IS to family   作:ハナのTV

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コメディですが、面白さにあまり自信がないのでお手柔らかに・・・


the players

「別荘?」

 

俺はヴィンセントにその言葉の意味を聞く。クーラーが効いて快適な空間となった社宅で宅配のピザをむさぼりつつ、俺たちはこれからどうするかを考えていた。

そこで、ヴィンセントが提案してきたのだ。

 

「そう、この僕の城さ。 給料の半分を費やしてきた夢の王国。そこらのホテルよりはいい物がそろっている。社宅より、広いしどうだい?」

「相変わらずスゲーな。 でも、いいな。 アカネ、お前は?」

 

そう聞くとアカネが青い顔で答えた。少し、怯えが混じっている。

 

「えっ・・・・・いや、その・・・・ヴィンセントの所ですよね?」

 

そのリアクションが怪しげなものであることは誰の目にも明らかだった。例えるなら、一組のクラスで見る、セシリア嬢が料理を作ってきたと言われた時の一夏。つまり何らかの経験に基づく恐怖だ。

 

「あの・・ヴィンセント、大丈夫なんですか?」

 

恐る恐る、と冷汗すら書いて聞くアカネにヴィンセントは答える。

 

「大丈夫だよ。最近の僕は大人しくしてたし、以前の用にはならないさ」

「おい、以前って?」

 

俺はその疑問をヴィンセントにぶつけるが、彼は笑ってごまかす。話す気は完全にないらしい。 

 

「なあ、アカネ・・」

「私はもう嫌ですからねっ、あんな目に会うなんて」

「あんな目?」

 

あんな目、またしても、身内だけにしかわからない単語で話す彼女。一体何があったというのだろう。

ふと、横で同じくヴィンセントの家に招待されたユーリがいそいそと準備している。トランクに詰め込んでいるのは衣類と軍用のガスマスクだ。その装備が一体何を意味しているのか、俺にはわからない。

 

「なあ、ユーリ・・」

「ただの準備だ」

「あんな目って・・?」

「念のためだ。」

「話聞けよ」

 

全く取り合おうとしないユーリに若干のいらだちを覚える。同時に嫌な悪寒がする。この流れは限りなくまずいものだ。事情が聞けない以上、何がどうマズイのかわからないが、マズイのは確かだ。どうにかして、退避すべきだと本能が告げている。

 

――――逃げねば!

 

そう思い口を開きかけたとき、ヴィンセントがニヤリと笑って、ある言葉を口にした。

 

「昔のアカネの写真あるよ。」

 

ぴらりと一枚、三年前の写真を見せてくれた。まだ、顔に幼さがあるものの、今と違いおさげ髪でこれはこれはでアリだ。

 

―――行かねば

 

思わず、即断した。

 

 

 

 

 

 

 

アラモアパート三号館という、アメリカ人として、そのネーミングはいかがなものかと、思うようなアパートにやって来た。内装は綺麗で、清掃も行き届いた。いいアパートだと思うが、先頭を歩くヴィンセントを見るやいなや、近隣の住人が集まって来て、ユーリにこれから何をするのか? と必死の形相で聞いてきた。ユーリがそれに答えると、雲のこと散らしたかのように、逃げていった。

ある者は他人を足蹴にしてまで、ある者は防護服を持ち出して、小さな子供すら状況を正しく読み取って逃げている。

さっきは写真の件で乗ってしまったが、今更になって後悔しだしてきた。

 

「なあ、ヴィンセントの家には何があるんだ?」

 

アカネの腕をつかめて問い詰める。

 

「・・・・な、何を言ってるんです?」

 

まるわかりな作り笑いを浮かべているアカネ。俺はそれに脅し口調で多少自分の言葉にスパイスを加えて、問い詰める。

 

「答えるんだアカネ。 俺の目を見て」

 

両手を上げて、万歳のように手を挙げたアカネは観念したのか、自分が隠していたことを自供すると思いきや、関係のないことを突然語りだした。

 

「・・・・弾、日本のコントにはお約束がありますよね? 金ダライとか「ちょっとだけよ、アンタも好きねぇ」とか」

 

ああ、と俺は真剣な表情でそれに相槌を打つ。アカネはそれを見て自身の言葉を続ける。

 

「つまり、絶対に起こりうることですね。だからお約束という。私はこれが好きなんです。日本のいいところで、時代劇でも刑事ドラマでも使われますから。

私はそんなのフィクションだけだと思っていたんですけど」

「前置きはいいから、早く結論を教えてくれ、何なんだよ?」

 

せかして聞くと、先行するヴィンセントとユーリが目的の扉の前に着いたらしく、ヴィンセントがチャリチャリと鍵を回して音を立てているのが聞こえる。

アカネはそれを遠い目で見て、ため息を一つ吐いて結論を述べた。

 

「ヴィンセントの家には何でもあります。家庭用映写機、サウンドスピーカー、バーカウンターに、何でもあります・・・・それが例え・・」

 

「ご照覧あれ!」

 

ヴィンセントが扉を開けた瞬間に、機体の訓練でよく聞く金属の部品がはじけ飛ぶ音を聞いた。

 

「伏せろ!」

 

ユーリが叫び、ヴィンセントをつかんで階段に飛び込んで来た。アカネが俺に多い被るようにして、かばった。

続いてきたのは轟音だった。聞こえた音はやはり、手りゅう弾の様なピンのはじけ飛ぶ音だった。耳が切なく鳴り響き、頭が回る。

その鼓膜が正常に戻ると、アカネが言葉を付け足した。

 

「たとえ、爆弾だろうと、何でもあるんですよ」

「そういうのは、最初に言っとけ!それと、胸当たってるって!」

 

躊躇なく、飛びかかって来たアカネが俺にのしかかる状態となった。悪い気分ではないが、

このままの状態も考え物だ。

 

「何を今更、初めて触ったことない訳じゃないでしょう? ・・・とにかくヴィンセントの家は本当に何でもあるんですよ」

 

そんな常識外れのことを言い出すアカネに俺は言った。

 

「爆弾なんて、誰が・・・」

 

その時、ヴィンセントの部屋だった場所から軍歌やマーチのような勇ましくもやかましい音楽が流れだした。コーラスが流れて、女性を賛美し男性をこき下ろすような歌詞が流れる悪趣味極まりないものだった。

 

「主はきませり~、主はきませり~ 母なる我らのために~ 青き豊かなる~ 母星の元で~ 我ら、聖母たる 姫騎士が~ 世を正す剣とならん~ 欲に満ちた獣から~・・・・」

 

歌詞を聞いてため息を吐いた。つまるところ、獣がヴィンセントで、剣が爆弾というわけだ。しかし、残念なことに吹き飛んだのは獣の住処のみだ。もっとも住処のヌシには大ダメージなのは変わらない。

 

「■■■で、▲▲▲▲な穴に ○○をしている けだものに 清らかな乙女の一撃を~」 

 

「ひどい歌詞だ。」

「主もご迷惑ですよね」

 

歌が終わると、続いてやってきたのはいかにも、高圧的でトーンの高い女性の声が聞こえてきた。躾のなっていないスピッツ犬のようにキャンキャンと吠えているようだ。

それを聞いてか、ヴィンセントは立ち上がって、部屋?の中に? 入って雑音喚き散らすラジオの前に立った。

 

「ヴィンセント・ロック! 優良種たる女を惑わし、金銭にまみれた汚い貴様に・・・」

 

一発の銃声が響き渡り、ラジオは物言わぬ残骸に成り果てた。その後に言葉にするのもはばかれる罵声の嵐が一通り吐き出されて、思わず耳をふさぐ。

すると、隣から小太りのシャツとステテコの親父が出てきた。

 

「うるさいぞ、小僧!」

 

右フックが炸裂し、ヴィンセントは宙を二、三回ほど回って地面に落ちた。

完ぺきに気絶してしまい、ピクリとも動かない。

どうも、彼の顔は良く殴られる運命にあるらしい。

 

そんな友人に同情する一方で、ユーリとアカネはヴィンセントの体から、財布を抜き取って相談しだした。

 

「桃源郷の部屋に泊まるぞ。部屋は皇宮でいいな?」

「ええ、それでいいと思いますよ。ついでに工務の人も呼んでおきましょう。」

「大家には何と?」

「雷おこしを土産に持ってけば・・」

 

白目向いて倒れているヴィンセントを脇に彼らは今後のことをてきぱきと決めていく。

そこに俺は待ったをかけることにした。

 

「ちょっと、いいのか?こんなことで」

「いいんです。」

「いつものことだ。」

 

どうってことはない、と彼ら二人の目は言っていた。寝言で家具の額をつぶやいて被害総額を計算しているヴィンセントに俺は一人祈ってあげることにした。

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ、桃源郷へ。いやあ お待ちしておりました。今年はまさか来ないものだと

思っていたところでした。」

 

ニコニコと笑う支配人にフロントの男性二人が満面の笑みで俺たちに対応している。

この場にヴィンセントがいれば罵倒していたかもしれない。

 

「来るって言ったろ?」

「マジかよ、今年は来ないだろと思ってたのに・・・何やってたんだよ、坊ちゃんは」

「あとで、50ドルな」

 

後ろの二人はヴィンセントのアジトが吹き飛ぶかどうか賭けていたらしく、二人でつつきあったりしている。勝った側など吹き飛ばされた家主を褒め称えているほどで今日の酒代が稼げたのを心底喜んでいる。 ヴィンセントが彼らを見れば、MGで薙ぎ払っていたかもしれない。

 

「で、お部屋の方ですが、勿論・・?」

「最高級のスイート、皇宮でお願いします」

「ですよね~。 今ならサービスでシャンパンもお付けしますが?」

 

指を鳴らして、小躍りしながら支配人は提案するが、アカネは断った。

 

――― 人の家が吹き飛んだことを祝えというのか、この支配人は

 

 

「おい、今日はシャンパンまであるぞ。」

「やったな。おこぼれゲットだぜ」

 

後ろの ぼんくらフロント係は祝う気満々らしい。ハイタッチをしてイエイと笑いあっている。さらに言うと腕を組んで踊っている。あとでヴィンセントに告げ口して吹き飛ばしてやろうか、と どす黒い感情にとらわれかかる。

 

「宿泊期間は?」

「一週間だ」

ユーリが答えると、支配人がガッツポーズをしてフロントの二人がクラッカーを鳴らした。

これで、この都市最高のホテルの職員だから恐れ入る。

 

「エクセレント! 当ホテル一同あなた方を歓迎します! ごゆっくり!」

「あとで、ケーキのサービスも着けますね!」

「新築・・・いえ、リフォーム祝いです!」

 

シンバルが鳴らされて、フロアの職員全員がお祝いの言葉と素敵な笑顔を振りまいてくる。

ドアマン、リネン係 シェフに、ありとあらゆるホテルマンが万歳三唱する。

さらに、調子に乗ったフロント係の阿呆がくす玉を持ってきてひもを引いた。パカッと中身が開き垂れ幕にはこう書かれていた。

 

「祝 七回目のリフォーム記念! ラッキーセブンは幸せの数字!」

 

周りの客も何かのお祝いか何かと勘違いしたのか拍手を盛大に贈る。

シャンパンを開けて祝おうとする者も出てきた。完全なお祝いムードの中、俺たち三人は渋い顔でそれを見届け、鍵をフロント係から分捕った。

その日の夜、花火すら揚がったのはヴィンセントに言うべきだったろうか

 

 

 

 

 

 

 

 

豪華で、目がくらむほどのスイートルーム。天蓋つきのベッドに大都市のパノラマが見える大きな窓、大理石のようにピカピカの床。普通なら、大はしゃぎの所だが、

何故だが知らないが憐憫とか哀れみの感情が沸き起こって来て、そんな気になれない。

もしかしたら罪悪感というものだろうか

 

ヴィンセントの部屋が月まで飛んでいったおかげで、ここにいると言えばそうだ。

きっと彼の別荘もこれほどとはいかなくても、きっと豪華だったに違いない、しかしそれらすべてを塵に変えられて悲観しているであろう彼をおいて俺は喜ぶことは出来ない。

友人が嘆いてる中、どうして笑えるだろうか・・

 

「弾、今度デートしません? 五番街で」

「いいな、そうしよう・・・今度?」

 

 

喜びに満ちたが、今度という言葉を聞いて、俺はひとまず聞いてみた。

 

「なんか、予定でも?」

「はい、その・・昔の友人がここにきているらしくて、今日はその人に会ってきます。」

 

昔の友人、その口ぶりから察するにRインダストリーに来る前からの友人だと俺は推測した。Rインダストリーで三年技術を磨いてきた彼女に友人を作る暇はなかったろう。

しかも、よほどの友人と見た俺は、あえて関わらないようにすることにし、アカネに応えた。

 

「わかったよ。また今度な。」

「ありがとうございます。ちなみに、もう一つ」

「何だよ?」

「・・・・無事を祈ってください」

 

意味深な言葉を残して、彼女は部屋体でた。無事を祈れ、何のことだろうか。まさか、彼女の友人が爆弾並に危ない人である訳もないし、今日のヴィンセントを超えるような事態は起こらない、彼女なりのジョークの一種だろうと思い、暇になった俺はユーリに一言言って部屋を出ることにした。

 

「ユーリ、ちょっと出かけてくる」

「どこへ行く?」

「観光にだ。」

 

そういうとユーリがバックから何かを取り出してきた。デジタルの腕時計のようだ。

 

「これを使うといい、インダストリーの試作品だが 都市の案内から人気の店までピックアップしてくれるものだ。バッテリーが持たないのが玉にきずだが・・」

 

スイッチを入れると、立体映像で現在地と今日の天候が表示される。未来都市様様だ。

 

「ありがとう、使わせてもらうよ」

 

とりあえず、せっかく大都市に来たのだから、観光をしよう。

そんな軽い気持ちで俺はエレベーターに乗って下へと降りていった。

 

 

 

 

 

 

街を適当にぶらぶらと歩いていると

流石は世界的大都市 シン・シテイ。恐ろしく大きなビルの立ち並ぶコンクリートジャングルで、頭を上げていると首が痛くなってくる。

どの高層ビルもユニークなデザインで、見ていて飽きない。

 

腕時計型の端末を操作して近くのおすすめの店を検索し、ここから5分の所に人気のバーガー店があるらしく、星四つと高評価なのを見てここに行こうと決める。

他にも機能を試そうと端末をいじりながら、歩いて、角を曲がると怒声が聞こえてきた。

 

「このグズっ! いったいどこに車をとめているの?!」

「男のくせに、気づかいもできないの?!」

 

何事かと見やると

工事中の店の前でえらい剣幕で話す女性の集団と、それに応対している白髪が混じったスマートな体型の男性が見えた。手にはくたびれたボストンバッグを持っている。その隣には街宣車にぶつけられて大破した日本車がある。

 

「私はここに車を駐車をしていただけなのですけど・・・勝手にぶつかったのはあなた方ではないですか」

 

腕時計をしきりに見ながら、男は反論する。

言葉だけなら至極まともなことを言っている男性に対して、化粧をして歌舞伎役者のような真っ白い肌をした女性たちは一歩も引かずに反論する。

もっとも、反論の内容は言葉にできないレベルだが。

 

周りの通行人たちは面倒に巻き込まれたくないのか、なるべく彼女らに視線を合わせずに通り過ぎていく。

 

確かに巻き込まれるのは面倒だが、見ていると、居ても立っても居られなくなり助け舟を出すことにした。

走っていき、工事中の足場を蹴飛ばす。すると、ペンキ缶が倒れて彼女らの頭にかかった。

パニックになっている中、俺は男性に来るように言って、その場から逃げた。

 

 

 

 

 

 

「すまないな、助けてもらって。工事中の人には申し訳なかったが」

「いえ、ああいうのは家庭でも経験してたので・・・」

「それは気の毒に・・・申し遅れたが、私はジョージ・ダグラスだ。助けてくれた礼と

いっては何だが、そこのバーガー店でお昼を奢ろう。」

 

助けた男はそう名乗り、品のいい紳士のような態度だ。同じ男として、こういった大人は憧れる。

 

「いいんですか?」

「気にすることはない。困ったときはお互い様だ。ところで・・・・君はこの町に詳しいかな? 道を尋ねたいのだが・・・・」

 

ダグラスさんが申し訳なさそうに聞く。どうやら、俺と同じこの町に初めて来たらしい。

俺は少し考えて、それに了承した。

便利な端末もあるし、道案内は可能だと判断したからだ。あとで、ユーリに感謝しなくては

 

そんなことを思いつつ、店に入り注文の列に並ぶ。隣を通り過ぎる注文の品を受け取って

席に着く男女を横目で見る。おいしそうなバーガーにポテトだ。ボリュームも満点で早く食べたいものだと思いダグラスさんがカウンターにたどり着くと、またしてもトラブルが起きた。

 

「動くんじゃねえ!」

 

突然店に入って来た男がナイフを取り出して、脅してきた。

悲鳴が起こるが、男がソレを一括してカウンターに行き金を出すように言う。

強盗の出現に俺は即座に行動を起こそうとした時だ。

 

カウンターで、ダグラスさんが気づいていないのか、呑気に注文している。

 

「お、お客様、あの・・・」

 

若い女性の店員が後ろを指さすがダグラスさんは全く気にせずにオーダーをする

 

「チーズバーガーに、ベーコンレタスを、それとコーヒーのサービスってまだやってるかな? ホラ、CMで見たんだけど・・・」

 

「おい、お前!」

 

強盗がとさかに来たのか、ダグラスさんにナイフを向け動かないように指示する。

まずい状況になるのを見て、動こうと思ったがダグラスさんの反応がおかしなことに気づき止まった。妙に落ち着いてるように見える。

 

「君、注文するなら並んでくれないか。私はこの後大事な用があるし、お腹がすいてるんだ・・・大人しく待って・・」

「バーガー食いに来てるように見えるか?! いいから、大人しくしろってんだ!」

 

彼なりに説得しているのか、やんわりと話す。少しだけ様子を見ることにした。

 

「君の気持ちもわかる。 不況で仕事もないのもわかる。だが、それを今は押さえて飯を食べたらどうだい?そうすれば、気分も落ち着くし・・」

 

「いいから黙れっての! さっさと座って・・」

 

するとダグラスさんが勢いよく足元に置いてあったボストンバッグをカウンターに置いた。大きな音が店内に響き客の一部がビクリと肩を震わせた。

ダグラスさんは深いため息を吐き、強盗に向き合う。その顔には無表情なのに妙な迫力があった。

 

「なあ、聞いてくれ。私は用があるといったんだ。朝から車でここまで来たのに謎のゲイシャ集団によって車は大破、せっかく親切な少年にも出会えて、さあ、行くぞと言う時に君に足止めされているんだ。

ん? おかしいな。本来なら もっとスムーズにいくはずだったのにって思うよな?

変な世の中のせいでコレだ。 笑えよ」

 

ハハハ、と笑うダグラスさんは強盗から視線を移し、店員にもう一度言った

強盗も客も呆気にとられている。

 

「ところで、バーガーとコーヒーは?」

「あの、そんな状況じゃないんで・・・」

 

店員が空気を読め、と暗にダグラスさんの言ったのだが、彼は納得した顔をしてその意図を理解した。

 

「ああ、そういえば、お客様は神様って言葉があったな。全く私は昼食を食べたいだけなのに・・・・・じゃあ、神様が天罰が下してやる!」

 

バッグから取り出したのは何と銃身が切りつめられたM16だった。

客が銃だ! と叫んで店内は完ぺきにパニックに陥った。銃を出されて恐怖に陥った強盗は逃げようとしたが尻餅をつき、腰がぬけて逃げられない。

 

「みなさん、落ち着いて。落ち着いて! 座ってゆっくりと昼食を食べてくれ。

おい、お前!」

 

逃げようとしている強盗に話しかける。通行人に話しかけるような気軽さで。

 

「どこへ行くんだ。座りなさい。別に私は怒ってはいないんだ。ただ、昼飯を食べて娘の所に・・・」

 

そう言っていると、トリガーに指を掛けっぱなしのせいで、m16が火を噴いた。

けたましい発砲音が店内にこだまする。

天上に向けて発砲されて俺も含めた皆が悲鳴を上げた。

発砲が終わると、ダグラスさんは慌てて謝罪を入れた。

 

「違う! アクシデントだ! トリガーが軽すぎた。すまない!」

 

紳士の態度で振る舞うが、もうどう見ても彼が強盗にしかみえない。

正直、俺も怖い。

ふと見ると強盗は失禁していた。

 

 

「お騒がせして、悪かった。おい君」

「ハッハイ レジのお金なら今すぐ」

 

店員が肩を震わせて答える。

ふゥとため息を吐いてダグラスさんは言った。

 

「私は昼食がほしいだけだ。バーガーとコーヒーを 少年、君は?」

「お願いですから、銃口をこっちに向けないでください・・・・俺、ホットドッグでお願いします。」

 

手を上げて言うと、店員が急いで支度にかかった。

一分もしないでバーガーが届けられると、ダグラスさんは穏やかに礼を言って席に着き、

m16をテーブルに置いてバーガ―にかぶりついた。

 

「少年、君も食べろ。お腹がすいたろ?」

 

俺は店員の方に顔を向けたら、早く行けと仕草で言われて席に着いた。ホットドッグを手荷物が、とても食欲がわかない。わくわけがない。

 

「いやあ、道案内してくれるとは助かるよ。君のような少年はもう絶滅したと思っていてね」

「いやあ、それほどでも」

 

相槌を打ったが、俺の心境は逃げたい、これだけだ。しかし、テーブルに置かれたm16が銃口を光らせて俺を監視しているようで逃げれない。

 

こんな時のためのラプターだが、ダグラスさんの目が笑ってないのに気付いて、俺は青い顔で笑顔を作りホットドッグを無理やり口に詰め込んだ。

逃げてもつかまる気がしてならない。

 

しかも、ダグラスさんの目的地に着くまでずっとコレだ。

俺は心の中で助けを求めた。

 

タスケテ アカネ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駅のプラットフォームにて待ち合わせをしていると、なぜか頭に電波が届いたかの用に

ビビッと何か来たような気がした。

 

腕時計を見てみるともう待ち合わせの時間のはずだった。

あの娘が遅れるわけないはずだ、と少し疑問に思っていると、その人物が来た。長い髪の毛を後ろでまとめ、伊達眼鏡で変装した美しいというより愛くるしい外見の彼女がこっちに駆けてきた。

 

「アカネちゃーん! お久しぶりー!」

「ミサキ!」

 

手を振って歩いてくるミサキの後ろにはサングラスをかけた巨漢が一人ついてきている。

 

彼は彼女のマネージャーで、彼もまた親友である オットーだ。

ミサキはフルネームでミサキ・ホーキンスと言って歌から踊り、演技までハイレベルの米国で人気のエンターテイナーだ。私がインダストリーに行くまで一緒に生活していた大親友でもあり・・・

 

「ミサキ・ホーキンス!」

 

女性団体のゲイシャ面の女性がミサキの背後に突撃していく。

 

「ハイ?」

 

ミサキが振り返ると、持っていたスーツケースの角がゲイシャの腹に命中し、階段を転げ落ちていき、ボーリングのようにゴミ箱に衝突し、ストライク!

 

さらに近場を歩いていた堅気にはとても見えない男たちのゴッドファーザーの頭にバナナの皮がかかり、怒り心頭になった彼らはゲイシャの方へと向かっていく。

 

哀れ、ゲイシャはたった一つ、彼女に突っ込んだというだけで、サングラスの男たちに囲まれて海に沈められるて魚のえさになるか、賠償金を払うか、ピンクなお店に売られるかの人生最大のピンチを迎えている。

 

「あれ? 誰もいないや」

 

きょとんとした顔であたりを見渡し、「ま、いっか」の一言で済まして私とハグをする。

 

そう、これこそが彼女の恐ろしいところだ。彼女はどういうわけか、向かうところ全てに災厄を振りまく魔女なのだ。

会えてうれしい半分、どうしよう、と怯えが半分だ。

 

「アカネ、来てくれてありがとう。」

 

オットーがミサキに聞こえないように耳打ちをする、私は彼に問い詰めた。

 

「何で、私を呼んだんです。」

 

すると巨漢のオットーは子供の用に情けないこえを出して泣き出した。

 

「だって怖いんだもん。 彼女が振りまく災厄のレベルがどんどん上がっていくんだもん!」

「アレぐらいならいつもじゃないですか!」

 

そういうと、オットーは真顔になって、そのレベルを私に教えた。

 

「こないだは一国の革命を成功させて・・・」

「そんなデンジャラスなレベルで私を呼んだんですか?!」

「もう、私どうしたらいいか、わからなくて・・」

 

メソメソとべそをかく200cmの巨人は不気味だ。

 

「泣くな! 強いアーリア人が泣くな!」

「ねえ、早くいこうよ。アカネ、アカネってば―」

 

無邪気そうにほほ笑む彼女に精一杯笑顔を作り、応対する。

この素敵な百点満点の笑顔のせいで、彼女に真実を告げることが皆できないでいる。

そして皆がひどい目に会ってきた。

 

ある時は動物園のトラを逃がし、ある時はヴィンセントの部屋を爆破し、またある時はISを一機撃墜した。

 

基地に見学に行ったときになぜか、誰もいないところでISを拝借して、ダンスを試したところ、いつの間にか自己学習機能でISがそれを覚えてしまい、

 

後にそのISで飛行のお披露目をしていたところ、突如としてダンスし始めて壁に激突して撃墜判定を受けたというものだ。

以来、ミサキ曰く感じの悪い搭乗者は首になってしまい二度と権威を振りかざせなくなったという。

 

彼女自身は最高レベルの幸運を持つが、その分、周りに不幸が訪れるのだ。

私はトラに追われるは、時限爆弾を解除する羽目になるわで、彼女の隣にいると、いつもダイ・ハードな目にしか合わない

 

「今日は一日フリーだから、一緒に楽しもう! ね?」

 

私は死を覚悟した。一日中ダイ・ハード。マクレーン警部だってクリスマスの夜だけだというのに、私は一日だ。

神は我を見捨てたのか・・・・

 

 

――――― 弾、助けてください。

 

この場にいない者の名を心の内で叫んで私は彼女に手を引かれていく。そしてミサキがくるくる回っていると清掃員にぶつかり、金ダライが私の頭にヒットした。私は気を失い、死んだ目で引きずられていった。

 




感想、批評お待ちしております。

上手くいったかどうか かなり不安です

コメディは初めてですので アドバイス等を頂けると嬉しいです。
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