「受験者全員会場に移動したかな?皆が試験を行う会場はここ!雄英の誇る市街地演習場さ!」
根津校長の声がスピーカーから聞こえる。試験会場は原作と同じ市街地演習場のようだ。
「約5分後に試験を開始するよ!準備を万端にしておいてね!」
原作では合図なしにスタートしていたが根津校長は随分親切だな。
残り5分間個性の最終確認でもしておくか。筋肉を腰から始まり肩、二の腕、前腕と張り巡らし、軽いウォーミングアップを行う。
他の受験者に個性を晒してしまうがデスマッチをするわけでもないし、問題はないだろう。多少の妨害はあると思うがな。実際個性を使っている俺をチラチラ見てる奴らが何人かいる。外見からして強そうだもんな。警戒しているんだろうか?
「ねぇ君、ちょっといい?」
そんな中俺に話しかけてくるやつがいた。なんだろうか?
「はい?」
一応初対面なので敬語で反応しておこう。
「見た感じ増強系の個性だよね?手を組まない?」
手を組む!? ありなのかそれ
「そもそも手組めるんですか?」
「多分ね。ダメだったらルール説明で言うはずだよ。」
それもそうか、だがこの男と組んで俺にメリットがあるかどうかが問題だ。もともと一人でもやる気だったしな。
「あ、まずは自己紹介だね。僕の名前は
端末やリモコンなしで機械を遠隔操縦できる。パスワードさえかかってなければ自分の所持品じゃなくても操作できるよ!」
機操磁はそう言いながらヘリコプター型のラジコンを自由自在に操作している。
「強そうな個性だけど…組んでも俺にメリットなくないか?」
相手もタメ口だし俺もタメ口でいいだろう。
「いや、多分あるよ。この試験で雄英側が何を審査してるか予想付いてる?」
「審査?」
確か先着5名以外も合格にするとか言ってたから当然なにか見てるよな。ヒーローへの適正とかじゃないんだろうか?
「そう、審査。この民間人救助という試験内容では多分今から言う3つのことが重視されるはずだ。1つ目、立ちはだかる敵を突破する戦闘力、2つ目、助けを求める民間人をより早く見つけ出す探索能力、そして3つ目、いち早く救助者のもとに駆けつける機動力」
確かに納得だがいまいち機操磁の言いたいことの要領がつかめない。
「結局何が言いたいんだ?それを聞いても組むメリットがあまりわからないんだが。」
「僕の個性と君の個性の相性の話さ、見たところ君の個性は筋肉を増やす個性なんだろう?なら機動力と戦闘力はかなり高いはずだ。それに比べて僕の個性はラジコンでの探索、ロボットをハイジャックしての撹乱なんかに向いてる。いいコンビだと思わない?」
言ってることは正しい思うが正直初対面のやつとコンビを組むのは気が進まない…ビルの屋上を移動して探すっていう手もあるしな。
「う〜ん…」
俺が悩んでいると機操磁はさらに畳み掛けてくる
「それに、ヒーローになったら他のヒーローと即席チームアップなんて日常茶飯事だしね、コンビを組んでいい成績を出したら合格は堅いと思うよ?多分この5分の準備時間もそういう目的のために設けられてるはずだよ。」
そう言われるとそういう気もしてきた。個性のゴリ押しとその場の判断でなんとかしようとしてた俺の考えは甘かったかもれない。そして機操磁のその言葉で俺は決断した。
「よし、組もう。」
機操磁の言うとおり俺は探索能力に少し不安がある。虱潰しに探すのも苦労するだろう。
なによりコンビを組んでヒーローをすることに少し憧れていたのだ。長年の相棒とか熟練のコンビとかかっちょいい。
「よし!決まりだね!なら、もうすぐ開始時刻だ。救助者の場所のうち3つはわかったから2番目に近い場所に行こう」
「え?もう見つけたのか?」
機械を操る個性そんな探索能力が高いのだろうか?
「うん。会場に来たときからラジコン飛ばしてるんだ。僕の個性は機械によるけど視界を共有することもできるからね。」
凄い個性だな…ていうか開始前に探索しても怒られないのか…
「皆準備はいいかい?そろそろ始めるよ!10.9.8.」
スピーカーから根津校長の声が聞こえてきた。
「お、そろそろ始まるね。僕の機動力の補強なんだけど…おぶってくれない?」
機操磁がわりととんでもないことを提案してくる。
「え?おぶる?俺がお前を?」
「うん。僕足遅いし、それが一番効率的じゃない?」
「いや…それは流石に「スタートなのさ!」
そんなこんな話していたら根津校長がスタートの合図を告げてきた。
「あ、始まったよ!よろしくね!」
そう言って機操磁は俺の背中にしがみついてきた。
「あーー。しっかり捕まってろよ!」
若干ヤケクソになりながら足に筋肉を張り巡らせ思いっきり飛ぶ、目指すはビルの屋上だ。地上は受験生で溢れてる、屋上をつたっていけばアドバンテージはとれるだろう。しかし同じ考えのやつが結構いるな。個性で上がってきてるやつが結構いる。
だがこっちは既に救助者の場所を知っているのだ。
「機操磁!救助者の場所どこだ?」
「えーと…今いる場所から北東の方向にまっすぐ進んで!」
「了解!」
ちょくちょく無言になるのは機械と視界を共有しているんだろう。
俺は指示通りに北東に進む。何人か俺が手を組んで索敵能力を手に入れたことを理解したのかついてこようとしているが機動力には自信ありだ。鍛錬の成果を示すときだろう。足の筋肉をさらに追加で張り練習したカエルのような跳躍で移動する。
「予そう、以じょうに、速いね!」
機操磁が若干つらそうに俺に言う。かなりのスピードで移動してるし、上下に激しく揺れているので乗り心地は最低だろう。
まぁ高速移動の弊害だ、多少は我慢してくれ。
「このまま真っ直ぐで大丈夫か!?」
「いや!少ししたら右に曲がって!そしたらもう救助者が…いや、雄英教師かな?プロヒーローがいる!」
「プロヒーローか…」
道中のロボットをすべて無視してきたからワンチャン会敵なしで行けるかと思ったがそううまくは行かないか…
「倒せるかい!?」
「避けるの無理だろ?やるしかない!」
鍛え続けてきた個性、どこまで通用するのか。緊張するが、楽しみだ。
跳躍移動に関してはベラミーをイメージしてます