IS to family   作:ハナのTV

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一応、予定のひと段落が着きそうなので、書きました。
また、遅れると思いますが、よろしくお願いします。


23

打鉄のHMD内で警告が鳴る。ロックオン警報とそれに続くミサイルの姿が表示される。

予想できなかった敵機。インフィニティキャットの一機目 キャット1は対ISミサイルを四発放ち、手持ちのサブマシンガンを単射で回避行動へと撃ちこもうと有効射程へと入り込む。舌打ちをして、ECMグレネードを投下し、ミサイルの軌道を狂わせ、その間をすり抜けたのちに爆発。緑の爆炎をバックにしながら、DMR9でキャット1の頭を抑え、接近させないようにする。キャット1は接近を諦め、キャット2のスターライトMK2の狙撃支援の元、高度を下げて、潜り込もうとする。飛んでくる青いエネルギー弾は決して高い精度ではないが、重装備にセットアップした打鉄では完全によけきれず、一発を肩で受け流し、誘導グレネードを4つ放り投げてキャット1とキャット2の距離を離す。

グレネードを迎撃してキャット1が手榴弾を撃ち落とす隙を見て、山田先生のラファールが強装弾の入っているショートマガジンの突撃銃で3点バーストの射撃を浴びせる。

トリガーを引くたびに、キャットの少ない装甲を削ぎ落し、無防備な胴体に被弾させていく。マガジンを素早く交換しようとするラファールを雲に隠れていたキャット3が急襲した。

「この・・・!」

黒染めのシールドの先に着いたブレードが突撃銃のストックを両断する。山田先生は機体をロールさせながら2m程後退してストックが無くなり取り回しの良くなった突撃銃でフルオートで叩き込むが、キャット3は怯むことなく突撃。人がいない故に恐れもためらいもない。アタシはターボカスタムに改造された脚部の出力をフルに使い、二機の間に割り込み、山田先生とキャット3の両方へとライフルを向けて、発砲。

キャット3の頭部に直撃し、もう一発は山田先生の後ろへと忍び寄っていたキャット1の肩へあてる。 山田先生が下方へと機体を向けて ミサイルを8発ふんだんに放つ。

狙撃体勢に入っていたキャット2が射撃姿勢を取りやめて回避するのに、アタシも4発ミサイルを発射してキャット2はミサイルにサンドウィッチされることなり、ほとんどが命中する。

キャット3のダウンを確認していると1と2の軌道に変化が生じる。一旦距離を離し、高度を上げて墜落でもするかのような勢いでサブマシンガンをキャット1が放ち、すれ違いざまにキャット3が切り刻みに来る。山田先生がシールドを構えて前に出て、アタシがDMR9で撃ちつづけるが、IS版ゼロファイターと呼ばれるだけあり、軽快さを生かして、ランダム回避運動を行い、サイトの中に捉えきれない。

ならばと思い、サイトでは無くセンサーに頼る射撃に切り替えて、射撃を再開する。そして山田先生にアイコンタクトをとる。

一撃離脱戦法をとって通り過ぎる敵機の後ろに回った瞬間、アタシと山田先生で身をひるがえして、互いに交差して二匹の猫の尻に張り付く。キャットは最高速まで加速をして振り切ろうと試みるのを逃がさぬようにターボカスタムによる大出力のブースターと弾切れになったミサイルポッドを切り離しての追撃戦。女同士の戦いでありながら、超高速のドッグファイトへと発展する。後ろを突き、完全にセンサーのみを頼りにセミオートで撃つ、撃つ。薬きょうが遥か彼方の後方へと消えていく。

キャットは攻め方を変えて、体を立てて、急激な空気抵抗を作って減速をして、後ろに回った。いわゆるコブラの真似事だ。アタシが冷や汗をかいた時には遅く、

キャットのサブマシンガンが火を吹き、後部に被弾する。

ショックで、体勢を崩され、高度を急激に落としていく。重量を増やした分、トップヘビーとなった打鉄では立て直すことでさえ、難しく、センサーで見るともう一機のキャットも現れ、片割れであるアタシにとどめを刺そうと躍起になっている。

「大場先生、そのままのコースを!」

山田先生の指示が入る。識別信号で位置を確認し、その意図を理解し、墜落コースのまま、加速を開始する。雲を抜けて青い海が視界に広がる。敵機も追撃し、その火力を制圧射撃として、弾幕を形成する。このまま海に突っ込ませて殺すか、機首をあげるタイミングを狙ってフィニッシュにするつもりなのだろう。

海面まで、三秒と言うときに、キャットの頭上から山田先生が現れる。手にしているのは2つの大砲

艦艇用の機関砲ボフォース 40mm機関砲の流用品。巨大な火砲が現れたのを目にしてキャットは制動を掛けて、退避しようとする。

その瞬間にアタシは海面に背を向けて、先ほどのキャットの要領で減速し、海面すれすれで瞬時加速を行い、水しぶきを上げつつ、バトルライフル二丁で動きの止まった二機を左右の目で別々に狙いをつけて狙撃し、航空能力たるスラスターを撃ちぬいた。突然の被弾に戸惑いを隠せない二機のインフィニティキャット。

最早、急上昇もできない。浮いているだけの的と化した二機にボフォース 40mm弾によるハウリングを行われる、その咆哮に猫が二匹空の上で散った。巨大な砲弾が、薄い装甲と、シールドを食い破り、元々、そこには何もなかったかのような錯覚を生む。正確には消し飛んだのだ。二つの機体が細切れになったのを確認して戦闘態勢を解除する。

肩で息をして、緊張感から解放されたのか、初めて人を殺めた感触に嫌悪を抱いたためか山田先生が嘔吐をする。そんな彼女に近づき、会話をする。

「・・・・終わりました。」

咳き込みながら、顔を上げて涙目の中、山田先生は答える。

「ええ、でもどうして米国の機体が暴走を・・・?」

「わかりません・・・」

奇妙な戦場だった。情報にはない敵機、しかも米国の機体で、拾ったインフィニティキャットの装甲の欠片を見ると米空軍と思わしき部隊章が書かれており、福音を追跡していたのではないかと予想できる。暴走していた機体もだ。ミサイルや機関砲にたいして絶対防御が発動しなかった。つまり、絶対防御のエネルギーすら戦闘に使われていたのだ。

そして、無人機というにはあまりに人間らしい動き。ISが生きた一個の生物のように判断し、自己の生存と仲間の為に戦闘したのだ。奇異な敵機に拭いきれない疑問が生まれる。

一体、何が起こっていると言うのだ?

隣りで咳を繰り返す山田先生を見る。予想しえなかった戦闘のストレスを感じている。これ以上はきついかもしれない。元々が優しい気性の彼女だ。受けたショックは相当な物だろう。一度彼女を帰還させ。戦場でアタシ一人で踊るべきではと考えたが、山田先生がアタシの手を掴んで、息も切れ切れで言う。

「大丈夫です・・・・私もやれますから・・」

「しかし、貴女の様子は尋常じゃない。帰還された方が・・」

首を横に振って彼女は拒否した。意地か、覚悟か、彼女はヘッドギアをいったん外して、アタシを真っ直ぐ見つめる。

「私が退けば、生徒の・・・! 生徒の皆さんがこんな気持ちになるかもしれない。

それに大場先生が一人で背負うなんて・・・それじゃ、今までと変わらないじゃないですか・・・・」

「山田先生・・・・」

一つ深呼吸をして、彼女はヘッドギアを被り直し表情と目元を隠す。自身の弱さをみせない強がりのようにも見えるが、彼女は自分の意志を示すかのようにストックの無くなった突撃銃の弾倉を交換して、チャージングハンドルを勢いよく引いた。金属の音が響き渡る、意志を明確に示して、戦闘準備を整えた山田先生が、福音の逃走ルートへと機体を向ける。

「織班先生にこの事を報告しましょう・・・通信は届くはずです。」

「既に送信済みです、後は・・」

「では 行きましょう・・・追えば、まだ間に合うかもしれません」

「ああ、行きましょう。」

戦場を駆けるのは古参兵と新兵の二人。

だが、アタシ達は大人で、教師だ。義務を果たすのに、戦闘経験の豊富さは問題ではない。

予備のエネルギータンクでわずかに回復しながら、青く、残酷な空の戦場を走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

いきなりの自室への待機を命じられた私たちは落ち着かない気持ちのまま、ただ焦りと不安の念に取りつかれていた。ナギも神楽も椅子に座って、海を見るばかり、その指は執拗に肘掛をつついている。清香と癒子は体育座りをして畳の床を見つめるばかりだ。

「先生・・・大丈夫かな?」

さやかが、呟いて、皆が不安げな顔を見せる。

「情報を知ることもできないし、どうしようもないな。」

神楽が、艶がかかった髪の毛を揺らして答える。情報を持っているのは専用機持ちと教師たちだけ。私達一般生徒に知る術はない。故に不安ばかりが一秒ごとに比例して大きくなる。情報も何もなく、ただ何もできずに待っていることしかできない自分たちが恨めしい。

せめて、何か知る方法があれば、と思わずにはいられない。

その時、神様が願いを聞き入れてくれたのか、どうかわからない。来客が来た。戸をノックされ、誰かが、読んでいる。私は飛び起きてとまで駆けていった。先生の誰かだろうか、と思い、戸を開けた。

「すまない、少し聞きたいことがあるんだが・・・」

普段IS学園で語学の授業をしていたこともあって、その英語を聞き取ることは出来た。だが、問題は話す言語ではない、話している人間だ。そこに立っていたのはスレートと名乗る男だった。

一瞬で三人の銃を叩き落とした最悪のテロリストが来たことで私は思わず、尻もちをついてしまった。他の子も何事かと思い、来て彼の姿に驚き狼狽える。神楽は持ってきた木刀を手に持ち、ティナが目で威嚇して敵意を露わにする。その時、癒子がミクロレベルの勇気をかき集めて、聞いた。

「何しに・・来たんですか?」

たどたどしい英語を聞いてスレートは一つため息を吐いて答える。

「女の子を一人探しているんだが、居場所を知らないか?」

「誰の事です?」

「ああ、シャルロットと言う名前の子だ。知らないか?」

目に隈を作ってくたびれたような印象の男はフランスの社長令嬢の名を出した。

周りを見ると皆が伝えるか迷っている様子だ。何故、今、シャルロットと会う必要があるのか全くもって見当がつかなかったからだ。

彼女の会社、デュノア社関連だろうか、それとも私的な関係か。 判断がつかない中、私は生唾をごくりと飲んで、聞き出した。

「会って・・・どうするんです?」

すると、男の様子に変化が見られた。まるで、初めてのデートにでも行くかのように緊張している、というか少し怯えているように見えた。

冷血漢と思っていた男に見せるその姿は予想をはるかに通り越したものだ。

「・・・わからない。何をどうしていいのか・・・わからないんだ。 知らないなら、いい すまなかった。」

立ち去ろうとするスレートを捕まえて私は言った。

「あの、シャルロットのこと、酷いこととかしないですか?」

「するわけないさ。俺だって女子供は優しくするし、それに・・・・」

「それに・・・何です?

「・・・・嫌、なんでもない」

この男のいう事はまっるきり信用できるわけでは無いが、私はそれほど警戒を要するとは思わなくなった。この男がテロリストという事すら忘れてしまう程、普通の男に見えたからだ。また、シャルロットにはISがあるので、会わせても大丈夫と考えて、打算する。

下手な交渉だとは思ったが、何もしないよりはいいと思い、私は話を持ちかけた。

「では・・・・外の事教えてくれませんか?できるだけ詳しく。そうしたら、シャルロットのことも話します・・・・・・どうですか?」

恐る恐ると聞いた私に答えが返って来た。

「・・・何が知りたい?」

とりあえず、神様と仏様に感謝をして私たちはおっかなびっくりと彼を部屋へと入れた。

 

 

 

 

 

 

 

オフィスに届けられた品物を受け取って、その品をじっくりと眺める。届いたモノとは

19世紀によく使われたフリントロック式の古いピストルだ。古今の銃はオートマチックで金属製でもなく、強化プラスチックの物が多い、商品として売れているのも知っているが、私に言わせると品 格調がない。

磨かれた木製の本体を撫でて、その感触に浸っていると、私の秘匿通信にコールがかかった。秘匿通信を開こうとすると、ふと気づいた。相手の通信コードが不明の者からだったのだ。私は一つの可能性が頭のなかで思い浮かんだ。ヴィンセントの切る間際に言ったセリフだ。彼は私にとっての大穴を当てて見せると言っていた。

それを思い、まるで童心に帰ったかのような期待に目を輝かせて通信を開いた。

「ハロハロー! 皆のアイドル 束さんだよ! 君かな? プラチナ君の上司は?」

プラチナ君、ヴィンセントの事だと察して会話を続ける。ひとまず、彼はリーチにまでたどり着いたと言う所か。

「始めまして ミス 篠ノ之。アルフレッドです。何か御用でも?」

「うん、単刀直入に言うとね、プラチナ君達に交戦許可を出して欲しいんだよね。」

聞こえてくる年若い女性のキンキンとした高い声は私にとって耳に優しくないものだ。

だが、彼女がヴィンセントの頼みを聞いた。実に興味深い、好奇心を刺激されて表情筋が緩んだ。

「ほほう、いきなりですな。しかし、困ったことに私としては子供を戦場に送ると言うのはどうも・・・」

過去、俳優を目指していたころに磨いた演技を用いて、声に陰りをつける。

「嘘ぉ 君にとって子供なんて言葉はないんじゃない?それに君にとっては良心よりも大統領の顔が描かれた紙の方が重要なんでしょ?」

「何故そう思うのです?」

「束さんは知っているんだ。君は赤毛の少年を確実に手に入れるために少々、契約金に色を付けた・・・普通の二倍の金額にしたんでしょ? でもって赤毛君を誘導して見せた。

そんな君が子供を思いやる? 冗談だね。」

耳元に笑い声が囁かれている。お前の演技などお見通しという事だ。いつの間にか手に入れたデータを送られてきて、私の示した契約金の送金記録が載っていた。

小細工は無用のようだ。だが、まだ本性を見せる時ではない。本性とは牙をむいた時でさえ隠すものだ。

「だから、私が彼らを出撃させるとでも?それは短絡的ですな、利益は長期的に見てこそ出るというものです。・・・それに脅しのつもりなら話はこれまでですな。これは交渉なのですから」

「見返りはしてあげるよ。」

「どのような物によりますな」

声のみしか届いていない、通信だが、私はすぐ目の前に彼女がいるような感覚だった。モニターをじっと見つめて、ここから、何千キロと遠くにいるウサギを凝視していた。

「とりあえず、君たちの計画が発動されるまで邪魔しないなんてどうかな?それに、君たちの計画なら福音を倒したほうがいいんじゃないの? 」

「計画? 色々とありすぎて思いつかないですな。何せ巨大な企業な物ですから。」

「じゃあ、教えてあげよか?君たちのプランを」

挑発的な物言いに私は好奇心を刺激された。押さえつけれない衝動のまま、彼女に説明をするように促した。

ウサギが口調を変えた。論文を発表する学者のように詳細なデータからの考察を彼女は言い始めた。

「プランについて話すにはまず、君たちの機体についてだね。ハッキリ言って私には理解従い機体ばかりだった。軍用としての性格を重視しているのは見ての通り。全身装甲、二重のフレーム モーターによるパワーアシスト 信頼性に重点を置いて作り上げている。 これらの有効性は君たちのパワードスーツ「ファットマン」だったかな? コイツで実証されているしね。でも、これらは明らかに今のISのトレンドを完全に無視したものだ。国をイメージさせる象徴性も、次世代の新兵器も積んでいない。言ってみれば第二世代型の延長線だしかも、パワーアシストについて言えば、ISならモーターなんて必要ないのにつけているところとか変な設計だもん。」

私は口を挟まずに彼女の考察に耳を傾ける。流石は天災であり、見るところが核心をついている。パルスライフルも所詮は通常兵器の流用と言う所もしっかりと理解している。

「そして、機体の役割。 装甲と火力。 隠密性と小型さ 凡庸性 それぞれの機体には明確とした役割がある。まるで分隊でも組むつもりのような明確な役割分担。でも、これはISにとって無意味な発想だ。いくらでも数があるなら、まだしも 世界に500もない貴重なISで分隊を組ませるのはとてもじゃないけど、無理だし、それなら福音やかつての白騎士を目指したり、一騎当千の革新的装備を持ったISを作るか、何にでもなれる機体を作るべきなんだ。そう意味では対ISにおいて当てれば確実に一撃で相手を殺せる武器を持つ白式はあながち、間違いとは言えない・・・でも君等は違うと言い切れる。」

着々と積みあがっていく仮説。我々の設計思想を読み取り、そこから導き出される答えを紡いでいく。やはり、彼女は科学者なのだ。データと頭脳を頼りに考えを構築していくのは普通の研究者と何ら変わりない。

「しかし、それではすぐに気付かれてしまうのでは? それでは機密にする意味はないでしょう?」

意地の悪い質問を投げかけてみるが、彼女の口は止まらない。

「必要ないんだ。周りから見れば、未だに時代遅れな物を作る君たちだ。それ故の信頼を得ている君たちは世間から見れば、「伝統あるブランド」を好む企業だ。だから、第二世代相当を作っても、ああまた古い物かって感じなんだよ。」

正しい考えだ。人はイメージで判断する。新聞紙でひとたび、アイドルの浮気が発覚すれば、たとえそれが勘違いだとしても大衆の想像は一人歩きをしてしまう。

一種の洗脳や幻覚だ。これに惑わされないのは中々に難しい。現にこのイメージによって我々は全く怪しまれなかった。

「話がそれたね、戻そうか。そして、どうして男に乗せるのか?だね。機体の宣伝に男を使う・・・悪い手じゃないけど なら、なんの訓練もしていなかった赤毛君を手に入れる必要はない。坊主とプラチナ君だけで充分だし、そういう意味ではメガネちゃんも必要ない。ここから考えられるのは、あのメンバーにしかない能力がある可能性があるという事。だから赤毛君が要るんだ。そして、それが君たちの計画の根幹でもあるから出来るだけ、大切にしたいんだと思う」

 

無意識に机を指でトントンと叩く。結論を、早く聞きたなった私は落ち着かないままだった。焦らされて、貧乏ゆすりすらするほどに。

「最後に、プラチナ君のセリフ。ISの軍事的価値の喪失。軍用ISを作っているはずの君等が、わざわざ、自身の商品の価値を否定するかのような行為をとる理由。でもここで、考えを変えてみると、はっきしする。例えな、ISがライバル商品だとしたら?つまり私の結論は・・・」

一つ息を吸う音が聞こえて深く深呼吸した。私は彼女の答えにわくわくとした気持ちだ。聞かせてもらおう君の答えを

 

 

 

「君たちの機体はISじゃない! ただのそっくりさんだ! 君たちがISの軍事的価値を下げたいのは自分たちの機体がソレに変わるためなんだ。 IS学園に送りこんで、世界各国の代表候補生と専用機に勝って見せることで、君たちの商品を売り込む謳い文句をつくっていた。プランとは疑似ISによる世界革命の事だったんだ! そして疑似ISには何らかの適性もしくは制限があり、ピースのメンバーとは「どちらも使える人」のことなんだ!

だから、赤毛君が必要だったんだ。何の為かは分からないけど、そういう人材が必要なんだ。」

 

導き出された結論。様々な過程をへて作られた仮説 実に見事だ。私は手を叩いて大きく拍手を送った。最大限の賛美のつもりとして。

「お見事ですな。そこまで言われれば隠せる訳もない。その通り。我々のプランはISに代わる最高の兵器の構築と未来の創造。ノウハウは言えませんが・・彼らは重要なファクターなのです・・・・これからの利益の為にもね 」

束が満足そうな笑いを放って愉快そうなたがの外れた声で問う。

「拍手喝さいだよ。君たちは偽物でも、一つの完成形を作り出した。実に見事だよ。

軍用だけど、そこは褒めてあげる。でも、イイの? 世界中が大混乱するよ?」

私も抑制の利かなくなった笑いを出して彼女の問いに答える。

「それが何か? 貴女だって、世界の混乱など気にはしないだろう? 自分の目的のために世界を思い通りにするなど大したことでは無い? そうだろう?」

「同感だね。 でも私が変えるのは世界だけだよ、人までは変えるつもりはない。でも、君は彼らピース達を都合の良いように作り変えたド外道だよ。ねえ、子供を使って食べるご飯は美味しい?」

軽蔑をたっぷりと込めた声と共に、ウサギは語る。しかし、そこには矛盾があるのだ。彼女の作った発明品がソレを引き起こしているという事だ。たとえ、本人が望むまいとその事実は変わらない。

「ほざくな、そんな世界にした発明品は君が作ったものだろう。そして今、その子供たちを戦場に立たせろと言っているではないか?」

「・・・・確かにそうだよ。でも、作った責任があるから、私は動いている。それが嫌だから私は動いてきたんだ。でも、今福音を止めるにはあの子たちしか手段がない・・・・・悔しいけどね。でも、君は違う。彼らが、いや 大勢の人の想いや戦いを利用して、利益を吸い取ろうとしている、君は本当に汚い大人そのものだ。君たちのプランのその後は? あの子たちはどうなるのさ?」

善人のような口ぶりで話し出すウサギ。まるではロイ・バッカスそっくりだ

目的のために悪事を働き、葛藤と悩みを繰り返す。自分で軍用ISを否定しておきながら、自分もソレに対抗するISを作らざるを得ない彼女と、大人が戦うべきだと思っても、子供に戦わせるしかないロイ。どちらも染まりきれない者だ。だが、彼らのような存在は見る分には楽しい。

「彼らに終焉などない。生きている限り、プランの元に戦うことになるだろう。

戦いは何も、銃を撃ちあうだけではない。」

「思った通りだ。君は紙切れの欲望の為にしか動かないんだ。だから、言うよ。 福音を倒しに行けと命令しろよ。このままだと、万単位の死体が作られる。利益より、人命を優先してくれるかな?」

「代わりに彼らが死ぬかもしれないぞ?」

私が言うと、束は一つ息を吸って宣言した。

「それだけはさせない。私が、いっくん達もプラチナ君達も助ける。そのためにあんな馬鹿な作戦まで提案したんだ。 君の考えも、軍用ISによる被害もどっちも拒絶する。これが私の責任と欲望だよ。 文句ある?」

お互いがお互いをモニター越しの相手を殺そうとする雰囲気を醸し出しつつ、冷ややかな空気を立ち込めさせる。

「発動までは邪魔をしないのですね?」

「その後はどうかは君等次第だよ?」

決して相容れる事はない私たちの間に契約が結ばれた。全てを思うままにしようとする我儘なウサギと金銭に見せられた怪物の間でわずかな期間の共闘が約束された。

右手で端末を操作して通信をヴィンセントへとつなげる。

ロイは「未来の創造」の為に動くだろうが、私は違う、ただ、利益のために動くのだ。

ヴィンセントの顔を想像して呟く。

喜ぶがいい、君たちの望んだ戦場だ。

 

 

 

 

 

 

 

砂浜の上で交渉の結果を知った僕は通信機をしまって、弾を除くメンバー全員に振り返る。

「交戦許可は下りた。これで僕たちは正式に戦うことができる。」

「ようやくですか・・・作戦開始から、既に一時間と30分近く。 織班たちが成功していれば出番はありませんが・・・」

アカネが言い終わる前にユーリがその結果の予測を言った。

「連絡がない以上、一撃必殺とはなっていない。あの機体の燃費では失敗する可能性が高い。」

「つまり、僕たちの判断は正しかった訳だ。僕らの戦略はこうだ。 まず、ここに残っている専用機持ち全員に話を持ちかけて、防衛線を構築する。この防衛線は絶対に崩されないのが、条件だ。そして、援軍を待つ。」

援軍が必要と言うが、敵の福音一機に対してこちらは現在8機の専用機と生徒用のデチューンされた訓練機が7機が稼働状態にある。上手いこと、海域封鎖に出ている教師もつれて来れば、さらに10機ほど増加する。たった一機の軍用機相手なら十分なほどの物量さだ。普通なら不要だ。

だが、ある問題のために、この策はあまり使えない。なぜなら連携のとれなさがネックとなるからだ。互いに連携したことのある経験がバラバラで、指揮官たる織班先生には教官の経験はあっても、指揮の経験はない。全員での効果的な組織戦は望み薄だ。なら、どうするか? 答えは僕たちだけでも組織戦が行えるようにしておくことだ。専用機持ちによって、防衛線を作り各々が監視、接敵ないし、福音を発見次第、足止めと陽動を行い、そこに僕らが向かう。敵がたった一機だからできる戦法だ、単体同士の戦闘なら、負けない戦いをすれば時間は十分に稼げるはずだ。幸い、マイク達と整備課、そして大場先生が持ってきた軍用の部品、弾薬がある。仮に長期戦になっても補給、整備に問題はない。

頼れるのは同じ釜の飯を食べた者たちだ。ほかの連中に過度な期待はできない。

つまり援軍とは、弾の事だ。彼には整備課に頼んで用意させた打鉄を渡して、専用機たるストライクラプターを受け取ってもらわなくてはならない。

今、彼はトラックに運ばれているはずのラプターを向かいに機体を駆っているはずだ。

彼が戻ってくるまで間に福音がここを突破することだけは防がなくてはならないのだ。

「とりあえずだ、専用機持ちを集める。ユーリ頼む。」

「了解だ。」

ユーリが通信機をオンにして、全専用機持ちにプライベートチャンネルを開くのを見て、次の指示を出す。

「アカネ、マイク達からもらったものは?」

「大場先生の残した自動のセントリーガンが3つです。これなら、索敵に使えるかもです。」

目録にあったものだと、思い出して、指定座標に設置をするように言う。

これで、索敵の穴をふさぐことができるはずだ。

プライベートチャンネルが僕の元に来た。送って来たのは鈴だ。

「鈴か? 」

「話は聞いたわ。このまま待機するよりはマシよ。どうすればいいの?」

「こっちに来て戦闘準備を、頼む、君が頼りだ」

鈴が不敵に笑い、了承する。さらに通信が来る簪からだ。

「ユーリから聞いた。私はどうすれば・・?」

「アカネと組んでくれ。狙撃戦に君の機体が必要になる」

「わかった。」

次々と交わされる通信答えて、準備を整える。全ては勝つためと生き残るためだ。

勝利の女神は強欲なのだ。使えるものすべてを投入しなくては微笑んではくれないのだ。

その時だ。思いもしなかった者から通信が来た。開くと、ソレは弾からだった。

「弾かい?」

耳元に届いたのは銃火の音だった。明らかな戦闘の音、彼は戦場と反対の方向に言っているはずなのに、何故か、戦っているのだ。

「ヴィンセント! 聞いてくれ! エライことになった!」

「何があった?! どうして君が戦闘なんてしてる?!」

ミサイルアラート音がして爆音が響き 金属と金属が激しく衝突する金切り声が続く。

そして弾は報告した。

「教師の打鉄が・・・・暴走している! 訳が分からない・・・・どうなっているんだ?!」

そこで、僕の思考はストップした。

いや、考えたくもない事態が起こっているのに気付いただけだ。

暴走が伝染しているという、ありえない事態に・・・・

これで分かったことが一つ。数的優位は失われたということだ。

 




次は本当に遅れます。
八月の初めまで更新できないと思われます。
今回は色々詰め込んでおいたものなので、色々と批判があるかもしれませんが
感想、批評よろしくお願いします。
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