「当然、冗談に決まってんじゃん?」   作:にゃんこぱん

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一万四千字ドーン!
くらえ!


オレの"1番" 下

 "絶対1番になるんだから"

 

 あいつの口癖。

 

 "あたしが1番よ。あたしが1着になるのよ、絶対に!"

 

 あいつの言葉。

 

 "1着じゃなきゃダメなの。1番じゃなきゃ我慢出来ないのよ。そういう風に生まれちゃったんだから仕方ないじゃない"

 

 あいつの表情。

 

 "あんたもそうなんでしょ? いっつもカッコいいだなんだーって、アタシにはさっぱりよ。けどあんたもそうじゃなきゃ我慢出来ないんでしょ"

 

 あいつの瞳。

 

 "ふふっ、結局あんたは──アタシとおんなじね"

 

 あいつの──

 

 

 

 

「……違ぇ。違ぇよ、スカーレット。オレは、お前みたいに……カッコよくなんてなれねえ。なれねえよ。オレと……お前は、違った。同じじゃなかった」

 

「……どうすりゃ、お前みたいになれんだ。なあ、スカーレット」

 

「教えてくれよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー ー ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良かったんですか」

 

 関係者席でもなく、ただの一般客として観客席からレース場を見下ろすスカーレットの背後から明日原が現れた。

 

「あら。あんたこそ、ウオッカに応援でもしてくれば良かったのに」

 

「ジョーダンが行ってくれました。後輩の激励ならば、ウオッカも気合も入るでしょう」

 

「そ」

 

 レースが始まるまでには時間がある。それでもスカーレットはウオッカに会いに行こうとはしなかった。

 

「ウオッカの不調は分かっているでしょう。それを解決できるのは君だけなんですよ。会いには行かないのですか」

 

「そんな柔じゃないわよ。あいつなら大丈夫」

 

「……君がそう言うのなら──と、言いたいところですが」

 

「あんたも加賀も心配し過ぎなのよ。あいつが空回ったりしてたのはいつものことじゃない。やることミスって慌てて、それでも最後にはちゃんとビシッと決めるわよ」

 

 スカーレットは本心でそれを言っていた。だからこそ、ウオッカを気にかけもせずにジョーダンの面倒を見ていたのだ。ウオッカと交わした言葉はどれもぎこちないと分かっていても、それは結局はウオッカ側の問題なのだ。

 

 スカーレットはもう信じることに決めた。ずっと昔にそう決めた。何があっても口を出さずに、ただ見守ることに決めているのだ。

 

「ウオッカにとって、三度目のジャパンカップです。君があくまで王道を行ったのに対して、ウオッカは果敢でしたね。二度のドバイDF(デューティーフリー)、それに凱旋門賞に出走する計画もありました」

 

「……そうね。あいつはいっつも目をキラキラさせながら遠くへ走っていったわ。あっちにカッコいいモンがあるぞって、ワクワクして」

 

「今だから言いますが、僕と加賀さんは君たちのことをよくおしどり夫婦だなんだと陰で言っていたものです」

 

「げ。何それ、どっちが旦那役よ」

 

「ウオッカですよ。女房を放っておいて海外をふらふらして来るけど、女房のスカーレットはいつも日本で待っている。それでウオッカも結局スカーレットのところに帰ってきて……なんて、よく酒の席で一緒に大笑いしたものでした」

 

 何もかも過ぎ去った話だ。何せスカーレットが引退してもうすぐ1年になる。全てを過去の笑い話として語るのは、それがもう昔の話だと振り切っているからだ。割り切っているから語れるのだ。

 

 だからウオッカは昔の話などしない。ウオッカにとってのスカーレットとの物語はまだ終わってなどいないのだから。

 

「……君を信じましょう、いえ……君が信じるウオッカを信じることにします」

 

「そうしなさい。大丈夫よ、あいつなら。コンデュイットもスクリーンヒーローもオウケンブルースリもレイジアンコールもねじ伏せて勝つわ。だってあいつは────」

 

 ──……。

 

 その言葉を聞き終えて、明日原はふっと笑った。

 

「……ええ。そうでしたね」

 

 緊張の混ざった面持ちで、しかしどこかワクワクしながらも、明日原は静かに出走を待つことにした。大丈夫だ、大丈夫。信じるとはこんなにも難しく、そして単純なことなのだと思いながら。

 

「で、ウオッカにはいくら賭けたの?」

 

 いい話だったのに途端に俗になった。明日原は静かに目を閉じて堪える。

 

「……その話、しなきゃダメですか?」

 

「あったりまえじゃない何言ってんのよ。大体あんたね、アタシの時だってそう大した金額賭けてなかった癖にこの前の毎日王冠10万以上賭けてたらしいじゃない!? どーいうことよ説明しなさいよ!」

 

「君の時はギャンブルなんてやる心の余裕がありませんでしたよ。正直、レースの時はいつも胃がキリキリと音を立てて痛むようでした」

 

 明日原は自分が凡才だと自覚している。トレーナーとしての腕は最低限度でしかなく、全てはスカーレットの才能と努力と、あとは運であると思っていた。そのために、自信など常になかったのである。

 

「……いえ、待ってください。誰からその話を聞きました?」

 

「ジョーダンに決まってんじゃない! あんたね、アタシに賭けてればそれはもうたっくさん勝たせてあげたのに、どーしてウオッカの方ばっかり賭けて、挙句負けてるわけ!? 大体あんなコンディションのウオッカが勝ち切れるわけないじゃない、そんなことも分かんないの!? あんなジュニア級の小娘にかまけて腕まで鈍ってんじゃないのかしら!?」

 

「酷い言い草ですね……」

 

 先日の毎日王冠と天皇賞・秋はウオッカの応援のために券を買ったのであって、当てるためではない。ただそれを説明したところでどうにもならないことは目に見えていた。

 

「ああそうだ、ジョーダンよジョーダン! 根性あるヤツだと最初は思ったけど、何よあの生意気な態度! 思い出してもムカつくわ! 誰の足が太いですって……ぶっ殺すわよ!? ねえ明日原、あんたは元担当トレーナーとしてどう思ってんのよ!」

 

 いえ、君の太ももはかなりむちむちですが──などとは口が裂けても言えない明日原、愛想笑いで誤魔化す。

 

「ジョーダンも普段はいい子で一生懸命なんですが、何が反発しているのやら……」

 

「ふんっ。何がいい子よ。あんなやつ、どーせ卑しか女杯に出るしか能がないのよ。どうせすぐあんたに擦り寄ってくるわよ、ほんと卑しい女!」

 

 それはどちらかと言えば君の方なのでは、とも言えなかった。明日原にとって、ジョーダンは本当に一生懸命なウマ娘だ。正直スカーレットの時よりも勝たせてやりたいと思う気持ちは強い。応援してやりたいのだ。

 

 だがジョーダンは自分に対してそんな恋愛色を帯びたどうこうなど持ってない。信頼されていることは分かるし、それが嬉しいとは思うがそれだけだ。スカーレットが掛かり気味なだけだろう。

 

「ってかあんた分かってんでしょうね。アタシはきっちり仕事してあげたんだから、あんただってきっちり見返りを寄越しなさいよ」

 

「ラーメンでは足りませんでしたか」

 

「ぶっ飛ばされたいの?」

 

「……了解しました」

 

 ひっそりと覚悟を決めて明日原はふぅ、と息を吐いた。そして右手をポン、とスカーレットの頭において優しく撫でる。

 

「よく頑張ってくれました、スカーレット。ありがとうございます」

 

 トレーナー界に伝わる伝説のコミュニケーション、通称ナデポである。説明しよう! 撫でながら優しい言葉を吐くとラブコメの波動が高まってなんとかなる。

 

「な、何よ。こんなので……アタシが満足するなんて思ったら、大間違い……なんだから……」

 

「君がいてくれて助かりました。本当に感謝しています」

 

 子供のように頭を撫でられる恥ずかしさと、それを振り払うこともできないほどの嬉しさ、そして手のひらの感触、暖かさ。それらが合わさってスカーレットは顔が真っ赤になった。明日原は思いっきり公共の場所、つまりレース場でこんなふざけた真似をなぜしなければならないのかという羞恥を一切表に出さないままに爆弾処理に成功した。

 

「……あした一日、デートして。それで、許してあげる……」

 

「はい。了解しました」

 

 顔を背けて静かに呟いたスカーレットの一言で明日原のとても貴重な休日は潰れることとなったが、先延ばしにした爆弾が今爆発するよりはずっとマシなはずだった。なのに何故だろう、結局何の解決にもなっていないのでは、と心のどこかで思ってしまうのは。

 

 

 

 

 

 

 

 ──二人を見つけた。

 

(お、居た居た。あっすーになんか飲みもん奢ってもらお)

 

 だから、それを見てしまった。

 

 明日原が人目も気にしないで、スカーレット先輩の頭を撫でているところをジョーダンは目撃した。ウオッカ先輩に応援の言葉を伝えて戻ってきたときのことだ。

 

(……スカーレットパイセンはあんなとこで何してんの? ウオッカパイセンんとこ行かねーんか? なにしてん──)

 

 ジョーダンは何故だか立ち尽くした。それを見て意識を吹き飛ばされて、ただただ立ち尽くした。どうしてかショックを受けていることに、それがどうしてか苦しくて、とても嫌な気分で。

 

(……──何、してんの?)

 

 最初から分かっていたはずの事実を、どうしてか分からない苦しみを前に──ただ、静かに立ち尽くしていた。

 

(声、掛けに行けない。足、動かないんだけど。ウケる)

 

 前へも進めなければ、逃げることもできない。目に見えない誰かの手が、ジョーダンを抑えつけてその光景を見させているようですらあった。

 

(何してんだろ、あの人たち)

 

 一目瞭然のワンシーンを見て、ジョーダンはずっとそういうことを思っていた。答えの分かりきった疑問を浮かべていた。

 

(何であたし、苦しいの)

 

 明日原たちがそうしていたのと同様、明日原がジョーダンに気がつくまで、逃げることも出来ずにずっとそうしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー ー ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ではお聞き頂きましょう、今年の東京レース場締めくくりのファンファーレ!』

 

 JAPAN_WORLD_CUPでお馴染みの例のファンファーレ。観客が盛り上がって歓声が響いた。あれ公式がやってるとか絶対頭おかしいよね。

 

『──世界に届け最強の狼煙。さあスタート前です、今日のウオッカの調子は如何でしょうか』

 

『なかなか彼女もいい仕上がりですね。実はなんと会場にはあのダイワスカーレットも見にきているらしくてですね』

 

『え、そうなんですか!?』

 

『ええ。ウオッカ選手、直前の一ヶ月で秘密特訓をしていたとのことですが、なんとその時にダイワスカーレットがトレーニングに協力していた、と。明日原トレーナーにとっても永遠のライバルでしたからね。塩を送ったということでしょう』

 

『それは期待できますね。しかし今回やって来た海外勢も非常に強力ですよね』

 

『本当に豪華なメンバーが揃いましたねぇ、スクリーンヒーローも二連覇を狙っていますし、かなり激しいレースになるのではないかな、と』

 

『私はやはりコンデュイットに注目していますね。全体のペースを誰が握るのか、というところですが、リードファンタジアがやはりペースを握りに行くと思うんですが、コンデュイットはどのペースからでも前へ出ていくと思うんですね。ですから、そこにどのウマ娘が絡んで来るのか……』

 

 実況が話している間にも、ウマ娘たちが順番にゲートに収まっていく。観客からは"頑張れー!" とか"やってくれー!" というヤジが飛んでいた。

 

『リードファンタジアとしては、出来る限りスローで行って3コーナーから後続を引き剥がしにかかるということをしたいと思うんですよ。そこに絡んでくるのがいるのかどうかがポイントではないかと』

 

『なるほど、さあ現在その鍵を握るリードファンタジアとウオッカがゲートに収まっていきました。順調にゲートに収まっていっています。とにかく今年はGⅠバ13人という豪華共演となりました! コンデュイットが今ゲートに収まる!』

 

 実況の言う通り、GⅠ制覇経験のあるウマ娘が18人中13人もいるのだ。誰にとっても相当厳しいレースになることは疑いようがない。

 

『そして去年の覇者です、スクリーンヒーローがゲートに入りました! 体制整いました18人──』

 

 会場にいる全ての人間が固唾を飲んで見守っていた。

 

 ゲートが開く。

 

『第29回ジャパンカップ、さあスタート!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   *

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『全盛期って、やっぱりあるみたいなのよね』

 

 スカーレットが突然そんなことを言い出したものだから、"どうした急に"と聞いた。

 

『あのディープインパクト先輩ですら引退する時が来たわ。あの人がレースから引退する日が来るなんて想像もしてなかったのよ。でも例え何十年もトレーニングを続けたからって、ずっと足が速くなるかって言ったら違うでしょ?』

 

 何となく言わんとすることは分かった。でも突然過ぎた、どうしてスカーレットが突然そんなことを言い出したのか理解できなかった。

 

『成長期には終わりが来るのよ。アタシが人生で1番速い瞬間っていうのは必ず訪れて、それを過ぎれば緩やかに能力は下がってく。アタシはそんな時が来るなんて思っても無かったわ。けど、それはあのディープインパクト先輩ですら逃れられなかった』

 

 あの時あいつは何を考えていたろうな。

 

 オレはそんなことを考えもしないで自信満々に言い放ったんだ。"オレはずっと走り続けるけどな"。

 

 "引退なんてしねえ。オレはずっとカッコいいままでいる"。笑えるよな、でもオレは本気だったんだ。夢見るガキみたいに本気でそう思っていたんだ。

 

『……そう。あんたは──ずっとそのまま居てほしいわ。あんたみたいなバカがいると、アタシも少し安心するから』

 

 "お前だってそうだろ、スカーレット。しわくちゃのばーちゃんになっても走り続けるって言ってたろ"。

 

『あっははは、いつの話をしてるのよ。中等部の頃の話でしょ? ずっと走り続けるだなんて、普通に考えて出来っこないじゃない』

 

 "じゃあ辞めんのか?"

 

『辞めないわよ。アタシはまだまだこれからなの。でもいつかアタシの足も遅くなって、一着になれない日が来たら──アタシはその日が来る前に引退したい。どうせ引退するなら、1番のままで終わりたいの』

 

 "変なこと言うなよ、引退とかそん時に考えりゃいいだろ? オレとの決着もまだついてねぇんだ、余計なこと考えてっとボコボコに負かされて泣いても知らねーからな!"

 

 正直言うと、お前はいつものようにプンスカ怒って言い返してくると思ってた。でもお前はそうしなかった。

 

『……そうね。あんたの言う通りだわ』

 

 オレは今でも知りたいんだ。

 

 なあスカーレット、お前はどうしてあんなに寂しそうな顔をしてたんだ。教えてくれよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

 

 

『ウオッカいいスタートを切ります。気合をつけてアサクサキングス飛び出したが、エイシンデピュティが押していきました。リードファンタジアはウマなりで前に上がっていきます。さあアサクサキングスは気合をつけてエイシンデピュティとの争いに! さらにリードファンタジアが加わって3頭の激しい先行争い!』

 

『エイシンデピュティ引きました! アサクサキングス先頭リードファンタジア2番手エイシンディピュティ3番手、ウオッカ4番手で追走! ネヴァブションその後ヤマニンキングリーが続いてコンデュイットは後方手段です』

 

『さあ1、2コーナー中間に入ってスーッと外から9番リードファンタジアがハナを奪いました! リードファンタジアが逃げる展開となって2コーナーカーブ、これから向こう正面です。1番アサクサキングスが2番手、その後3バ身離れてエイシンデピュティ3番手の位置。4番手ウオッカです』

 

『あと固まりました。ヤマニンキングリー内から2番のネヴァブション、シンティロインティライミ、外目にスクリーンヒーローです。内からジャストアズベルその後ろマーシュサイドが続いて内から6番のレイジアンコールです』

 

『コンデュイットは後方から6人目の位置、並んだインターパテイション、内はエアシェイディです。あとはあとはコスモバルクが後方から3人目、オウケンブルースリ、マイネルキッツ僅かに最後方です』

 

『さあ3コーナーカーブに向かっていきます。先頭リードファンタジアです、リードを2馬身取っています。2番手1番のアサクサキングス、更に2バ身エイシンデピュティ3番手、ウオッカこの3番手に並び掛けていきまして前との差は5馬身くらいの位置、ヤマニンキングリーで3、4コーナーに入ります。シンティロ、更にスクリーンヒーロー、外目からアーシュサイド押し上げていきました』

 

『間はインティライミが差を詰めてその後ろレイジアンコールです、さあ先頭はリードファンタジア、リードファンタジア先頭1バ真のリード、エイシンデピュティ2番手の位置外目からヤマニンキングリー、更にスクリーンヒーロー4番手の外に上がりました。その内にウオッカが追走、好位の一角です』

 

『さあ4コーナーからこれから直線コースに入りますリードファンタジア、リードファンタジア! エイシンデピュティ並び掛けてきます。ヤマニンキングリー外からスクリーンヒーローだ! 間を狙ってウオッカとその後ろからコンデュイットがウオッカの後ろにつけている! シンティロ追い込んでくるジャストアズウェル! 大外からはオウケンブルースリが勢いよく追い込んできてきた!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  *

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オレは有記念には出なかった。

 

 シニア1年目の秋、オレはジャパンカップに勝てなかった。3着だった。スクリーンヒーローに負けたからだ。

 

 有に出なかったのはカッコ悪ぃと思ったからだ。だってそうだろ、オレが負けた次のレースでスカーレットとの決着をつけようなんて収まりが悪ぃじゃねえか。勝って、勝って、そんでもって最高の状態のスカーレットとデカい舞台でケリをつける。今思えば夢物語だった。オレたちに残された時間なんてちょっとしかないって事を分かってなかった。

 

 オレはいまだに後悔してる。去年の有に出ときゃよかった。怪我が見つかったわけでもなかったんだ。ただカッコ悪ぃからって理由で出なかった、それが1番カッコ悪かったってのにオレは出なかった。なりふり構わず出るべきだった。

 

 第53回有記念、勝ったのはスカーレットだった。

 

 カワカミプリンセス、コスモバルク、メイショウサムソン、ドリームジャーニー、スクリーンヒーロー。どいつもこいつも有に出るような連中だ、弱いわけがねえ。でもあいつは勝った。先行策からの逃げ、あいつが貫いてきた王道のスタイルを最後まで貫いて、あいつは最後の最後まで王道の道を走り切った。

 

 オレは勝手に誇らしくなってた。それでこそオレのライバルだって、得意げにウィナーズサークルでインタビューを受けるあいつを観客席から見下ろしていたんだ。

 

『あたしは今日、この場を持って引退を発表します!』

 

 だからその言葉を聞いた時、世界の全部がひっくり返ったみたいな感覚がした。

 

『応援してくれたファンのみんなと、アタシを支えてくれたトレーナー、友人たち、そしてライバルのウオッカに……この勝利を捧げます。今までありがとうございました……ッ!』

 

 バカみたいな衝撃で頭をブン殴られたみたいでクラクラした。けどそれ以上に予感のようなものは感じ取っていた。ただオレが気が付かないフリをしていただけだ。

 

 あいつは自分の全盛期を分かっていた。オレだって分かってたさ、今のスカーレットは最高に速いって。あいつが言っていたことだ、全盛期を過ぎて遅くなっていく──その前に引退したいと。1番のままで終わりたいと──あいつはオレに伝えていたのに、オレは気が付かなかった。

 

 オレはすぐに関係者扉まで走っていって、パドックから戻ってくるスカーレットを出迎えた。でも何を言っていいか分からなかった。

 

 スカーレットは堂々としたまま、何も言わずオレの隣を通り過ぎようとして、勝手に口が動いた。

 

 "……5戦して"

 

 "2勝2敗、1引き分けだ"

 

 チューリップ賞。桜花賞。秋華賞。有記念。そして天皇賞・秋。

 

 オレたちが走ってきた過去の軌跡。

 

『……そんなに戦ってたのね、アタシたち』

 

 あいつはただ懐かしんだ。あいつにとっては全てが過去になっていた。もう昔の話のように懐かしんでいた。

 

 "けど、最後に勝ったのは……オレだ。スカーレット、お前は……悔しく、ないのかよ。オレに負けたままで、オレに 1着を奪われたままでよぉ……っ"

 

『そりゃ、いいわけないでしょ? でも仕方ないもの。なんとなく、こうなるような予感はしてたんだし。……きっとアタシの足はこれ以上は早くならない。今日がきっとアタシのピークなの。アタシは今日を境にして、ちょっとずつ衰えていくんだと思う。分かるのよ、自分の体のことだから』

 

 "……ライブが終わったら、学校のグラウンドに来い。絶対だ、絶対に来い……ッ!"

 

 オレはどうしていいか分からず、ただ直感的にそう言った。あいつは──やれやれ仕方ないわねって感じのいつもの表情で答えた。

 

『……分かったわ。それじゃ』

 

 あいつはオレを通り過ぎていった。

 

 あいつはいつもオレの先を走っていた。レースでもなんでもそうだった。オレはいつもあいつの後ろを走っていた。

 

 

 

 

 

 

    *

 

 

 

 

 

 

 明日原は思い出す。

 

 あの有記念の後、喉が枯れるくらいに叫んだスカーレットの引退ライブ、それを終えてトレセンへ帰ったスカーレットが勝負服のままトレセンのグラウンドへ向かっていった時のことを。 

 

 明日原は訳も分からなかったが、何かの予感を感じ取って黙って後ろをついていった。制服に着替えもしないで、勝負服のままコツコツと歩いていったその先には、同じく勝負服で待ち構えていたウオッカがポツンと一人立っていた。

 

「勝負だ、スカーレット。今日がお前のピークだって言うんなら、オレと戦えッ!!」

 

 ウオッカはそう言った。

 

 スカーレットの引退は、有で初めて世間に公表された。明日原でさえ引退するかどうかは知らなかった。スカーレットは独断でその引退を決めて、明日原はそれを受け入れた。明日原になんとなく分かっていたことだった。

 

 だがウオッカには受け入れ難いことだった。

 

「ふーん……。いい度胸してるわ。勝ち逃げされたら、あんたはもう一生アタシと戦う機会ないのにね」

 

 刺々しさのまるでない軽口だった。どこか寂しそうですらある挑発だった。何もかもが過去だった。

 

「負けねえ、負けねえ、負けねえッ! オレは──お前にだけは絶対に負けねえっ!」

 

 ウオッカは叫んだ。喉の奥から、グラウンド中に響き渡るほどの大声でそう叫んだ。

 

「いいわよ。明日原、審判お願い」

 

 スカーレットには全て分かっていたことだった。だから動揺などしなかった。

 

「了解しました。……寂しいものですね、この世代を代表する二人の名バの勝負に、観客が僕一人とは」

 

 明日原は本心で呟いた。世間であれほど望まれていたウオッカとスカーレットの最後の戦いを見届けることが出来るのは明日原一人だけなのだ。本当は動画に撮ってURAにでもアップロードしたかった。

 

 だが、ウオッカの決意とスカーレットの覚悟に免じてそれは出来なかった。そんなことをすれば、この勝負を汚してしまうと思った。

 

「あんた一人が見てればいいわよ。これは──アタシと」

 

「オレの勝負だ。客なんかカンケーね」

 

 

 

 トレセン学園レース場、芝2000m。出走時刻は18:34。冬のレース場には雪は降っていなかった──去年と違って、もう雪は降っていなかった。

 

 位置について、よーいどん。

 

 放り投げた10円玉が地面に落ちたらスタート。草レースのやり方だった。

 

 スカーレットが逃げて、ウオッカが追う。いつもの展開だった。明日原にとっては、もう練習で何度見たか分からない光景だった。勝って負けて勝って負けてを繰り返してきた。練習でも本番でも同じだった。

 

 第四コーナーから直線、スカーレットのスパート。同じくウオッカも加速していく。距離が詰まる。縮まる。縮まっていく。

 

 残り200。距離は縮まる。横一線並んだ。明日原だけがそれを見ていた。

 

 ゴール板が近づいてきた。

 

 三年間に渡ったウオッカとスカーレットの戦いに決着がつくまで、残り3秒も掛からなかった。あらゆるものには終わりが来る。そんなものはないと思っていても、終わりは必ず訪れるように出来ていた。

 

 ウオッカが差し切った。

 

 写真判定を用いるまでもなかった。明日原でさえ簡単に判別できたのだから、走っている当人たちに分からないはずがなかった。

 

 ウオッカが勝った。スカーレットとの勝負に勝ったのはウオッカだった。

 

 だというのに、ウオッカは息を切らしながら──泣きそうな顔をしてした。

 

「……やるじゃない。やっぱりあんた、速いわね」

 

 対照的に、スカーレットは晴れ晴れとしていた。いい勝負だったわねと言わんばかりの、悔いのない表情だった。

 

「なんで……なんだよ、スカーレット! 1着じゃないんだぞ!? オレの方が速いのに、どうして納得したようなツラしてんだよ!? 怒れよ、悔しがれよ、もう一回って言えよッ! もう一回だ、もう一回勝負しろよぉっ!」

 

 慟哭。ウオッカの紛れもない本心が響き渡っていた。その叫びが冬のターフに染み込んで、すぐに消えていった。

 

「あんたになら……あんたが1着なら、いいわよ。特別に許してあげる」

 

 ──スカーレットは、あれだけ拘っていた1着をついに手放した。

 

 ウオッカはその言葉をゆっくりと消化して、涙を切らしながら顔を伏せた。スカーレットのことなど見れなかった。

 

「そんな……嫌だ、オレは嫌だっ! オレと勝負しろ、オレに勝てよっ! ずっと一緒に戦っていこうぜ、なあスカーレットっ!」

 

 ウオッカは、今がずっと続くと思っていた。スカーレットといがみ合いながらこれからも戦っていくと信じていた。いや、そう在ってほしかったのだ。

 

「きっと今がアタシの最高なのよ。だから……ダラダラと戦って無闇に負け続けるより、これで終わりにしたいって。……あんたと戦った、『カッコいい』アタシのままで終わりたいって」

 

 スカーレットにとっての『1番』。それはウオッカにとっての『カッコいい』ということ。だからスカーレットはそう表現した。嘘も修辞も、欠片だって混ざってなかった。

 

「……諦めねぇ。オレは諦めねえぞ……っ! お前が諦めたって、オレは絶対諦めねえ……っ!」

 

 ウオッカはぼろぼろと涙を流しながら叫んだ。

 

「スカーレット! オレは『1着』を獲ってやるっ!」

 

 スカーレットは決めたことはなんでも最後までやり抜いた。1番になると誓って、1番のまま終わっていった。ならもうスカーレットは戻ってこない。

 

「勝ち逃げなんてさせねえ、オレがお前の『1番』になってやる……ッ ! 見てろよ、見てろぉ……っ!」

 

 ──ウオッカは、それでも逃げなかった。

 

 時の流れに抗うように、しかしそれが不可能だと誰よりも分かっていたのに叫んだ。

 

「オレは逃げねえっ! オレは戦い続けてやるっ! お前がいなくたって、相手がどんなに強くたって、絶対だっ! オレが絶対絶対絶対『1番』になってやるっ! オレがっ! お前の『1番』に────っ!」

 

 だから、優しい顔で。スカーレットは寂しそうな、嬉しそうな顔で──優しく答えた。

 

「……ごめんね、ウオッカ。アタシの一番はもう決まってるの。けど……ちゃんと見てるわ、あんたのこと。ウオッカ。あんたがアタシのライバルで本当に良かった。あんたと過ごした三年間、本当に楽しかったわ」

 

 ウオッカが顔を上げた。相変わらず涙を溜めたままで、その言葉を認めようとする自分の気持ちに必死で抗いながらスカーレットを見た。

 

「だから分かるでしょ。今終わるのが本当に『カッコいい』終わり方。アタシの伝説はこれでおしまい。それでいいし、それがいいのよ」

 

「なんだよ、それ……っ! ずりぃよ、スカーレット……っ」

 

「あんたがいたから、アタシはここまで走ってこれた。ありがとね、ウオッカ。アタシの、1番の────」

 

 そこから先のことを、明日原は聞かまいとした。きっと自分が聞いてはならないものだと思ったから、忘れることにした。

 

「……オレもっ!」

 

「オレも、お前が。誰よりもカッコいい、お前が、居たから。オレにとって1番カッコいい、親友のお前が──────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 年が明けて、ウオッカは2回目のドバイDF (デューティーフリー)に挑戦するために、2月中旬にドバイに渡った。

 

 スカーレットは有の後、明日原と一悶着あったようで、年末から1月の後半までトレセンを開けていた。三年間も過ごしたあの部屋には、ウオッカ一人が残され、そのウオッカもドバイへ飛ぶので、あの一室には誰も居なくなることになった。

 

 スカーレットの暴走により、明日原は式だ旅行だなんだともみくちゃにされていたが、それでもウオッカへの見送りだけは二人とも来た。

 

 加賀が空気を読んで先に飛行機に乗り込み、スーツケースを引くウオッカとスカーレットが最後の言葉を交わした。

 

「あんたを一人にして……ごめんね。ずっとアタシは、あんたを応援してる」

 

「……いい。許すよ、スカーレット。その代わり、ずっと見ててくれよ」

 

 そう言ってウオッカは背を向けた。スカーレットは迷いながら、それでもその言葉を伝えた。

 

「約束して、ウオッカ。ずっと、誰よりもカッコいいあんたでいるって」

 

 ──呪いだ。呪縛だ。走り続ける限り付き纏う鎖だ。スカーレットはそれを分かっていて。

 

「ああ。誰よりもカッコよくて、誰よりも速い……1番のオレに、オレはなるよ」

 

 ウオッカはそれを受け入れた。過程などどうだってよかった。その言葉だけが全てだ。

 

「ありがと。……元気でね、ウオッカ」

 

 

 

 

 

 

 

 だからウオッカは誓ったのだ。

 

「やってやる……。お前が居なくたって、オレは走ってやる。絶対だ、絶対──ダイワスカーレットの名に誓って、オレは二度と負けねェッ! どんなレースでも1番になってやるッ! オレは諦めねえ、オレは逃げねえ、オレは、オレは────っ!!!」 

 

 ──お前の分まで走り切ってやる。

 

 ──やがてオレが引退するその日まで、オレが1番カッコいいウマ娘で有り続ける。

 

 

  

 

 

 

 

 

「大丈夫よ。だってあんたは、このアタシの1番の憧れで、1番の親友なんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『──ここでウオッカが動いた!』

 

 ──呪いだなんて言わせねえ、重しだなんて言わせねえ。誰だって言わせねえ。約束が重圧になってるなんて絶対に言わせねえ。それだけはオレが許さねえ。だって強くなりたかったのはお前がいたからだ。お前がいつもオレの前を走っていたからオレは速くなれたんだ。

 

 お前が信じてくれるから、オレは強くなれたんだ。

 

『さあウオッカが先頭に変わるか! ウオッカ! ウオッカが先頭だ! ウオッカ! オウケンブルースリ! 更には間からコンデュイット追ってくる! コンデュイット! ジャストアズウェルも追ってくる! 更にはレイジアンコールの追い込み! さあウオッカ先頭! オーケンブルースリ! オーケンブルースリ! レイジアンコール2番手争いまで加わる! さあウオッカ! オウケンブルースリ! オーケンブルースリ! ウオッカ! 3番手レイジアンコールだ!』

 

 知らねえ。

 

 あいつが信じてくれるオレは、誰が相手でも負けないから。

 

 誰が相手でも諦めないから。絶対に諦めないから、絶対に差し切って見せるから。絶対に1番を譲らないから。絶対に自分を信じ続けるから。

 

(なあ、スカーレット)

 

(オレ、カッコよかったかな)

 

『オウケンブルースリ、ウオッカ、オウケンブルースリ、ウオッカッ!』

 

(お前みたいに、カッコよく走れたかな)

 

 歓声が響いている。東京レース場を揺らしている。肌が震える。心に響く。

 

 この声が答えだ。きっとそうだよな? 

 

「ウオッカ──っ! カッコいいわよーっ!」

 

(……そうか)

 

(なら、いい)

 

 

 

 

『ウオッカ今────ゴールインッ!』

 

『やりましたウオッカッ! 数あるライバルたちを跳ね除けて、ジャパンカップを制しましたッ! ついに史上5人目となるGⅠ7勝目を達成しましたッ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やったな、ウオッカ。……お前、ほんとすげえわ。すげえよ、ほんと……」

 

「ったり前じゃねえか。オレを誰だと思ってんだよ……泣いてんのか、加賀」

 

「泣いて……っ、ね"え"……っ! 泣く"わ"け"ね"え"だ"ろ"う"が"よ"お"おお……っ! う"お"お"お"お"お"ん"ん"ん"……」

 

 アラサーの男泣きほど見苦しいものはなかったが、ウオッカは苦笑いするだけだった。この担当の加賀にも世話になった。

 

「ほら……っ、インタビューだ、ウィナーズサークルに行け……っ! ほら、こっち見んなよぉ……」

 

 分かった分かった──と言って、ウオッカはターフの中心へ向かっていった。

 

 鳴り止まない拍手と歓声と叫び声は、ウオッカがウィナーズサークルでマイクを手にしてようやく止んだ。

 

 ただどうしてだろう、ここで喋るのは初めてじゃないはずなのに、何を喋っていいか分からない。静かになった観客席に焦って口を開いた。

 

『オレは』

 

 ──そうすると、口が自然に動き出した。

 

『オレの名前は、ウオッカだ』

 

 当たり前のことだ。でもそれ以上に大切なことだ。

 

『覚えてってくれ。ウオッカは──この世界で、1番カッコいいウマ娘だッ!』

 

 ──ウワアアアアアアアアアアアア!

 

 歓声が返ってきた。

 

 そうだ、これだ。こういうことがしたかった。一度やってみたかったんだ。

 

『この勝利をッ! これまで一緒に走ってきてくれたトレーナーの加賀とッ! オレの最高の親友にしてライバルのダイワスカーレットに捧げるッ!』

 

 ──ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

 

 何にも考えなくても言葉がついて出てきた。きっと本当の気持ちだ。

 

『聞いてるか、スカーレット! オレ、お前がいなくて寂しかったけど──ほんとは! すっげえすっげえ寂しかったけど──っ!』

 

 ついに果たされなかったウオッカとスカーレットの対決。その物語は、ようやく本当の意味で終わりを迎える。

 

『約束、果たしたぞッ!』

 

 ──ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

 

 すごかったぞー! カッコよかったー! よくやったー! ウオダスてえてえー! てえてえ、てえてえ……! なんか変なノイズが歓声に混ざっていた。

 

 だがその歓声はいつまでも鳴り止まなかった。ウオッカの名前が歴史に刻まれる。

 

 終生のライバル、ダイワスカーレットの名と共に刻まれる。レースの歴史に二人一組で名を刻み、そして──やがて永遠になるだろう。

 

『あと、オレはこのジャパンカップで引退するから! そこんとこよろしくな!』

 

 泣きながら叫んでいた加賀が飛び上がった。

 

「……えええええええええええええええ!? は、はあああああああ!? ちょ、聞いてねえんだけどおおおおおおおおおお!? 何それええええええええええ!?」

 

 加賀同様、そのインパクトに会場は騒然となった。

 

「……なんだか一度見たような気がします」

 

「失礼ね、アタシはちゃんとあんたに相談したじゃない」

 

「残念ですが、有当日の朝に『アタシ、今日で1番獲って引退するから』と宣言することを相談とは呼びませんよ。あの1日で僕の寿命がどれだけ縮んだか……」

 

「何よ。ちゃんと1番になったんだからいいじゃない」

 

「……全く。少しは大人になったと思ったのですが、君もウオッカも──」

 

『みんなありがとなー! 最後のライブ、楽しんでってくれよなー!』

 

「子供のように、憎たらしいほどのいい笑顔ですね」

 

 晴れやかな笑顔を浮かべるスカーレットとウオッカの姿だけが、今日という1日の物語の終わりを示していた。

 

 

 




(このへんでうまぴょい伝説が流れる)

この作品は基本的に史実をベースにしていますが、物語上の都合のためにいくつか変更が加えられています。
なお、この作品の主役はトーセンジョーダンです。……だよね?
 
12/2追記
 特大ガバを修正しました。具体的にはレッドディザイアとリーチザクラウンの名前を適当な名前に置き換えました。以下ガバの説明、別に読まなくても特に問題はありません。興味のある方だけどうぞ。

 この物語はそれなりに史実をベースにしていますが、時系列が決定的に違う部分が一つあります。
 トーセンジョーダンたちの世代、通称09世代はその通称の通り2009年クラシック級を走った馬たちです。ウオッカたちは07年クラシック級となり、代表的な競走馬ではウオッカ、ダイワスカーレット、ドリームジャーニー、スクリーンヒーローなどがいます。トーセンジョーダンの世代である09世代とは2年間の差があるわけです。
 が、この作品においては物語の演出上の都合により時系列が歪められ、トーセンジョーダン世代のデビューは一年遅れ、ウオッカたちの3年後輩ということになりました。史実であれば、ダイワスカーレットが引退する前にトーセンジョーダンはすでにデビューしていましたが、この作品においてはダイワスカーレットが引退してからトーセンジョーダンはデビューすることになりました。

 私が何をガバったかと言うと、ウオッカ最後の戦いであるジャパンカップにトーセンジョーダンの同期であるレッドディザイアとリーチザクラウンを登場させてしまい、時空が歪んでしまいました。物語としてまとめるために私は勝手に空白の一年を追加しているわけでして、そのガバが今後何に響いてくるかは不明です。考えても分からないので考えるのはやめました。
 実際、史実ではウオッカが最後のジャパンカップを走っている頃にはトーセンジョーダンはすでにクラシック級に入っているからね、仕方ないね(ガバを許容する作者のクズ)
 ということでその部分を修正しました。モブウマ娘の名前に変更されています。

 あとお気づきかもしれませんが、この世界線にはドリームリーグトロフィーなるものは存在せず、スペちゃんとかカイチョーとかはとっくの昔に引退して、伝説の人とかになっているわけです。原作ウマ娘においてジョーダンの同室はチケゾー先輩なわけですが、割と史実沿いのこの世界線ではBNWが活躍したのは10年ほど前の話になるため、ジョーダンの同室であるはずのチケゾー先輩はもういません(無慈悲)。なのに同じくトウカイテイオー世代であるメジロパーマーとかダイタクヘリオスはいる不思議。なんでかなぁ?(すっとぼけ)
 そのためジョーダンの同室が誰なのかは不明です。私も考えてません。

 評価、感想ありがとうございます。感想は全て楽しみながら読ませて頂いております。本当はウキウキで返信したい気持ちでいっぱいなのですが、返信とかしようとと執筆に集中できずに時間が一瞬で過ぎていくので見るだけに留めています。返信出来ず申し訳ないです。が、感想を頂くのはマジで嬉しいのでもっとください(強欲先輩)
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