帝国主義者はパーパルディアを救いたい!   作:青短

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第六話 皇帝との確執

中央歴1629年。

パーパルディア皇帝が崩御し、皇太子ルディアスが即位。

第三文明圏を中心としてフィルアデス大陸の全域に影響力を保有する大国の元首が交代することとなったが、第二外務局局長にしてパーパルディア躍進の立役者のレオナードによって国家の運営が行われてゆく…

そう、思われていた。

 

「レオナード、貴殿は先帝の時代からよく働いてくれていたと思う。しかし、その老体では堪えるものもあろう?」(政界を引退する気はあるか?)

 

しかし即位式ののち、ルディアスがレオナードに話した言葉はレオナードとの決別の意思表明であった。

 

 

___

 

 

 

前々からルディアスがレオナードを疎ましく思っている節はあった。

レオナード以外の重臣、ルパーサやらに接触していることも知っていたし、外務局監査室から第二外務局に圧を加えていたことも知っている。

しかし、皇帝に即位した直後に退くか争うかの選択をさせてくるとは…

 

「いえ、私はまだまだ現役ですとも。ルディアス陛下も誠心誠意お支えしましょう。」(そんな予定はありませんな。)

 

だがこれは一つの好機かもしれない。

国家戦略局に臣民統治機構、第一外務局や情報局に太いパイプを持つレオナードにルディアスはどう立ち向かうのかを見れば皇帝の資質も分かるというもの。

当初の計画も少し修正を入れるだけで問題なく進めることができるはずだし、何ならやりやすさという点では上かもしれない。

 

「…そうか、さがってよい。」

「では失礼。」

 

さぁ、お手並み拝見といこうではないか。

…と思った三日後、ルパーサが皇帝の相談役に就任して、第一外務局長にエルトという者が指名され、第三・第四外務局ができた。

もしやこの皇帝は普通に有能な皇帝なのか?

それならば計画にはさらに修正が必要になりそうだ…

 

 

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「…そうか、さがってよい。」

「では失礼。」

 

皇宮の一室で腰掛けるルディアスは扉の向こう側へと去っていった老人のことを考える。

アルーニ防衛条約機構によって第三文明圏全域と周辺の諸国家を僅かな血で皇国勢力下に加えた男。

本来であれば重用したい人材ではあるが、それをするにはあまりにも権力を持ちすぎている。親政を目指すルディアスにとっては立ちふさがる壁であるのがとても惜しい人間だ。

 

「…私が奴と同じ年に生まれていれば対立することもなかっただろうに。惜しい男だ。」

「であれば、政争で勝ったのちに登用なさればよいのでは?」

「いや、ルパーサよ。あれはきっかけさえあれば何度でも蘇る男だ。そんなことをすればもう一度戦うことになる…本来ならば政争などしたくはないのだがな」

「そうですか…しかし、親政をなさるのなら彼の派閥は余りにも大きすぎる。争うしかないのですね…」

 

アルーニ防衛条約機構に新規加入してきた国々はまだ皇国の勢力下にあるわけではない。

そこが安定していないのに政争をする愚がレオナードに分からないわけがない。下手をすれば彼が築き上げた外交の根本が破壊されかねないから退くと踏んでいたが、それよりも優先したいものがあるのか…?

だが、あれは権力欲を優先する男ではないはずだ。

何が目的なのだ?皇帝相手の政争では分が悪いとは知っているはずだし、クーデターを起こそうとしても近衛はルディアスを支持している。そもそもそれは反逆…いや待て。

 

「ルパーサ。皇国常備軍の兵力は?」

「!…陸海合わせて30万人程度です、陛下。」

「少ないな…リームとパンドーラを合わせるとどうなる。」

「…確か陸軍だけでも50万から60万程度だったはずです。」

 

そしてアルーニ防衛条約機構は技術共有を行っているため技術格差はない。

まさかリームとパンドーラと通じているのか?いや、それはない。それならばあの才をリームやパンドーラで活かせばよかっただけの話だ。

しかし、このことは頭にとどめておいたほうがよさそうだ。レオナードが何を企んでいるにせよ、仕掛けの一部はこれだろうからな。

 

 

___

 

 

 

「パーパルディア内部での皇帝と古狸の政治闘争か。」

「これは長引くでしょう。性急に事を進めると共倒れになりかねない。」

 

リーム王国が列強の末席に加わることはもう夢ではない。

もう少し皇国が政争で混乱すれば最良の機会がくるはずだ。そうすれば…

 

「来年、中央歴1630年だ。内部が混乱するであろう皇国を引きずり下ろすのは。」

「…はっ。」

 

バンクスは笑みを浮かべると、アルーニ防衛条約機構への分担金支出割合表を見る。

そこには、一位のパーパルディア皇国の下に『2位パンドーラ大魔法公国、3位リーム王国』と書かれていた。

合計すれば皇国を余裕で超える額。バンクスはその笑みをますます深めるのだった。

 

 

 

 

 

___

 

 

 

アルーニ防衛条約機構

 

 

アルーニ防衛条約加盟国による集団安全保障システム。

条約機構軍の兵力は500万程度で、最新鋭とは言わずとも新式の装備を保有しており、加盟国の軍隊も別にいるため正史パ皇と戦えば普通に勝てる。

分担金の割合で発言権が決まるため、軍拡競争並みの勢いでパ皇とリーム、パンドーラがしのぎを削っていたが…

ちなみにパ皇はこれから内部抗争のおかげで他国のことを気にしている暇はないよ!やったねバンクス!




日本国召喚の二次創作でパ皇いじめが多すぎて草しか生えない
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