「明日原君。一通りの事情は知っているが、君の口から説明して欲しい。まずは座りなさい」
スカーレット家のとある一室──豪華な調度品で彩られた洋風のリビングだか応接室だか分からないが、とにかく明日原は気絶から目覚めた後そこへ連れて来られていた。長机に赤いテーブルクロスとか漫画かよ、と思った。
桐生院(父)が険しい顔で腕組みをしている。その横に温和な微笑みを浮かべる桐生院(母)が座っていた。なんで居るんだよ。
「景悟さん。娘から事情は聞きました。娘がご迷惑をお掛けしているようで申し訳ありませんが──娘との婚約をお忘れになったのかしら?」
スカーレット(母)ことスカーレットブーケ氏が静かな圧力を発して上座に座っていた。なんでだよ。
明日原は言われた通り、桐生院夫妻の対面に座った。
(帰りたい)
「さて……では、話を始めましょう。景悟さん、ここから先は我がスカーレット家に対しての不義理とならぬ発言を期待します。よく考えて言葉を選んで頂戴」
「ウチの葵を弄んだそうだな。事情如何によっては容赦はせんぞ」
ゴゴゴゴゴゴゴ──とかいう風の擬音がつきそうなお二方が明日原を睨んでいた。さながら竜に睨まれた蛙と言ったところだろうか。
(帰りたい)
そう思った。
ー ー ー
明日原が裁判にかけられている一方で、もう一つの話し合いが行われていた。
「……仕方ありません。妥協してやりますよ」
「妥協も何もこうするのが普通だよ……。ジョーダンも、それでいい?」
「んー……。ま、あたしにとっては得だしね。おけまるおっけー」
「………………ハァ。仕ッ方ないわね、分かったわよ。その方が後腐れなさそうだしね。けど分かってんでしょうね、それで負けりゃそれっきりよ」
「そりゃこっちのセリフですがね。未練引きずンのは勝手ですが、ちょっかい出さないで下さい」
「それブーメランよ」
「それな」
完全に桐生院の代理人と化しているナビが頷いた。机を囲む彼女たちには、形だけのもてなしとして茶菓子が用意されていた。敵陣で茶を啜るという訳ではないが、どうにも手を付け難い──ブエナビスタは遠慮なくずずっと茶を啜った。ついでにお菓子にもバリバリ手を出している。
「ジョーダン。アンタにも言ってんのよ。担当契約を解消しろなんて言わないけど、その後の手出しは無用。言っとくけどアンタが1番不安だわ」
「え? 何言ってんスか、そんなんあたしが勝つに決まってんだから問題になんねーっすよ」
石を上に投げたら下に落ちるだろ? とでも言わんばかりの、当たり前を確信した言葉。昨日のジョーダンとはまるでひっくり返ったみたいだ。心の中に錘を下ろしたみたいに──。
「……まあいいわ。後で吠え面かきなさい、泣いても慰めないわよ」
「はいブーメラン。ってと、ほな私たちは帰りますねー」
「はいはい、さっさと帰んなさい。言っとくけど送らないわよ」
しっしと手を払って首を振るスカーレットに応えてナビとミークが椅子を立った。
「ほらアオイ、帰りますよ。帰って桃鉄の続きです」
「100年モード、終わらないと帰れまてん……だぜ」
「……元気ですね、二人とも」
桐生院は疲れた様子だ。感情的にも肉体的にも、最も振り回されたのはおそらく桐生院だろう。
「スカーレットさん、お邪魔しました。それでは」
「はいはい──」
アケノとジョーダンもそれに倣って退出して行った。ドアを開けたあたりで思い出したかのように背後から声。
「あ。明日原は置いてきなさいよ」
「え? いや、なんでですか?」
「当ッたり前でしょ。この家にも慣れてももらわないといけないし」
両者が当たり前だと思っていることが食い違っていると、一周回って衝突は生まれない。緩やかな、しかし譲り難い相対──とかやっていると、疲れた顔の明日原がやってきた。噂をすれば本人。
明日原の疲れた顔はかなり珍しくないし、なんならいっつも胃の痛そうな顔をしているので見慣れているのだが、今回は一等酷かった。
「お、あっすー来た。ねえ、何話してたん?」
「……世界平和に関して、有意義な議論を少々」
「?」
「いえ……。それで、その……どうなりました?」
多少の気まずさを残しながら明日原は尋ねる。というかさっき物理的に襲われた恐怖が抜け切っていないが、話をしないことにはどうにもならないことだけは理解できていたのだろう。
「帰りながら話せばいっか。ねーミーク先輩、車乗っけてってよ」
「うむ。わたしのドラテクを見せてやる──」
ごく自然な流れで帰ろうとするジョーダンたち──
「待ちなさい。何自然に帰ろうとしてんのよ、
「うえぇ……。家に帰してください……」
「何よ嫌なの? 偶には構ってくれてもいいじゃない」
「……明日で構いませんか? 今日はもう疲れました……」
「仕方ないわね。全部任せるわよ」
「分かりました……。また連絡しますよ、あまり期待しないで下さいね……」
ふらふらと疲労を抑えて歩き出した明日原をポカンとした顔で眺めるアケノはふと気がつく。
(え? 今デートの約束した? 慣れすぎじゃない?)
バッとスカーレットに振り向いた。テキパキと湯呑みを片づけ始めていた。瞬間的にある交渉のテクニックを連想する。最初に高い要求をぶつけることで、もう一段階低い要求を通しやすくする小手先の話術──平然とした様子のスカーレットをもう一度見た。考えすぎかもしれない。
アケノを放って歩き出していたジョーダンがスッと明日原の腕を取りながら不機嫌そうに言う。
「ねー、スカーレットパイセンにはなんかあるのにあたしにはなんもねーの? あるだろ」
「勘弁して下さい、それと近いです……」
きっとはっきりと断れないからこんなことになったんだろうなぁ、とアケノは思った。人間失格かな。
死滅回遊
1、来たる2月14日──バレンタインにて諸々の決着をつけるものとする。
2、互いに妨害、あるいは協力することは禁止とする。
3、明日原景悟はバレンタイン当日にて、一人の人物からのみチョコレートを受け取るものとし、それを対決の結果とする。
4、明日原景悟は必ずしもチョコレートを受け取る必要はない。
5、チョコレートは必ずしも"チョコレート"である必要はない。
6、バレンタインの後に禍根を残す行為は禁止する。
7、
8、上記の総則を破った者の処遇は
ー ー ー
1月2日──スカーレットとのお出かけを、明日原は無事に乗り越えた!
無事に成人し飲酒が可能になったスカーレットとの初手サシ飲みという茨の道を何事もなく乗り越えたのは、20歳あるあるの一つであるお酒の飲み過ぎに見事スカーレットがハマったからであり、それ以上の理由はない──かつての教え子と飲む酒は割と普通に美味しかった。そして自己管理の出来る側のスカーレットが珍しくそういったミスをしたのは、純粋に明日原との飲み会を楽しみにして、はしゃぎすぎたというごく普通の20歳らしい理由だった。
早々に潰れたスカーレットを乗せたタクシーを見送り、彼女の本家へと連絡を終えて一安心した明日原の前に現れたのはなんと駿川たづなだった。混じりっ気なしの100%偶然である。ストゼロが10本近く入ったビニール袋をぶら下げてこれから寂しく一人酒だと笑うたづなを見ていられなかったのか、明日原は一緒に飲みませんかと提案。去年の正月から何一つ学んでいない。
明日原とたづなの間には実は一切のわだかまりはなく、純粋な善意と友情だけが存在している──ここのところの苦労をぶちまけるように話を聞いてもらっているうちに空けたジョッキは数知れず。午前1時を回ったあたりで記憶は途切れ、気が付いたら自宅で眠っていた。テーブルに書き置き──
"大人としての線引きも大事ですけど、女の子の気持ちもそれと同じくらい大切ですよ。もちろんそれと同じくらい明日原さんの気持ちも大切です。報告を楽しみにしています。また今度、続きを聞かせてくださいね?"
それと小さな瓶に緑色のどんよりした液体──ロイヤルビタージュースはたづなからの気遣い。
"二日酔いに効きます。一気に飲み込むのがコツですよ"
内臓からかき混ぜられるような二日酔いの苦しさに耐えかねて、舌で味わう前に喉に通した。
それでも普通に苦くて、二日酔いの気持ち悪さも相まって吐きそうになったが、なんとか飲み干した──大人になると苦いものに耐えることばかり慣れていく。
苦味に慣れても苦いものは苦かった。だから明日原は、甘いのも苦手のままだった。
「──で、まだちょっとテンサゲ〜? いや知らんし、つかマジねーわ。あっすーさんマジあっすーってカンジ〜」
「今回ばかりは大目に見てほしいところです……とは言え、遅刻したのは申し訳ありません。僕としたことが情けない」
「……いーよ。許す。遅刻したあんたを待ってるとき、ダルいナンパ何回かされてムカついたけど許す」
すっかり有名人になってしまったジョーダンは、完全なプライベートではそこそこの変装を余儀なくされていた。とは言っても普段はツインテールにしている髪を下ろすだけでも印象は大分変わるものだ。
ナンパされたあと、ジョーダンの正体に気が付いてファンですサイン下さいとか言われてもちょっと嬉しいようなだるいような、そんな微妙な気持ちだ。大体サインペンなんて持ち歩いてねーっての。紙もねーよ。コンビニで買ってくんのもやめろや。
そんな若干ピリついてるジョーダンに苦笑い一つ。彼女は皮肉が上手くなった。きっと大人に近づいている。
「はいはい、機嫌直せってんでしょ。わーってるって、あたしもヤな空気でデートなんてしたくない──」
おもむろに左手を差し出されたジョーダンは言葉を止めて、その手に視線を下ろす。じっと観察するような奇妙な間が生まれて、それから不機嫌そうな表情を一転させて口元を緩めた彼女は、差し出された左手に自らの右手を重ねて、つまりは手を繋いで──
「いよっし行くぞー! ねー、ドコ行く!? ゲーセン、あたしゲーセン行きたい! てか買い物、服欲しい服! つか選んだるわ、あんたいつ見てもユニクロ人間だしさ! え、なんか好きなブランドある? ないでしょ? つか作ろうぜ、オシャレってたのしーからマジ!」
「はいはい、急がなくても逃げませんから」
現金だな、と思った。それと同時に、万が一写真を撮られたらヤバいな、とも思った。
とある商店街を通りがかった時のこと──
福引やってまーす! メガホンを持った宣伝係であろう人がそんな景気のいいことを叫んでいて、ふと目をやる。正月の企画らしい──ぱっと見の景品がそれなりに豪華だ。
「そういえば、ここの福引券を1枚もらったんですよね。せっかくですし、やってみますか?」
「マ? それはアガる。え、特賞何?」
福引のテントへ歩いていくと──
「えーっと、なになに……」
「説明しよぉーぅ! これはなー、代々トレセンに受け継がれてきたっつーやべーイベントでなー? 冗談抜きで今後のウマ生ぜーんぶ決めちまうことすらあるおっそろしぃ〜運試しだ! おっ? おいおい一枚持ってんじゃねーかよ、こりゃガチャるしかねーよなぁ!?」
景品の説明を見ようとしたジョーダンの前に突然現れたゴールドシップ──ゴルシがスタッフ用の法被を被って登場。マジでなんで居るんだとか思っても、このゴルシに限ってあらゆる疑問は通用しない。
「つっこまねーぞ、ぜってーつっこまねーからな」
「おいおい釣れねえな〜? まあとれぴっぴ、いやオマエらの言い方だとすきぴっつーんだろ? まあデート中じゃ仕方ねーなぁ」
そう──友人にデートしているところを見られると恥ずかしい。いや、ジョーダンに限ってはそんなことはない。むしろこれがいつメン──シップじゃない方のゴルシ、ゴールドシチーなどであれば全く話は違う。なんなら3人で写真でも撮るかも知れないが、シップの方のゴルシはなんというか、人間関係のジャンル分けが通じない相手だ。
どういうことかというと、ジョーダンは無性に恥ずかしくなった──
「ッハハハ! おいおい照れんなよ、顔真っ赤じゃねーかよぉ〜かっわいーな〜おまえな〜。オイ明日原ァ! 写真取ってやるよー入れー」
「やめッ、つかあんたもピースすんなし! やめてマジやめて、ほんと恥ずいマジで恥ずいからやめてほんとマジやめろッ!」
ぴーす。
真っ赤な顔をしたジョーダンというのは、おそらく敬語を外した明日原と同じくらいのレア度である。そんなツーショット、後日この写真は黄金の系譜という謎のグループLINEにアップされ、知る人ぞ知る甘酸っぱい一枚となる。ともかく福引だ。
落ち着いたジョーダンが多少喧嘩腰でゴルシを睨む。
「ってか何? 特賞……ペア温泉旅行券ってマジなん? ゴルシぃ、あんた変なモン仕込んでねーだろうな」
「おいおい因縁かぁ? やっめてくれよォ〜ご近所さんに変な噂されたらハズぃ〜じゃねーかよぉ、だいたいアタシに限って温泉でイカを茹でるような真似はしねーって、いやマジマジ! こいつは特別なモンなんだ」
「特別ぅ? 何言ってっかわっかんねーけど、イマイチ信用出来ねー」
「おいおい、んなこと言われたら泣いちゃうぞ〜? だいたい気が早ぇーよ〜。特賞っつったってな? じゃあティッシュくんの立場はどうなるっつー話だろ? すごろくじゃねーんだしさ、もしかしたらめっちゃいいティッシュくんかもしんねーじゃん。何もやる気まで下げなくたっていーんじゃねーかなぁ〜ってアタシ思うんだよな? なぁどう思うよじょうたろー、オマエだってそう思うだろ? ん?」
「あたしはじょうたろーじゃなくてジョーダンだっ! つかごちゃごちゃうるせーなさっさと引かせろ!」
「あいよ! じゃあ張り切ってぇ〜、どうぞ!」
福引券を引き換えに、ジョーダンが新井式回転抽選器(正式名称)に手をかける──ガラガラガラガラ。どきどきしますね(実況)。
「なあ知ってっか? ティッシュって揚げると美味いらしいぜ」
「時々マジで気になること言うのやめてくんね?」
ガラガラから一つのボールが出てきた。気になる結果は──
「え、赤色──って……」
「────マジか」
疑問から驚愕へと変わっていく表情。ゴルシが──がっ、とベルを掴んでブンブン回した。甲高いベルの音が商店街の路地に鳴り響く──
「おっめでとうございまぁ〜っす! 特賞、温泉旅行出たぜぇ〜!」
バシバシとジョーダンを叩くゴルシと、それにさえ無反応になるくらいびっくりしているジョーダン。
「いやー信じてたぜ、オマエならやってくれるってなぁジョーダン! 流石はアタシが見込んだ野郎だ! いや〜そうか〜ジョーダンがなぁ〜、うぅ……涙が出てきたぜ、頑張ったなぁオマエ……」
「いやちょっと、マジでついていけない。ごめん、一個ずつ行っていい? え何? ……特賞、出たの?」
信じられないことは唐突に起こるものだ。福引なんて、当然特賞を狙って回すものだが心のどこかではみんな分かっている──特賞など出るわけがない、せいぜい2等が関の山。ジョーダンもそう思っていた。どうせにんじん1本だろう、と。
これはゴルシのタチの悪い冗談──では、なかった。
「うそぉ──え、ええええええええ!? マジ!? え、あ……あっすー!? これ、マジ──」
「驚きました……。やりましたねジョーダン! ぶっちゃけティッシュが当たると思ってました──」
実はスカーレットの担当をしていた頃に福引を一緒にやったことがあるが、その時はティッシュだった。露骨に落ち込んでいた。
ジョーダンはグッと握り拳を作って空に掲げた。ゴルシとハイタッチしているあたり相当嬉しそうだ。
「嬉しいぜ、いやぁよかったなぁジョーダン──オイちょっとこっち来いよぉ〜」
グイッとジョーダンの肩を抱き寄せて、ゴルシはジョーダンの耳元で囁く。
「ちょ、何すんの!」
「いいから聞けって、マジで大切な話だ。秘密の話だぜ?」
「はぁ?」
明日原に聞こえないようにゴルシは声を落としてゴニョゴニョと話す。
「いいか? こいつはマジのアドバイスだ。トレセンじゃあ古来からウマ娘とトレーナーは福引をやるモンなんだよ、でも温泉当てンのは一握りでな? で──温泉まで持ち込んだ連中は、だいたい勝ってる」
「勝つ……って、どゆこと?」
「バカ、決まってんだろ。にゃんにゃんだ」
「…………マジ?」
反射的に思い出したのはアケノオールライトのこと。遠くないうち、おそらくは冬休み中──アケノは担当である蓮井と──
「まあその状況まで持ち込めるだけの関係築けてる時点で──っつー話だけど。で、アタシからオマエに言えんのは、焦るなってことだ。今すぐに使わず取っとけ」
「……いや、でもそもそも福引券あっすーのだし、特賞はあたしのじゃ──」
「アホ! 殺してでも奪い取れ! つかバカかオマエ、あんな野郎にそれ渡して他のタコと一緒に温泉行かれてみろ、頭イカレるぞ!」(高度なギャグ)
「それは……そう」
「オラ分かったか? じゃあ話は終わりだ! 閉廷!」
コソコソ話終わり。
「ねーあっすー。この温泉旅行券なんだけどさ、ペアっつーわけで二人分行けるワケじゃん。使用期限も結構長めだしさ──」
一つ──温泉旅行には気を付けろ。
中央トレーナーに代々受け継がれてきている、担当ウマ娘との距離感に関しての心得(あんまり役に立たない)の中の一つに、そんなものがある。当然明日原も知っている。知っている癖にスカーレットの担当をガバった実績がある辺りに、この心得の役の立たなさというか、まあ心得程度でどうにかなるんなら誰も苦労しないよな的なところはあるが──
「で、旅行はしたいけど、なんつーか……今すぐとか、そう言うのは違う気がする。レースに集中したいっつーか──」
ともかく、明日原は表情には出さないものの警戒した。温泉旅行に行ったトレーナーとウマ娘は──幸せそうな場合もあるし、加賀みたいな場合もある。なんだったら加賀の場合はウオッカが成人しているのでセーフみたいなところはあるが──ともかく、ゴールインしている。
防がねばならない、断らねばならない。それはジョーダンに余計な火の粉が舞わないように。この子の未来に余計なトラブルを招かないために──
「だからさ、いつか行こうよ。一緒に」
断れ。桐生院から教わった鋼の意志はそのためのスキル──
「……ええ。いつか行きましょう。一緒に」
──最も明日原に、どこか儚いような大人びたジョーダンの頼みを断ることなど出来なかったのだが。ほんと役に立たねースキルだな(言いたい放題)。
「じゃーね、ゴルシ。行くわ」
「おーぅ! ……へっ、余計のよっちゃんだったってワケかよ。全くいじらしいぜ、アタシにもトレーナーが付きゃあ──いや、未来のこと考えても仕方ねぇや」
歩いていく背中をそっと見送って、ゴルシはそっと法被を脱いで畳み、その上に青のりをそっと振りかけて帰った。
確定演出