ラプターとイーグル。二つの猛禽類の名を冠された機体が閉鎖されたドーム内で飛び交う。
いつか、戦ってみたいと願った相手との闘いが開始されて、二つの機体は互いに好みの距離に相手を置こうとする。イーグルは圧倒的な火力で粉砕しようと距離を取り、俺のラプターが距離を詰めにかかる。
イーグルの二丁の機関砲が火を噴く。通常のIS学園での試合と違い、ここでは火器にかかる制限は存在しないため、毎分1500発の凄まじい連射力に引き上げられている。
猛然と襲い掛かる鉛の暴風雨を地面スレスレに匍匐飛行し、左、右と直角に曲がり、一瞬足を地面に踏みしめて、跳躍。グレイイーグルより高い高度を取り、パルスライフルを連射していく、簡易なスコープのレティクルに合わせていくが、グレイイーグルは動かない砲台とは訳が違う。
姿勢制御スラスターで振り子のように動き、通常のライフルより高速の特殊ライフル弾を回避する。最後の一発を回避しきれなかったが、ヴィンセントは腕部で、飛来してくるライフル弾に斜めに構えてうまくはじいた。装甲にへこみができるものの、戦闘行為に支障は起きないレベルだ。
一方こちらは、回避行動と軽機関銃の代わりに入れたラファールのシールドで弾幕をやり過ごしているにすぎない。
ラプターの装甲は決して薄くはないが、イーグルほどは厚くはない。
機体を知り尽くしている点ではヴィンセントに圧倒的優位があるのは明白だ。
だが、俺とてラプターを知らないわけではない。
Xウィングスラスターに火を入れて、加速する。手に誘導グレネードを呼び出して、投擲し、さらに背部ミサイルで追い打ちをかけていく。
だが、狙いはイーグルではない。
ミサイルの軌道に異変を感じたのか、ヴィンセントは迎撃に少し躊躇を見せて、カメラの防護シャッターを閉じた。
ミサイルがイーグル前で閃光を放ち、グレネードが付近の地面に着弾して土煙を上げる。
元より当てる気などないのだ相手の視界をほんの少しゼロにしてさえすればいい。
人為的に作った煙幕の中にレーザーソードを右手に、突貫する。
イーグルの後方に着地し、スピンしてイーグルの影に向かって瞬時加速で距離を詰めて、エネルギーで形成された刀で振りぬいた。
その手ごたえに俺は異変を感じた。切り裂いたのは金属ではなくゴムや布でできたバルーンだった。
右方向にコッキングする音が聞こえた。そこには、ショットシェルとグレネードシェルが入ったショットガンを構えたイーグルが映った。
ゾクリ、と背筋に悪寒が走るのを知覚する前に盾を構えた。
そして散弾が近距離で放たれて、盾を穴あきチーズへと変えていく。容赦なく散弾をバラ撒いていく。通常なら、デッドエンドの所をラプターの軽快な機動力でイーグルの周りを飛ぶ。旋回能力等で劣るイーグルに対して、小回りを生かすことで射線に入りにくく動くことで回避していく。
業を煮やしたイーグルが飛びあがった。地面から足を離して彼がとったのは驚くべき行動だった。散弾入りを仕舞い、さっきのような機関砲を出すと、グレネードシェルの入ったショットガンを明後日の砲口へと撃ち始めた。
その反動で、イーグルの旋回が早くなった。彼は反動をスラスターの足しにしてみせたのだ。機関砲が段々と俺を捉えてくる。胴体や、脚部に曳光弾が掠めて、その衝撃が伝わる。
あの弾幕の前ではラプターのシールドなど紙風船でしかない。
舌打ちをしながら、リロードを終えたパルスライフルを不安定な姿勢のまま撃ちこんでいく。追うものと追われるものの。両者の撃ち合いは終わりを知らないかのように見える。
だが、転機は訪れた。パルスライフルの弾丸が偶然、機関砲の給弾ベルトを貫いたのだ。
弾丸が切れて、弾幕が途切れたのを好機とみて、残ったライフルの二発を適当に撃ち、再、レーザーソードを構え、突貫する。苦し紛れか、イーグルはミニバルカンを展開し、
7.62mm弾で俺を撃つ。
ソードの間合いまであと一歩というところで、右足を軸にして回転を掛けた瞬時加速をして、イーグルの後方を取ると同時に間合いにとらえる。
――――獲った!
確信に近い思いだったが、イーグルは何と前方に向かって宙返りをして、さかさまの状態で向き合った。旋回することなく相対し機関砲を投げつける。
投げられた機関砲を両断すると、ミサイルハッチをオープンしたイーグルが視界に入った。
ミサイルが発射されて、ラプターに着弾する。同時にラプターのレーザーソードが装甲を貫いた。お互いに相当なダメージを負い、吹き飛ばされる。だが、無様に転げまわることはない。ヴィンセントも、俺にもだが、男は見栄を張るものだ。俺としては成果を見せつけることに執着し、ヴィンセントは先駆者としての意地を見せつける。
これが俺の臨んだ戦闘だ。頭が熱くなるのを感じながらも、冷静に判断する必要に迫られて、自分の限界を見定める、熱い感情。実戦では感じる暇がないが、今の俺はそれを感じることができる。訓練でも熱くなりすぎるな、と思いつつも、この感覚は俺をハイな状態にしていく。
イーグルは地面に着地し、俺は空中で制動を掛けて、停止する。
シールドエネルギーや稼働に必要なエネルギーは残っている。
イーグルがカメラアイを発光させる。雌雄を決するためにヴィンセントは右手にマチェットをコールし、左腕をこちらからは影になるように構える。
コチラに射撃兵装がないのに気付いているがためだろう。
これは手袋を投げつけられたも同然だ。ポーカーで例えるなら相手のベットに俺はコールを表明することにした。
理屈抜きの男の対決だ。
俺は予測されているにもかかわらず、レーザーソードとヒートナイフを手に持つ。ヒートナイフはヒート状態にせず、本命はあくまでレーザーソードだ。
甲高くウィングスラスターを鳴り響かせて、ドン、とため込んだエネルギーを推進力に使う。
最初に動いたのはグレイイーグルだ。マチェットの大振りして、横に薙ぐ。叩き斬るのが主なマチェットなら、それが普通だ。
ナイフで大きな刃を受け止めずに流し、最小限の大きさにしたレーザーナイフを突き立てに行く。
そこで、イーグルが動きを見せた。死角となって見えなかった左腕に大型のリボルバーが握られているのを見た。俺はレーザーソードで、奴のマニュピレータごとリボルバーを溶断した。
「悪いね」
その時、ヴィンセントのささやき声が聞こえた。
右手に握った何かを胴体につけられて、象のような足で蹴り飛ばされた。
これで、奴のトリックにまんまと引っかかったことに気付いた。
手品と同じで、何かに集中させて、そのスキにタネを仕掛けるたぐいのものだ。
貼り付けられた物体が手りゅう弾を二、三個まとめた収束手りゅう弾と知ったときには体が動いていた。
「ヴィンセントぉ!!」
ヒートナイフを最大出力にして、イーグルめがけて投げつけ、手りゅう弾が爆発。
終了のブザーが鳴った。俺の敗北だった。
黒く煤だらけになったラプターのカメラが俺の最後のあがきの結果を映し出し。俺は一応の満足感を得ていた。
そのことが相手のヴィンセントが勝ち誇らせない要因となっていた。
「君は大した奴だよ、全く・・・」
イーグルの足元にオイルが滴った。その理由は誰が見ても明らかだった。
グレイイーグルの装甲の裂け目にヒートナイフが刺さっていた。もし、起爆のタイミングがあと半コンマでも遅ければ、俺の勝ちだったかもしれない。
だが、フォールしなかった分の見返りはあった。
モニター室に入ると頭にタオルをかけたヴィンセントがいた。スプライトをラッパ飲みして、こちらに気付くと、缶を投げ渡してきた。
俺はニコリと笑って礼をして、缶のふたを開けた。
モニターの向こうではアカネのハヤブサとユーリのマーダーが模擬戦をしている。
どちらも、相手の得意分野が苦手な分野だからか、見ていて面白い。
DMR9の正確な射撃で、押さえつけてくるアカネは高機動性を生かして、空戦に固執する。
対するユーリは自慢の隠密性を生かし、バルーンとセンサージャックでアカネの弾切れを狙って、付け入るスキをうかがっている。ただでさえ、センサーに反応しにくいマーダーの常識を覆すバッタのような回避行動に歯噛みしているアカネと、パワーと火力の無さと敵対するアカネの瞬きする暇も与えない射撃に舌打ちするユーリ。相反する二人の戦いはヒートアップを見せていく。
「相変わらず凄いな。目が回りそうだ」
「君もやるじゃないか。ラプターに乗って目を回さないんだから。」
モニターを見ながら、お互いの戦い方について聞いていく。訓練だからできる芸当だ。
機体や操縦の癖、その他語れるところは多い。これらを語ることで互いの技術を向上させていこうというものだ。
「君のラプターの動きはいいと思うが、今回は軽機関銃がないだけ、戦闘の幅が狭まったんじゃないか。あと、パルスライフルはもっと大切に使った方がいい。僕はそう思うね。」
「なるほどな・・・戦略の幅ならイーグルにカービンの一つでもあった方が良くないか?
武器が偏りすぎに思える。それに旋回速度だな。さすがに遅い。」
ヴィンセントが顎を撫でて、考え込む。あの弱点は以前からあったものだ。前に癒子との試合でも、後ろに着かれることがあった。得意のスピンも武器の重さや反動、スラスターの吹かしに工夫をこしらえた業だ。少しくらいの改良があってはと提案した。
「スラスターを増やすと、装甲の一部を削らなきゃならないからね。あれでイーグルは詰め込みまくったんだから、難しいのさ。」
両手を上げて、お手上げと大げさに体で表現した。
装甲の厚さに拘るのはわからないでもないため、俺は頷くだけだった。
こればっかりはマイクのような技術屋の仕事だ。俺達だけで話すのは無理がある。
そこで話題を変えることにした。
「それとヴィンセント。手品のいくつかを教えてくれないか?」
「いいけど、あれらは一対一にしか使えないぞ。」
「なに、相手が四人なら、一対一を四回すればいいさ。その状況を作り出すのがおまえだろリーダー。」
「当然。僕に全て任せてくれればいい」
肩を叩いて、お互いに不敵な笑みを浮かべる。信頼というものは得難い財産というが全くそう思う。
その時、ブザーが鳴った。モニターを見ると、アカネが旧型のボルトアクション式のパルスライフルをゼロ距離でマーダーにヒットさせ、勝利していた。
ハヤブサは裂傷を体中に受けており、左足の関節にはダガーナイフがきれいにはまっていた。そして、商社のはずのアカネは息を切らせて余韻に浸る余裕はなかった。
なぜなら首元にヒートナイフが添えられていたからだ。
対するマーダーは被弾が三発のみに抑えられている驚異的な回避率を見せたが、最後の最後で、パルスライフルの直撃を受けて敗北した。
「・・・人外だな、もう」
「仕方ない。あの二人はキリングマシーンの完成形だからな」
「アカネのこと悪く言うなよ。」
大きなため息を一つ吐き出してヴィンセントが目元を押さえていった。
「君、ホント大好きだな・・・・」
その後、帰って来たアカネにつねられたのは当然の報いと言えた。
足腰に力が入らず、ベッドに泥のように寝ようとした時だった。ふと、携帯が光っていたのを見つけた。俺が手に取った時には消えており、メールか、メッセージだろうと思い、携帯を見ると、着信履歴アリと書かれていた。
誰からだろう、と思い見てみると、そこには懐かしくもあるが、見たくない名前が書かれていた。
五反田蘭、わが妹の名前が書かれたそれは俺の目を覚ますには十分だった。
一体何の用だというのだろう。しかも、こちらが真夜中だということを知っての電話だろうか。それは置いておくにしても、今更何の話をしようと言うのだ。
俺がRインダストリーに契約した時以降は何の連絡もしなかったような連中が俺に今になって関心でも持ったのか。
それとも、給料の額でも聞きに来たのか。俺は携帯の画面を見ながら思った。
このまま、無視すべきなのか。あえて電話して二ダース分の罵倒をしてやった方がいいのかと迷った。
しかし、結局俺は無視を選んだ。大量の訓練で疲れていた俺に罵倒の言葉を生み出すほどの体力もなかったため、眠りにつくことにした。明日の訓練もキツイのだから、体力回復に努めなくてはならない。
ベッドに寝転がり天井を見上げるとなぜだが、物思いにふけってしまった。思えば、俺も薄情になったものだ。わずか、半年で親兄弟に対する情もなくなったようだ。確かに、情を失くされたようなものだったが、それでもこんなにも愛情とかが消えうせるとは思わなかった。唐突にシンデレラを思い出した。シンデレラは俺の知ってる限り、家族に対する扱いが二つあった。一つは王子様と結婚する際にお父様も一緒に暮らして皆、幸せになりましたとさ、と終るもの。もう一つは自分を再婚相手の娘のいじめから守ってくれなかったのを理由に見捨てて、自殺にまで追い込んだというものだった。
俺は後者について、最初はあり得ないと思っていったが、今のように、すっかり家族愛と言うものが消えうせた自分を見るとリアルティな話だったかもしれない。
目の前で、死にかかっていても、ひょっとしたら見捨てるなりしてしまうのだろうか。
横目で、眠っているメンバーを見る。今の俺にとって彼らこそが拠り所だ。
だから、俺はついていこうと思えるのだ。
夢はどうせなら大勢で目指したい。今でも俺の夢は小さなものだが、彼らといられるなら、それで満足だ。
明日の訓練メニューは何だろうか、と想像しながら。俺は意識をすうと眠りにつけていった。
偶々、オフィスに残っていた私は肩を叩きながら、書類をまとめていた。
デジタル媒体が多い古今だが、Rインダストリーには私のように機械に疎い老人も少なく、未だに紙のような媒体に頼ることが多い。
さらに、今取り扱っている仕事は古いもので、まだデジタルなどなかった頃のモノだった。
ピースたちには直接かかわらないにせよ、重要な案件のため、こうして夜遅くまで仕事を
していた。
帰宅しようと思い、帽子をかぶり、スーツに上着に手を掛けたとき、電話が鳴り出した。
こんな時間に非常識な、と軽く不機嫌になったが、非常に迷惑な話だがアルフレッドのような仕事とベンジャミン・フランクリンが恋人のような人間がこの会社には多い。
鼻で一つ息を吐いて意を決して電話に出た。
「はい、ロイ・バッカスですが・・・」
いつものように愛想よい英語で話すと、受話器の向こうから日本語で戸惑いを見せる声が聞こえたので、即座に日本語に切り替えた。
「日本語でも大丈夫ですよ。何かご用でしょうか?」
そういうと安堵の声を向うが上げた。その声は微かに私の記憶の中で訊いたことのあるものだった。それが中々思い出せず、自分の歳を呪っていると向う側が名乗った。
「あの、五反田ですけども・・・」
それを聞いて、ようやく思い出した。弾のご家族の者だ。しかも、声からして母親のモノだとようやく思い出し、感嘆の声を上げて話す。
「ああ、弾のお母様ですね。ちょうどよかった。弾君は実に優秀でして、あなたに一言礼を言おうと思っていたところなんですよ」
弾の活躍は真実だが、親に話そうと思ったというのは嘘だった、社交辞令の一種として一言添えただけに過ぎなかったが、それがどういうわけか、相手の不興を買ったらしい。
「ふざけているのですか?」
凄まじい剣幕で、何にでも噛みつく野良犬のようにキャンキャンと吠え立ててくる
「何のことでしょうか? 話が見えないのですが・・・」
「弾のことです! 人様を殺したとはどういうことですか?!」
話を聞いてみると、彼女は例の福音戦のことを言っているのだな、目星をつけた。
その情報は彼らピースメンバーの報告書に確かにあった。暴走している機体を止めるためにやむをえず、というのも把握していた。しかし、どこから、彼女は知りえたのだろうか。
あれは一応、建て前としては極秘作戦だったはずだ。誰かが、漏らしたなと推測し手を頭に回す。
面倒なことをしたものがいたな、と思う。知らなくていいことなど世には多くある。黙っていれば、皆幸せだったろうに
受話器で大声で叫び続ける奥様に落ち着くように言って私は話した。
「貴女がどこでそんな話を聞いたかは知りませんが、そのような事実はなく、当社でも存在しません。何かの間違いでは?」
「・・・いいえ、そんなことありません。 あなた方は信用に置けません!弾には会社を抜けてもらいます。」
「それはご無理な話です。」
「どうして?!」
ヒステリックに話すご婦人に私はゆっくりとご契約内容を伝えていく。本来なら、ご自分で確認してほしいところだが、この際面倒だった。
「契約書に書いてありましたように、入社した後は全て貴方のご子息自身にのみ、その資格が認められるとなっております。本人がYesと言わない限り、不可能です」
「そんなバカな話があるわけないでしょう?! 私たちは弾の保護者で・・・」
聞こえてくるのは綺麗ごとばかりだ。聞けば子を思う親で美しいかもしれない。最もその息子に対する扱いを見た後では何の感慨も浮かばないが。
そして、結局は自分たちが人殺しの親と言われるのが怖いのだと分かると私には彼らに対して黒い感情しか生まれなかった。
「いい加減にしていただけないかね?」
眠気もさることながら、妄言を聞いてやるほど、私の心は寛容ではなく多少ドスを利かせた声で応対する。お客様なら歓迎だが、そうでもないクレーマー以下の人間の話など聞く価値はない。まして、私の嫌うタイプならなおさらだ。
「保護者ですか。なるほど、妹さんの学費と店のリフォーム代で彼を売ったあなた方なら、さぞ立派な親なのでしょう。まさか、息子の将来を決める契約書の一ページもロクに読まないような親とは誰も思わないでしょうよ。」
受話器の向こうで動揺するような声が帰ってくる。心外な、と反論さえしてきた。
それにも構わず、私は彼らに事実を突きつける
「貴女方ははした金欲しさに息子を売った。そして今度は体面の問題で返せとすら言う。札束を数える前に恥を知ったらどうです?
ご安心を。私たちは情報のセキュリテイには自信がありますので、漏れる心配など不要です。無論、貴方がたが大人しいことが前提ですがね。では、失礼!」
乱暴に電話を切り、電源を抜いた。今日はもう聞きたくない。
アメリカでも補助金目当てで、子供を利用するのは絶えないが、日本でもそれは変わらない。息子を一千万程度の値段で売りつける親など見るに堪えないし、軽蔑する対象と言うレベルをはるかに超えた社会の汚物だ。
不愉快きわまる。一刻も早く、この社会を変えなければ、彼のような存在が増える一方だ。いや彼だけでない、アカネやヴィンセントも被害者なのだ。こんな不幸な子供ばかりが増えたISのある社会に何の価値があるというのだろうか。
これが大人のすることか。
そのように、怒りを露わにしていると、ふと棚に飾ってあったラファールの模型が目に入った。
「迷惑なのだ。お前たちは」
私はそれをゴミ箱に投げ捨てた。模型のラファールはあっさりと壊れてバラバラになった。
それを一瞥して電話を掛けた。
「私だ。志願者を明日の訓練に参加させろ」
彼らに見せなくてはならない、戦う大人は少なくないことを。
一日目を乗り越え、二日目を乗り越える最後の「共食い」の訓練の時間となった。
アリーナで待機するよう命じられて、早二十分。対戦相手が中々、出てこないことに不審に思っていると。
ブザーが鳴り、カタパルトから、機体が現れた。その相手を見て俺に緊張感と高揚感が同時に体内を駆け巡った。
相手は二機。しかも、見たことのない機体だ。基本はグレイイーグルに似たデザインだが、
全体的にスマートで、脚部のスラスターの形状などからハヤブサの系統も組んでいることが明白だった。モスグリーンの機体カラ―だが、頭頂部は白い。
ラプターのHMDに情報が来た。
機体名バルドイーグル。スペックはアカネたち三機の機体の良いところどり、兼個性を薄めたものだ。それが二機目の前に対峙する。
そして、搭乗者からプライベートチャンネルで通信が来た。
回線を開くと、それは海岸で俺を拾ったあの二人だった。
「よお、少年。」
「メロウさんに、ギャンブルさん。アンタたちがどうして?」
二人は含み笑いをして、答えた。
「ジョブチェンジだよ。これに乗れって言われてな」
「俺たちは初心者でね。お手柔らかにな」
そう言ってG3ライフルに似た突撃銃を展開する。その構えには一切の無駄はない。
白兵戦がダイレクトに影響すると言われているピースだが、それがどこまでなのか。
俺はパルスライフルを構えて、二機をにらみつける。
そして、ブザーが鳴った。
ひたすらに訓練な話と家族事情を少々書いてみました。
セリフ回しがもっとかっこよくできたらと思うこのごろです。
映画のパルプフィクションやスティングのようにできたらな、と思います。
感想、批評等 お待ちしております