あっという間に時は流れるもので、俺は中学3年生になっていた。 そろそろ皆本格的に進路を決め始める時期だ。
驚いたのがクラスの殆どのやつがヒーロー科志望ということだ。
どう考えても将来ヒーローになってる未来が思い浮かばない個性のやつもヒーロー科を第一志望にしてる所をみると、ヒーローの社会的地位の高さが窺える。
「お前らも今年で卒業だ!将来を決めていく時期だ!まぁ、みんなだいたいヒーロー科志望だよな!」
教師のそんな声に反応するようにクラスメイト一人一人が己の個性を発現させる。爪が長くなるもの、髪の毛が棘のように変化するもの、はたまた口から火を吹くものまで本当に多種多様だ。てかこのシーン原作でも見たな。何年経ってもこの辺は変わらないな。
「あれ?今筋もヒーロー科志望だったよな?」
教師が不思議そうに訪ねてくる。俺は学生特有のテンションの高さについていけず個性を出したりはしていなかった。
「あ、はい。」
もちろん雄英が第一志望だが、他にも当然受ける。
「強斗くん雄英受けるんでしょ!?絶対受かるよぉ!」
隣のショートカットのクラスメイトが話しかけてくる。特に言った覚えは無いのだが訓練を見られたのか、同じ幼稚園から漏れたのか、俺が戦闘向けで破壊力のある個性を持っていることは周知の事実であり、優秀な成績も相まって雄英を受けるのだとクラス全体が思っているらしい。まぁ実際そのとおりなのだが。
「頑張るよ…ハハハ…」
前世も含めるとそろそろ40に届きそうなので学生特有の熱気に混ざるのがキツイ。それにこの時期になると皆ヒーローになっている自分の姿をイメージしがちなのか余計テンションが高い。飲み会ではっちゃける体育会系を思わせる光景だ。
まぁ子供は元気があってなんぼだからな。いいことだ(自分も子供)
「ごうちゃんも来年受験でしょ?受ける高校決めたの?」
夕食中、食卓を囲む中で母が訪ねてくる。
「うん。雄英受ける予定だけど。」
「まぁ!ごうちゃんなら絶対受かるわ!頑張ってね!」
母は俺が手のかからない子供だったせいか俺に基本的に甘い。ていうかそろそろごうちゃん呼びをやめてほしいのだが…
「そうかぁ〜強斗は雄英か…俺も昔はヒーロー目指してたなぁ」
どうやら父も昔はヒーローを目指してたらしい。というより世の
増強系と異形系の個性持ちは大体ヒーローを一度は目指すものだ。
最近は訓練も大詰めだ。筋肉の貼る量に関しては地道に続けていくしかないが最近は筋肉を貼った状態で跳躍移動をしている。力加減を見誤ると着地時に地面をバキバキにしてしまうのだ。何回かバキバキにして警察に怒られた。強い個性を持っていても警察は怖い。
だが雄英を目指して訓練中だと言うと途端に優しくなった。受かってもないのに雄英パワーがすごい。
「まぁ、頑張るよ」
憑依してから母と父とはかなり長く過ごしている。敵犯罪での死者も少なくないので気をつけてほしい。ヒーローになったら事務所を地元にするのもありだ。場所的には人口もそこそこ多いので事務所もあるのだが地理感がある場所に置くのもいいだろう。
現在日本にヒーローは数千人いて事務所の構え方も人それぞれだ。
完全に独立してサイドキックも持たない事務所もあれば50以上のサイドキックを持つヒーロー事務所もある。流石に気が早いとは思うがこの辺も後々考えて置かないといけないだろう。まぁ26歳の時に死柄木によってヒーロー社会は崩壊するのだがその辺もよく考えなきゃな…
そしてその数カ月後、俺は思わぬ事件に出くわすことになった。
バババハバ
「店内にいる奴ら全員荷物おいて端によれぇ!」
突然銃を天井に乱射した男がそう叫ぶ。この時俺は母に頼まれて銀行に書類を出しに行った所だった。
(うわ〜。こんな古典的な銀行強盗まだいるのか…しかも駅前だぞここ…)犯人が銀行強盗に入ってきたのは人通りもそこそこある駅前の銀行だ。管轄のヒーローか警察がすぐ来るだろう。
といっても怒らせて刺激するのも良くないので素直に指示に従い荷物をその場に起き店内の端に寄る。
「よぉし!このバックに金ありったけつめろぉ!」
強盗は俺たちが端によったのを確認しバックをカウンターの方に投げる。
「うェえェぇええんッ」
突如赤子の泣き声が店内に響き渡る
(!?、まずい、殺されるぞ!)
「おいおいおい、うるせぇなぁ。喚くなよガキんちょ。おい、5秒以内に泣き止ませないと殺す」
強盗は特に何も思ってなさそうに淡々とその赤子の母親に告げる
だが、母親がいくらあやしても泣き止みそうにない。すでにカウントは始まっていた。
「5〜4〜〜3〜」
強盗のカウントは無情にも進んでいきついに銃を赤子に向け始めた。
そこで俺はハッとした。今まで強盗の動向ばかり見ていたが、周りを見渡すと、震えて今にも泣きそうになっている赤子の母、顔を真っ青にしているサラリーマン風の男性、手を合わせ何かに祈っている妙齢の女性。皆怯えている。
(皆怖がってる、助けなきゃ、赤ちゃんが殺されそうだ、助けられるか?どうやって?間に合うか?バレるんじゃないのか?危なくないか?撃たれたらどうする?)
頭の中でそんな疑問が浮かび上がっては消えていく。
だが、不思議と俺の個性はすでにジャージを破りながら足を補強していた。
「2〜1〜」
犯人のカウントが0になる直前、俺は飛び出し犯人にタックルをしていた。犯人は体を吹き飛ばされ壁に激突している。身体の重要部位を筋肉で補強し体重をかさ増ししてからのタックル、増強系でもなければ防げないだろう。
(やばい、飛び出ちゃった!でも当たったぞ!当分動けないはず!)
「クソ!イてぇ…このガキィ…!!」
犯人は感情をあらわにし、激しく憤っていた。
(耐えたのか!?どんな個性だ!)
ガチャ
犯人は怒りに染まった目で俺に銃を向けてきた。
(防がなきゃ!)
俺は確かにそう思ったが、体は強張って動かなかった。
恐怖だ。ヒーローになると言っても敵と交戦したことなんてあるわけがなかった。殴りかかってきたのならまだ反撃防げたかもしれないが前世も今世も殴り合いの喧嘩すらしたことがなかった俺は銃を向けられて完全にビビっていた。
タンタンタン
俺に向かって3発、銃弾が放たれた。
銃弾の2発が俺の右腕に直撃する。
(イテぇぇ…!原作のマスキュラー銃弾防いでただろ!層が足りてなかった…! )
「おいおい、その年でまだヒーローごっこかぁ?厨房。見たところ増強系か。」
犯人は痛みで膝をつく俺を嘲笑うように話しかけてくる。
「たまにいるなぁ?ヒーローでもない凡人がちょっと個性に自信があるからって立ち向かってくることがよ…。感動的だなぁ!?」
「あの小さいガキが殺されそうになってつい飛び出しちゃいましたってか!?いいねぇ!若いって。」
犯人は心底おかしそうに笑いながら喋っている。
「じゃあな。自称ヒーロー君」
ニタリと犯人が笑い俺の額に銃口を突きつけてくる
だが、次の瞬間、犯人が閉じさせた入り口のシャッターを突き破りヒーローが飛び込んできた。
ヒーローが飛び込んできた。
「な!?ヒーロー!?」
そう、店内にいるのはもちろん客だけじゃない。犯人が撃たれた俺に対して喋っている間に通報してくれていたのだ。
「観念しろ敵!」
その後、事は瞬く間に進んだ。
犯人は拘束され留置所へ、俺は病院へと運ばれた。
当然、危険な敵の前に飛び出し怪我をした俺はこっ酷く警察とヒーローに病室で叱られた。しかし勇気を振り絞り同時に赤子の命を助けたとして、賞賛も受けた。
こうして俺は、ヒーローになる前にいち早く敵と接触したのだった。
敵との戦闘描写の練習として書いたのですが文はうまくまとまらんし展開早すぎるしで難しかったです。