ようこそ享楽至上主義の教室へ   作:アネモネ

49 / 126
卑しい人たちは、偉人の欠点や愚行に非常な喜びを感じる。

 17日になり、林間学校も半分くらいが過ぎた。うちのグループはキャロルのおかげだろう。相変わらず平和そのもので、特に何もない。ひよりんとこも一応平和なようだ。一之瀬さんの耳にはまだ自身の過去に関する噂は届いてないらしく、いつも通り元気いっぱいな様子である。

 

 堀北先輩の妹たるリンリンのところは、というと。表面上は平和だが、どうもリンリンが桔梗ちゃんにくっついて回っている印象を受ける。おそらく彼女がクラスを裏切ったり、あるいは自身の退学を目論んだりしないか警戒して監視しているのだろう。

 

 リンリンが桔梗ちゃんを信用していないのは、責任者にならなかったことからも察することができる。実際問題、桔梗ちゃんはリンリンの退学を全然諦めてないのでそれは正しい判断だ。

 

 しかしリンリンはカピバラ麻呂が桔梗ちゃんを退学させようと考えているのを知っているのだろうか。どうにもリンリンは不器用ながらも桔梗ちゃんと仲良くなりたい感じの、そういったムーブをしているように見える。

 

 堀北先輩のことを慕っているリンリンならば橘先輩の様子に気づくかなあ、と思っていたのだけれど。桔梗ちゃんにかかりきりだからか、全く気づく様子もない。リンリン……堀北先輩からの好感度を稼ぐチャンスだったのに。勿体ない。

 

 むしろKちゃんがちらちらと橘先輩を監視しているように見受けられる。カピバラ麻呂の指示かな? うーん、彼の洞察力もすごいなあ。探偵として食っていける気がする。ダブルホームズとしてひよりんとバディでも組んでみてはいかがだろう。盛大に応援するよ私は。

 

 当の橘先輩はというとグループに居場所がなくしょんぼりしている感じだ。それでも元気そうに振る舞っているし、問題のあるグループは他にもいくつかあるので特に不審に思われている様子はない。

 

 夕食時に食堂で見かけるが堀北先輩と接触する様子もない。というより堀北先輩がどうも自分の小グループの人以外とはあまり話さないようにしてるっぽいね。これも南雲会長対策だろうか。信頼してるんだかしてないんだかようわからん感じである。

 

 トレイを持っていつも通りたっつーたちのいるテーブルへ向かうと、何やら石崎君がまたわけのわからないことを言い出した。

 

「ククリ、綾小路には近づかないほうがいい。あいつはTレックスだ!」

 

「なんで恐竜が出てきたし」

 

「高円寺も同じだ。あいつらは……あいつらは駄目だ。アルベルトですら敵わねえんだよ」

 

 バーティのほうをじっと見る。コクコクと頷かれた。そうか、よくわからんけどバーティは何か負けたらしい。

 

 Tレックス……ティラノサウルス……着ぐるみレースでもしたんだろうか。すごく面白そうな光景なんだけど。

 

「ね、たっつー。どういう意味?」

 

「うるせえ」

 

 聞いただけなのに罵倒された。理不尽極まりない。

 

「ん、でもロックと相対したってことはバーティもロックに名前呼ばれたってことだよね。何て呼ばれてたの?」

 

 気になったので尋ねると、石崎君はなんだっけな……と少し考えてからポンと手を叩いて言った。

 

「アールベルトくん」

 

「なぜ伸ばし棒を入れたし」

 

「んなもん高円寺に聞いてくれよ」

 

 それはそうだ、すまん。石崎君にだってわからんよな。私にもわからんし。

 

「山田ボーイとかになるかと思ったのに。ロックの基準は何なんだろうか」

 

「さあ。考えたってわかりっこねえだろ、あいつの考えることなんて。グループから何言われようがてこでも動かない奴だぜ? 掃除もサボってるしよ」

 

「それはとんだ迷惑だね。てっきりロックは掃除もめちゃできるのかと思ってた」

 

 キャロルみたいに身体的な事情があるならともかく、単にやらないのはすごくイラッとくるだろう。グループの人たちはよく我慢してるなあ。

 

「あー、座禅はなんか異様に上手かったな。真面目にやってる様子はねえのに」

 

「教育の一環として小さい頃にでもやってたのかもね、じゃあ」

 

 高円寺家ならそれくらいやりそうだ。次期社長なんだし。それにしても、ロックの名前って何で六助なんだろうな。破天荒なロックの親らしく破天荒な理由でつけたのか、実は上に兄弟が5人いるのか、父親が五助とかなのか。謎い。

 

「でもロックも退学は嫌だと思うし、今回は体育祭のときと違ってちゃんとやるんじゃないかな」

 

 体育祭の時は総合成績下位10名の生徒は次の筆記試験で10点の減点を受けるだけ。全部の競技をすっぽかしたロックもそこに入ってたと思うけど、今回は下位だとプライベートポイントを失うことになる。クラスポイントに興味がなさそうなロックでも自分のプライベートポイントは減らしたくないんじゃあないだろうか。

 

 そう思ってたらたっつーはニヤニヤして口を開いた。

 

「おまえ、高円寺の考えをよくわかってんじゃねえか」

 

「ロックと似た人と昨日会話したからね……そういえばその先輩から聞いたけど次の特別試験は例年通りなら3月8日からだって。プライベートポイントを使うヤツになるかも、とか」

 

「プライベートポイント、か。最後にドカンと来る可能性は低くねえな」

 

 うむ。まあどんな感じの試験になるかはもっと近くにならないとわからないだろうけどね。

 

「もし今回、うちのクラスの人が退学になったらたっつーはポイント支払うの?」

 

「場合によるが、そもそも2000万はない。全員の所持金掻き集めたらわかんねえが」

 

「マジか。結構貯め込んでると思ったのに」

 

 むう。意外とポイント持っていなかったらしい。そう変に使い込む奴ではないから、普通にそこまでの額に達していないんだろう。しかしこんなんで8億も貯められるんだろうか。たっつーの作戦とやらが気になる。冬休み、カピバラ麻呂とどんな話をしたんだろう。

 

 うーん、クラス移動も退学回避も2000万プライベートポイント。大金が必要なんだなって改めて思うね。それを堀北先輩のためにポンと出した南雲会長はやっぱすごいや。色んな意味で。

 

「……3月の特別試験に備えるってのは悪くないな」

 

「クリアしないと進級できないからね。備えあれば憂いなしとは思うよ。ただ──」

 

「ただ?」

 

 私はきっぱりはっきり言い放った。

 

「バレンタインデーとホワイトデー用のポイントは残しとかないと駄目だと思う」

 

「知るかボケ」

 

 むー、そんなこと言うと誰からもチョコ貰えないぞ? 

 

 

 

 

 18、19日は一之瀬さんがとうとう自身の噂を耳にしてかなり塞ぎ込んでいたり、その様子を知った神崎君たちがたっつーに殴りかかって乱闘寸前になったりしたけど、まあ大した事件はなく過ぎていった。

 

 明日は試験。それに伴い清掃は免除されるので今朝が最後の清掃となる。

 

 みんなで雑巾や箒を手に掃除しつつ、キャロルの話に耳を傾けていた。

 

「明日の試験についてですが────」

 

 スピーチやらは個々が頑張るしかないので、グループでの作戦が立てられるのは駅伝のみとなる。

 

 駅伝は男子は結構キツい山道を往復18キロするらしい。女子はそれより平坦なコースを往復12キロとのことで短いけど、たいへんなことには変わりない。

 

 当日の怪我や病気による欠席はペナルティ扱いで、大幅にタイムが加算されるとのこと。キャロルもこの扱いに含まれるだろう。となるとこのグループはタイム加算を前提としなければいけないわけだ。うー、ただでさえ辛いものがさらに面倒くさくなった。

 

 また、1人最低0.8キロは走らなきゃいけなく、バトンを交代するのも0.8キロごとじゃないとだめ。この交代地点にはペットボトルが置かれた給水ポイントも用意されるそうだ。つまり1キロ走って交代とかはできず、このグループだと12人は0.8キロを走り、誰か2人は1.6キロ走ることになる。まあ1人だけ2.4キロ走るでもルール上はオッケーだけど流石にキツすぎでしょうな。

 

「駅伝で1.6キロを走る2人は真澄さんと伊吹さんにお願いしたいと思います。それぞれが最初と最後を走っていただきましょう。残りの全員がその間を、0.8キロずつ走ることになります」

 

 神室さんと澪も頷き、特に何事もなく決定する。今までの練習でもグループの中でよく走れていたのがこの2人だ。異論が出るはずもない。

 

 アンカーになった澪は少し嬉しそうだった。運動神経のいいリンリンも同じくアンカーをやる可能性が高い。また勝負できるかもしれないと思うと楽しみなのだろう。

 

「駅伝中、アクシデントとか起きたらどうするんだろうね」

 

「アクシデントって何」

 

「ほら、イノシシ注意の看板あったじゃん。山だからいろんな動物がいるだろうし、他にも鹿とか猿とかが乱入する可能性もありそう」

 

「そんな変な事態にはならないでしょ」

 

 いやー、世の中何が起こるかはわからんぞ。それにちょっと見てみたい気もする。ほら、ウリ坊とか可愛いじゃん。ふれあいたい。あとは熊とか登場しても面白そう。

 

「むー、もしもを考えるのは大切だよ。もし出てきちゃったらどうするかって」

 

「そりゃ近づかないようにするんじゃない? 落ち着いて遠ざかるのが一番だと思うけど」

 

「熊とかだと死んだふりが有効って言うけどどうなんだろうね」

 

「迷信だと思う。ま、教員の指示に従っとけば大丈夫だろうから、ククリは余計なことしないように」

 

 えー、一緒に遊んじゃ駄目なんだろうか。

 

「ククリさん。少しよろしいですか?」

 

「ん? どうかしたの、キャロル」

 

「会話が聞こえてきてしまいまして。一つ申し上げたいのですが、今は1月ですので熊は冬眠していることと思いますよ」

 

「あ、確かに! ん、じゃあイノシシとかも冬眠してるのかな」

 

 そうだ。動物の多くは食料の少ない冬になると巣とかに籠もって活動をほぼ停止するのだ。じゃあ会えないのか、残念。

 

「いいえ。イノシシや猿は冬眠しませんから出没する可能性はあります。ただ、山奥に入りでもしない限りは問題ないでしょう」

 

 ほへー、イノシシって冬眠しないのか。知らんかった。なら会ってみたいなあ。ワクワク。

 

 私の気持ちに気づいたらしいキャロルは笑顔で釘を刺した。

 

「ククリさん。イノシシを狩るには狩猟免許が必要ですよ?」

 

「た、倒さないよ!? 野生動物とのふれあいタイムにしたいだけだよ!」

 

 ぼたん鍋とか食べてみたいなあ、なんてほんのちょっぴりしか思ってないもん! 

 

「どっちにせよ危ないから近づいちゃダメ。わかった?」

 

 はーい、と私はいいお返事をした。未練はあるけどまあ、イノシシとはいつか動物園で会うか。ぼたん鍋とは鍋屋で会おう。ククリちゃんしょんぼり。真面目に走りませう。

 

 

 

 

 深夜。ゆさゆさと私は誰かに起こされた。

 

「ん……?」

 

 目を開けるとそこにいたのはキャロル。またベッドにでも入りに来たのかと思っていたら、ちょいちょいとドアのほうを指される。トイレのお誘いか何かなのだろうか。とりあえずついていくか、と私はジャージを羽織ってベッドからそっと抜け出した。

 

 廊下は暗く非常灯と月くらいしか光源がない。歩けはするけどどうせなら部屋に置いてある懐中電灯を持ってくればよかったな、と少し後悔。今まで夜中に部屋から出ることなかったから忘れてたや。

 

 コツコツと杖の音が響く。どこ行くんだろう、とキャロルのほうを見るとにっこり微笑まれた。うーん、月明かりに照らされたキャロルはまるで妖精のように可愛らしいな。こう、絵に描くなり写真を撮るなりしたくなる。

 

「なかなか2人きりになれる機会というものがなかったものですから。申し訳ありません」

 

「別に大丈夫ではあるけど。どうかしたの?」

 

「一之瀬さんをこの後どうしようか、と思いまして」

 

「潰したいなら潰しちゃえばいいんじゃないかな」

 

「はい。けれども彼女がどこまで善人でいられるか試してみたくもあるのです」

 

 化けの皮を剥がしたい、ということなのだろうか。確かに私利私欲に走る一之瀬さんとか見てみたい気もする。あと桔梗ちゃんの本当の姿を見たことがないので、ぜひそれも見ておきたいんだよなあ。カピバラ麻呂が彼女を退学させちゃう前に。

 

「それなら放置しておくのはどうかな? 潰れるなら勝手に潰れるし、白馬に乗った王子様みたいなのを演じながら南雲会長が救い上げるかもしれない。あるいは神崎君とか他の人が頑張るかもね」

 

 キャロルは少し黙ってから、小さく頷いた。

 

「……そうですね。まぁ神崎くんが、というのは考えづらいですが。多少協力することを覚えたからといって、元々人付き合いの苦手な彼がどうにかするのは難しいでしょう」

 

「ふむ? あれ、キャロルって神崎君とそんな接点とかあったっけ?」

 

 ミステリアスな彼のことを結構知っている様子だけど、2人が仲良しさんという話は聞いたことがない。

 

「ここに入学してからは会話もほとんどしていませんね。けれど以前も……最後に直接お話したのは少なくとも2年から3年は前になるでしょうか、ともかく親同士の繋がりがありまして」

 

 年月日までしっかりと記憶していたカピバラ麻呂とは違って、神崎君との交流はいまいち覚えてないようだ。うーむ、それだけ彼女の中でカピバラ麻呂は特別ということなのか。

 

「坂柳家と神崎家が近しい関係にあるというわけではありませんが、それなりに名の知れた親を持つとパーティーなどに呼ばれる機会も多いんです」

 

「なるほど〜」

 

 中学の時にそういう話題は耳にしたことがある。社交界というか、セレブの集まりでの知り合いなのか。

 

 ちなみに、神崎君は神崎エンジニアの御曹司とのこと。ロックとキャラがかぶる気がするが、彼も代表であるお父さんから将来その役職を譲られることになっているんだろうか。ちょっと気になるな、今度神崎君に会ったら尋ねてみようかしら。

 

「ところで、伊吹さんが退学してしまうとククリさんはお困りになりますか?」

 

 突然の話題転換にびっくり。どうしたキャロル。そんな仲悪かったっけか。

 

「え、キャロルさん、何か澪に恨みでも!?」

 

「少々気になることがありまして。いえ、大丈夫です。それでしたらやはり山内くんのほうを使います」

 

「今日……もう昨日か。晩ごはんも一緒に食べてたね。何かするの?」

 

 キャロルは食堂で的場君に小グループを招集させその輪に交ざっていた。山内君も呼んだらしく、彼の隣に座って親しげに話しかける姿を目撃した人も多いだろう。私もその一人だった。いや、思わず目を疑う光景だったよあれは。たっつーが「カマトトぶってやがる……」って毒づいてたけど、申し訳ないことに否定できなかったもん。

 

「そうですね。スパイとして調教するのも面白いかもしれません」

 

「Dクラス、となると。カピバラ麻呂関連? たしかだいぶ前に図書館で一緒に勉強してたの見たことあるけど」

 

「綾小路くんのお友達でしたか。存じ上げませんでした」

 

「うーん、最近のカピバラ麻呂はあの同じ小グループの責任者の幸村君とか、もう一つの混合グループの責任者の三宅君と一緒にいることのほうが多い、気がするな。最近は疎遠になってるのかも」

 

「ふふっ、それはよかったです」

 

 うーむ、キャロルの考えが読めない。まさか今から闇討ちしにいくとかはないですよね? 流石にちょっと準備が足りないのでやめていただきたく。

 

 まあクラスや学年を越えて打ち解けるのもこの林間学校の狙い。それを考えるとキャロルの行動も間違ってはないなきっと、うん。

 

「ああ、そういえば最近の南雲会長はカピバラ麻呂に興味を持ってたな。あれってキャロルが何か言ったの?」

 

「いえ。おそらく別のところから漏れたのだと。ククリさんはお心当たりがありませんか?」

 

「んー、桐山副会長がグレーかな。堀北先輩の紹介で南雲降ろしの協力者としてカピバラ麻呂と連絡取り合ってるっぽいけどそのことを南雲会長に流した、あるいは勘付かれた可能性はあるね」

 

「それはそれは。余計なことをしてくださるものですね」

 

 うーん、桐山副会長、堀北先輩と南雲会長との両方に情報を流しているコウモリさんの可能性は十分にあるんだよなあ。まるでバットジャスティスのよう。

 

「桐山副会長に南雲会長、バットジャスティスとカピバラ麻呂が一緒の大グループだよね。今更だけど大丈夫かなあ」

 

「綾小路くんが気づかれるようなミスを犯すことはないでしょうけれども、橋本くんには南雲生徒会長から何かしら吹き込まれているかもしれませんね」

 

「それは面倒くさいことになりそうだね」

 

 うーむ。南雲会長は堀北先輩のお気に入り疑惑のあるカピバラ麻呂に注目しているのか。でもあれ、そもそも堀北先輩は何でカピバラ麻呂のことを買っているんだろうか。夏休みの時、いやあの7月の逆転裁判の時には既に認めている節があった気がする。

 

 カピバラ麻呂、というと。やっぱりリンリンがよく一緒にいるからかな。はっ、そうか。「おまえなんぞに可愛い妹はやらん!」って感じでカピバラ麻呂の粗探しをしているうちに、いつの間にか「おまえになら鈴音を託せる……!」という心境に変化していったとか。そんなんなのかな。うーむ、面倒くさいな堀北家。

 

「いずれにせよ、3月頭の特別試験で介入されることは避けたいというものです」

 

「3年生はまだあと2回以上特別試験をやるんでしょう? 南雲会長はきっと石倉先輩とかを使って堀北先輩と戦うのに夢中になってるんじゃあない?」

 

「どうでしょうか。綾小路くんに手を伸ばしてこないとも限りません。それに、綾小路くん側から南雲生徒会長へリアクションを取ることも考えられます。何しろ『南雲降ろし』の参加者なのですから」

 

「そっか。うん、確かにそうだね」

 

 特に何もする様子がなかったけどあれだ、カピバラ麻呂は一応南雲会長の暴走を止める立場だもんね。暴走というと例えば今回の件とか……いや、うん、仕方ないよ。橘先輩に対する罠はあれだ、防ぎようがないもん。たぶん。

 

「あ、でも一之瀬さんへの攻撃は麻呂君の邪魔ということになっちゃうのかな……いや、セーフ。セーフラインのはず」

 

「問題ありませんよ。元はと言えば秘密を他者に握られた彼女自身の責任です」

 

 その通りっちゃあその通りだがキャロルさん容赦ねえ。

 

「もうキャロルが南雲会長を倒しちゃえば? そしたら全部解決にできるんじゃないかなあ」

 

「少なくとも綾小路くんとの戦いが実現するまでは他にあまりリソースを割きたくないですね」

 

「キャロルのカピバラ麻呂至上主義め……!」

 

「ふふ、面白い表現ですね。それでしたらこの学校は差し詰め実力至上主義の高校、いえ。実力至上主義の教室、といったところでしょうか」

 

 んー、そういや入学時に「この学校は実力によって生徒を測る」とか先生から言われた気はする。デスゲームの説明だと思ってたんだよね、あの時は。実力(物理)なものとばかり考えていたのになあ。

 

「何で教室に限定したん?」

 

「あちらが白い部屋でしたので、対抗心からです」

 

 あちらとは、と首を傾げる私にキャロルは微笑を浮かべた。どうやら答えてくれる気はないらしい。

 

「試験に響くといけませんし、そろそろ戻りましょうか。夜のお散歩にお付き合いいただいてありがとうございました」

 

「うん、はよ帰って寝よ」

 

 だいぶ眠くなってきてしまった。ふわっと欠伸(あくび)をして瞬きする。

 

 コツコツ、と音が響くその隣を私はゆっくりと歩いた。

 





あああああ
ああああ
あああああ
ああああああ
ああああああ
ああああ
ああああああ
あああああああ
ああああああああ
ああああああ


あああああ
ああああ
あああああ
ああああああ
ああああああ
ああああ
ああああああ
あああああああ
ああああああああ
ああああああ


あああああ
ああああ
あああああ
ああああああ
ああああああ
ああああ
ああああああ
あああああああ
ああああああああ
ああああああ


(ティラノサウルスレースは本当に各地で開催されています)

「あのう、星之宮先生」

「なぁに、京楽さん」

 呼びかけにより振り向いたのはふわっとしたセミロングヘアの女性。一之瀬率いるCクラスの担任、星之宮知恵だ。

「男子たちのほうって着ぐるみレースでもしたんですか? だったら羨ましいなと思ってしまいまして」

 ワクワクしている様子のククリに、星之宮は首を傾げる。

「き、着ぐるみ? そんな報告は受けてないけど……でも楽しそうかも。よーし、出来ないかちょっと他の先生に聞いてみるわね〜」

 軽い調子で答える星之宮は、フットワークも軽かった。男女混合にすればドキドキイベントも起きたりするかも、とノリノリである。

「本当ですか!? ありがとうございます。ん、丁度あそこに小野寺先生が」

 ククリの言葉を受け、星之宮は通りがかった3-Bの担任教諭に提案してみるも……まぁ当然というべきか、普通に却下されたのであった。その後しょんぼりする2人の姿が目撃されたとかされなかったとか。









ここには
写真が入ります。
ここには
写真が入ります。
ここには
?
.Student Identity Card ◢████████████◤
ああNumber:.S01T004721
ああName:...櫛田桔梗
ああBirthday:...1月23日
ああSchool:.....高度育成高等学校
ああ

S01T004721

Student Identity Card









ここには
写真が入ります。
ここには
写真が入ります。
ここには
?
.Student Identity Card ◢████████████◤
ああNumber:.S01T004718
ああName:...軽井沢恵
ああBirthday:...3月8日
ああSchool:.....高度育成高等学校
ああ

S01T004718

Student Identity Card

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。