ようこそ享楽至上主義の教室へ   作:アネモネ

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二年生編夏季休暇
無人島試験③


 7月19日。豪華客船、サン・ヴィーナス号にて。映画館での説明会が終わった後、2年Bクラスの3人娘──ククリ、ひより、伊吹は集まっていた。

 

「ふむふむ。真嶋先生のお話によると、こんな感じかな」

 

 

 

 無人島特別試験

 ・7月20日~8月2日の2週間、得点を集め総合順位を全学年で競い合う

 ・期間中、続行不能なケガや体調不良重大なルール違反をしたら強制リタイア

 ・グループ全員の(試験中に大グループを組んだ場合はその全員の)リタイアで失格、最下位が決定する

 

 腕時計

 ・得点は全てこの腕時計を元に集計される

 ・生徒の健康状態はこれによって常時モニタリングされている

 ・健康異常の場合、警告アラートが鳴る(5秒で自動で止まる)

 ・それから10分間そのまま健康異常が続いていると再び警告アラートが(同じく5秒で鳴りやむ)

 ・さらに5分後も健康異常の状態だと緊急アラートが鳴る(警告アラートより高い音、手動で切らないと止まらない)

 ・緊急アラートを5分止めずにいると教職員と医療班がGPSを元に現地へ駆けつける(心拍停止や血圧の急低下等の場合はこれを待たずに即救助)

 ・緊急アラートが鳴った場合24時間以内にスタート地点にてメディカルチェックを受けること(警告アラートは無視できるが、緊急アラートを無視あるいはスタート地点に辿り着けないとリタイア等のペナルティの可能性)

 ・取り付け取り外しには特殊な工具が必要なので生徒による不正は不可能

 ・(強引な取り外し、)破損や故障で得点機能が止まり点が入らなくなるため、スタート地点での交換が必要

 ・腕時計内部には12通りのテーブルがあり、テーブルごとで指定エリアの順序、つまりルートが異なる(同じグループのメンバーは同テーブル、試験中に大グループを組んだ場合は全員同テーブルに書き換わる)

 

 得点の集め方

 『基本移動』のルール

 ・7時、9時、13時、15時の4回(テーブルごとに違う、ただし時に被る可能性もある)移動先エリアが指定される

 ・移動先エリアは、1日3回はその直前指定された場所から前後左右2マス斜め1マスの範囲内に指定される

 ・1日1回はランダム指定(その日最後がランダム指定で次の日1回目がまたランダム指定というように、このランダム指定が2度続けて起こることはない)

 ・立て続けに同じエリアが指定されることはない(ただしD2→D3→D2といった指定は起こり得る)

 ・完全に海の上であるB1やC1、F10やG10など到達不可能な場所が指定エリアに選ばれることはない

 ・指定エリア内に辿り着いたグループ順に着順報酬として1位10点、2位5点、3位3点が与えられる

 ・着順報酬はリタイア者の発生していないグループにしか与えられない

 ・着順報酬の順位はグループ内で最後に指定エリアへ到達した生徒の記録が反映される(当然グループの全員が到達していないといけない)

 ・告知から2時間、7~9時・9~11時・13~15時・15~17時のゴール時間に指定エリアへ辿り着いた生徒全員へ到着ボーナスの1点が与えられる(時間内に指定エリアに入るとその旨が腕時計に通達されるため、必ず通知を確認すること。タイムラグの発生によりギリギリの時間での到着やエリア外にすぐさま出るなどの行為で得点がつかない可能性がある)

 ・指定エリア告知の時点でそのエリア内にいた場合は、到着ボーナスの1人1点は得られるものの着順報酬が無効となる

 ・3回連続で指定エリアへの移動をスルーするとグループごとに1点減少のペナルティを受ける(4連続で2点、5連続で3点とスルー回数に応じて1点ずつ重くなる。これは連続したスルーにのみ適用され、3回連続でスルーした後に指定エリアへ到達した場合、再度3連続スルーしてもまた1点の減少から始まる)

 ・スルーを止めるには、指定エリア内にグループの全員でなく、1人以上が到達すればよい

 

 『課題』のルール

 ・7~17時まで各所で行われる(同じエリア内に複数出現する可能性も)

 ・課題で問われる能力は学力4割、身体能力3割、その他3割(同じ課題がくり返し出現することもある)

 ・課題の場所にて教員かスタッフへと話し、腕時計とタブレットを用いエントリーを行う

 ・タブレットにて課題の位置や参加条件等詳細を閲覧できる(地図上に出現する赤い点へ課題は設置されている)

 ・課題の出現時間や場所等を生徒が予測することは基本的に出来ない

 ・課題が終わった時点でタブレット上からその課題の情報が消去される(課題実施中はタブレット上に表示されたままであり、現地に足を運ばなければ締め切られているかは不明)

 ・課題の報酬として得点や食料等、4日目からはグループ人数の上限を開放するものも登場する(後者の課題はそう多く出現せず、全体の2~3割のグループしか報酬を得られないと予想される)

 ・1位で最大上限3人の開放、2位2人、3位1人

 ・よって例えば今単独で参加している生徒が6人の大グループを作るには1位と2位を1回ずつ取るなどして5人分の枠の開放が、3人グループが6人の大グループを作るならば1度1位を取るなどして3人分の開放が必要

 ・最大上限を6人にまで開放したグループはそれ以降これを報酬とする課題に参加することが出来ない

 ・この報酬を得た場合、腕時計のメインリンクを引き入れするグループが起動→合流するグループ側はペアリンクを起動→メインリンクとペアリングの腕時計を接触させる(10秒ほど必要なリンク承認の間であれば、キャンセル可能)

 ・合流すると双方の所持している得点は平均化される(30点の1人グループと120点の5人グループが合流すると、平均して75得点の6人グループになる)

 

 試験初日と最終日

 ・移動先エリアの告知は3回で他の日より1回少なくランダム指定は起こらない

 ・課題の出現について、試験初日は10時〜、最終日は〜15時

 

 タブレット(小型)

 ・腕時計同様全員へ支給

 ・スタート地点や特定の場所(課題を行う際)で充電可能

 ・地図アプリから指定エリアや自身の現在地を確認可能(自身の現在地のみで、それ以外は後述のサーチなしだとグループメンバーのものすら確認できない)

 ・課題の場所等の情報を確認可能

 ・6日目以降はGPSサーチ機能によってサーチごとに1点を消費して、全生徒の現在地を閲覧可能

 ・試験4~12日目終了まで上位下位各10組のグループメンバーと得点を確認可能(この20組と自身のグループに関しては総得点の内訳〔指定エリア到着ボーナス?点、着順報酬?点、課題?点という振り分け〕を閲覧できる)

 ・学校側からメッセージが送られることも

 ・学校側にメッセージを送ることも可能

 ・ただし、生徒間でのメッセージのやり取りはできない

 

 スタート地点

 ・無償で利用可能なトイレとシャワー室

 ・2日目以降には水分補給できる場所も(ただし水の持ち出しは禁止)

 ・歯ブラシやシャツ下着などのアメニティ用品、簡易トイレや虫よけスプレー、日焼け止め、生理用品など無料で必要なだけ配布

 ・腕時計の交換、タブレットの充電も可能

 ・無人島限定のポイントを使用して、ショップで追加購入が可能(ただし値段はマニュアルの2倍)

 

 食料や道具

 ・譲渡は自由に可能

 ・無人島マニュアルに全て記載

 ・購入は明日6時まで

 ・買い物に使う無人島限定の基本5000ポイント(先行カードで+2500ポイント)は残すことも出来る

 

 

 

 

「いいと思う」

 

「あ、あとあと、月城理事長代理が生徒同士の小競り合いを容認するみたいな問題発言ぶちかましてたな」

 

「あれは問題発言でしたね……他の先生方も慌てていらっしゃいました」

 

「性的なトラブルが発生した場合には厳しいペナルティ。悪質なときは通報も、って」

 

 伊吹が険しい顔をして発言する。

 

「警察が出てくるとなれば抑止効果はあるよね~。あー、それと、気になって聞いたんだけどキャロルの半リタイアは、キャロルがいなくてもグループの着順報酬が認められるんだって」

 

「坂柳さんの半リタイアが認められたのに、着順報酬が見込めなければ大打撃となってしまいますからね。仕方のない措置かと」

 

 そう、冷静に分析するひより。しかし、顔をパッと華やがせ別の話題へ移行した。

 

「ところで、ククリちゃんのお付き合いは順調なのですか」

 

「話飛ぶねえ」

 

「あ、それ私も気になってた」

 

 苦笑するククリに、ひよりがたたみかける。

 

「ククリちゃんが幸せなのか。その点が気になって気になって、夜しか眠れません……」

 

「健康的な生活ぅ! でもありがとう、心配してくれて。ひよりんも、澪もね」

 

「私も夜、快眠だから」

 

「それはよかった。うーんそうだな、まだ手も繋いでいない初心(うぶ)な二人だけど幸せ……なんじゃあないかな。って、これ真正面から言うのこっ恥ずかしいね」

 

 手も繋いでない、と呟く二人。思っていたよりも清い交際に驚いたようだ。

 

「あ、でもタイタニックごっこはしたよ。去年澪とやったあれ」

 

「前も思ったけどあんた、沈んで欲しいのこの船に」

 

「いやだって定番じゃん。去年の無人島より随分大きい島に、このサン・ヴィーナス号も日本籍としては3番目に大きいんだっけ」

 

「全12階層からなる豪華客船。700人を超える旅客定員を乗せられるクルーズ客船、らしいですね」

 

 5階のエントランスロビーからフロントを始め、上層階には映画館やプール、ジムやカフェ、レストラン、展望浴場やゲームコーナーまで揃えられている。ただ、1つ惜しい点を挙げるとすれば──

 

「今年の施設は全部有料ってのが悲しいね。今日のランチとか、朝と夜のビュッフェは無料だけど」

 

「去年は全施設無料だったからね。まあ気持ちは分かる」

 

「学校側に抗議したいくらいだよ。明日の試験からタブレットで送れるメッセージででも不満を送ろっかな」

 

「ククリちゃん、試験の際に送れるメッセージはもっと別のことに使うんだと思いますよ……何かトラブルが発生したりとか」

 

 はーい、といい返事をしたククリが果たしてどうするかは神のみぞ知る────。

 

 二人が去った室内で。他の誰も来ないことが確定している、そんな時間。ククリは一人スマホのメッセージを確認してから、電話をかけた。

 

「全テーブルをお知らせいただき、ありがとうございました。各グループのテーブルの確認と操作はどの生徒もできないんですよね、月城理事長代理? たとえプライベートポイントを支払おうとしても」

 

『はい、その通りです。あなたとホワイトルーム生たち以外は、ね』

 

「八神君にも一夏ちゃんにもこちらに一任するとの承諾は得ていますんで。それじゃ、さっそく相談なんですが、私と綾小路清隆のテーブルに鬼龍院(きりゅういん)楓花(ふうか)の単独グループと七瀬翼たちのグループがありますね?」

 

 ええ、と月城が肯定する。

 

「それらをテーブルから外してください」

 

『何故ですか?』

 

「鬼龍院楓花はイレギュラーになり得るから。そして七瀬翼は信用できないからです」

 

『そこまで警戒しなくとも。七瀬さんのグループには天沢さんもいますよ?』

 

「残念ながら一夏ちゃんも信用していませんよ、私は」

 

『左様で。どこまでも冷たい人ですね、あなたは』

 

 プツリ、と電話が切られた。

 

 

 

 

 無人島試験概要

 ・点数集めバトル! 

 ・リタイアするとヤバイ

 ・腕時計のアラート鳴るとマズイ

 ・告知される自分の(グループの)指定エリアに行くと1点が入るよ!

 ・指定エリアに行くのをたくさん無視するとペナルティで点数引かれちゃうよ!

 ・着くのが早いといっぱい点数もらえるよ! 

 ・指定エリアの順序は12通りあるよ! 

 ・課題で上位に入れば点や食料等がゲットできるよ! 

 ・自分たちが得た食料や道具などは自由に他者へ渡すことも出来るよ!

 ・課題の報酬で試験途中から6人までの大グループを組めるよ! 

 ・でもこの課題は出現数自体少なめだよ! 

 ・試験途中で上位下位各10名が公開されるようになるよ! 

 ・腕時計にGPSがついてるよ! 自分の位置はいつでもタブレットで確認できるよ! 

 ・他生徒のサーチも途中から出来るようになるよ! でも1回ごとに1点必要だよ! 

 

 

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