中央歴1589年 エストシラント
「軍部の奴らめ!戦争に『勝つ』ことしか考えておらん!」
国境部での敗戦の報告を聞いたアルーニ防衛条約機構参加国を統括する第二外務局局長、レオナードは憤慨していた。
理由は、軍部の提唱した12か国連合軍に対する戦争戦略。
「属領はいくらでも燃やせるなどと…」
パーパルディア皇国と12か国連合の接する国境部の大半が独立したのだから、
さすがに、茶番劇とはいえ軍部の悪あがきもある。その点ではレオナードの読みが浅かったのだろう。
「ですが…レオナード殿はいささか…」
「あぁ、そちらの防疫給水部や技術部化学班にも出撃してもらう予定だ。よろしく頼む」
そんなレオナードの愚痴を聞く第一補給師団師団長のマータル。
彼が言葉を続けようとした時にはすでにレオナードは立ち上がり、自らの職場に向かっていたところだったが…いや、だからこそつぶやく。
「…戦争が、下手ですから。壊滅的に。」
ちなみに、レオナードと士官学校の新入生。どちらに指揮を任せるかと問われればマータルは新入生を確実に即決するだろう。
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少し、時は遡る。
御前会議が軍部によって不愉快な結末を迎えてしまったレオナードだったが、それでも彼は『より良きパーパルディア』を目指すことを諦めない。
「仕方がない。こちらの段取りも早めるしかあるまい。」
皇国のために立てた計画をまとめたメモを開きながら様々なところに通信を行うレオナード。
緒戦で戦う軍隊はこちらで用意するから安心して
新たに独立した国から口減らしや不穏分子の排除もかねて新兵を徴兵しろ…
属領における焦土戦術の立案を行え…
軍部、臣民統治機構、農務局…ありとあらゆる国家機関に通信をかけては指示を飛ばす。
レオナードは戦争は下手だ。しかし国家を豊かにする戦争は下手でも、国家を食い潰す戦争は熟知している。
レオナードが指揮を執れば、ミリシアルにすら
しかしそれでは意味がないことはレオナードが一番知っている。だからこそレオナードは軍部に対しても一定の譲歩を行ったのだ。
すべては、パーパルディアのために。
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「勝った…」
国境部でのパーパルディアとの初戦闘。
予想外の宣戦布告だったのか、なぜか国境部にろくな装備も着けずにあわただしくやってくるパーパルディアの小部隊。
戦力を小出しにし、やってくる部隊は軒並み士気が低くまるで死刑台に向かう死刑囚のようだった皇国軍と、士気は高く圧倒的な軍量で迎え撃つ連合軍。戦う前から勝敗は明らかであり12か国連合軍は圧倒的勝利をした。…否、
「勝ったぞぉっーーー!!!」
「「「おぉっーーー!」」」
この戦闘の結果、一週間もせずに次々とほかの同盟参加国や離脱していた国、挙句の果てには全く関係の無い国まで様々な国が参戦を表明し、勢いづいた連合軍は皇国本土に向かって進軍を開始。参戦した各国もハイエナのごとくエストシラントに向かって進軍を始め、次期列強と名高かったパーパルディアは座して滅びを待つのみ…そう思えた。
「連合軍主力を確認!補給のため略奪中のようです!」
「馬鹿どもを殲滅せよ。まったく、こちらは大量の戦線を抱えているから忙しいというのに…」
連合軍の主力が文字通り『全滅』し、パーパルディアの悪辣な戦略であったと気づくまでは、という但し書きが付くのもそう近くはない。
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縦深戦術
軍部発案の防御戦術。
これいいじゃん!って一瞬なったけど、皇国の土地は一寸たりとも侵させん!という意見によって埋もれてしまったら、レオナードが『独立国を国境に作る!』っていったので無理やりねじ込んだ。
そしたら前線担当に
…ついでにレオナードが
軍部「やめろ」
ということで久々の更新でした。
凹されるパーパルディアはこの作品じゃ(まだ)出てこんさ!
そんな文明圏外国が束になってかかってきても相手になるはずがないだろう?(慢心)
…実際この作品の読者でパーパルディアに爆散してもらいたい人どれぐらいいるのか気になるけど、アンケートで原作レベルまで解体してほしいという人が多かったら怖いからアンケートを出せない…