襲撃が終わった中の食事。楽しいはずの臨海学校は通夜のように静まり返っていた。
あれほど騒がしく、お喋りにあふれていた食事の時間は黙々と栄養と腹を満たすだけのものとなり、腕によりをかけて、作られた食事は砂のごとく無味乾燥なものだった。
ふと、二組の方を見ると、一つだけぽっかりと空席ができていた。そこには箸も茶碗も置かれていない。当然だった。来るはずのない客に料理が出されるわけなどないのだから。
他にも、教員の席だけが空いているのがいくつかあった。見ていると、何とも言えない気分になり、今自分が何を口にしているのかすら、わからなくなるほどだ。
誰かが涙ぐむような声が聞こえた。今の部屋の中ではよく聞こえた。
「癒子、私たちこれからどうなるの?」
さゆかが訊いてきたのに、私は簡潔に答えた。
「考えても仕方ないわよ」
それ以外の回答がなかった。専用機もない私たちでは、自衛の手段も誰かを助けることもできない。ISの大量生産が可能になるでもしないと、力は手に入らないだろう。はっきり言って何もできないのが私たちの現状だ。
傲慢ではあるが、もし私がセシリア達の代わりになれたら、などと考えたこともあった。
腕前では彼女たちに負けている私だけど、それでも、と思う。
自分で何かできる術があれば、何かを変えられたかもしれない。
たくあんを齧っていると戸があけられる音を聞いた。
現れたのは織班だった。今一番見たくない顔だった。
神楽と清香は早々に食事を切り上げて出ていった。挨拶されていたが、何も言わずに去っていく。ナギと理子は親の仇でも見るような目で睨み、静寐は視界に映らないように努力をしていた。ティナは朝から来ていないため、何をしているのかはわからないが、私たちはそれぞれが耐えていた。自分でも、殴りかからないだけ、偉い自分をほめたくなっていた。
食事を食べ終え、食道を出ていこうとしたとき、織班に腕をつかまれた。
「・・・・何?」
普段とは違い、冷たい声を出されたことに少し戸惑いつつも織班は聞いてきた。
「なあ、何かあったのか?」
私は頭の血管が切れる音を聞いたが、深呼吸を一回することで耐えてこたえた。
「・・・先生たちが死んだのよ。 あの事件でね」
「・・・えっ」
そこには殴りたい衝動に駆られるほどの呆けた面が展開された。そんなことは露ほども知らなかった、そんな顔をしていた。
「どういうことだよ?! 死傷者はいないって・・・」
「アンタが寝ている間に、色々あったのよ。 弾君だって言ってたでしょ? 」
そういうと、ぶつぶつと、否定するような言葉をつぶやき、駆け出していった。彼は何も知らなかった。知るべきはずの情報も聞かず、見ずに、私たちにご高説を垂れたというのか。確かに弾くんは直接的な言葉は使わなかったが、それを察することもしなかったのか。
ふざけるな。
私たちが支援しているときでさえ、苦しんだ。人殺しの手伝いでしかないのでは、と迷いながらも、していた私たちにとっても、命のやり取りをした彼らのことも侮辱したというのか。脳内の神経物質が駆け巡り、烈火のごとき怒りが噴出した。
私はその背中に向かって叫んだ。
「アンタのせいよ! 自己満足の人殺し野郎!」
面と向かって言えない自分を恨みつつも、そう言わずにはいられなかった。
波乱の臨海学校も終わりを見せて、残すところあと一日となった。
アタシはとある名簿をめくりながら、ため息をついた。それは出席簿ではない。そんな平和なものとは一線を画している。
その名簿とはいわゆる殉職者のリストだった。教員が6名死亡し、米軍兵士も4人死亡という結果が書かれたものだ。教員が殉職、笑えない冗談だ。彼女たちは軍隊でも警察でもない、ただ変わった学校の教師だったというだけだったはずだ。これだけでも大惨事だが、ここにさらに死亡者が全員ISを装備していたということを加えてやると事態はより大きなものへとなる。
実際、これらの犠牲のせいで機密にできるはずもなく、今回の一連の事件は臨海学校に来ている生徒に知れ渡ってしまった。
昨日までいた教師が今日はいない。何の用事でいなくなったかなど、調べていけば、おのずと答えにたどり着く。何より、不自然な発信を繰り返す専用機や意識不明で倒れた一夏を見れば、サルでも何が起きているかに気付く。
元々、機密にするというのが不可能だったのだ。
そのかいあって、浜辺には自由時間に泳ぐ生徒も一人も見えず、自主練をする者すら見えない。
皆が黙とうを捧げているようだった。この旅館はまるで、葬式のように静まり返り、廊下ですれ違う生徒たちには悲しみと恐怖を浮かべるものが大半だった。
目の前にあった緑茶を啜り、心を落ち着かせようと努力するが、さざ波が立つがごとく、心は一向に落ち着きをみせない。
「守れたのは生徒だけか・・」
一人愚痴るように言った。しかし、その言葉も完全ではない。結局、一部の生徒が戦場に出た資質には変わらない。その点はいつもと同じだった。そしてもう一つの問題が浮上した。防人としての話だ。防人たる自衛官として取捨選択に迫られれば、生徒たちを優先するのは当たり前とは言えるが、今回は許容しがたい被害だ。防人ならば、全員を守り抜くのが理想だが、現実はいつだって冷酷でアタシたちを踏みにじるのだ。
アタシは自分の非力さを再認識して、ため息をついた。
その時だった。誰かが扉を乱暴にあけて、どかどかと大きな足音を立てて入ってきたものがいた。
「入るのなら、ノックくらい・・・」
そう言い終える前にアタシは口を閉じた。
入ってきたのは山田先生だった。その顔から神妙なものが腹の内にあるのを物語っていた。
「山田先生でしたか、・・・どうかしました?」
なるべく、笑顔を作り、友好的な態度で接するように心がける。
数少ない友人は大事にしなくてはならないからだ。
「大場先生、お話があります。」
「どんな話でしょうか?」
「先生は織班君たちを助けるとき、漁船を見ましたか?」
アタシはその言葉の意味が分からなかった。漁船、何かの隠語では、とも思ったが、そんな言葉は生まれ故郷の片田舎でも、防衛大学校の教室でも教わったことはなかった。
その真意を知るために素直にアタシは答えた。
「何のことです? 漁船って・・」
「やはり、そうですか。」
山田先生が確信を得たかのような声を上げた。その顔は先生としての、おっとりとしたモノではなく、情報を操る、自衛隊と在日米軍との訓練で見た、相手の動きを察知することができた米軍の士官のように、冷静さと達成感が入り混じったものだった。
「実は、あの場に密漁船と思わしきものがあることを篠ノ之さんが言っていたんです。私もそれを肉眼でかくにんしました。しかし、ラファールのデータにはそんなものは無かったことになっていたんです。」
もたらされた情報は看過できないものだった。確かに戦闘中に篠ノ之が何やら喚いていたが、アタシは聞き取ることができなかった。そして、漁船などというものは確認していない。少なくともアタシのセンサーには反応しなかった。
そこに齟齬がある。見えていたはずの物が見えていない。そんな事は極めて不愉快な事実でしかない。
「・・・・・削除された形跡は?」
「ありません。 そもそも連続で戦闘をして、整備班の皆さんがいる中で消すことは不可能です。理由もありませんし・・」
私は脳裏に浮かんだ妄想のような推測を口にした。それ以外思いつくことがなかった。
「・・・・つまり、そいつがフライングダッチマンのような幽霊船でないとしたら、ISのセンサーにすら引っかからないステルスを持った船がうろ居ついていた、と?」
「そうなります。」
平常時ならばかばかしいの一言で終わった。しかし、今回は違う。妙に合点がいくことになってしまう。どこからか来たかわからない米軍のISに、福音二号機。教員の機体を虜にしたウィルスと思わしき、現象の数々。これらすべての点が一つに纏まるとしたら、それは暴走事件ではなく、人為的な実験になる。
だが、これは推測の域を出ないし、調べようにも客観的判断の材料となるデータが残っていないがために、調査は不可能だ。証言だけでは組織は動かない。それは法治国家における利点だが、この場合は短所となる。
奥歯を噛みしめ、力が入りすぎて、血が出てきた。鉄分を含んだ、嫌な匂いと味を舌で感じ取りながら、アタシは憤怒の感情を抱いた。
不可解なことだらけなことなかりだが、確かなことは何かが関与していたということと、
アタシの腹の底は今現在存在するどんな火山のマグマよりも煮えたぎっているということぐらいだった。禁煙と書かれた部屋で、煙草を吹かし、一服する。
灰皿がないのに気付き、手でまだ火のついた煙草を握りしめて消した。
熱さは感じなかった。
浜辺に座り込み、煙草を吸う。隣ではクロエが貝を興味深そうに観察し、裏返したり叩いてみたりと子供のように無邪気に遊んでいるように見える。知的好奇心というものが強い彼女にとって、自然のものと触れ合うことは至上の喜びなのかもしれない。
俺は彼女を見て、不安に駆られる。束との関わりもそうだが、今度こそ逃げずに向き合えるだろうか、と臆病なまでに震えている。また、いつぞやの自分のように逃げ出すのではないか、と。シャルロットの件を思い出していると、つくづく自分という男はどうしようもない屑だと再認識する。
目の前の海は青く、広大で自分という存在がこんなにも小さなものだと思う。
世界最悪のテロリストも地球の大自然の前と、置いてきた少女の前ではちっぽけなただの人でしかない。
後ろから砂を踏みしめる音が聞こえた。おそらくは束だろうと思い、振り返った。
しかし、予想は外れた。そこにはアメジストの瞳を持つ少女が立っていた。
髪の毛を縛らずに、立つ姿は彼女の母そっくりだった。そう認識するたびに後悔の念が湧き上がってきたが、俺は顔をそむけながら、訊いた。
「何の用で来た? お嬢さん」
シャルロットは答えた。
「人を殺すのって簡単なの?」
「唐突だな、何でそんなこと聞きたがる?君には縁のない話だろう」
思った通りのことを述べる。あの彼女のような優しい性格を引き継いでいるであろうこの娘に血とドブの匂いは無縁に思えた。瞳を見れば、俺には十分に判断できる。
人を殺すことで、アーモンドのようなとがった形になった少年や、それ以前から経験しているであろう男女とは違い、彼女の眼はまだその領域に達していない。
たとえ、父の会社を売り払ったとしても
「関係あるよ。ボクは福音をパイルバンカーで貫くとき、感じたんだ。やってしまった、て。 飛び散って来た返り血のような物を浴びたとき・・・怖かったんだ。これが生身の人ならって・・」
「だが、君は殺していない。それは確かなことだ。直接は手を下していない。」
「だからって・・」
食い下がるシャルロットに俺は振り返り、諭すように口を動かした。それは生まれてから三十年近く実践してきた俺の真実の一つでもある。
「スイッチを押すだけの作業は誰でもできる故に、その行為には何の感傷も起きない。
パソコンのマウスをクリックするだけで、誰かの人生をぶち壊せる時代だが、そうなったのは直接殺すのがいかに恐ろしい行為なのかってことだ。だが、一度慣れてしまえば、やがて快楽になる。 そんな世の理の中で、人型のモノを串刺しにして、罪悪感に浸れるなら、君はまだ正常だ。」
今の俺なら、同じことをしても何の感情もわかないだろう。生身の人間を相手にしても同じことだ。初めての殺人は12歳の時だった。学校に健気に通っているところを拉致され、変態だが、モツ抜きだかに売り飛ばされる寸前、神か、悪魔かが救いの手を差し伸べた。
拉致った連中の敵対組織が襲撃に来て、乱戦のさなか、俺は逃げ出した。その際俺をこっぴどく扱った男が、足を負傷して転がっていたのを見つけ、近くにあった酒便に布を突っ込み燃やして、モロトフカクテルをご馳走してやった。
最初から俺は尋常ではない悪ガキだったことを思い出しつつもシャルロットに俺の教訓を述べた。
「君はまだそっちにいるんだ。安心するといいさ・・そのまま行けば。素敵な女性になれるさ。」
「・・・・お母さんのような?」
皮肉とも取れた言葉にはわざと反応しないで、無言を貫いた。その言葉にはどう返していいか、全く分からなかった。肯定も否定も、どちらにせよ彼女を傷つけるように思えた。
「答えてくれてありがとう。 でも、やっぱり貴方はそういう人なんだね。ボクは認めないよ。お母さんが貴方を愛していたとしても、僕は・・・」
「いいさ、当然のことだ」
シャルロットは去っていた。砂を踏みしめる音だけが聞こえた。俺は再び、海を見た。
この広大な海は俺という社会のつまはじきものも受け入れてくれるだろうか、と疑問が浮かんだ。右手にそっと手が触れられた。次に左手にも手が添えられた。
束とクロエの二人だった。
俺は二人の手に触れながら、言った。
「・・・・すまない。」
二人は黙っていた。
仄暗い海の底で潜航する特殊潜水艦xssn-04「フィラデルフィア」の艦内で、私は自慢の金色の髪の毛を揺らしながら、目の前の部下たちに話を聞いていた。
歴戦の勇者のような豪胆さを持った彼らから聞く話は実に興味深かった。
「つまり、その赤毛の少年は短期間でそこまで成長したということ?」
「そうです。しかも、搭乗経験のない機体で初陣にて、この戦果。称賛に値しますよ。」
彼らの仕事は観察だった。特殊ホログラフィックによるカモフラージュで偽装された特殊艇に乗り込み、2キロと離れてない距離から福音に仕込んだモノを観察していた。
福音に仕込んだというより、正確に言えば仕向けたものだ。私たちが協力している連中に太平洋上で発見したゴーレムの残骸から作り上げた無人稼働のシステム。
連中は何をとち狂ったのか、それをほとんど調査せずに福音の中に入れてしまったのを聞き、今回の騒動を思いついた。一連の事件と、それに対処した哀れな戦女神の姿は滑稽であった。
それも面白かったが、もっと興味深いものが見つかった。それはまさに掘り出し物と言うにはあまりに魅力的なものだった。
赤毛の少年、名は五反田弾と言い、今の今までマークすらしていなかった。私の中では
あの姉弟がどう動くかが見ものだったからだ。無自覚な喜劇俳優ほど、見ていて飽きない。
しかし、時にはコメディではなく、本物の英雄譚を見たいと思うのも鑑賞人としての性だ。
それこそが彼だ。彼の戦闘中の葛藤、そして決断と行動。そのどれもが、私を満足させるものだった。負けても、尚立ち上がり、突き進むその姿はあの男の子とは違う、資質だ。
お気に入りの人間が増えたことに笑みを浮かべて私は近くを通りがかった諜報員に彼について調べることを指示して、目の前の実行者たちに言った。
「ご苦労様。休暇とボーナスは弾むわ。ゆっくり楽しんで」
「ありがとうございます。しかし、一ついいですかね?」
「何?」
「もう漁船の真似事はこりごりです。」
そのセリフに笑って了承しつつ、投げキッスをしてその苦労を労わった。当の本人たちは大喜びで、ハイタッチをしている。可愛い部下はいいものだと、つくづく思う。
艦内を歩き、私室に入ると端末に着信が来ていたので、繋げると、そこには米IS委員会長官が女でありながら脂ぎった脂肪を十分に乗せた体をゆすりながら、顔から湯気を出して醜く吠えている姿が画面に映った。
「貴女、どういうつもり?! 話が違うじゃない!」
「はて、何のお話か、私には・・・・」
たっぷりと余裕を込めて答えると、長官はなおもスピッツのようにキャンキャンと吼える。
見かけはファンタジーで出てくるオークのような外見で可愛らしさもないが。
「とぼけないで! あなたが発見したプログラムのおかげでISが五機破損! 搭乗者も七名死亡すると大失態だわ! この責任を・・・」
セリフの途中で申し訳なかったが、私はオークの叫び声を聞き続けるほど、我慢強いほうではない。もっとも、彼女のような外見では、たとえ天使の歌声のように話されても聞く気など起きないだろう。
「責任と言われましても、困りますわねぇ。私共は発掘品を提示した身でしかなく、
貴方に強制したものではありませんわ。それは貴方の権力への干渉でもありますから。
言い値で買うといわれた以上、売っただけのことですわ。」
この女の腹など透き通って見えて仕方ないものだ。責任を誰かに押し付けなくては明日からの生活に支障がきたす。私服を肥やすためのドル札の量も大幅に減らされることだろう。
そうなれば、無能な彼女に政界を生き残る術は完全になくなる。
それは長官にとって何より恐ろしいことだった。
「それに米国は民主主義国家。貴方の決定権を妨げるようなことなど、私にはとても、とても・・・」
それらを知ったうえで挑発する。次に女がどのような発言をするかを見るために。
「お黙り! 誰のおかげで貴女のような化け物どもが生きていられると思っているの!
後でどんな目に会うか・・・」
彼女の発言は思った通りのものだった。予想通り過ぎて笑いの一つも起きなかった。
画面のスピーカーから扉が開く音が聞こえた。台車を押してくる音が続き、若い女性の声が入った。
「頼まれたお茶をお持ちしました。」
長官はヒステリックに若い女中に叫んだ。この女は女尊断碑の世の中で、自分より若く美しい女性を苛め抜くのが趣味の大変小さい器の持ち主だったことは有名だった。見かけのコンプレックスから来ているのは誰が見ても明らかと言えた。
「出ていきなさい! 今は電話中よ、そんなことも・・」
「そう言わずにハーブティーでも飲んで落ち着いては?」
私がお茶を飲むように勧める。
さらに顔を赤くした長官が反論しようとしたとき、女中の手からサプレッサー付きのマカロフが現れ、長官の側頭部を撃ち抜いた。命が散るにはあまりに軽い音がして、長官は物言わぬ死体となった。
女中が疲れたようにため息をつき、エプロンを放り投げ、先ほどとは違い粗野な口調になった。
「一か月分のお返しだ。もっと痛めつけられねぇのが残念だよ。」
静かに笑いながら、さらに胴体に次々と銃弾を浴びせて、1マガジン分を全て醜く肥え太った巨体に叩き込んだ。そのたびに巨体が揺れて、脂肪がぶるぶると震えた。
脂肪が厚い分、変に生きられる可能性を考えたうえでの行動でもあった。
「お疲れ様、オータム。悪かったわ、無理を言ってしまって」
「気にするなよ。 仕事も仕事だし、約束の褒美はあるよな?」
子供の用に目を輝かせているオータムはあどけない少女のように澄んだ瞳をする。
私の組織では一、二を争うほどの腕前だが、こういった面を持っている。それが私が彼女を一番信用する点でもあるし、私を愛してくれる彼女ほど可愛く、素敵な点でもある。
「帰ってきたらしてあげるわ。ベッドを温めてね。」
「そうか! それなら急いでとんずらしないとな! またなスコール」
通信が切れ、私室に暗闇が戻る。人によっては、先ほどのスコールを見れば盛りのついた雌猫としか言わないだろう。だが、その実態は最高の戦闘員だ。技術や、忠誠心においてこれ以上ない人間だ。この艦内における人間は一癖も二癖もあるが皆が一流のエンターテイナーと言える。
最高の人材に、それにふさわしい最高の世界、そして驚くべきアドリブを利かせてくれる者たち。世界は私を中心に回っているといれるほどできすぎていた。
「あとは貴方たちよ・・・ウサギさん、スレート」
追いかけている二人の名を口にし、ビロード張りのベッドに横たわった。
福音編終了です。
振り返れば、十話近く続けていていました。
お次は、シリアスと初のコメディに挑戦の「夏休み編」です。
ぜひお楽しみを
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