太陽の男   作:ヤマトかわいいよヤマト

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第12話

「……よく生きてるな俺」

 

そんなことを呟きながら目覚めた。

一番に目に入ってきたのは青い空。次に目に差し込む太陽の光だ。

前までだったらその光で思わず目を閉じていただろうが、太陽の力を手に入れたからなのか目が痛くない。直視してても太陽の形がはっきり見えるようになってる。

 

ホントに悪魔の実を食べたんだななんて実感を感じつつ体を起こした。

そこは綺麗な砂浜だった。

 

「いっつ……」

 

少し身動ぎをした瞬間肩に痛みが走る。

見てみると、

 

「うわぁ…」

 

どうやら左肩が外れていた。

カイドウの攻撃をもろにくらったからな。これだけで済んで良かったと思うべきか。

てか、俺の左腕可哀想だな。折れたり外れたり。神様俺の左腕に恨みある?

 

幸いにも綺麗に外れていて良かった。これなら直ぐにはめ込める。

そんなことを思いつつ立ち上がり、右手で左腕を叩きぐるんと一周する反動ではめ込んだ。

 

「…っ!…ふぅ」

 

痛いがちゃんとハマったみたいだ。手をグッパッと開いたり腕を回したり動作を確認。少しズキリとするが些細な違和感だ。大丈夫。

 

それにしてもワノ国のあの激流に飲まれながらよく生きて別の島に流れ着いたもんだ。

体内に入ってくる海水が能力で蒸発してたのかは分からないが肺が水で満たされてないのは驚きだな。

 

「さて、こっからどうするかな」

 

広がる海に目を向けながら独り言をつぶやく。

腕の火傷も何とかしなきゃだし何より海を渡る手段もない。

 

「とりあえず島を探索するしかないか…」

 

そうして俺は踵を返し、森の中へと足を進めた。

 

◆◆◆

 

あれから1週間くらいかな?経った。どうやらここは無人島らしかった。

ただ、森の中には野生の獣もいて食料には困らなかった。

能力で発生させた熱で肉と海水を焼いて、沸騰させたことで出来た海の塩分の塊で肉に味付け。水は島内に流れの急な小川があったから何とかなった。

 

ただ、ちょっと肉が獣臭くてあれだけど。まあ、熊とかイノシシとかそんなのしかいないししょうがないね。

前世は猟友会とかに入ってたりもしたし、キャンプにもよく行ってたし問題なく生活は送れてる。

傍から見たら10歳の子供がたくましく無人島で暮らしてるように見えるんだろうな。

 

「つか、船も何も通らんな」

 

海を眺める俺。この一週間、海を監視してたが船1隻も通らないこの場所。最悪森の木を伐採してイカダ作って海に出ることも考えなきゃいけない。

 

人がいないってことで能力練習にはもってこいだがここで立ち往生する訳にも行かないし。

ちなみに能力が暴走したら海に飛び込んで何とか沈静化させてる。その反復のおかげで今は勝手に能力が発動するってことも無い。良かった良かった。腕の火傷も何とか治りかけてる。この世界って怪我とかすぐ治るよね。

 

「あと1週間くらい待つか」

 

そんなことを言いつつ伸びをすると、

 

「グルルルゥゥゥ……」

「ん?」

 

森から顔を覗かせる俺の5倍はあろうかという熊。

飯が来てくれた。ラッキー。

 

「ゴアァァアッッ!!」

「よっ……と」

 

牙をむき出しに飛びついてくる熊の顔面に拳を入れる。

頬に当たる拳は熊の強靭な筋肉と骨で受け止められる。

 

「フン…!」

 

が、そのまま力を込め拳を振り抜くとゴキリと気色の悪い音が手に響き熊は地面へ崩れ落ちた。

 

「……今日はどうやって食おうかな」

 

こんな生活を送ってます。

 

◆◆◆

 

いつかの日。

 

「こんな島にガキがいるなんてな…」

「この島の宝についてなんか知ってるんじゃねぇの?」

「そうかもな。おいこらガキこの島の隠された秘宝の情報を教えろ。まだそんな若くして死にたくねぇだろ」

 

朝起きたら俺は海賊に囲まれてました。

えー、待っていきなりだねほんと。

……ヤバい、俺の知ってる海賊なんてカイドウくらいしかいないから怖さが全くないんだが?むしろこんな島に来てくれてありがとうねほんと。

 

「おい!口が利けねぇのかてめぇ!」

 

そう言って胸ぐらを掴まれる。

秘宝つっても分からねぇしな。てかそんなのあったんですね。探せばよかったです。

 

それにしても知ってる顔はないな。モブ海賊たちか。まあ、そう簡単に原作キャラに会えるわけもないか。しかもここ新世界だしね。

まあいいか。とりあえず移動手段が来てくれた。やっとこの島とおさらばできるな。

 

「ねえねえ」

「あ?」

「これ離してくれない?」

 

そう言って俺の胸ぐらを掴む腕を握る。

 

「はっ、ようやく喋ったかと思えば━━」

「そういうセリフはいいから」

「あ?」

 

そんな腑抜けた声と共に男は手を離してくれた。いや、離させた。

とりあえず後ろの雑兵も何とかしなきゃだよな。

 

「……あ、お、俺の腕がぁ!」

 

そう言ってうずくまる男。

簡単に言えば手首の骨外しただけだけどね。綺麗に外してるから直そうと思えば自力で直せる。

 

「な!?……テメェやりやがったな!」

「ガキだと思って優しくしてやってりゃ調子乗りやがって…!」

「全員でかかれ!フクロにすんぞ!」

 

数はだいたい30。

さて、特訓した能力を使ってみよう。

 

そうして俺は能力を発動。体から溢れてくる赤いオーラ。

 

「!?」

「能力者か!」

 

両手を合わせ先端を敵に向ける。赤いオーラを収束させるように合わせた両手の中へと流し込んでいき、やがて合わせた両手の周りにバチバチと電気が走り始めた。

 

「"収束(しゅうそく)穿火炎(フレア)"」

 

それを合図に指先から一直線に走る赤い筋。

それによって発生した衝撃波に敵は足を止め、飛ばされないように、踏ん張っていた。

 

「へ、へへ。少しびびったが別に大したことは……」

「まだだ。"超新星(ちょうしんせい)"」

「へ…?」

 

そんなほうけた声が聞こえた瞬間敵の隙間を縫うように走っていた赤い筋が急激に収縮。そこを中心に大爆発が起こった。その爆発は敵を全て吹き飛ばし地形をも変える威力だった。

 

さすが、威力抑えててもこれ程か。手の方は少しピリつくだけで問題は無い。"白炎猛虎"が異常に火力高い+長時間纏うってことであんなに火傷していただけで普通に使うだけならそこまで火傷を負うことは無い。

ただ連続で技出すとなるとヤバそうだな。やっぱり基本戦闘は肉弾でやった方がいい気がするな。

さて、

 

「船貰うぞあんたら。文句は……ないね?」


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