ダンボール戦機 [手のひらの玩具(兵器)]   作:スーパーオロナミンC

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第3話

 

 

今から約3年前、始めはダム湖に行く予定などなかった。当時はたまたまそこに立ち寄っただけだった。

 

「薄気味わるいな・・・」

 

遡ること昼間、カガリはチンピラにアンリミテッドレギュレーションでの勝負を持ち込まれ、4対1のリンチで当時の愛機であった、『スナイプ・ズール』がバラバラに破壊された。

始めに両手をもがれ、次に両足、そして最後に頭を何度も何度もマシンガンで撃ち、グレネードをコアボックスにぶちこんで爆発。普段カガリは感情を表に出さない人間だが、その時ばかりは怒りを露にした。相手が複数のチンピラだろうが関係なく、殴りかかった。当然勝てるわけもなく、返り討ちで警察沙汰にもなった。

 

「いでっ・・・」

 

殴られた頬がズキズキと痛む。

カガリは親とともに警察署から帰らせてもらったが、悔しさや怒り、感情がグチャグチャに混ざって、しまいには訳もわからず走り逃げてしまった。

そしていつの間にかこのダム湖に居たのだ。

 

「・・・アイツが知ったら何て言うかな・・・」

 

ふと、脳裏に1人の少女の姿が甦る。

長い金の髪を束ねたその少女の顔は、とても憤慨しているようだった。

 

「はぁ・・・くそ・・・クソッ!アイツら、絶対に、絶対に同じ思いをさせてやる!」

 

復讐を強く胸に誓い、宛もなく暗い森を進んでいく。

 

バキッ。

と、カガリが何かを踏みつけた。枝とは別の、もっと固い物質が割れた音が静かな森に響いた。

 

「・・・骨とかじゃないよな・・・?」

 

おそるおそる右足を上げる。手のCCMの光で照らすと、そこにあったのはーー

 

「LBX?」

 

全体的に丸みを帯びた、黄色っぽいLBXだった。何者かと交戦したのか、頭部に大きな風穴が穿れていたが、それ以外はとても綺麗だった。一瞬、目の前のLBXが、かつての愛機と重なる。

 

「お前も、やられたのか・・・」

 

LBXの状態から、放置されて2ヶ月は経っている。よく目を凝らすと、所々に「立ち入り禁止」のテープが張り巡らされている。

 

「何かあるのか?」

 

立ち入り禁止の場所に放置された謎のLBX。そして謎の交戦跡。こう言う場合、退くか進むか、どちらが正しいのか。

 

 

勿論、カガリは迷いもなくズンズンと進んだ。

道中を見る限り、かなり戦闘があった筈なのに、薬莢1つ落ちていない。ますます怪しいとカガリは興奮しながら道なりに進むと、開けた場所に出た。

 

「何だ?何もない・・・」

 

コンクリートで整備された場所だが、トロッコが在るだけで、しかもトロッコの線路はダム湖の水の中に一直線。引き返そうかとトロッコに触れた時、突然閃いた。

 

「この水、波が無いな」

 

風が吹いている筈なのに水面は特に動きが無い。しかも水に浸かってる場所にも関わらず、コケも生物の姿もない。

 

「・・・ふぅん」

 

「ホログラム」その単語が頭に浮かんだ。

そして躊躇しながらもカガリは右足を水に入れた。が、冷たくなければ濡れてもいない。

 

「やっぱりか・・・何かありそうだなぁ!」

 

興奮しきったカガリはそのまま走ってダムの水、のホログラムに突撃。案の定、水面のホログラムの下は巨大な施設になっていた。

今はもう施設としては本来の働きをしていないのであろうが、扉を開いたり、足元を照らすだけの電力だけなら通っていた。

 

「・・・流石に怖いな・・・よいしょ」

 

巨大な扉の前でどっかりと座り、肩からぶら下げていたバックからさっきの謎のLBXと様々な工具を広げた。

 

「頭さえあれば動くもんね」

 

バックから更に小さな基盤や様々なパーツをぶちまけ、その中から目的のパーツを探す。暫くせずに目的のパーツは見付かり、謎のLBXの大破した頭を取り外す。

 

カチャカチャ・・・。

約10分後、カガリは高々とLBXを掲げた。その頭には、コアスケルトンの頭部分に申し訳程度に付いたラインアイが若干斜めに乗っかっている。

 

「動けよ・・・」

 

P!

CCMを叩く。すると、LBXはそれに応え、ラインアイを強く輝かせた。

 

「よしっ!行けっ」

 

コンマ5秒遅れでLBXが大扉の僅かなスペースが内部に侵入。

数秒後、大扉が重そうにゆっくり開いた。

 

「でけー・・・」

 

 

内部はとても入り組んでいて迷いながら、下へと進んでいったカガリ。途中、爆散した何らかのLBXのパーツなどを拾い集め、すっかりバックが重たくなっていた。

潜入して30分、研究室なのか機材が多くならぶ部屋に当たる。かなり荒れていて、どの機材もまともに動けなさそうだ。

 

「何があったんだ?」

 

30分見て回った結果、ここはロケット、またはミサイルを発射させる施設であると同時に、LBXの開発も行っていた事がわかった。

 

「悪さしたのがバレたんだな。政府の介入の跡がある」

 

足元の紙を1枚、拾い上げると、政府のお偉い宛に、この施設のレポートが書いてあった。

 

「速いとこ出ないとな」

 

壁に寄りかかる。

 

ピシッ。

嫌な音が響いた。

 

「・・・」

 

刹那、カガリは穴が空いた壁の向こう側に倒れる。

 

「おわぁぁぁあ!」

 

壁の向こうは広い空洞で長い階段を転げ落ちる。何秒落ちたか、次は真っ暗な場所にたどり着いた。

 

「いってぇ・・・」

 

背中を擦りながら立ち上がった瞬間、真っ暗だった部屋が一瞬で明るくなった。目が眩み、細める。

 

『システム再起動。GH-13製造再開。残り22%』

 

奇妙な機械音声と共に謎の製造が始まる。

 

「な、何なんだよ一体・・・」

 

『GH-13』製造過程を見る限り、コアスケルトンのようだ。

 

『残り12%・・・9%・・・製造完了。GH-13『テンペストモード』移植開始・・・移植完了。GH-13、ドロップアウト』

 

ゴトッ。

重く鈍い音と金属の箱が製造機械から滑り台を通って部屋の端の台に落ちる。

当選カガリはそれを手に取り、色々してみる。

 

「んー?」

 

『GH-13製造完了に伴い、当施設の破壊を開始します』

 

「な、なんだとぉ!」

 

意味は完全にわかっている。故に今までにない全力疾走で施設から脱出し、入り口の大扉の前に腹這いになる。

 

「うわぁあ!」

 

ドンッ!

微かに聞こえた爆発音に遅れて大扉の中がガラガラと崩れ落ちる。

カガリの額を冷たい汗がつたる。

 

「お、俺は何も見てないぞ!」

 

そのときはひたすら家に走り、気付けば自分の部屋のベッドで寝ていた。

 

 

と、デクーを拾った事だけを皆に話したカガリ。流石に政府によって立ち入り禁止にされていた場所に踏みいったなんて言えなかった。

 

「そんな事があったのか」

 

「ええ。こいつがデクーってLBXだと知ったのは丁度それから1ヶ月後でした」

 

「・・・ねぇ、バン。彼に話すべきだと思う?そのLBXはイノベーターって言う悪い組織の奴だったって・・・」

 

「・・・止めておいた方がいいと思う。あのデクーは彼にとって大切な相棒だ・・・」

 

ひそひそとバンとアミが話す。カガリはメンテナンスに夢中で聞いてない。

 

「ん?電話だ。店長、ここで電話しても良いですか?」

 

「いいぞー」

 

「はい、清田です。・・・Oh,long time no see...What!?What are you talking about!?Heyheyhey!Wait a moment...damn it」

 

「ど、どうした?」

 

「・・・知り合いが家に居ると・・・」

 

「外国の知り合いか?」

 

「ええ。すみません、先に失礼します」

 

汗タラタラで走っていった。

 

 

「Welcome back Kagari!I am very glad that I was able to meet you!」

 

「Long time no see Alyssa.Why did you come to Japan?Te iuka nihongo syabererudaro?」

 

「あら、片言な英語をドウモ」

 

「こちらこそ片言な日本語をどうも」

 

家につくと、長金髪のカガリと同い年のアリッサ・ミラーが玄関でカガリに抱き付く。もう慣れた様子で抱き付いたアリッサを引きずってリビングに向かうと、和気藹々と清田家の両親とミラー家の両親が日本酒片手に酔っていた。

 

「おお、カガリおかえり。いきなりだけど、今日からミラーのお嬢ちゃんがホームステイする事になったんだ」

 

「は?」

 

「Oh,カガリ!ムスメを頼むヨ!Haーhahahaha!」

 

「は、え、ちょ」

 

「カガリ君なら安心だわHahaha!」

 

「な、何故に・・・」

 

「今年のアルテミスの為に日本に来たのよ。ママ達がカガリなら安心だって」

 

「なんだ、と・・・」

 

カガリとアリッサの出会いは第2回アルテミス。1回戦での事だった。

 

 

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