ダンボール戦機 [手のひらの玩具(兵器)]   作:スーパーオロナミンC

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第4話

 

 

 

2人の出会いは第2回アルテミスのBブロック第1試合での事だった。

 

『おぉっーと!ここでミラー選手が必殺ファンクションだぁ!』

 

『Attack functionーーSONICLANCE』

 

アリッサの駆るLBX『ムシャ』とカガリの『ズール』が強化ダンボールの中で激しく激突していた。

そんな中、アリッサが必殺ファンクションを発動。鋼鉄製の穂先に螺旋状の溝が掘られた「スパイクランス」を突きだし、高速で突進。

 

「負けるか!必殺ファンクション!」

 

『アタックファンクションーーカウンターアタック』

 

当時のカガリのLBXはまだ狙撃専用ではなく、どちらかと言うと剣を愛用していた。その剣を使用した必殺ファンクションは自分から攻めるタイプではなかった。突進してきたアリッサのムシャの一撃を、横にして前に出した「ブロードソード」で受け流し、身を翻しながら空振りのムシャの背後に回り込んだ。回転エネルギーをそのまま利用し、ソードを斬り上げた。

 

「捉えた!」

 

ガキン!とムシャのノーガードの両膝の関節にヒット。バチバチと電気が走り、亀裂が入る。だが、まだブレイクオーバーになっていない。倒れたムシャにトドメと向かった瞬間、ムシャが隠していたダガーをズールのカメラアイに向けて投擲。残念ながらズールはカメラアイが剥き出しになっておらず、フレームに弾かれるが、一瞬の隙をランスを持ち直したムシャがズールの懐に潜り込む。

 

(脚が悪い筈なのに!?)

 

「The end!」

 

「っこのぉ!」

 

ポーン。

ズールの腹をムシャのスパイクランスが貫通していた状態で両機が静止していた。

 

『ブレイクオーバァァッ!激しい戦闘の末、勝利したのは、アリッサ・ミラー選手だぁ!』

 

 

「はぁ、1回戦落ちか・・・」

 

各ブロック毎に設けられた選手控え室で肩を落としたカガリ。他の負けた選手も落ち込んでいたり、LBXのメンテナンスに励む者も居た。そんな時、ふと対戦相手だったアリッサがなにやらオドオドしているのが視界に入る。

 

「なにしてんだ?」

 

「Umm...I need to talk to you very briefly」

 

「オ、オウソーリー。アイムキャーントスピークイングリッシュ」

 

おかしな英語擬きで話しかけられた少年が足早に立ち去る。もう何度目なのだろうか、彼女は深いため息をつき、長椅子に座った。

 

「・・・見てらんね。Excuse me. Do you have a problem?」

 

見かねたカガリがアリッサの隣に座る。漸く会話できる相手を見つけたアリッサは興奮してカガリの肩を掴んで訴える。

 

「Please help me!」

 

彼女は矢継ぎ早に質問を浴びせてきた。どうやら先刻のバトルで脚の関節が使い物にならなくなったようだ。彼女はカガリに対して怒ったりとかはしてなかったが、責任を感じたカガリはムシャを手に取り、メンテ台で黙々とメンテナンスを始めた。

先ずは関節の状態を確認。亀裂がコアスケルトンの伝達部まで届いていてまともに動けなさそうだ。そしてそれを無理に動かした事により、モーターも焼けてしまっている。そこでカガリは自分のズールのコアスケルトンの下半身とモーターを交換し、先刻のバトルで感じたアリッサの特徴に合わせるように調整。モーターは「Wフェザー24」。アリッサが使っていた「マキシムT500」と電力消費量が殆ど変わらず、かつマキシムよりも出力が高い。

 

「どうかな、ちょっと試しに動かしてみて」

 

「What?」

 

「あー。Please move it for trial」

 

「Yes」

 

アリッサが軽く準備運動をさせると、違和感を感じていたようだったが前より高くなったパフォーマンスに喜んでいて、カガリも安心した。

 

「Oh,yes!Very good!」

 

その後も第2試合が始まるまでの30分間、動かしては調整し、また動かしては調整を繰り返し、いつの間にか、カガリはアリッサの専属メカニックとなっていた。

 

「アリガトウカガリ!」

 

「気にすんな。ほれ、俺の分もがんばれ。Go!」

 

背中をトンと叩かれ、気持ちを入れ替えたアリッサは続くBブロック第2試合の相手が待つジオラマまで歩いて行った。

 

 

「で、結局第2回アルテミスの優勝だもんな。あの森上ケイタを差し置いて優勝は俺もビビったわ。優勝者のメンテナンス引き受けてたとは今でも言えないなぁ」

 

「何デヨ?カガリのお陰でワタシは優勝出来たんだから、誇って良いノニ。でさ、カガリは第3回アルテミスに出タノ?」

 

「それがさ、アリッサにカスタマイズ(色々無茶なカスタマイズだった)してもらったスナイプ・ズールが壊されちゃってさ。第3回は見送った。ごめんな、折角アリッサがカスタマイズしてくれたのに」

 

「形あるものはいずれ壊れるノヨ。気にしなイワ。ねぇねぇ、それよりも新しいカガリのLBXとバトルしタイ!」

 

歓迎会が終わって部屋に戻った2人はLBXを弄くりながら出会った頃の話で盛り上がっていた。

机(メンテナンスアイテムで溢れてる)でスナイプ・デクーの調子を見ていると、アリッサがまた後ろからカガリに抱き付き、バトルをせがむ。

 

「わぁった。でも第2回優勝者に勝てるとは思えないんだが」

 

「カガリは本気でキテ。少し手加減するカラ」

 

「お?良いのか?じゃあ、準備するから待ってくれ」

 

本気、それはカガリが昼間のバンとバトルした時にも見せていなかった、コアスケルトン『GH-13』の真の力。『GH-13』に仕組まれた、暴風。

 

「コアパーツ変えルノ?」

 

「少し待ってな」

 

机の鍵つきの引き出しを解錠し、中から金属の箱を取り出す。のっぺりとした突起がない表面の2点を左右の親指で押す。すると、シャキッと金属の擦れる音、そして認証コードの入力が始まる。認証コードと言っても、この箱は、初めに持った人物の指紋と音声で使用者登録され、名前の認証コードを入力することで、他の物が開けられないようにする仕組みとなっていた。

コード入力をクリアし、漸く箱が開く。妙なセキュリティと無機質さに怪しむアリッサもカガリの後ろから覗き込んでいる。

 

「何なのソレ?」

 

「拾い物だ。詳しく知りたかったら前話をみろ」

 

「後デネ。取り敢えずワタシもSetupしてルワ」

 

金属の箱の中には最近増えてきたスマートCCM(スマートフォンと同じような形状だが、画面が上にスライドし、キーパッドが現れる)と眼鏡が入っていた。カガリはスナイプ・デクーの登録CCMをスマートCCMに切り替え、眼鏡をかけて小さなチップをコアボックスの真ん中の小さなスペースにぴったり嵌め込む。最後に少し動作確認を終えて、唯一持っているDキューブを展開。

 

「いつでも行けるぞ」

 

「ワタシもOK」

 

「作戦開始だ、スナイプ・デクー!」

 

「Sortie!Athena!」

 

バトルスタート。

 

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