「フッェィッ!!ダァッ!!」
無限に迫りくるような機械の津波、その波を構成する一つ一つが確りと統率されながらもそれぞれバラバラの動きをしながら迫ってくる。何て悍ましい光景なのだろうかとそれを見た者は言う事だろう。それに真っ向から立ち向かう者に対してどんな言葉を送るのだろう、無謀か、蛮勇か―――それともあれこそヒーローだろうか。
「セイヤァッ!!」
『ッ!!』
「チィッ!!ダァァッ!!」
トラクローの一撃をジャンプして回避しながら豪烈なカウンターを返してくるロボヴィランに舌打ちをする、だがそれを上手くクローで受け流しながらも逆カウンターを叩きこんで両断する。攻撃は通じる、だがそれ以上にロボが人間的な動きで此方を攻撃してくるのが厄介すぎる。入試や体育祭で見たロボヴィランよりもかなり人型に近い形に改修されているのも殆ど人間と戦っている気分になる。
『さあさぁ獣王君もっと頑張ってぇ!!』
「校長先生もノリノリだなっセイヤァッ!!」
ロボヴィランに搭載されているマイクから聞こえてくる根津の声に反応しつつも此方に向けてロケットパンチを放ってきたロボ、それに対して真っ向から拳で受けて立つ。バッタレッグの脚力で地面を踏みしめながらの一撃は更に出力を上げて押し切ろうとするパンチと拮抗するのだが―――直後に放ったロボットが走り込んできた。
『ハハハッ!!ロケットパンチっからのパイルバンカー的なロマンコンボさぁ!!』
「ぐああああっ!!!」
ロボはそのまま拳の無い腕でのパンチを繰り出しながらも連結、そしてその際に衝撃波を放って翔纏を吹き飛ばした。ロケットパンチからパイルバンカーのような流れるような
「だったらこっちだって―――本気で行ってやろうじゃねぇか!!」
「ゼイッ!!ヤァァァァ!!!」
ロボを貫いたまま振り抜かれた一撃、だがそれを敏感に察知したロボたちは回避行動をとる。一部の回避しきれなかったロボは的確に防御姿勢を取るのだが、空間ごと切断し、対象のみを破壊するという常識外れの威力の
「セイヤァァァァァッッッッ!!!」
爆炎の中から飛び出しながら眼下に広がっているロボヴィランへと向けて突撃していった。一気に加速しながらも炸裂したタトバキックは爆風と衝撃波を周囲へと拡散させながらも多くのロボヴィランを撃破していく。
『やるねぇっ!!だけどロボヴィランは大量に余っているのさぁ!!』
次々と押し寄せてくるロボヴィランの群れ、タトバキックで大量に仕留めたと思ってもそれは全体から見れば僅かな数でしかないのである。新たに迫ってくるそれに対して爆炎から飛び出して翔纏は両手に携えた剣で迫りくるロボをまるで無双ゲームのように斬りまくりながら前進し続けていく。
「おおおおおおっっ!!!」
群れを切り進む事で自分の進むスペースを作りながらも前は前へと走り続けていく翔纏、それへと全身から砲塔を出現させたロボが背後から狙い撃ちしてくるが、ガタキリバならば当然それは見えていると言わんばかりにソバットで蹴り砕きながらも高く跳躍しながらも全方位へと電撃の雨を降らせてロボの動きを奪う。
『セイヤァァァァァァァァ!!!!』
電撃で動きが極端に鈍くなったロボへと目掛けて翔纏はスキャニングチャージを発動。跳躍しながらも瞬間的に最大許容人数である50人まで分身するとそのままガタキリバキックでロボを破壊していく。瞬間的且つキックする事だけに全ての翔纏の意識と記憶が合致している為に負担も回避されている、そして着地すると次の手を打つ。ガタキリバキックで開ける事が出来た大きな穴、そこを最高速度で駆け抜ける。
「ダララララッ!!」
ラトラーターの速度を生かした速さを乗せたトラクローを振るって行く。唯でさえトラクローはコンクリートを容易く切り裂き鋼鉄すら切断する、それに速度が乗っているならば並大抵のものでは受け止めきれない。
『それならこれで如何かな!?』
そこへ躍り出るのは脚部から空気を放出する事でホバー移動しつつも肩や背中に装備されているブースターで地上限定だが、高機動を実現したロボヴィラン。それはラトラーターの進路を的確に塞ぎつつも攻撃を仕掛けてくる、それでもクローで追い払って行くことで速度は出せるがこうも的確に進路を潰されれば走りにくい上にホバーを活かして上手く避けてくる、だがそれでも押すのみ!!
「ラダダダダダッセイヤァァァァ!!!」
一気に群がって押し潰そうとしてくるのを速度で突破しながらも
「ハァッ!!ムウゥンッ!!ォォォッ!!!」
重装甲であろうと関係あるか!!と言わんばかりにパワー特化のサゴーゾでそれを迎え撃つ。体重を乗せながらの一撃は容易に装甲を歪めて内部の回路を露出させていく、ボクサーのようなテンポの良い重々しい一撃が火花を散らしながら炸裂し続けていく。一撃で宙へと上げられて行く重装甲ロボ、それらを手掛けた発目が見たらなんというコメントを残すのであろうか。
『でもでも数はいるんだよぉ!!』
サゴーゾで対応出来る、だが数が凄まじい。何れコンボによる疲労で倒れるかもしれない、ヴィランとしての自分はそれを待つのみと言わんばかりの圧倒的な物量作戦。戦力の逐次投入は愚策と言われるが此処まで戦力が圧倒的ではそうとも言い切れない―――だが翔纏もそれに屈する程甘い男ではない。
「ォォォォォォッ……セイヤッ!!!」
重量を一時的に無力化しながら浮き上がると一気に高重力を課して大地へと降りる。そして自分を中心に重力の井戸を作り出して重装甲ロボを纏めて引きつけ、必殺の間合いに入った瞬間に
「ォォォォォォッッ!!!」
超高速回転しながら空へと舞い上がると広げていた翼全てを全方位へと発射して飛行型を一瞬のうちに一掃する。だがそんな事は根津はお見通しでしかない、飛行型は軽量化しているので装甲が薄い、だがやりたかったのは空へと誘導する事。翔纏へと差し向けられる複数のロボが合体して形成された巨大な砲塔型のロボ、それは溜め込んだエネルギーを収束させていた。それを見た翔纏は左腕のタジャスピナーを展開した。
「よいしょっと……おしっ!!」
ベルトからコアメダルを抜くとタジャスピナーへとセルメダルと一緒に装填、そこへオースキャナーを差し向けた。するとタジャスピナーの内部が高速で回転していき連続でメダルが読み込まれていく。
「オオオオオオッッッ!!!」
スキャンが終了すると同時に翔纏の全身を紅蓮の炎が包み込んでいく、それは巨大な不死鳥となって空を煌びやかに照らしていく。ほぼ同時にその不死鳥を討ち取らんと放たれるビーム、それに対して翔纏は臆する事も無く真正面から突っ込んで行く。不死鳥は光の奔流を切り裂くかのように突進していきながら砲台ロボへと
「流石にっもうキツいかっ……!?」
コンボの連続使用に重ねて必殺技の重ね掛け。幾らコンボに身体が慣れてきていると言っても限界という物がある、そろそろ変身を維持する事も出来なくなってしまう。それでももうゲートが見えておりあそこを潜ればいいだけ、だがその前には最後の砦となるロボ達が壁となっている。あれさえ超えれば―――と気合を入れながら次なるコンボを発動させる。
ならば持久戦に弱いだろうという認識ごとひっくり返してやる!!と言わんばかりにブラカワニコンボへとチェンジした翔纏は疲労を回復させながらも此方へと向けてミサイルを放ってくるのを防御しつつも即座にスキャニングチャージを発動、地面を滑りながらも最後の壁のロボを噛み砕く
『残念だったね!!』
「成程口には収まらないってか……だったら一点突破ぁ!!」
「セイヤァァァァァァァッッッ!!!」
ワーニングライドは広範囲防御に弱いらしい、ならばこれなら如何だ!!と言わんばかりにチェンジしたシャウタコンボ。液状化して勢いを付けながらタコレッグを束ねつつもドリルのように回転させながら突撃する
「如何だっ!!」
「お見事!!!」
「えっ?」
着地した先ではなんと根津が操作用のヘッドセットを外しながら此方に笑みを向けていたのであった。
「君なら必ずあのロボを突破してゲートを潜り抜けると思っていたよ」
「えっ如何して校長先生がゲートの先に……!?」
「君のコンボの負担を考えるとロボからの追跡と攻撃を受けながら何処にいるか分からない僕を探すとは思わなかったからだよ、だから僕はゲートの外で待ってたって訳」
「か、完全に読まれてたって事ですか……!?」
「フフフッ生徒の思考を読むなんて紅茶を淹れるよりも簡単なのさ!!」
思わず脱力してしまう翔纏。自分の思考は完全に読まれていた、確かに根津を探すなんて事は考えずに突破する事に集中していた……いやこの場合は英断だったのだろうがルール的にそれは良いのだろうかと思えてしまう。
「勿論、その代わりに君が脱出できないとしても戦いぶりや戦法によっては合格にするつもりだったよ。それに君はゲートを突破したから問答無用で合格だよ」
「それが飴って事ですか……」
「そういう事さ!!」
何はともあれ、翔纏は持てる限りのコンボをフル活用して試験を突破した―――。
―――ドクター、君はどう思う。彼の中にある力は。
『十分でしょう。あと一押しあればあれは覚醒します、どんな色になっているのか興味深いです』
―――良いだろう、ならばそれを確かめてみよう。