帝国主義者はパーパルディアを救いたい!   作:青短

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プロローグ ある男が皇国に忠誠を誓うまで

「帝国はもう、終わりなのか…?」

 

度重なる植民地の反乱にかつては世界最強とまで謳われた帝国は疲弊していた。

それだけではない、本国には不穏な社会主義者どもが跋扈し周辺国はパイを切り分けるときを今か今かと待ち侘びている。

帝国宰相としての責務がなければさっさと隣国にでも逃亡しているところだ。

 

「…もう無理だ。この国は詰んでいる。」

 

帝国は、私が愛した帝国はもう立ち直れないのだ。

絶対に何があってもどう頑張っても滅んでしまうだろう。

しかし、もしも願いが叶うのならば、

 

「一度、祖国を救ってみたかった…」

 

燃える帝都はすでにアカどもが占拠し正当な皇位継承者は既に死んだ。

絶望の中、乱暴に叩かれるドアを尻目に私はこめかみに銃を向け_____

 

パァンッ!

 

すでに崩壊しかけの帝国で大外れともいえるような帝国宰相に就任し、帝国を救うために最後まで奔走した男、レオナルド・スペンサーはその生涯に幕を閉じ…

 

 

 

 

―――

 

死んで、いない?

 

(どういうことだ!?)

 

とっさに声を出そうとするがうまく発音できない。

目の前には馬鹿でかい女の顔が…

 

「元気な男の子です!」

 

(…どういうことだ???)

 

中央歴1559年1月24日。

パーパルディア皇国皇都エストシラントにレオナードは生まれ落ちることとなったのだった。

 

 

 

 

 

「そうか!そうか!」

 

エストシラントで5歳になったレオナードは歓喜に満ちた声を上げた。

彼が生まれた国であるパーパルディア皇国は現在侵略戦争をフィルアデス大陸南部に対して繰り広げ、植民地を大陸中に拡張しつつあった。

つまり彼の愛する帝国の最盛期のような状態である。

 

 

「神は私にこの国を救えとおっしゃっておられる!」

 

彼の脳裏にこれまで懐で温めてきた帝国の内政・経済・外交…様々な分野での改革案が思い起こされる。

腐りはて内憂外患に覆われた祖国ではつぶされてしまって本懐を遂げられなかった改革案。

そのすべてを第二の祖国(パーパルディア)へと捧ぐのだ!

 

「今度こそ!未来永劫続くわれらの帝国を!けして滅ばぬ帝国を!太陽の沈まない帝国をつくってみせよう!」

 

帝国主義者の亡霊は清々しい気持ちで、自らが行うべきと信ずる改革案をノートへ書き連ねていった…

 

 

 

 

―――

 

『帝国』

 

主人公が愛する祖国。

全盛期は世界各地に植民地を保有し『太陽の沈まない帝国』とまで謳われたが、植民地の独立戦争において他国が干渉を始めたことを契機に敗戦→衰退→独立戦争の無限ループに陥り打破を目指して隣国に宣戦したら全世界がついてきた。

もちろん敗戦し、ほとんどの植民地を奪われ本土も一部が保障占領下におかれた。

 

そんな時に主人公は宰相を押し付けられ、社会主義者に敵国の外圧、さらには残された植民地でくすぶる独立派の制御を行わなくてはいけなくなったのだが、帝国経済の復興などの華麗な成果を残し戦後の帝国を一手に支え、改革を推し進めた。

しかし、無理にあがいた結果死期が早まり革命勃発からの帝室断絶を引き起こしたため彼の評価は二分されるであろう。

ちなみに、この後赤く染まった帝国は旧領奪還を目指して世界各国に宣戦して当然のごとく負けるものの、無駄に復興してしまった工業力のおかげで終戦が長引いた結果、本土の8割が焼け野原となり成人男性の90%以上が死亡。

戦後は追い打ちをかけるように分割されたものの未だパルチザンが占拠する地域も多かったため掃討作戦が行われ、結果として人口の8割とほぼ全ての都市部および農村部が消滅し、なおかつ経済は存在しないも同然で治安は最悪状態、飢餓人口は9割を超えているのにインフラがなくなったため輸送もできないとかいう完璧な詰み状態。しかも統治している各国は人道支援を行うつもりは一切なく、なんなら民族ごと滅べばいいと思っているため、おそらく後世には史上最大の民族浄化作戦として知られるであろう。

 

 

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