ダンボール戦機 [手のひらの玩具(兵器)]   作:スーパーオロナミンC

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書き忘れてましたが、ミゼル編はないことにしてます


第2話

 

 

 

キタジマ模型店の真ん中に設置されたジオラマは今日は「城砦」。白い城壁が長く伸びた隣には小さな川が流れている。

 

「「バトルスタート」」

 

ダッ!

スタートと同時にバンのアキレスが猛スピードでスナイプ・デクーに突進。主兵装である「アキレスランス」が真っ直ぐにスナイプ・デクーの胸部に吸い込まれていく。

 

(はやっ・・・!)

 

カガリもすぐに回避を使用とするがそれよりも早くアキレスランスが胸部に突き刺さったーー

 

「!」

 

筈だった。

ギリギリと音を立てるアキレスランスとスナイプ・デクーのアーマーフレーム。バンの予想を遥かに上回っていたスナイプ・デクーの防御力は凄まじかった。

以前は「イノベーター」が何かと差し向けてきたデクーを容易く貫いた筈のアキレスランス。ところが、このスナイプ・デクーには槍先が少しめり込んだだけで、それ以上先に食い込ませられそうにない。

 

(何て防御力だ・・・。でも、これだけの厚さのあるアーマーフレームじゃまともに動けそうにも無さそうだ)

 

P!P!PPP!

スナイプ・デクーがランスを押し退け、アキレスに手を伸ばす。

それを容易く回避したアキレスは素早い動作でしゃがみ、ランスでスナイプ・デクーの足元を凪ぎ払う。いくら重い機体でも、足元をすくわれてバランスを崩せば簡単に転げる。

 

「スナイプ・デクー!」

 

スナイプ・デクーも負けない。

背から転んだスナイプ・デクーは転んだ際の運動エネルギーを利用し、アキレスを爪先で蹴りあげる。LBX1体分浮いた。

 

「やるな!」

 

PPP!

バンのCCMからタッチ音が数回。するとアキレスは左手の「アキレスシールド」を自機の目の前に持ってきた。刹那、シールドに鈍い音と衝撃が走る。スナイプ・デクーの重いパンチがまだ宙に浮いているアキレスを吹き飛ばす。

 

「すげぇ。ただのパンチであの威力かよ」

 

「でも凄く重たそう」

 

そう思ったアミを、スナイプ・デクーは見事に驚かせる。

アキレスがまだ起き上がらない間にまるでストライダーフレームのLBXと思わせるスピードで身を翻し、ある程度距離を置いた所でバックパックの左側面からイルミネイトライフルをウェイトを解除してドロップ。素早く拾い上げて息をつく暇も与えぬ射撃を開始する。

 

(このデクー、本当に速いし強い!それにカガリの操縦テクニックも相当だ)

 

防戦一方のアキレスに容赦なくエネルギー弾を浴びせる。しかもどれも正確な射撃で、少しでもシールドから体がはみ出ていればそこを狙ってくる。

 

「く・・・!」

 

ドンドン距離が離れていく。このままではスナイパーの思うつぼだと、バンは城壁の天辺から狙撃するスナイプ・デクーの死角になるようにアキレスを城壁に凭れかけさせる。

 

(参った・・・狙撃専門のLBXだと思ったら素手でも並み以上に戦える・・・しかも速射でこっちの動きを制限させてくる)

 

(城壁に隠れた・・・だったら)

 

スナイプ・デクーはイルミネイトライフルをその場に落とし、今度は右側面から大型実弾スナイパーライフル、アドバンスドライフルをドロップ。後ろの壁に凭れ掛け、先刻と違った狙撃体制をとる。さらに熱探知センサーをアクティブに、見えない的(アキレス)のおおよその位置を探る。

 

(・・・そこだ!)

 

P!

ズドン!まさにそんな音だった。高威力の弾丸が城壁の1部を木っ端微塵に粉砕。砂ぼこりが大量に舞うが、アキレスの姿は無い。

 

「外した!」

 

同時に砂ぼこりからアキレスが城壁に再び隠れる。

 

ズドン!

2発目が再び城壁を穿つ。

 

「しまった!」

 

2度の銃撃は何とか直撃しなかったものの、瓦礫と衝撃でアキレスの左半身関節へのダメージが蓄積された事により、動きが大きく鈍る。

だが、カガリが駆るスナイプ・デクーに問題が無いわけ出はない。これ程の威力の弾丸を撃ち出す為にはそれなりに大型になってくるのもそうだが、リコイルを相殺しきれない事も大きな欠点となる。そこで、スナイプ・デクーは全身の各関節を保護する緩衝材と、右肩の関節部にサスペンションを装着。射撃の際に銃床を当てて、反動で大きく後方に右肩がスライドするため、反動がフルに伝わることは無くなったが殺しきれない反動はやはり関節、もといコアスケルトンに伝わる。

そして、最も大きな欠点、それは「連射が出来ない」事だ。

 

(リロードか・・・やっぱり2発で仕留められないとこっちがキツい!)

 

ガチャガチャとリロードを開始。しかし、アドバンスドライフルを使用した直後はどうしても全身の動きがぎこちなくなってしまう。

 

(・・・そうか!今が最大のチャンス!)

 

「行くぞアキレス!」

 

その声と共にアキレスの両目が1段と強く光る。

ランスで砂ぼこりを凪ぎ払い、城壁の上を伝って一気にスナイプ・デクーが鎮座する天辺に掛け上がる。

 

「しまっーー」

 

「必殺ファンクション!」

 

『アタックファンクションーーライトニングランス』

 

CCMの機械音声が技名を読み上げるとアキレスが滞空状態で右手のランスをグルグルと回す。その回す手から青い光が次第にランスを包み込み、フルパワーになった直後、上半身を右後方に捻る。そして一気にスナイプ・デクーに向けてランスを突き出すと、蒼白の眩しい閃光が1本の鋭い槍となって直撃とともに大爆発を起こした。

 

フィィ・・・ポーンッ。

倒れたスナイプ・デクーから光が弾け、戦いの終わりをつげる。

 

「俺のデクーがっ」

 

「ふぅ・・・」

 

「そこまでみたいだな。どうだったカガリ?」

 

「・・・工学補正ジャイロと弾道予測プログラムがまだまだ見直さなきゃいけなさそう。それと熱探知センサーは精度が低かったから何とかしないと」

 

「バンはどうだった?」

 

「正直驚いた。完全な狙撃LBXだと思ってたら、防御力も攻撃力も高いし、近接戦もこなせる。壁ごと狙ってきたのはむちゃくちゃだけど凄いよ」

 

「あ、ありがとうございますっ」

 

「それじゃあ、一緒にメンテしようか」

 

「はいっ」

 

酷く荒れたジオラマから2人は愛機を取り上げ、店のメンテナンス台に座る。

スナイプ・デクーも流石に『ライトニングランス』をもろに受けて所々焦げた箇所もある。一方のアキレスも狙撃の衝撃で関節が悲鳴をあげていた。

 

「そのデクーはカガリが全部のカスタマイズをしたのか?」

 

「ええ。LBXをまんま買ってしまうとお金が掛かるので、拾ったデクーとそのコアスケルトンでこいつを作りました」

 

「拾った?どこで?」

 

「ダム付近の森の中で」

 

「!」

 

その場所は、バン達にも深く関わっている所だった。

 

 

 

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