デジタル時計に映る時刻が時間の経過を示していく。暗いラボの小さなIS格納庫で
ジャンクラビットを装備した俺は時計のアラームが鳴るのをじっと待つ。
海底に隠れたラボが浮上し、光学迷彩をかけ、ジャミングを行って5分、作戦開始まで
残りわずかとなっている。ほぼ1時間前にウダイの部下たちが基地周辺でボヤ騒ぎを起こして米軍はそちらの方へと歩兵戦力を集中させている。
俺達が襲撃するのは、その反対方向となる。 これによって今回は厄介な歩兵戦力の陽動を完了させたことになる。
相対するのは、予想ではラファールタイプが3機のみだ。米軍の軍縮の結果、今この基地に置かれている防衛戦力はISが頼みの綱だ。陸上車両は軒並み引退もしくは、沖縄へと置かれてしまっている。艦船こそいるが、戦闘態勢に入りこちらの作戦域に入るのは最速で1時間。余裕でスルーできる。
「通常戦力がいなくて大助かりだね。スー君。」
束の陽気な声が耳元に聞こえる。通信を介して話しているのだ。
「油断はできない。いくらコイツがISにはめっぽう強くても、予想外はつきものだ。頼むぜ、博士」
「任せてよ、そっちも石ころの掃除は任せたよ。」
時計からアラームが鳴りだし、ラボの上部ハッチが開かれる。
「じゃあ、鳥になって行けぇ!」
電磁カタパルトから発艦したジャンクラビットの背部装甲を展開し、淡青色の光と共に加速を開始する。甲高い音が鳴り、爆発的な加速が生む衝撃波が海を割って白い水しぶきを猛然と上げて突き進んでいく。マッハ3を超える速度で目標へと直進するウサギは世界中でコイツしかいない。
通信を開いて、ウダイの部下たちに通信を送る
「飢えたウサギは飛んだ。繰り返す 飢えたウサギは飛んだ。」
マッハ3を超える速度で作戦空域に到達し、減速を開始する。あくまでも、今回は銀の福音からコアネットワークに侵入するのが目的の為、行き過ぎた速度は邪魔にしかならない。
コアネットワークへと侵入するためにはISコアを仲介しなくてはならない。しかし、ジャンクラビットは初期の物でコアネットワークに繋がっていない欠番のコアのため、ソレは不可能だ。もう一つ、クロエが体内に宿している機体もある。クロエは何を隠そう、アドバンスドと呼ばれる遺伝子からいじられた人間であり、その失敗作だ。高い能力こそ得たが、彼女は自身で呼吸や、体温調節のいわば恒常性がコントロールできないのだ。束はそれをISコアを埋め込むことで、解消している。そのため、クロエのコアを使うことで、何らかの悪影響が出る可能性があるので、これも却下。そしてたどり着いた結論がこの作戦だ。つまるところ福音をルーターにしてネットにつなげ、ウィルスをばら撒くというのだ。束自身の力を見せつけるとともに、ISの軍事的価値を否定することで夢を叶える一歩とするのだ。そして、その尖兵となるのが俺という事だ。つまるところ福音をルーターにしてネットにつなげてウィルスをばら撒くというのだ。
思考していると、通信が入る。
ハイパーセンサーが三機のIS反応を確認する。ラファールの改造機 インフィニティキャットと判明する。合衆国が改良して空戦能力を強化したタイプだ。防御能力をシールドに依存し、ねじ一本までに至るまでに軽量化したIS版ジーク(ゼロ戦)だ。
不幸な三機が予想より早く登場し、舌なめずりをする。
コイツらは踏み台だ。束の力を見せつけるための。
「そこの所属不明機、貴様は現在我が国の飛行禁止空域に侵入している! また、登録不明のコアという事で、我々に同行してもらう。」
威圧的な声を頑張って出している幼く見える女性搭乗者をカメラのズームで確認し。俺はフルフェイスに仮面の下でせせら笑った。無機質なマシンボイスに変換された笑いが相手のレシーバーに届いたらしく、相手は憤慨した。
「何がおかしい? 目的と所属を答えなさい!」
俺は彼女の要望に応える事にした。
「所属はたちの悪いウサギ、目的は知る必要はない。 貴官らは撃墜する。」
展開装甲を戦闘モードで開き、戦端を開くドラの代わりとして、パルスマシンガンの銃火を切った。一機が被弾しつつも、雲に隠れ二機が散開する。散開する二機が空対空ミサイルを放ちながら、別れる。接近するミサイルの一つを単射で撃ち落とし、もう一つを撃ち落とそうとしたところ、ミサイルが割れ、中からより小型の弾頭が襲い掛かってくる。
機体をバレルロールさせて、直進して、ミサイルで作られた網を掻い潜ると、後方から光が発されたのを見つけて、右へとずらす。さきほどいた場所に音速のビーム光が通り過ぎていくのを目で見ながら敵機のフォーメーションから多方向から包囲し、殲滅する魂胆だと直感する。
左方向に分かれた一機に接近し、パルスマシンガン三点バーストで撃ち、進行方向へと進むのを阻害する。相手も負けじとアサルトライフルM13をフルオートで連射しつつ、海面へと高度を下げる。敵の意図はこうだ。俺を海面付近の低空におびき出し、残った二機が上方から奇襲。高度差を利用して一撃離脱戦法で俺をかく乱し、自機がとどめを刺すというのだろう。
「馬鹿め」
一言つぶやいてラビットの速度を倍にする。
二機の両機がポジションに着く前にカタを付ければいい話だ。各個撃破のいい餌食だ。
海面すれすれに飛んでいたキャットが爆発的な加速で接近するラビットに気づき、ライフルを二丁持ち、弾幕と狙撃を交互に行うが、どちらもこの機体の速度と機動性にはNGな戦法に過ぎない直角に青い粒子でできた軌道を描きつつ、パルスマシンガンで頭を抑える。
回避する場所を失ったキャットはシールドで受け止めることに徹し、速度を落とす、そこを見逃さはずはない。五十発ほど撃ちこんで、マシンガンを仕舞い、展開装甲を先ほどの巡航モードに切り替えて、速度を最高速度のマッハ3.5に上げ、鋭角なシールドをコールする。束 製ではない、どこにでもあるラファールの物だ。これを剣のように前に突き出して構える。
「飛び散れよ 猫ちゃん。」
常識を超えた速度と硬度を持った弾丸と化したラビットによる体当たりをぶちかます。
超音速飛行によるカミカゼアタック。ただし、行った当人は涼しい顔で過ごせるという、死なないカミカゼアタックだ。衝撃に耐えることのできなかった盾が砕けるとともにキャットは絶対防御も通用しない弾丸の前に赤い霧となって消えた。シールドばかりに防御を頼っていた機体では受け止めることは不可能だった。
通り過ぎた後に発生するソニックブームと共に破片の一つさら青い海の上で埃ほどの大きさに分解されていった。何のことは無い空っぽの棺桶が一つできただけだ
IS操縦者なら助かると思っていたのが大間違いなのだ。
展開装甲を戦闘モードに切り替え、残る二機と対峙する。チームメイトを殺害されたことに激怒し、復讐の女神と化して猛然と迫る。
俺は束に通信回路を開く
「束、時間が惜しい。例のを頼む。」
「オッケイ! スー君任せてよ!」
曳光弾が掠め、連射の合間を縫って、スターライトmk2ビームライフルで狙撃を行う。
確かな腕と共に飛来するエネルギー弾と実弾のコントラストを右へ右へとステップするように回避する。海面に弾丸が当たり、水しぶきが目を覆ったとき、片方の一機が瞬時加速で側面に回り込み、高周波の短刀を手に迫る。
頭部から始まり胸、腹と狙ってくるブレードの刃を指先で弾いてずらす。
「この・・っ」
怒りと悔しさに歯噛みするキャットの搭乗者を右目で、左目でコネクト率42%と見ながら、反撃を開始する
腕部の装甲を展開し、二本のブレードを露わにする。装甲の先にエネルギーを纏わせるシールドブレードを振るう。
相手のブレードを容易に分断し、貫手とチョップを行って、数少ない装甲を削りに行く。
左手を振り上げ、胸の薄皮を浅く斬りつけ、体を回転させ下腹部へと手を伸ばし、貫きにいくが、敵機も手練れのせいか、微妙に体をずらしてかすり傷程度に抑えて、その腕を掴む。かっちりと固定し、もう一機に狙撃するよう言う。
スターライトを構えた敵機を横目でにらみ、機体のスラスターを吹かし、その場で回転行動を開始する、敵機も抑えつけようと抵抗し、二つの機体による不格好なダンスがその場で展開される。狙撃手もフレンドリーファイアーを恐れ、引き金が引けないでいる。
ダンスしている最中の俺は膝蹴り頭突きを繰り出して、搭乗者の脳を揺さぶる。
その時、コネクト率が100%になる。
「堕ちろよ。メス猫」
束の絶対零度の声が囁かれると同時に背部の展開装甲が三つ分離し、形を変える。
それは小さいジャンクラビットだった。これこそがジャンクラビットの真髄。この機体のコアは欠番だ。しかし、それは欠点とは言えない。欠番故なのか、コア出力は通常の2.5倍と束の手によって引き上げられ、極限までに高められたコアエネルギー量は有象無象の機体とはけた違いだ。この大出力によって形成される小さな無人機はラボ内の束が捜査している。天災の名に相応しい彼女が操る三機の無人機、この機体の真の能力は爆発的な速度でも、展開装甲による武装でもない、世界最強の無人機を僚機としている点なのだ。親から離れた子ウサギはむき出しの牙を持って、三機目の猫に襲い掛かった。手に盛ったブレードで斬りつけられていく、キャットの搭乗者は回避行動をとりつつ、無人機を撃ち落とそうとハンドガンで抵抗するが、子ウサギは嘲笑うように躱し、取り囲んでいく。
近づいてくる死神めいた一機をキャットは拳銃の銃床で殴りつけたが、子ウサギは折れ曲がった首をその場で戻し、カメラアイを発光させる。
恐怖に震え、獣のような叫びを発するキャットに子ウサギたちは寄り添って、ネットリと嬲るように刻み込んでいく。
一機の無人機がスラスターを貫き、二機目がわずかに残った装備を握りつぶす。
三機目が絶望に染まった搭乗者に取りつき、腕部のブレードを青白く光らせ、胸を穿った。
力を失った、機体が下降していき、海面へと落ちた。
最後の一機となったキャットが逃走を開始しようと俺の腕を離して背を向けた。
その背中に照準を合わせる。
別れた子ウサギが集まり、腕に装着される。飛行に最低限な出力を残し、それ以外を腕に集中する。腕を注がれるエネルギーが圧縮と増幅を繰り返し、唸るような音を方向から漏らす。その声は地獄からの叫び声のような恐ろしい機械の絶叫だ.
その声はもしかしたら束の世界への怨嗟の声のようにも思えた。
兵器としてのISを否定しながら、それを阻止するためにやはり兵器としてのISを作らなくてはならなかった彼女の叫びだったかもしれない。
絶対的な死を具現化した粒子の塊がスパークを放ち周囲の大気を焦がしていく。
焦がされた大気の渦の中で俺は静かに引き金に指を掛けて、引いた。
臨界に達したエネルギーが激烈な閃光と速度を持ってキャットに飛んでいく。
涙目になりながら、離脱しようとした彼女はその身に命中した閃光、荷電粒子砲によって原子レベルで分解され姿を消した。戦闘開始から17分。これ程の短期間で撃墜されたISはいないだろう。俺は撃墜したことをデータによって確認し、福音のもとへと駆けた。
目標の基地へとたどり着き、着地させると同時にラビットの装甲が開いて熱された蒸気を排出する。煙幕と見間違えるほどの量を噴出したラビットの前には目標の福音が眠る格納庫へと足を運ぶ。基地内の無線を盗聴したところ、歩兵隊が来るまで、三十分。この場に抵抗できるものは皆無だ。格納庫の前へと立ち、航空機用の倉庫だった扉をたった2m半の機体でこじ開ける。
中に入ると、福音が二機とも仲良く並んでおり、搭乗者が動かそうとパネル相手に格闘しているところだった。
ホバークラフトのようにふわりと浮かせて福音の隣へとたつ。
搭乗者の女性がM9と思わしき拳銃を引き抜いて発砲するが、当然通用しない。
「無駄な抵抗を止めて、降りろ。くびり殺すぞ?」
マシンボイスで宣言すると、女性は観念したのか降りるが、目は反抗的だ。
無人になった福音に手首から端子をだしてつなげる。後は束の仕事だ。
「繋げたぞ。」
「ご苦労、ご苦労♪ じゃ、早速・・」
レシーバーから高速でキーボードが叩かれる音が聞こえてくる。作業開始の時間だ。
この間、ラビットの演算能力はコアネットワークへのダイブをするためにエネルギーが回せれ、シールドが消え、防御が表面の特殊合金の装甲のみとなる。元々、アクセス権が無い機体がネットワークにお邪魔しようというのだから、その抵抗も大きい。
つまり、今歩兵に来てもらうのが一番困るのだ。エネルギー火器と展開装甲に頼ったジャンクラビットでは今は固いだけの案山子にすぎない。攻撃手段が一切ないのだ。対人用のレーザーすら使えない今のラビットでは歩兵でも簡単にコアとの接続を阻害されてしまう。実弾兵器を積むべきだが、予備弾倉に拡張領域を使ってしまい、弾薬の補給もIS用となると、ブラックマーケットなどでは当然扱ってないため、入手が困難だ。通常兵器の改造という手もあったが、M2重機関砲などでは比較的小型で弾薬の入手こそ簡単だが、威力が少ない。20mmのバルカン砲や、25mmブッシュマスター機関砲などは十分な威力だが、本体の大きさと必要弾薬の多さでかさばるのだ。
小さなラボだけが拠点の俺たちでは大型の実弾兵器を持つのは難しい。
だからこそ、歩兵戦力を遠ざける必要があったのだ。
その場で歩兵をかたずけるより、より確実にその場に存在させないことができる。
そうこうしている間も、束の操作は続く。鼻歌でジングルベルを歌ってすらいる。
作業は順調そうだ。あと数分もしないうちに仕事は終わるだろう。
その後はクロエに帽子でも買ってやろうか、などと余計なことを考えている、その時だった。キーボード操作がピタリと止まった。
「何コレ?」
束の声が響く。予想外の事態のようだ。
「どうした? 何か問題でも?」
俺がそう聞くと、束のブツブツとした声が聞こえだす。俺には分からないが、何らかの理論や数式めいたモノだという事はわかった。
そして、いつにもまして、真面目な声を出して束が結論を言い出した。
「やっぱり・・・コアを弄ったな?! 束さんのISを弄ったんだな!」
「どういうことだ?」
束が大声で叫んだ。
「スー君! そいつは・・・」
束の言葉が最後まで言われそうなときに、福音は起動した。
「馬鹿な?! 無人だろ?!」
端末を外し、後退しようとしたが、福音は腕でラビットを掴み倉庫の壁へと投げつける。
シールドの回復を優先し、スラスターにまで手が回らなかった俺は壁を突き抜けて無様に転がった。
起き上がりながら、福音を見ると信じられない行動に出た。
「誰か・・!」
福音は搭乗者の女性を取り込んだ。胴体から水銀のような液体をだして、搭乗者は飲まれていった。飲み込んだ福音は満足でもしたかのように声を出して、飛び上がった。
俺はそれを黙って見上げているだけだった。
歌いながら自由にはばたくISを
ラボに帰還すると、束とクロエが迎える。俺はラビットから出て床に座り込み、体力の回復に専念する。
「お帰りなさい、スレートさん。これを」
クロエがスポーツドリンクを持ってきてくれたので、軽く礼を言いながら受け取る。
束が近づき、ラビットを眺めながら、ため息を吐いた。
「やっぱり、整備泣かせの機体だね。次の出撃までに5日は必要かな?」
「そんなにか?」
「展開装甲にシールドそのものを武器にする武器、集束荷電粒子砲とか積んでるからね。
気難しい子だよ。元々ありあわせで作ったものだし。」
ラビットは束の言う通りありあわせで作ったものだ。そのため、パーツの構造が複雑で、整備性は最悪だ、第一世代の機体に第四世代相当の武装を無理やりくっつけているのだから当然といえば、そうかもしれない。例えば、展開装甲について話せば、ラビットは元々そんな装甲をしていなかったが、束が次世代のスラスターの実験も兼ねて、この装甲を原型を保たせながら、中身を弄っているため本来あるはずのない機構を組み込んだことになり、分解は複雑極まりない。いっそコアに新しい機体を入れる方法なら、と提案したこともあるが、旧式のコア故に新しい機体を組みこともできない。これがラビットの問題点だ。世界でこれ程高性能な機体もいないが、これほど扱いに困る機体もない。束でさえ、5日程整備に時間を必要とするのだ。
あくまで束は発明家であり、兵器開発者でないのが災いしているのだ。「で、福音のアレは一体何なんだ? 」
「・・・・コアが弄られていて、デタラメな状態だったんだ。電化製品を説明書も読まずに分解して改造したようなものだよ。」
束がたとえ話を用いて製作者を暗に非難する。
「具体的に言うと?」
「・・・はじめは足りない出力を出させるためにコアを改造したんだと思う。でも、欲を出して無人化にまで手を出してて、そのOSを福音に入れてた・・・そして自己進化するISコアはそれを学んで、勝手に動くことを学んだ。そして・・・・」
「暴走か。」
「太平洋で無人機を見つけたから、こんな事思いついたんだろうねぇ・・・バカなヤツ!」
近くの壁を蹴り、やり場のない怒りをぶつける。ISのコアはブラックボックスと言われているほど、中身がわかっていない。にも拘らず いじった結果がこれだ。
ISの自己進化機能などをしっかりと把握しないために、起こった必然だった。
「軍隊が訳わからん物に手をだすからだな・・・下手なハリウッド映画だな、まるで。」彼らのやっていることはまさにそれだ。エイリアンやらを兵器にしようと企んで、暴走し被害を受ける。まさに今回がそれだ。
「皆、白騎士を再現したがるからね・・・・だから、こんな事までするんだ」
「その白騎士様は今どこに?」
「さあ?」
誤魔化すような笑いを出して、束は壁に寄りかかって座る。
「とにかく、仕事は続行だよ。スー君」
「だが、俺たち唯一の戦力は5日は使えない。どうする?」
このラボ内の戦力は大きく分けて、三つだ。ラボ自身の対空火器、クロエ自身 そし手俺が駆るジャンクラビットだ。だが、ラボの対空砲は頼りなく、クロエが持っているISは戦闘向きではない。つまり、この場に残る戦力は皆無だ。
妹の為に作られた機体もあるが、特異すぎる武装に俺がついていけない。
「福音はコース的に言うと、日本に向かうと思う。 だから、これを使おうと思う。」
ポケットから取り出したのは携帯電話だった。俺はその行為にどんな意味があるのか分からなかった。
「そんなもの取り出してどうする気だ? 援軍でもいるのか?」
「いるよ。 束さんのお友達がね。」
携帯電話の電話帳を選び、束が友人をコールする。
「最も・・そう思ってたのは束さんだけだったかもしれないけどね。」
信頼の置けるかどうか分からない友人に委託する束を心配しながら、その場で頬杖をついた。
ハワイ旅行の後に残業とは嫌な結果で終わった物だ。
クロエが窓からハワイ諸島を眺めていた。美しい南国の島は遠くへと過ぎ去ってしまった。
ウサギ編とりあえずの終了です。
次回から福音編です。
更新は遅れると思いますが、よろしくお願いします。