IS to family   作:ハナのTV

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いわゆる、考察回です。
独自解釈、原作とは一切関係のない話です。

束ファミリーのオマケ話はこの次やって本編にもどります。


始まりの考察

米国、とある場所で撮影されている生放送番組「サムライ・ソサエティ」とは社会問題をサムライのごとく、バッサリと斬るというRインダストリー社出資の番組である。

 

米国どころか、世界でもトップを誇る企業による出資を受けているこの番組は他の局番では取り扱わないような問題について放送するため、その筋の人間からは好評かを受けているが、いわゆる取り扱われる側にとっては非常に迷惑な番組として知られている。

 

この番組には、あらゆるロビー活動は通じない、何故なら、金ならどこよりも払ってくれる企業が後ろ盾となっている以上、ソレの信頼を失う道をわざわざ失う手は愚策中の愚策と誰でもわかるからだ。

 

そんなTV番組が今日も放送される。深い高級感のある椅子に座った司会者と進行役の男女がまず、自己紹介をする。

 

「こんばんは! 地球の裏側にいる方はこんにちは? お早う? サムライ・ソサエティの時間です! 司会は私、ジョン・カーターと」

「進行補助のメアリーです!」

 

二人は紋付き袴と着物と言う姿でTV7のカメラに向かって挨拶をして、今日の議題について触れる

 

「さて、ジョン。今日のお題は何かしら?」

 

和太鼓が叩かれて、雰囲気を演出し、スタジオが暗くなり、ジョンにスポットライトが当たる。

 

「うん、今日の題目は……なんと現在の放送界最大のタブー、ISと女性問題についてなんだ!」

 

シンバルではなく、銅鑼の音が豪快に鳴った。メアリーが手を口に当てて、「ワオ」と大げさに反応を示す。

 

「随分と、バッサリと行くテーマじゃない! 番組大丈夫?」

「大丈夫さ! どうせ、誰かがうやむやにしてくれる!」

「そっか!」

 

Rインダストリーに問題を丸投げするとともに、スタジオにドッと笑いが起こった。

スタッフが笑うのを一望して、メアリーは今日のゲストを紹介するべく、手を二回叩きカメラを彼女の方へと向かせた。

 

「そんなギリギリの話題について語るべく、今日の素敵なカタナ役はこの方! Rインダストリー社 ロイ・バッカス氏です!拍手を!」

 

カタナとはこの番組におけるゲストの事を差す言葉であり、今回の話題についての専門家として、出資側の人材を呼ぶと言うのには少なからず、作為的なものを感じざるを得ないだろう。

 

スタジオ全体から拍手が沸き起こり、ロイ・バッカスが照れ臭そうに笑いながら、席に着いた。拍手が止むと、ロイはジョンに向かって言葉を放った。

 

「で? 誰が問題をうやむやにするって?」

 

ロイがにこやかに聞くと、ジョンがおどけて両手を上げて降参のポーズをとった。

その姿を見てもう一度スタッフが笑い声を上げた。

 

この後の彼の姿を想像したからだ。そんな二人を笑いつつもメアリーが進行役としての役目を果たすべく、流れを作る。

 

「さて、本日は軍需産業から文房具づくりまでの企業の重役のバッカス氏に来てもらいましたが、バッカス氏はISについてはどのような見解をお持ちで?」

 

ロイは笑いを言ったに止めて、商売時のスマイルを顔に貼り付けて話をする。

 

「そうですな。ハッキリ言ってしまえば、ISは爆薬のような物と言う所でしょうか?」

「というと?」

 

ジョンがさっきまでのコメディアンとしての顔ではなく、司会者として顔を見せて聞き返す。それにロイは頷いて答える。

 

「皆さんも考えたことは無いでしょうか? ISの登場でこうも社会にいわゆる女尊男卑という風潮ができたのはおかしい、と。 貴女はどう思われますか?」

 

メアリーは少し考えるぞぶりを見せて、ロイの質問に答えた。

 

「そうですね。確かにたった十年でここまで変わるとは思いませんでした。でも、いわゆる白騎士事件はそこまでの衝撃だったということではないでしょうか?」

 

白騎士事件とは、この時代では最も有名な事件である。

約10年前。ISの存在が発表されてから1カ月後に起きた事件。日本を射程距離内とするミサイルの配備されたすべての軍事基地のコンピュータが一斉にハッキングされ、2341発以上のミサイルが日本へ向けて発射されるも、その約半数を搭乗者不明のIS「白騎士」が迎撃した。

 

それを見て「白騎士」を捕獲もしくは撃破しようと各国が送り込んだ大量の軍事兵器の大半を無力化した事件というもので、確かにメアリーの言う通り、衝撃的なものと言える。

 

しかし、ロイはそれに異を唱える。

 

「確かに、あの事件で今までの兵器の常識を覆したのは衝撃的でした。しかし、それは起爆剤でしかないのです」

 

ジョンは一つ頷いて、ロイに疑問を投げかける。

 

「というと、既に女尊男卑の風潮があったと?」

 

いえ、と言ってロイは首を横に振って見せた。

 

「正しくは男女平等の、です。これを歪ませたのが白騎士事件なのです。それを説明するには、まず今までの男尊女卑について話さなければならないでしょう」

 

ロイが言うと、VTRとして人類の原始、壁画に描かれた狩猟の図が出された。

それが何を意味するのか、ロイは説明する。

 

そもそも、原始の時代は男女平等であった、と彼は説明した。これは狩猟による不安定な生活の中で彼らが持つ財産というものが、簡素な家にボロ布のような服と、さして価値のあるものが存在しなかったためという。

 

ここでは、男女間に財産による差はなく、男は狩猟、女は家事に育児と役割分担されているだけで充分だったのだ。

 

そこまで来て、次の映像として現れたのは農耕や鍛冶の映像だった。

時代は農耕や鍛冶となり、人間は決まった場所に定住するようになった。そして、ここで価値ある物として、貨幣や家畜、職業などが出来上がって来たわけである。

 

「ここで一つ質問をしましょう、メアリーさんはこれらの職業はどのような人がしているイメージでしょうか?」

 

メアリーは指をパチンと鳴らして、得意げに答えた

 

「男性でしょうか?」

「その通りです。これらは男性の専門分野となっていったのです」

 

これらの仕事や財産は男性が主に扱うようになり、女性にはそれに加わることすら難しかった。金属加工に、農耕、軍事と社会がそれらの技術などの価値を高めるたびに、それらを独占した男性の権威は高まる。

 

古来、ポリスと呼ばれた都市国家で権利を主張できたのはポリスを守るために戦争をする男であったように、国家に尽くす職務についている男性が家でしか居場所のない女性に比べて、権力を得るのは当然の流れと言えた。

 

また、そんな世の中では、女性は美しさ以外求められるものがなくなってしまうため、女性はより高い位置に着くために、社会に貢献する術ではなく、外見の美しさを求めるようになり、悪循環となる。

 

これが長い歴史の中で見られる男尊女卑の原因ともいえるのだ。

 

「しかし、この流れは最近ではまずありえませんね」

 

司会のジョンが言う。確かに彼の言う通り、最近ではほとんどない傾向だ。ISの登場する十年前でもほとんどなかったことだ。

 

これが男女平等への道の結果だ。

近代になって、女性にも社会への進出の権利や、参政権が認められて、今まで男性だけの物だったモノに、女性も入れるようになったのだ。

 

男女の差と言うのは基本的に身体的な面を除いて、頭脳では特に差は無いのは科学的にも立証済みだ。

 

こうした流れがあって、男女の差は少しづつではあるが、減っていった。

 

「そうです、何故なら、女性にも男性と同じだけの仕事ができる能力があるとされていますからな、十年前の常識です」

 

ジョンは顎に手を当てて、ロイを見て言った。

 

「言いたいことが分かったかもしれません。つまり、女性にしかできない分野で、国家にとって最高の価値になるISの台頭でこれが変わったという訳ですね?」

 

ジョンがクイズ番組で正解を言い当てた子供のように笑って言った。それに対してロイは口笛すら鳴らして彼を称えた。

 

それは正解だった。この世の変わりようはISができてからではなく、ISができる以前から、続いてきたものを歪ませた結果であったのだ。

 

社会は十年では変わらない。だが、疑問や社会を変える何かが積み重なって、そこに何らかの起爆剤が与えられれば、簡単に世の中は変わる。

 

日本がかつて、大日本帝国から変化した時のように、米国でベトナム戦争での報道が流れた時のように。

 

どちらも、今まで支持してきたモノを地面に叩きつけて、NOと叫んだものだ。

 

ISは男女平等を女尊男卑へと変化させてしまったのだ。

 

「その通り。ISが過去の鍛冶や農耕に当たるもの、嫌、それ以上の物だったのです。それも男性の入る余地の全くない、極めて特殊な分野で、まさに女性のみの特権です」

 

長きに渡る男女平等の動きで彗星のごとく現れたISと言う分野は女性にとって大きなものであるのは当然と言えた。

 

国家の国防において、最高に価値を見出されたISは今の世の中で、ダイヤモンド以上のきらめきを放つ。それ以外の物が石ころ同然になるほどの物だ。

 

核兵器のように大地を汚染することなく、戦略兵器となりうる戦闘能力を秘めた兵器、そんな都合のよい魔法の道具の魅力に人々は魅了された。

 

しかも、男性の入る余地の全くない、聖域としての役割を持っているのだから、抑圧された女性が目を輝かせたのも無理はない。

 

女性の身に許された、黄金の椅子。それに比べれば、男性の物など、有象無象というもの。しかも、女性でも可能だと、以前の流れで判明している以上、女性の方が優れていると考え着いてしまったのだ。

 

今までの仕返しとしては、痛烈すぎると言える。

 

こうして、、IS適性が高い女性に法外な補助金が設けられたり、高いステータスとして見られるようになったのだ。

 

メアリーが感心したよう声を上げてロイを称賛し、自身の体験も交えて言葉を口から出す。

 

「成程、確かに女性は今まで、職場によってはイイ顔をされないことがありますからね。そうなるのも、納得する気がします。最も、オウム返しも何だか品がない気がしますが」

 

ロイはほう、と感嘆の声を上げてメアリーに顔を向けて、言う。

 

「世界中が貴方のような女性なら、問題もさほど大きくはならなかったでしょう。問題は行き過ぎた女性優遇措置もそうですが、それで女性自身にも差別ができてしまい、さらに今までの差別もより深くなったのです」

 

例として挙げられるのは適性だ。女性のIS適性が高いステータスとなるという中で、適性が低い女性はどうみられるだろうか、と聞かれれば、答えは最悪の一言だ。

 

同じ女性からは、恐らく女性の足を引っ張る者にしか見えないだろうし、男性からは絶好の憂さ晴らしの標的だ。

 

現に中学校、小学校では適性検査の結果は口外しないことが暗黙のルールと化している。

深刻ないじめや、時には目を覆いたくなるほどの性犯罪すら起きるのだから。

 

人は自分より下の者を見つけたがる者なのか、性差から、肌の色の違い、宗教と発展していき行き場のない若者の一部は所謂男性至上主義に走る者もいる。

 

それは女性も同じなのだから、お相子とも言えなくはないが、大きな問題と言える。

 

男性が女性を、女性が同じ女性を、際限なく広がる負の連鎖は間違いなく今の社会を燃やす炎だ。その炎はあらゆる人の犠牲を薪としてしているのだから、誰かがそれを止めなくてはならない。

 

「では、この問題を解決するにはISが男性にも使えるようになるか、ISに代わる何かが必要という事でしょうか?」

 

ジョンがロイに改めて問うと、先ほどまで穏やかそうな笑みをしていたロイに一瞬神妙な顔が映った。

 

それが何を意味するかはあのスタジオでは本人のみしか知りえないだろう。

そして、ロイがすぐに笑顔を作り出して、その問いに答えた。

 

「根本的に、と言うのなら、それしかないでしょうな。これを軽減するには政府の行き過ぎた依怙贔屓を直ちに中止することでしょう。でなければ、さらに深刻になっていくことでしょう、取り返しのつかないほどに」

 

そこで、TVの画面が真っ暗になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、いい所だったのに」

 

ベットの上でシーツに最高級の真珠も裸足で逃げ出すレベルの白い肌を誇る裸体を包み、TVを見ていたスコールが抗議する。

私は近くのテーブルにTVのリモコンを置いて、シャワーを浴び終えたばかりの髪の毛をかき上げて、オールバックのようにして視界の邪魔にならないようにする。

 

「私がシャワーをしてるからってTVを見ないでほしいな、スコール」

「退屈だったのだから、仕方ないわ。それにあのRインダストリーのロイがあんなこと言うのよ。革命を行おうとしてる本人があんな事言ってたら、気になるじゃない」

 

ベッドの隣に置かれたサイドテーブルの上に乗ったワイングラスを持ち上げて、彼女は赤ワインを一口飲む。

 

こんな動きすら、官能的に見えて思わず顔を赤くしてしまった。

 

「前に誰に言ったかしら、世の中は間違ってないと面白くないって言ったの。その通りじゃない? 愚かしい事を正しいと思っている人間ほど見ていて飽きないわ。そして、後にそれが間違いだったと気づいた時の顔といったら……」

 

小さく笑い声を漏らして、彼女はもう一口ワインを飲んで喉を再び潤した。

恐らく、あの織斑一夏の顔でも思い出しているのだろう、あの手の人種の姿を喜劇俳優と称するだけはある。

 

「間違っていない世ならこうならない。正しいのなら、差別もないし、悩みも恨みのないわ。でも同時にそこに人はいない……わかるでしょ?オータム」

 

私は彼女のベッドに腰掛けて、その意見に賛同する。

 

「そうだな。でなきゃ、戦争屋の私たちがいる訳もないし、楽しくもない。そして、間違いを直すのも好きなんだろ?」

「ええ」

 

スコールからワイングラスを手渡された。さっきまで彼女が口をつけていたもので、まだワインは残っている。

 

私はそれを一口飲んだ。元々いい酒だったのか、それとも女神の祝福がついたせいか、他のどの酒よりも美味と感じた。

 

「でも、直し方にもこだわるのよ。直すのなら、自分を絶対に正義とする者より、悪だと分かっている方がやるのが好きよ。最も……」

「簡単に直ってもらうのも困るし、踊るのなら最後まで私たちも一緒に、だろ?」

 

そう私が続けると、スコールが私に近づいてきた。ほほを手で撫でられて、心拍数が上昇する。そして、彼女の顔がすぐ目の前まで来て、それは絶頂に達しようとしていた。

 

「そうよ、仲間外れも嫌だもの。あと」

 

唇に柔らかい感触が広がった。口づけされていると、頭が判断したのは数秒遅れての事だった。お互いに互いの味を楽しんだ。

 

「拗ねないで、オータム。せっかくの綺麗な顔なんだから」

 

私は彼女には勝てないことを知っていた。恐らく、世界中のどの人間でも彼女に勝つことは不可能だろう。

 

「ところで、探し物は?」

「見つかったよ。イラク、バグダットだそうだ……仕事の話は後でいいだろう?」

 

私が口を尖らせていうと、スコールがクスリと笑った。

 

「ごめんなさいね、オータム……それと、相変わらず、可愛いのね」

 

たとえ、どれ程の頭脳や技量があっても、個人同士の対決で彼女に勝てる者はいない。

今こうしている私のように。

 

あの二人は最早、蜘蛛の巣にかかった蝶なのだ。

 

 




前にどこかで、十年で女尊男卑にならない、と書いてあったのを見て、
どうすれば、十年で変わるかを自分なりに考えてみました。

あまり、歴史とか詳しいほうではないのですが、講義であった女性に関する問題の話からヒントを得て書いてみました。

矛盾や、アドバイスがありましたら、書いていただけると嬉しいです。
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