IS to family   作:ハナのTV

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かなり、評価がわかれるかもしれません


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「どうも、初めましてイヴァナ・ハートと言います。お隣いいですか?」

 

私と大場先生の元に来たのは噂のイヴァナ先生だった。素敵な笑みを見せる彼女は女の私から見ても理想的なスタイルの彼女は美人として別格な雰囲気だった。

 

そんな彼女が何の用だろうと思いつつも、私はどうぞ、と言って席を詰めた。

 

「ありがとうございます。私ここに来て初めてなんですけど・・・どうも快く思われてないようで・・」

「きっと気のせいですよ。そのうち慣れると思いますから」

 

とりあえずのフォローを入れるが、その理由はハッキリしている。出自の問題からくるものだ。

 

元代表候補生で代表に選ばれるという立場にありながら、モデルになる道を選択した彼女は国家代表を夢見た人から見れば、許せない人だろう。

 

私にとっても少し複雑な気持ちだった。

 

「とはいえ、私たちも友好的とは限らないでしょう? どうしてここに?」

 

大場先生が少し警戒心を込めた口調でイヴァナ先生に訊いた。大場先生としてはこの時期に不自然な経路から来たイヴァナ先生に疑問を持っているようだ。

イヴァナ先生は小首を傾げて、赤毛のロングヘアを少しかき分けて答えた、

 

「お二人なら私と同じ境遇ではないかと思ったので・・それに私が来た理由がそんなに重要ですか?」

 

大場先生はコーヒーを一口飲んで鋭い目を向ける。

 

「何分、この学園は最近問題ばかりでしてね。警戒したくなるんですよ」

 

大場先生はピクリとも笑わずにイヴァナ先生に言いつけた。福音事件の時に私が見た不審船の話が大場先生の頭にはあるのだろう。

 

その後も、織斑君と篠ノ之さんに聞いても、確かにあの場に密漁船がいたというのだから

 

私の見間違いであるはずがないと判断できた。それだけでも怪しいのに、さらに強い疑心を持つことになったのが、織斑君への織斑先生の対応だ。なぜか、犠牲者に関する情報を最初伝えなかったらしく、谷本さんが不思議がっていた。

 

ここまで来ると、いよいよ何を信じていいかわからなくなってくる。変わった経歴を持つ新米教師一人にここまで過敏になるのも致し方なくなる。

 

当のイヴァナ先生は、はて? と言って可愛らしく怖がるような目で答える。わざとらしい演技なのは明らかだった。

 

「怖いですねぇ。私そんな怖い職場とは知りませんでしたわ・・・」

私は彼女に真剣に聞いた。

 

「イヴァナ先生、申し訳ありませんが答えていただけませんか? 私たちも生徒を不安がらせるようなことは避けたいんです。」

 

そんな私の姿を見て、彼女はまじめに受け取ってくれたのか、イヴァナ先生は怖がるマネをやめて、フウと一つ息を吐いて答えた。

 

「答えは簡単です。最近の候補生の発破をかけるために、とでも言えばいいんでしょうか?

イグニッションプランでグレートブリテンの機体に対して疑問視する声が多くなりまして

ね。それで私が再雇用と言う形になったんです。」

 

紅茶のカップをイヴァナ先生が取り、口に着けるほんの少しの間に彼女はぼそりとつぶやいた。

 

「ホント、いい迷惑」

 

私はそれを確かに聞いた。しかし、あえて追求することはしなかった。とりあえず、同じ教師として何か手伝ってあげた方がいいのではないかと思い、思い切って聞いてみた。

 

「あの、イヴァナ先生は教師などの経験はあるんですか?」

 

彼女はカップを置いて、少し唸って答えた。

 

「・・・そうですね。精々後輩に少し教えた程度ですねえ」

 

できる限り笑顔を作って私はイヴァナ先生を誘ってみる。

 

「でしたら、この後私が担当する科目があるので見学しませんか? とりあえず、授業の雰囲気だけでも感じてはどうでしょうか?」

 

イヴァナ先生は少し考えているのか、聞いてすぐに答えようとはせず、再び紅茶に口をつけてカップを傾けた。

私は彼女がカップを受け皿に置くまでの間に何か妙な緊張感を感じた。

 

何かまずいことでも言ってしまったような、そんな感覚にとらわれたが、彼女はこちらを振り向いて笑顔を見せて答えた。

 

「ありがとうございます。ぜひ見学させてもらいますね、時間は次の時間でしたか?」

「ええ、そうです。」

 

私は彼女が提案に快くOKをしてもらったことに安堵の息を漏らして素直に喜んだ。

イヴァナ先生も最初こそ、不審に思ったりしてしまったが私の案に乗ってくれたようでいい人に思えた。

 

しかし、そんな私の思いとは逆に考えているのか、大場先生は不愛想な表情のまま、イヴァナ先生を見ている。

何か不審な点でも見つけたのだろうかと思ったが、私は提案が受け入られてことに嬉しかったのでそこまで気にしなかった。

 

今まで、誰かの一方後ろに立つような立ち位置だったせいか、急に後輩ができたようで何だか心が弾んでいた。

そのせいか、いつもより甘めになっていたコーヒーにも気が付かず飲んでしまったほどだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

三限目の授業は山田先生のIS概論だ。授業の名前だけ聞くと大学を連想するが、この授業は元々大学の講義の一つであるのでその名の響きは間違いではない。

 

IS学園がいかにISに関する授業を先取りしているか、とわかることができる授業でもある。

いつもなら、後ろの見学用のいすに座っているのは織斑先生だが今日は違う。

 

今日、後ろに座るのはイヴァナ先生だった。あとから聞いた話だが、イギリスではかなり有名なモデルらしい。世界的にも知られているらしいが、俺はそちらのモデルにはあまり造士は深くないため、知らなかった。

 

そんなモデルの彼女は後ろでスラリと長い脚を組んで座っている。顔は天使さながらの微笑みを浮かべて見学する旨を伝えて、頭を下げた。

 

「それでは、授業を始めましょう。まず教科書の150ページを開いて下さい」

 

クラスメイトの皆が教科書を開く。いつも通りの授業の風景だ。いつもは騒いではいるものの、伊達に難関なIS学園の入試を突破しただけはあって授業はまじめに受けている。

 

そのはずなのだが、耳元にクスクスと陰湿そうな雰囲気を含んだ笑い声が聞こえた気がした。その声を聞いて俺の胸は妙なざわつきを覚えた。

 

静寐に対して陰口が言われた時とはまた違う。嫌な空気を俺は感じ取った。

授業はいたって問題なく進んでいるはずだ。山田先生が時々生徒を当てて質問をして生徒がそれに答える。何ら変わったところなどないはずだ。

 

「では、篠ノ之さん。「PIC稼働時の限界重量」について、第二世代型における適切な装備の重量を答えてくれますか?」

 

山田先生が箒に言って、彼女はハイ、と短く応えて自身のノートを捲って読もうとしたが、彼女は戸惑いを隠せない表情をして一向に口から言葉を発しようとしない。

 

箒は顔を青くしてノートとにらめっこをしているだけだ。

 

「あの 篠ノ之さん? ・・・どうかしました?」

 

不審になったのか、山田先生が問いかけた。

「・・・すいません、間違えて古いノートを持ってきてしまいました。」

「・・・そうですか、仕方有りませんね。では谷本さん。代わりにお願いします」

 

珍しいことに、箒はノートを間違えたそうだ。普段忘れ物など見たことなかったので意外だった。最初はそう思った。

 

しかし、またしてもクスクスと笑う声が聞こえた。二度目になるとさすがに空耳と言うのは難しい。もう誤魔化すことはできない。

 

箒がノートを間違えたときに笑うという事はノートは忘れたのではなく、無くした。もっというと隠されたなりされたとみていいだろう。

 

いよいよもって学園内における空気も悪くなってきたものだ。

 

更に見てると、山田先生が最近ではごくまれになったが、ミスをして焦ってしまった時なども同じことが起きた。

 

今でも、電子黒板の表示を間違えてしまい、二回ほど同じ個所が映ってしまい、少し彼女は焦って上ずった声を出して、小さいが気分を害する小さなさざ波がクラスのいたるところで起こっている。

 

その時、生徒の一人が手を挙げた。

 

「山田先生、ここが少しわからないんですけど」

 

多少ぞんざいに聞こえたが、山田先生は全く不快な顔を見せずに笑顔を作り、彼女の元へと歩いていった。

 

「どこがわかりませんか?」

 

教科書を片手にゆっくりと歩いて行っていると、次の瞬間に山田先生の頭身が短くなったかのように見えた。

 

だが、それは間違いで山田先生がそこで転んだのだ。山田先生は倒れてしまい、教科書などをその場に落としてしまう。

少し痛そうに立ち上がる山田先生はメガネを掛けなおして立ち上がるが、クラスメイトの幾人かは山田先生はドジだなーなどと、言って教室に笑いの渦を作った。

当の先生は困ったように笑っているだけだが、俺は先生の転倒が故意に行われたのではないか、と不審に思った。

 

先ほどからの雰囲気といい、それが起こってもおかしくはない雰囲気だ会ったからだ。

 

 

しかし、先生の足場をよく観察していたわけでもなく監視カメラのようなもので確認したわけでもないので責めることはできない。

第一、 誰がやったかもわからない中では俺もどうしようもなかった。

 

この授業が終わるまでの間、何やら胸にざわざわとするものを感じながら、授業終了のチャイムが鳴り、とりあえず終わった。

 

各クラスメイトが席を立ち、廊下や友人のいる隣の教室に行く中、見学に来ていたイヴァナ先生が山田先生に歩いて行き、何やら話し込んでいるのが見えた。

 

単に目に入っただけに過ぎなかったが、二人の様子からして何か重要なことを話しているように思えた。

 

山田先生が口を押えて驚いていたからだ。対するイヴァナ先生はほほ笑んでいるのだが、

その笑いは食堂で見たような、優しい微笑みと言うより、口角を吊り上げさせた腹に一物抱えたような顔に見えた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

「では、これよりIS実習に入る。今日は新任のイヴァナ先生も参加する。気を引き締めて行うように」

 

織斑先生の言葉が飛び、一組から四組とほぼ全クラスが集められた大規模な実習が始まった。

今までは多くても一組と二組だけなど、二クラスだけだったので四クラス全ての生徒が集まるのはかなりまれだ。

全ての担任、副担任が出そろい、専用機持ちも全員集合してかなり壮観と言えた。

もっとも、専用機持ちは二つの派閥に分裂しているのではあるが。

 

「今日は射撃実習に入る。初めての生徒も多いと思うので十分に気を付けることだ。以上!」

 

そう言われて、グループに纏まれと指示を受けるが、俺やアカネの元に来る者は少ない。

精々、レジスタンス達が来るぐらいだ。それに加えて、本音が来たのは意外だった。

 

「ダンダン~よろしくね~」

 

眠たそうな顔に間延びした口調と特に緊張した様子もなく接してきた。

「よろしく、 俺でいいのか?」

 

試しに聞いてみると、何のことを言っているのかわかってないのか、首をかしげるのみだ。

 

「何で?」

「いや、噂とかあるだろ。俺とかアカネなんかはさ・・」

「別に気にしないかな~」

 

肝っ玉がすわっている言うべきか、警戒心が無いというべきかどちらだろうと俺は判断がつかなかった。

それでも、来てくれたことに感謝し、俺はラプターを起動させる。

 

ツインアイの鋭いカメラアイで周囲を見渡してみると、レジスタンスがまじまじとラプターを見る。

理子がラプターの全身を見て感想を述べた。

「やっぱり、悪趣味なデザインね。」

「そこはRインダストリーに言ってくれ・・・俺は気に入ってるんだけどなあ」

「男の子なのねぇ」

 

理子が少しあきれ顔で言った。女子にはこのデザインの良さがわからないようだ。

例外もいるが、俺の知る限り簪の様なアニメ好きとアカネの様なガンマニアと目の前の本音だけだ。

 

「なによ・・・ただの男のくせに・・・」

そんな声がラプターの高性能な集音機がとらえた。Rインダストリー性の耳は信用できるな、と信頼できた。無論、そのことでどこぞの口の悪い誰かに礼を言おうなんて思うわけもなかった。

 

「やあ、弾。そっちの調子は?」

「弾、ちゃんと教えれるの?」

 

ヴィンセントと鈴が二人して、二組の列から抜け出してやってきた。どうやら彼らも生徒に恵まれてないようだ。

 

「なんだ、米中コンビは受講者ゼロか? 得意の話術でおびき寄せろよヴィンセント。」

 

ヴィンセントの顔はイーグルの厚い装甲に覆われて見えないが、愉快そうに笑い声を飛ばしていることから、彼がどんな顔をしているかは想像に難くなかった。

 

「どうも、不人気コンビです。よろしくね?」

「アタシは違うわよ。」

 

鈴がヴィンセントに異議を申すが現状彼女の元にいる生徒はティナのみだ。

 

「受講者一人じゃあ、僕と変わらないよ。」

「ゼロよりましよ。」

「君日本に居たくせにどんぐりの背比べとかいう言葉知らないだろ?」

 

俺は言い争う二人に苦笑を漏らして言った。

 

「五十歩百歩って知ってるか?」

「知らないね」

 

二人声をそろえて言った。仮にも御曹司と国家代表候補生が子供の意地の張り合いだ。

そんな微笑ましい二人に俺は聞いた。

 

「ところで、聞きたいんだが授業はどんな感じだ?」

「宿題なら写させないわよ」

 

鈴が冗談めかして言うのを俺は首を振って否定する。

「まじめな話だ。最近、雰囲気が悪くないか?」

そう訊くと鈴とヴィンセントは瞬時にその意味を理解した。

 

「まあ、専用機持ちに対して嫌な態度を取るようにはなったわね。どうでもいいけど。」

「それに成績をやたら気にしだした。いよいよ、操縦科への席の争奪戦さ」

 

二人は何のことは無いっといった顔をする。二人の心臓は羨ましいことに鋼鉄製らしく

多少の罵倒は、風が少し強くなった程度のことでしかない。

二人は顔を見合わせて言い合った。

 

「周りの人間なんて気にしたって・・・ねえ?」

「僕らは他人に自分が友達にしたいと思われないことを知ってるしね」

「強いな・・・ホント」

 

そんな俺たちを見咎めて二組の担任がヒステリックな金切り声を挙げて授業に入るように言って鈴は両手をパーにしてお手上げのポーズをとり、ヴィンセントは担任を一瞥して

彼女は頭がパーだと、ジェスチャーをして去って行った。

 

状況はどこも似たり寄ったりか、と思いつつ俺は本音たちの方に振り返って訓練を指導しようとする。使えるのは打鉄が一機で、コイツを使いまわすのだが俺の言いたいことは一つ。もっと機体があればな、と。

 

ため息を吐きながらも、自信に発破をかけて気合を入れる。

 

「じゃ、とりあえず銃器の説明をして仮想標的にワンマガジン分射撃してもらう。OK?」

「はーい」

 

まず一番手に本音が打鉄を装着し、デジタルの的を呼び出して、射撃をしてもらった。

使う銃器はAR15、すなわち米軍の標準的アサルトライフルによく似た銃器で扱いやすさに重点を置いた MIS16 と呼ばれるものだ。

 

しかし、本音の射撃は一発も当たることなくワンマガジン分を使い切った。

 

「アレ? ダンダン、当たらないよコレ~」

「・・・すっげえ」

「姿勢は正しいのに・・・」

俺とナギが絶句した。正しい構えに照準の見方も間違ってない。なのに、一発も命中せず。

空砲でも使ったのでは、疑うレベルだ。

 

「本音・・・わざと?」

「大真面目だよ~」

 

とりあえず彼女は打鉄を解いて降りた。彼女は向いていないのかもしれない。俺は難しい表情をして、次に彼女にはハンドガンを使わせてみようと思った。

 

代わり替わりで次はレジスタンスの乙女たちだった。驚いたことに命中率はすこぶる高かった。皆、訓練してきたことはあり、銃を下した状態から構え、射撃に移るまでの速さも並大抵でない。

 

さらにフルオートでなくセミオートで射撃をするなど、ロストワールドでのPMC達が行うように、無駄弾を避けた方法を選択してるあたり、その練度の高さがうかがえる。

 

普通はフルオートで一発当てるのに三十発撃つというのが多い中、彼女たちは頭一つぬきんでてた。

 

本当に成長してるようだ。俺だけでなく、彼女たちも着実に力をつけていっている。

俺も負けていられないな、そう思って俺はパルスライフルを呼びだして班員に言った。

 

「さて、皆撃ってもらったし、今度は俺の番だ。」

 

理子とナギが「待ってました!」 と言って歓迎する。

俺はその反応の良さに喜びつつ、的に向かって神経を研ぎ澄まし、集中する。

 

人差指でトリガーガード付近の安全装置を外して、ストックを握りしめ指に力を込めて、トリガーを引く。一発、二発と連続して撃ち、全弾発車の合図を知らせるように銃上部からクリップが排出されて甲高い金属音が鳴る。

 

その結果を見て、ナギが言った。

 

「お見事!」

 

的の中心付近に命中させて俺はガッツポーズを見せる。コレが俺の実力だ、とアピールして見せる。

 

 

しかし、悪魔か誰かは知らないが、俺たちの楽しい時間は一瞬で消え去ってしまった。

 

俺達の耳に一つの銃声と悲鳴が届いたのである。

その声が山田先生の物だとわかり、俺たちはすぐさま振り返った。

 

振り返ると、山田先生の装備するラファールが地面に横たわっていた。弾丸はシールドに弾かれて無事だが、完全な不意打ちだったらしく彼女は驚いて腰を抜かしてしまっている。

 

「先生、ごめんなさ~い」

 

一部の女子グル―プがふざけてるようにしか見えない態度で謝罪を口にした。

その様子から、彼女たちは故意に撃ったのではないかという疑惑が生まれる。

 

「貴様!ふざけるな、と言ったろう!」

 

織斑先生が怒鳴って、彼女たちを叱咤したが糠に釘と言うのだろうか、彼女たちはヘラヘラと笑って反論した。

 

「謝っています。これは事故です。今後とも気を付けます。それにISには絶対防御があるから・・・」

「誰が言い訳をしろと言った!」

 

織斑先生は激怒し、彼女たちに猛然と迫った。さすがの彼女たちも顔面蒼白となり怯えを見せるが、そこに意外な人物が織斑先生と生徒の間に入った。

 

「まあまあ。織斑先生、落ち着いて下さい。彼女のいう事も一理ありますし・・」

「知った風な口をはさむな! 誤射すればどんな事故を・・・」

 

そこで、イヴァナ先生は怖いもの知らずなのか、織斑先生の口に人差指を立てて静かにさせた。

 

「ISには絶対防御がある。それでもさっきのよう事故があれば、誰かを怪我させてしまう。

そうよね?」

 

イヴァナ先生は後ろの生徒に訊いた。

 

「そ、そうですけど」

 

突然の質問に驚いているが、織斑先生から助けてもらっていると思ったのか卑屈そうな笑みを浮かべている。

 

それをイヴァナ先生は一睨みして言った。

 

「つまり、不意でなければ絶対に無事と言うわけです。 織斑先生どうです? ここで絶対防御やシールドなどのISの防御能力の実演なんて?」

 

織斑先生が眉を吊り上げた。

 

「何?」

「最近、ISに対する信頼が落ちてるという話ですし、ここで一つ彼女に実験してもらいましょう。」

 

俺は彼女の正気を疑った。この先生は生徒に向かって落とし前として実験台になれと言うのだ。それはいくら実弾を使った模擬戦をやっている学園の中とはいえ、問題だ。そんなことは完全な私刑だ。

 

「織斑先生、そんなことダメです! 私は大丈夫ですから・・」

「私刑でもする気ですか、アンタは」

 

山田先生と大場先生が声を張り上げて抗議する。当然のことと言えた。しかし、当の本人である女子生徒は山田先生たちの思いも知らず、いいですよ、と嘲笑すら浮かべて答えた。

 

ソレを見て挑発と受け取ったのか、織斑先生は承諾した。

 

さすがにまずいと感じた一夏が抗議する。

 

「千冬姉、いくらなんでもマズイって・・・!」

「織斑先生だ。ISは守るし、彼女は元代表候補生だ。心配などない」

 

そう断言したが、俺も黙って見過ごすわけにはいかず、抗議する。

「ですけど、織斑先生! こんなのやりすぎです。」

「もしも何もない、イヴァナ先生!」

 

織斑先生は俺たちを無視してイヴァナ先生を呼んだ彼女はニッコリとほほ笑んで返事をした。

 

「何でしょう?」

「二発のみ撃つことにしてください。」

 

そんな要求を聞いて彼女は少しも躊躇わずにハイと元気よく答えた。

俺はその一連のやり取りを見て不安を覚えた。

 

 

その時のイヴァナ先生の表情は一瞬、狡猾そうなハイエナのように見えたように感じたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業が終わったというのに、生徒の皆さんが戻ることはなかった。

 

この時間で授業も終了という事で、暇という事もあるのだろうか。

 

目の前で、ショーが行われようとしているのを今か今かと見守っている。

 

私に故意に撃ったのでは、という事で生徒が一人まるで、ISの安全性を見させるための実験台となってしまい、私は必死に抗議したが誰も真剣に聞いてくれなかった。

 

確かに実弾飛び交う模擬戦などで激しく被弾してもISが搭乗者を守ることから彼女は安全なのかもしれない。

 

しかし、一教師が私刑を提案するというのは私には許されることではないはずだ。

二発だけなら大丈夫、そんな問題ではない。

 

しかし、生徒は受ける気満々でイヴァナ先生もニッコリと笑っているだけだ。

皆の注目が集まる中、教員用のラファールを装備したイヴァナ先生が口を開いた。

 

「ごめんなさいね。私可愛い女の子がひどいことされるのって見逃せなくてこんなことになってしまって・・・」

 

ラファールを装着した女子生徒は余裕そうにほほ笑んで、言葉を返す。

 

「いえ、そんな。むしろ助けてもらって・・・」

 

そう言いかけた時、イヴァナ先生は機体を動かして彼女の目の前に立った。

そして、突然優しいそうな笑みから表情を変えて、どす黒く、あざ笑うかのような顔になった。

 

「貴女のわけないじゃない。何を勘違いしてるの?」

「・・・えッ・・・」

 

イヴァナ先生は舌なめずりをして、妖艶さと残酷さが混じった貌へと自らを変えた。

その変化は周りの私を含めて誰もが予想できなかったものだった。

 

「私が言っているのは山田先生で貴女じゃないわ。小生意気な小娘なんて、救う理由が見当たらないわ。」

「で、でも・・」

 

女子生徒の口元に織斑先生の時と同じように長い人差指を当てて静かに、と言った。

 

「だから、遠慮なく貴女に二発撃ちこむことにするわ。精々頑張ってね」

 

女子生徒は裏切られたと感じたのか、仕返しとして口を必死に動かしてイヴァナ先生を挑発した。

 

「二発で何をしようと言うんですか? 所詮、ラファールの武装なんて・・」

 

ソレを聞いてイヴァナ先生は武装を展開した。

まばゆい光がラファールを包んで、姿かたちが変わっていく。その姿はいつものラファールではなく、頭部に機械的デザインの輪っか が浮いており、大仰な放熱板のように見えるバインダーが背中に6つ装備されて、機械の翼が生えた天使のようになった。

 

そして、杖の代わりに手にするのは大きすぎるライフル。いや、それは銃ではない・。銃と言うにはあまりにも簡素で、大きすぎた。

 

その武装には見覚えがあった。

 

XC-1 チャレンジャーライフル。英国主力戦車チャレンジャー2の55口径120mmライフル砲をそのまま、ISの銃器として開発した狂気の銃器だ。

火力の高さは言うまでもない。

何せ、戦車砲そのものなのだから。

 

「武装だけ借りてきたの」

 

イヴァナ先生が一言言って、砲を彼女に向けた。砲身が彼女に接するギリギリの距離で彼女は予想外すぎて頭の追い付かない生徒に向けた。

 

「不意でなくて、二発だけなら、大丈夫なのよね?」

 

彼女は嘲笑と共に確認するかのように聞いた。

しかし、返答は来ない

 

女性生徒は顔をだんだんと恐怖に染めて、それどころでなかったからだ。

 

「じゃあ、一発目ね。」

 

私は彼女が引き金に指を掛けたその時にはラファールで駆けていた。

 

 

 

そして、大きすぎる砲声があたり一面に轟いた。

 




模擬戦で実弾を使う。絶対防御で安全! なら、こんなことだってできるのでは、と
思ったので、やってみました。

新キャラはいわゆる超バッドティ―チヤーです。

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