「ちょっ!?姉さん降ろしてよ……恥ずかしいからやめてよっ本当に降ろして!!?」
「駄目よっ貴方はまだ動けないんだからお姉ちゃんに甘えなさい♪」
焦凍からすれば翔纏が姉に大切にされている事は自分が姉である冬美と仲が良い事と同じだとしか思わず、寧ろ両親への扱いが雑なので家族仲が良い事が見えて安心出来た。だが肝心の翔纏からすれば、親友に自分が姉にお姫様抱っこされながら頬擦りされている所を見られている。まともに動けないので反抗も出来ないので生殺しもいい所である。
「仲良いんだな、俺も姉さんとは良いぞ」
「フフフッ前に抱っこして上げた時より重くなってるわね、確り成長してくれてるようでお姉ちゃんは嬉しいわっよしよし♪」
「いやはやっ良いご家族を持てて良かったな翔纏君!!」
「うううっなんて羞恥プレイなんだぁ……穴があったら入りたい……いやむしろ埋めて欲しい……」
この後、翔纏の願いは聞き入れられる事も無く抱っこされたまま猛と幻が持ってきた車に乗る事になったのだが……そこでは姉に加えて両親にまで抱き着かれる事になってしまい更なる羞恥を味わう事になった。
「ううっ……お願いだ焦凍、忘れてくれぇ……」
「なんでだ、良いだろ愛されてて」
「そうじゃないんだよぉ……」
という訳でメズール登場。グリードをヴィランでの登場も考えましたけど、メダルが翔纏の完全な制御用のサポートアイテムである事を考えて無理だと判断してご家族として登場。
メズールがグリードで一番好きです。うんっ大好きさっ♪ゆかなさんだしエロいし母性溢れてるし最高だよね!!!人間態の時も好きです。というか人間態演じてらっしゃった矢作 穂香さんは放映当時まさか14才のリアルJC。えっそれであのエロさ表現してたの?やばくね?
多分、特撮の女幹部だとメズールとメレの二強だわ私の中だと。
というか翔纏の姉なのに、なんか母親の幻より母親してる感がやばい。これがメズールの力か……!?