ようこそ享楽至上主義の教室へ 作:アネモネ
「三宅君〜お見舞いに来たよ〜」
私はお見舞い品のスポドリやらお菓子やらを置く。
「ああ、サンキューなククリ」
「同室のカピバラ麻呂も
カピバラ麻呂から聞いた話では彼とこの三宅
昨年度のカピバラ麻呂の部屋はロックと平田君、幸村君となかなかのメンバーだったそう。ちなみに私の同室は去年と同じメンツ。澪、ひよりん、
うちのクラスでは
つらつらと考えていると、三宅君は少しだるそうに口を開いた。
「宝探しゲームの時以来かもな、3人ともいないのは。なんだかんだ1人は一緒に居てくれた印象だが、俺の熱も1日で引いて回復傾向にあるしもう問題ないと判断したんだろ」
「宝探しゲームか。三宅君、参加できなくて残念だったね」
「ああ。まあその手のゲームに参加したかは分からないがな」
ところで宝探しゲームって、直接南雲会長に聞いたわけじゃないけど堀北元会長の影響を受けている気がするんだよね〜。あの1年生の時の船上でのハンカチ探しは宝探しゲームっぽくもあったし。
あの特別試験っぽいものについては口外禁止だから私たち参加者は誰にも言ってないとはいえ、同じ船に乗っていた私たちと同学年の察しの良い人に聞けば探し物をしていたってことくらいわかるだろうし、更に察しの良い南雲会長なら堀北元会長が宝探しゲームらしきことをしていたと気がついても不思議ではない。
まあ、しかし宝探しゲームで言うと──
「そうかな? 長谷部さんと参加したいのかな〜なんて思ってたよ」
「長谷部と? 何故だ」
「三宅君が長谷部さんを見る熱量が明らかに違うから、かなあ。恋愛相談とかも結構受ける身だしね。女子ってそういうこと、鋭いんだよ」
ただ、その長谷部さんはカピバラ麻呂のことが好きというか、気になってるっぽいんだけど、そこは言わないでおこう。佐倉さんもカピバラ麻呂が好きなことといい、複雑な関係になってしまう。
「……誰にも漏らしてないよな?」
「勿論だよ。吹聴する気はないよ」
暗に長谷部さんが好きだと認める三宅君を安心させる台詞を吐く。しかしカピバラ麻呂あたりは気づいてそうなものだけど、どうなのかしら。
「ならいいが」
そう、安堵の息を吐く三宅君。
「しかし恋愛事情ならククリのほうが派手じゃないか? 龍園を振って、八神と別れてって話は俺の耳にも入ってきたぜ」
「あ、ああ〜。はい」
そんな感じになってるんだよねえ、一般生徒の間では。たっつーも振られたって噂をどうでもいいと思っているのか否定しないし。あの人、女子にモテるより男に認めさせたいとか思うタイプだからなあ。
「三島由紀夫の言葉だけど、『愛することにかけては、女性こそ専門家で、男性は永遠に素人である』と言うじゃあないか。ククリちゃんも恋愛の専門家なんだよね」
「よく分からないが、そうか……」
よくわからないと言われてしまった、クスン。
「龍園から酷い扱いを受けることになっていないか心配していたんだ。ただその様子だと問題なさそうで良かった」
「たっつーはそんなに器の小さいタイプじゃないからね」
あ、たっつーといえばそうだ。
「三宅君てたっつーと私と宝泉君と地元同じなんだよね? カピバラ麻呂から聞いたよ」
「清隆からか。その通りだ、俺は同郷だから龍園と宝泉の情報はある程度知ってる。だがククリの話は聞いたことがないな」
「たっつーとは小学校が同じってだけで、宝泉君とは無関係だったし中学は電車に乗ってさる有名なお嬢様学校に通ってたからね私。というか普通、噂になるほどの不良とかいないって」
「確かにな」
笑い合う私たち。あの地域がヤバいだけで……いや、石崎君も結構すごい不良だったような。ま、いっかそこは。
「懐かしいな。ね、『ちっち』派だよね三宅君は。あの辺って指スマとか『いっせーのーせ』よりちっちって呼んでたし」
まあ私、ちっちだと通じないことが多いから普段は指スマって呼んでるんだけどそれはさておき。
「ああ、ちっちだな俺も。どうせなら今からやるか?」
「いいの? よーし、負けないぞ〜!」
こうして私たちはちっちで盛り上がるのだった。
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