中央歴1589年。
独立した国家とパーパルディア皇国は緩やかな連邦を形成し、アルーニにてパーパルディアを盟主としたアルーニ防衛条約機構を樹立。第三文明圏各国や、大東洋諸国会議参加国は突然の方針転換に驚愕したという。
「しかし、そううまくいくのか?
「…もちろんできますよ。
…ことは、数か月前の御前会議にさかのぼる。
「第一外務局次長のレオナードです。御前会議にて少し提案がございます。」
軌道に乗りつつある北方防衛と西方侵攻。しかし、中小国家群を征服したものの中小国が同盟を組み始め文明圏外国とも連携を取りつつあり侵攻が休止せざるを得なくなっていた。
そんなときにレオナードは提案したのだ。
「
と。御前会議の出席者は最初に鼻で笑い、次に全員が耳を傾けた。
「まず、これらの政策はすべて
「武力をもって征服する場合、抵抗が激しく我々の国力を増強するための戦争のはずが軍をいたづらに損耗するだけ、ということもあります。」
「…確かにな。」
「統治するにも金と人を使いすぎる。」
「だからこそ、元首を皇帝陛下として元の王族が自治を行う傀儡国を作るのです。そうすれば統治に反抗するものなどいなくなる。」
「なるほど!…しかし、それだけでは反乱を起こすぞ?」
「それに我々の軍隊は今の領土では養いきれん。」
「えぇ、もちろん第二段階があります。
傀儡国は寛大な条件で本国並みの文明化された国にするのです。そして、
「…詳しく話せ。」
皇帝はついにレオナードの案に喰いついた。
実をいうと、この会議には先ほどから相槌を打っている大臣二人のほか、今はまだ一つしかない外務局の局長に、南北戦争で駐在武官となっていた皇国軍の陸将を含めて大体のものがレオナードに弱みを握られたりこの提案にすでに賛成をした後であり、残るは皇帝の認可のみという茶番劇。よってここからが本番である。
「えぇ。話させていただきます―――」
朝に始まった御前会議は、夕方に終わったのだった。
―――
なし崩しに対パーパルディア同盟の盟主となったクーズ王国の上層部は揺れに揺れていた。
パーパルディアの属領解放。それを弱体化とみて侵攻を主張する強硬派と同盟国とひとまず連絡を取るべきという穏健派、それに傍観すべきというものまでおり、加えて保護している解放された国家の王族が帰還を希望しておりそれに対する対処でも割れていた。
「いますぐ、奴らをたたくべきだ!」
「いや、ここで焦るべきではない。そのための同盟ではないか!」
「…われわれから攻める必要はないのでは?」
しかし、同盟参加国家が全てこのような状態なのだ。
「伝令です!カース王国がパーパルディアに宣戦布告!参戦を要請しています!」
カース王国の強硬派が宣戦布告したのを皮切りに各国が参戦。結果として対パーパルディア同盟は12か国が参戦。他の国は同盟を離脱するものもあれば、戦争参加は拒否するが同盟には残るという国もあり、反応はまちまちであったがパーパルディア不利となればそれらの国も参戦するのは明らかであろう。
そして、パーパルディア皇軍と12か国連合軍は国境にて向かい合う…
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対パーパルディア同盟
クーズ王国を中心として25か国が相互に組んでいた同盟関係の総称。
7か国が離脱したものの支配領域だけ見ればパーパルディア皇国の支配領域以上の大同盟…のはずだが相互の連絡不足により連携はあまりとれていない。
さらにパーパルディアの諜報員も入り込んでおり崩壊寸前のところでパーパルディアが弱体化したようにみえたため、なしくずしにパーパルディアとの全面戦争に突入した。
ちょっと調べたら中央歴1629年あたりで第二外務局が設立したそうなので本作では第二外務局の名前は第三外務局になるでしょう…