ようこそ享楽至上主義の教室へ   作:アネモネ

127 / 127
遅くなり誠に申し訳ありません。






豪華客船、サン・ヴィーナス号⑨

「三宅君〜お見舞いに来たよ〜」

 

 私はお見舞い品のスポドリやらお菓子やらを置く。

 

「ああ、サンキューなククリ」

 

「同室のカピバラ麻呂も宮本(みやもと)君も本堂君もいないのかあ」

 

 カピバラ麻呂から聞いた話では彼とこの三宅明人(あきと)君、そして宮本蒼士(そうし)君と本堂遼太郎(りょうたろう)君も同じ部屋らしい。今年も4人部屋なんだよね、豪華客船では。

 

 昨年度のカピバラ麻呂の部屋はロックと平田君、幸村君となかなかのメンバーだったそう。ちなみに私の同室は去年と同じメンツ。澪、ひよりん、西野(にしの)さんと同じ部屋だ。

 

 うちのクラスでは真鍋(まなべ)さんの退学と葛城君の移籍に伴い女子より男子のほうが多い状況なんだけど、そこは女子には3人の部屋を、男子には5人の部屋を作ることで学校側は対応してくれた。三宅君たちのクラスも山内(やまうち)君の退学で男子は3人部屋ができてるんじゃないかな。キャロルのクラスも戸塚(とつか)君の退学と葛城君の移籍で男子2人分少ないから、2人部屋ができているのかしら。

 

 つらつらと考えていると、三宅君は少しだるそうに口を開いた。

 

「宝探しゲームの時以来かもな、3人ともいないのは。なんだかんだ1人は一緒に居てくれた印象だが、俺の熱も1日で引いて回復傾向にあるしもう問題ないと判断したんだろ」

 

「宝探しゲームか。三宅君、参加できなくて残念だったね」

 

「ああ。まあその手のゲームに参加したかは分からないがな」

 

 ところで宝探しゲームって、直接南雲会長に聞いたわけじゃないけど堀北元会長の影響を受けている気がするんだよね〜。あの1年生の時の船上でのハンカチ探しは宝探しゲームっぽくもあったし。

 

 あの特別試験っぽいものについては口外禁止だから私たち参加者は誰にも言ってないとはいえ、同じ船に乗っていた私たちと同学年の察しの良い人に聞けば探し物をしていたってことくらいわかるだろうし、更に察しの良い南雲会長なら堀北元会長が宝探しゲームらしきことをしていたと気がついても不思議ではない。

 

 まあ、しかし宝探しゲームで言うと──

 

「そうかな? 長谷部さんと参加したいのかな〜なんて思ってたよ」

 

「長谷部と? 何故だ」

 

「三宅君が長谷部さんを見る熱量が明らかに違うから、かなあ。恋愛相談とかも結構受ける身だしね。女子ってそういうこと、鋭いんだよ」

 

 ただ、その長谷部さんはカピバラ麻呂のことが好きというか、気になってるっぽいんだけど、そこは言わないでおこう。佐倉さんもカピバラ麻呂が好きなことといい、複雑な関係になってしまう。

 

「……誰にも漏らしてないよな?」

 

「勿論だよ。吹聴する気はないよ」

 

 暗に長谷部さんが好きだと認める三宅君を安心させる台詞を吐く。しかしカピバラ麻呂あたりは気づいてそうなものだけど、どうなのかしら。

 

「ならいいが」

 

 そう、安堵の息を吐く三宅君。

 

「しかし恋愛事情ならククリのほうが派手じゃないか? 龍園を振って、八神と別れてって話は俺の耳にも入ってきたぜ」

 

「あ、ああ〜。はい」

 

 そんな感じになってるんだよねえ、一般生徒の間では。たっつーも振られたって噂をどうでもいいと思っているのか否定しないし。あの人、女子にモテるより男に認めさせたいとか思うタイプだからなあ。

 

「三島由紀夫の言葉だけど、『愛することにかけては、女性こそ専門家で、男性は永遠に素人である』と言うじゃあないか。ククリちゃんも恋愛の専門家なんだよね」

 

「よく分からないが、そうか……」

 

 よくわからないと言われてしまった、クスン。

 

「龍園から酷い扱いを受けることになっていないか心配していたんだ。ただその様子だと問題なさそうで良かった」

 

「たっつーはそんなに器の小さいタイプじゃないからね」

 

 あ、たっつーといえばそうだ。

 

「三宅君てたっつーと私と宝泉君と地元同じなんだよね? カピバラ麻呂から聞いたよ」

 

「清隆からか。その通りだ、俺は同郷だから龍園と宝泉の情報はある程度知ってる。だがククリの話は聞いたことがないな」

 

「たっつーとは小学校が同じってだけで、宝泉君とは無関係だったし中学は電車に乗ってさる有名なお嬢様学校に通ってたからね私。というか普通、噂になるほどの不良とかいないって」

 

「確かにな」

 

 笑い合う私たち。あの地域がヤバいだけで……いや、石崎君も結構すごい不良だったような。ま、いっかそこは。

 

「懐かしいな。ね、『ちっち』派だよね三宅君は。あの辺って指スマとか『いっせーのーせ』よりちっちって呼んでたし」

 

 まあ私、ちっちだと通じないことが多いから普段は指スマって呼んでるんだけどそれはさておき。

 

「ああ、ちっちだな俺も。どうせなら今からやるか?」

 

「いいの? よーし、負けないぞ〜!」

 

 こうして私たちはちっちで盛り上がるのだった。

 

 





評価、ご感想、ここすき、お気に入り、誤字報告等、誠にありがとうございます。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ようこそ理想郷へ(作者:ナムさん)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

少女と対峙した人間は皆口を揃えてこう言う。▼ ────綾瀬心音(あやせここね)は常識から外れた生き物である、と。▼主人公は女の子。一言で言うなら不思議ちゃんです。▼1章は綾小路視点。2章から綾瀬、綾小路を含めた各登場人物の視点と進めていきます。▼なぜなら綾瀬は物語の語り部としてとても不向きだからです。▼翁月 多々良様から素敵な絵をいただきました!これが綾瀬で…


総合評価:3965/評価:8.55/連載:68話/更新日時:2026年04月10日(金) 00:30 小説情報

ようこそアイドル至上主義の教室へ(作者:黒岩)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

Bクラスに可愛いアイドルを入れただけの話。なおその兄はヤリ○ンとする。▼1年生編完結しました。


総合評価:6668/評価:8.62/連載:96話/更新日時:2025年12月16日(火) 18:00 小説情報

鶏が先か、卵が先か(作者:楊枝)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

彼女は傍観者である。しかし忘れてはならない、彼女は傍観者である前に、この世界に生まれ落ちた等しく一つの生命であること。▼そして正しく、彼女は彼と同類であると___。▼*主人公は綾小路の隣にぬるっといるだけで、何もしようとしないし騒動に巻き込まれるのを華麗に避けようとする話です。


総合評価:11915/評価:8.99/連載:41話/更新日時:2026年06月02日(火) 20:00 小説情報

綾小路清隆の妹として、全力で支えます(作者:ぐれーぷ)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

▼〜綾小路清隆の妹として、全力で支えます〜▼ 私は私に与えられた全能力を駆使して、綾小路清隆を全力で支える。それがこの世界に産まれた私の成すべきことだ。


総合評価:5546/評価:8.38/連載:41話/更新日時:2024年09月21日(土) 17:34 小説情報

女王の女王(作者:アスランLS)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

坂柳有栖▼一年Aクラス所属。▼高度育成高等学校理事長の娘にして、Aクラス2大巨頭の片割れ。生まれながらの天才幼……少女。▼本条桐葉(ほんじょう きりは)▼同じく一年Aクラス所属。▼坂柳有栖と同じく生まれながらの天才にして、天賦の求道者。坂柳が最も信を置く『切り札』。▼もし坂柳に同格の友人がいたら……という物語。▼桐葉「チェスで例えるなら有栖がキングで、俺はク…


総合評価:9027/評価:7.9/完結:89話/更新日時:2023年03月09日(木) 21:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>