「…………え?名家のお嬢様が失踪?」
時は、例の転生タコガールがうちに住み着いてから6日後。なんとタコワサ将軍から連絡が掛かってきたのである。正直厄介事の匂いしかしない。
『アァ。ホンライハコチラデカンケツスルハズノジケンナノダガ、モクゲキジョウホウヲカンガミルトアキラカニチジョウヲメザシテイタトオモワレルノダ。』
「それはまた、なんというか………」
『メンドウナジケン、カ?』
…うわ、完全に見透かされてんな………
「はい……正直受けたくない調査です。」
『マァ、ソウイワナイデクレ。0ゴウ。
キサマノウデヲシンライシテノイライダ。』
「……ま、断る気は元からありませんけども…
将軍からの頼みですし………
あと、もう既に心当たりもありますし……」
『…ナンダト、モウナノカ…!?』
「ああいや、偶然ですよ、ほんと。」
マジでたまたまなんだよなぁ……解せんわ。
『"グウゼン"カ、ソウイウコトニシテオコウ。』
クックックと笑っている声が電話越しに聴こえる。毎回思うけどイケボだなあんた。
ってかなんか将軍俺の事を買いかぶり過ぎでは?
タコの電力危機を若干救ったくらいしかしてないし部隊の中で最強格くらいの実力しかないぞ?
…………お前なんなんだよ!!!!(ティーダ感)
客観的に見てみると俺のこの立場って大分責任というか期待背負いすぎでは?つかアタリメの血統が偉大すぎんだろ。歴史を変えてる(現在形)ぞ。
…文句を言っても仕方ないけども。
「……で、そのお嬢様とやらの特徴ってある程度分かってたりします?俺が思い当たる人物じゃないかもしれないんでできれば知りたいんですけど。」
『アァ。イッテイナカッタナ。オモナトクチョウハ、アカルメノゲソニセントウインノセイフクヲキテイルラシク、ヒダリメノマワリニヒドイアザガアル。……ガ、メダツトオモッタノカホウタイヲマイテイタラシイ。セントウクンレンニマギレテダッソウシタソウダ。』
「へぇー……割と知能犯みたいですね。」
『サガセルカ?』
「勿論ですよ。」
『サスガダナ。』
「お褒めいただき恐悦至極〜。」
『………デハ、イイホウコクヲマッテイル。』
「了解です。」
ピッ。
……………。
「っはぁ……」
上の階の、奴が住み着いている部屋の方向へ向けてやや大きめの声で話しかける。
「おいマイ」
「ひゃっ!?どどどどうしたんですか!?」
「ちょっと下来い」
「エッッッ!?!?何をするつもりですか!?」
「尋問」
「えっ嫌ですよ絶対に…………………?
………………行きます。」
なんで今掌がドリルになったのかは聞かないでおく。あえて絶対に聞かないでおく。
「えー、マイにはいくつか聞くことがあります。」
「ん…?ッスリーサイ」「違う。」「なーんだ…」
なんだってなんだよ。
んで食い気味に答えようとすんのやめろ?
さて本題だ。
………ふむ。
改めて見てみると、タコゾネスにしては頭ゲソの色素があまりにも薄すぎる気がする。オレンジとピンクの間くらいの色合いが本来の姿だとすればさらに淡い桃色といった感じだ。
……表現難しいな。
頼まれたので作ってやった左目(というかもはや顔の左半分)を隠すための眼帯の下には痣があるのは確認済み。
初対面の時は地上へ来たばかりのゾネスをよく見たせいで見慣れてしまったあのドエロ戦闘服を着ていたことも記憶に新しい。
これはもう、ほぼ間違いなくクロだろうが…
まぁ情報が多いに越したことは無い。
少々吐いてもらおう。
まずは………母親の名前でも出すか。
「"トカガミ シズ"。この名を知ってるか?」
「ッ……………」
……明らかに表情が変わったな。
「偽らずに答えてくれ。」
「………………はい。知って、います。」
「関係性は、何だ?」
「……親子ですよ。」
「なぜ家出をした?」
「0号様に会うためです。」
「他の理由。」
「虐められてました。」
あっ(察し)
そういえば、それをほのかに匂わせている事も言っていたような言っていなかったような……
「私が悪いんですよ。私が何もできないから。弟よりも使えないから。代用品にもならないから。醜くて不良品で処理もしにくい私なんかがあの輪に居たのが、生まれたのが間違いなんです。」
あっ暴走始めた。
目からハイライトが無くなっているような、そんな感じを纏っている状態になっている。
この事話すときいつもこんなだな。
「だから、縋るために、私は、私はっ…!
アァアアァァァアァァァイサ"キ"さァ"ーん!!」
「おー、よしよしー、今質問中だからなー。
終わってからにしようなー。」
んでいつも飛びかかってくるんだよな。
うん、日常。(感覚麻痺)
「ってか私家出てから大体一ヶ月位は経ってるんですよっ…!?まともに私の事を愛してたなら!家族だと思ってたんなら!すぐ追うでしょうよ!すぐワサビ将軍に連絡するでしょうよ!えぇ?私にそんな価値ありませんよ!!勿論ないですよそんなの!でもっ!て"も"っ"、絆だとか、そういうのあったらっ、すぐ探すでしょうよっ!!
うわぁ"あぁ"ぁぁ"ぁ"ぁあぁ"ん"!!!」
「よしよーし、離れろー?あとワサビ将軍じゃなくてタコワサ将軍な。」
「すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
「おいタコやめろ」
「──ぅぅぅぅっ…………GoodSmell。」
「吸った息どこいったお前?」
「…………?っ!!あげませんよ!?」
「いらねぇし。ってか俺の匂いだろそれ。」
「当時虐められていた私は0号様だけを心の支えとし、会うために外面を取り繕い、家内の不当な扱いとお嬢様ムーブの気恥ずかしさに耐えながら精進してきました。」「いや無理ある無理ある。」
「なぜです?」
「なぜです?って……あの雰囲気から元の空気感の話に戻………いや、大丈夫だわ。続けてくれ。
………………あと離れてくれ」
「はい、続けます。あと離れはしません。」
「いや離れろて」
「嫌です。絶対に。」
「情緒さぁ……」
「で、良い子の仮面を被ってたら偶然、ゾネスの戦闘部隊が遠征訓練に行くとの噂を耳にしまして、そこらへんに居た兵士さんにちょ〜っとだけOHANASHI♡して防具を拝借しその部隊に紛れ込んだ後に抜け出して2週間ほどかけて地上へ這い上がってきたという訳ですよ。」
「行動力の化身か?」
「お褒めいただきありがたいです。」
「半分くらい罵倒だよ?」
「えっ、最高か?うんっ…♡
……ありがとうございます。」
「もうなんなのこいつ。」
「今のはあんまりパンチありませんでしたね。」
「…………………っはぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
マジでなんなのこいつ。強靭か?狂人か。
「……で?家族には未練もないって事でOK?」
「オゥケイ。ってかむしろいっそ〆て下さいよ。」
「跡が残ると面倒だから流石にやらない。ってか毒親には楽には死なせないから。死は救済になっちゃうから駄目。痛めつけないと。」
「あっ♡今の目とても良いですよっ!!!」
「よしわかった。二度とやらない。」
っはぁ………………
将軍にどうやって説明しようかなぁ………
ほんっっとに…面倒な事になったな、これ…。
トカガミシズはマイちゃんの母です。
クズです。虐めてやってください。