IS to family   作:ハナのTV

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本編です


罠といえば落とし穴

ラビットで白骨都市の玄関にたどり着くと、俺に手袋を投げつけた本人が腕を組み、仁王立ちしていた。

 

付近を索敵しても、結果は奴一人だけという事だ。

 

さすがの、ウダイ一派もIS相手には分が悪いと見たのか、さして戦闘が起こった形跡もなく、相手のISは無傷な姿でいた。

 

そして、パイロットの女が俺を見た。宙に浮く俺を見上げる敵パイロットは憎悪に黒く染まりあがった眼で睨む。

 

あんな目で見られるのはもう慣れてしまい、何度目かわからない憎悪の視線に俺はさしたる感想も抱かなかった。ただ一つ思ったことと言えば、俺たちの邪魔をしてくれたという事と、殺意を向けられている以上は相手にしなくてはならないという事だ。

 

「来たな、スレート……テロリストめ、お前のような男のせいで、私の親友は死んだ。それだけでなく、お前は一体何人の人間を殺してきた?」

 

俺は鼻で笑いつつ、皮肉な口調で返答する。

 

「さてな、10人から先は数えてない。あと、お前の友達は殺してない。福音に取り込まれて、処分されただけだ」

「処分だと?」

 

女の顔がますます怒りにゆがめられていく。

 

「貴様のせいで、貴様のせいでそうなったというのに……! いいさ、この場で排除してやる! 貴様はそれだけの事をしたんだ!」

 

敵機のスラスターの火が入った。PICが作動してフワリと風船のように浮き上がったかと思うと、一気に加速をして突貫して来た。

 

人の目で見れば、銃から発射された弾丸のごとく、だろう。静止状態から、マッハ1.8近くに加速すれば、目で追うことはできない。

 

だが、ISのハイパーセンサーの補助と俺の長年の勘が奴の動きを追う手助けをした。敵機の左腕のシールドから大型のナイフが飛び出たのを視認して俺はラビットの腕でシールドを掴んで、勢いを殺す。

 

普通なら、衝撃で体勢を崩してしまう所だろうが、元々のラビットの出力に加えて、束によって作られたコスト度外視のオーダーメードの機体は何の問題もなく、受け止めた。

 

さらに力を込めようとする敵機にラビットの貫手をお見舞いする。女の反応は素早く、シールドをパージして後退しつつ、ナイフを一本犠牲にすることで本体への直撃を防いだ。

 

ひしゃげたナイフがお互いの間で宙を舞い、俺が拡張領域から取り出したパルスマシンガンが火を吹いた次の瞬間にははじけ飛んだ。

 

青く光る弾幕の中で回避運動をする敵機のパイロットを見て、確かな技量を持つ者だと判断できた。

 

これだけの弾雨の中、俺と言う復讐相手を目の前にして頭に血が上っているにも関わらず、冷静に回避行動をとって、被弾を最小限にして見せている。

 

そこへ、俺は巡航モードに切り替えて、いつかやった、死なないバンザイアタックを刊行して見せた。

 

マッハ3にまで速度を上昇させて、使い捨てのラファールのシールドを構えて、一直線に盾を前にした体当たりをかける。

 

すると、敵機はスルリと、抜けるように回避して見せた。それだけでなく、どこから持ってきたのかもう一本のナイフで逆に切り付けることで、返り討ちにすらしようとしてきたのだ。

 

舌打ちを一瞬して、シールドの角度を傾けることで、ナイフが胴体に当たるのを防ぎつつも、敵機の格闘兵装を駄目にして、ついで腕部に過大負荷をかけることでダメージを追わせることに成功した。

 

目もいいが、勘も相当に鋭い。そう踏んだ俺は戦闘モードへと戻って、両腕にシールドを纏わせた特殊ブレードを展開装甲から発生させて、切りかかる。

 

それに対する敵機の対処は脚部からのミサイルを撃ち、サブマシンガン二丁によって、回避行動をとらせないように頭を押さえつけるようにして連射する。

 

先ほどの攻撃で上を取られてしまったため、上からの銃弾に身を晒されて少々、不利になったが、ラビットの性能を頼りに弾丸のシャワーを強引に突破し、ミサイルの追尾が追いつけないレベルで、敵機との距離を一気に詰める。

 

左腕から振るって、滑らかな曲線を描く麗しのボデイにブレードの洗礼を与えようとする。

だが、洗礼を受けたのはサブマシンガンのレシーバーだった。

 

とっさに投げつけて楯の代わりにして、ブレードを展開する時間を稼いだのだ。

そして、三回に分けての刺突、どれも急所を狙った攻撃で、俺と言う人間を殺すための鋭さがあった。

 

それらを身をよじって、避けて右腕、左腕とブレードを振るう。直線の軌道を描く敵機に対して、こちらは曲線を描き、シールドによって黄色いケミカルライトのように光るブレードと鉄の白刃が作り出す青い光を発する実体剣の二つの舞がその場に起こった。

 

俺も敵機も一撃に重みをつけるために加速をして、勢いをつける、の繰り返しを行い続けて、青と黄色の光が空に二重らせんを作っては離れるを何度も何度も行う。

 

音も追いつくことが敵わない速度での、斬り合い、殺陣。高度1000メートルで行わる戦闘は銃火こそないが、その一撃の大きさはどんな銃弾よりも大きいのは間違いないだろう。

 

「いい加減に堕ちろ! 堕ちろ! 死ね!」

 

刀剣を振るう敵機の女がそう叫んで、ラビットのブレードと刃を交差する。罵倒に憎悪の声、そして命を散らすための凶器の音、間違いなく俺の古巣だ。

 

違うのは音速を超えているということぐらいで、後は何も変わらない。

殺し合って、相手を物言わぬ死体にしてやることが変わらないのなら、銃でもナイフでもISでも同じことだ。

 

TIA。これぞアフリカと言う言葉の通り、俺は地獄の中を生きてきた。略奪しに行った村の子供に、その子の母親に鬼畜の所業をさせる。

 

捕虜の死体を始末させて、不手際があれば、そいつを燃やして灰にし、他の子供に口にさせる。そんな光景が当たり前の地獄だ。

 

どうして、俺の世界は救いがないのか、今自分がやっていることも救いがないと言えば、そうだ。ある意味で今まで以上に救いがないかもしれない。

 

束の夢の道具で、それが再現されているという事と、クロエにお互いに見てほしくないものを見せてしまっているという事だ。

 

優しい世界はここにはない。あるのは、触れるもの全てを傷つける剣山のような現実だ。

 

「お前さえいなければ……!」

 

そう叫ぶ女を見て、俺は乾いた目で彼女を見た。そして、大振りになったブレードを脇に挟み込んで左腕で頭部を掴んだ。

 

「うるせえ」

 

お前が、お前たちもそうさせているのだろう、と怒りを抱いて俺は攻撃する。

 

万力のようにフルパワーで握りつぶす。女の機体のヘッドギアから軋む音が鳴りだして、床まれた部分がへこみ、ひび割れていく。

 

女が苦悶の声を上げて、必死に逃れようと動くが、ラビットの前では、ほとんどの機体は非力同然だ。逃れることなどできはしない。

 

掴んだまま、ラビットを俺は駆る。地面へと急降下して敵機をクッション代わりに地面に衝突させ、まだ抵抗の意志残る敵機の胴体に男の本来持つ野蛮さをむき出しにした

暴力を叩きこむ。

 

武器も道具もない原始時代の攻撃に女はなす術もなく、受けることとなる。

最初に装甲が弾けて、ISスーツがむき出しなり、次に殴打すると女は胃の中の物を吐き出して、口に泡を作った。

 

絶対防御があろうと、痛みも衝撃も完全に遮断することはできない。

それでも、尚立ち向かおうと手に何かを展開しようとするのを見て、掴んだ頭部を一回持ち上げて、地面に叩きつける。

 

小さなクレーターができて、今度は血の泡を吐き出した。

虫の息となるにはそう長くはないはずだが、女はまたしても口を開く。

 

「お、お前さえ……」

 

その姿を見て、俺は心を決めた。この女にどういう処遇をするかを。

 

俺はラビットに指示を出して、本来無人機として機能する子ウサギと呼ばれる右腕にまとわせる。

 

そして本来、宇宙へ飛び立つためのエネルギーを敵を消し去るという、暴力のためだけの右腕に集中させる。

 

大気が灼け、光り輝く粒子が三機の無人機が合わさった砲口に集まって、地獄から来るようなおどろおどろしい音を発してパワーを上げていく。

 

白式に備えられている、荷電粒子砲とは比較にならない、出力と圧を持ってチャージをする収束荷電粒子砲。

 

塵すら残さない、原子レベルで相手を分解するための兵器を見た敵機の女が徐々に怯えの色を見せだした。

 

手から、ラビットから逃げようと必死に機体を動かして、離れようとするがそれも叶わない。

ISようの拳銃を取り出して、憎しみと恐怖が入り混じった悲鳴とも絶叫とも判別がつかない声を上げて発砲する。

 

近距離とは言え、所詮は小口径の拳銃弾では傷がつくはずもなかった。恐らくは対IS用ではないだろう。

 

今なら同情してもいい、友人の仇を討ちに来て、この様なのだから。

感情に身を任せて、連射された拳銃弾はむなしく装甲に弾かれていく。

 

いつか、同じ所に当て続ければ貫通すると思っているのか、正確に撃ち続けるが拳銃がホールドオープンして、ささやかな抵抗も潰えた。

 

「わかるよ、お前の口惜しさとかは。俺を殺したいのに殺せない。自分が正義のはずなのに、これから殺されてしまうってのは」

 

俺は独り言のように口を開いていた。女は口汚く俺と髪を罵って、聞いてるのかすらわからない。だが、俺は構わず言葉を口にする。

 

「お前さえいなければ、全くその通りだ。こんな事にならなかったってな……だから、俺も言うぞ」

 

チャージが完了した荷電粒子砲を眼前に見せつける。女は獣のように叫んで何を言っているのかすらわからない。

 

だが、何が言いたいかはわかる。だが、俺の知ったことではない。これから消える人間の言葉など覚えたところで無意味だ。

 

だから、これからも生きる俺が女に向かって、吐き捨てた。

 

「お前さえ、来なければこうならなかったんだ」

 

敵機が腕を伸ばして胸を掴みかかろうとする。それを無視して俺は荷電粒子砲のトリガーを引くイメージをした。

 

雷の鉄槌ともいえる光の奔流が砲口から放たれた。地球上のどの兵器よりも大きい砲声は俺や束の感情を代弁するかのように叫ばれた。

 

女と機体は光に飲み込まれて、その姿を消した。蜃気楼のように、元から存在しなかったようにその場から完全に消え去った。

 

地上を雷のように照らした荷電粒子砲が放たれた後、残ったのは直撃を免れた僅かな装甲片とガラス化した地面のクレーター、そして、俺自身だった。

 

センサーが最後にとらえた彼女の顔は最後まで、俺を殺そうとする者の顔だった。

それも、もう見ることは敵わない。

 

だが、それが俺の本来の場所だ。撃った相手の顔など倒れて動かなくなったのを確認すれば、すぐに忘却の彼方へと飛ばしてしまう。

 

そんな、彼女たちと過ごしたことで、しばらく忘れていた常識を思い出して、俺は歯噛みをした。残った僅かな欠片を踏み砕いて吐き捨てるように言った。

 

「お前さえ……いなけりゃ……」

 

装甲を開いて放熱するラビットの中で俺はつぶやき、勝利者としての凱旋もする気など起きぬまま、俺はクレーターから這い上がって白骨都市へと戻ろうとした。

 

 

その時、甲高い電子音が鳴った。電子レンジが出すような軽い音がラビットの胸から聞こえた。

 

「何……?」

 

視点を下げると、八本の足がついた機械がラビットの胸に張り付いていた。さっきの女が死ぬ間際に取り付けたものだ、と気づいた時には手遅れだった。

 

取り外そうとする前に全身に電撃が走った。ラビットのHMDが警告を次々と発して、視界が歪む。全身に痛みが起こり、俺は膝をついて焼けるような痛みに耐える。

 

オーバーロード、オーバーヒートと表示されてラビットに何が起こったのか理解したが、技術者でもない俺にはどうしようもない。

 

そして、ラビットの視界がブラックアウトして、真っ暗になり、ラビットそのものが強制解除された。世界最高のISは姿を消して待機状態へと戻ってしまい、俺は砂の上に身を横たえた。

 

全身装甲な上に電流を喰らったせいで、呼吸が上手くできなかった。酸素を口に含んでどうにか立ち上がり、ラビットの待機状態を拾う。

 

何が起きたのか調べようとしたが、ラビットからの返事はコアに深刻な障害が発生したため、強制解除。至急修復を。とのことだ。

 

「やられた」

 

一言そうつぶやいた。一瞬の判断ミスでラビットが戦闘を続行できなくなった。恐らく、俺を殺した後で、あの装置を使ってISを奪うつもりだったのだろう

仕掛けが起きるまでに時間がかかったのを知っていたから、ヤツは戦闘中は使わず、死ぬ間際に、一矢報いるために使ったのだ。

 

自分の行動を悔いつつ、頭を働かせて何が使えるかを検索すると、幸い通信と拡張領域に仕舞っていたAK小銃は使えるようだ。

 

自衛の手段があるだけマシと思うべきか、ラビットを通信機の代わりにして街の入口へと走っていくと、ウダイの組織の者達12名ほどがそこに居た。

 

「英雄! よく無事で!」

 

頭にターバンを巻いた男が言うと、銃を手にした男たちが集まって来た。中華製のAKにドラグノフ狙撃銃、中には旧ドイツのMG42にmp40、m1903小銃という骨董品すら 持つ者もいる。

 

ウダイ一派の主兵装のG36ではなく、各々が勝手な武装をしているところから、突然の襲撃で慌てて武装して来たと見える。

 

「英雄、ISはどうした?」

「連中の細工のせいで、使えなくなっちまった。こっちの状況は?」

 

そう訊くと、ドラグノフを手にした男が答えた。

 

「女子供は今、逃がしている最中だ。博士と息子の先生はラボの中にいて、俺たちを支援してもらっている」

 

AKを持った男が続きを話す。

 

「この砂の多い場所で光学迷彩を使った部隊がいたが、首領が部隊を率いて、壊滅させた。

敵は20人だったが、こちらは25人やられた。これは妙だぞ、英雄」

「妙?」

 

男は懐から布きれを一枚取り出して見せた。それは布きれではなく、切り取られた人の皮だった。刺青が彫ってあり、英語でアンネイムド、つまり名無しと書かれていた。

英語で書かれた刺繍を見て、連中が特殊部隊だという事がわかった。

 

「こいつを見る限り、連中は特殊部隊か、何かなんだろうが、その割にはお粗末すぎた。この砂塵の中では光学迷彩はあまり有用でないのに気付いてなかった」

「その手の訓練を受けてこなかったわけか」

「恐らくは」

 

確かに妙だった。いくらISがあるにせよ、制圧は歩兵にしかできない。だというのに、このお粗末さは何だろうか。連中は下準備も装備の確認すらせずに来たとでもいうのか。

それとも慌ててやってきたとでも言うのか。

俺やウダイの殺害もしくは、束の捕獲を目的とするなら、そんなお粗末な準備で来るはずはない。

 

軍人は現実主義者の集まりだ。IS一機あれば、全て上手くいくと考えるような将校は存在しない。

 

その割に、あのISは例の装置のような特殊兵装を所持していた。一人だけ、何をどうするのか、明確だ。つまり一人だけ妙に準備がいいのだ。

 

あの女の独断で来たという事か、それなら合点がいく。恐らくは私怨に付き合わされたのではないか、と予測した。

 

そう思考の海をもぐっていると、組織の一人が気になる言葉を口にした。

 

「それと、英雄」

「何だ?」

「連中はお前たちの娘も狙っていたようだった」

「……クロエを?」

 

ああ、男は頷いた。なぜ、クロエを狙うのか、謎ばかりが湧いて出てきた。俺は何か理解の及ばないことが起こっている気がしてならず、悪態をつくしかできないことに怒りを覚えた。

 

クロエは確かにISを体内に宿している。だが、たったそれだけで狙う必要はないはずだ。

ISが欲しいのなら、束を狙うだけで全てが事足りる。

 

仮に二人が別々の場所に居るなら、クロエを狙うのも理解できる。束を誘き出す餌としてクロエを使えばいい。だが、二人同じ場所に居るなら、最初から束を狙えばいい。

 

連中は一体何をしたかったのか。

 

そんな時、爆発音が響いた。腹に響く、大きな爆発が数か所で一斉に起きた。組織の男たちは驚きの表情をして、その地点を見た。

 

「あれは、戦車があった場所じゃないか?!」

「破壊工作だ! この調子じゃ、対空砲もやられたな!」

 

男たちの言葉を聞いて、俺は空白だった場所を埋めれるパズルのピースを見つけた気分になった。

 

敵の行動を思い起こす。敵がやったのは、まず攪乱だ。死んでもいい駒を送って俺たちの混乱を起こす。次に破壊工作。厄介な対空砲に戦車とこちらの火力を削ぐ。

そして、俺のISの封じ込め。ラビットは他のISと違って、整備、修復に多大な時間を取る。

 

一応改良されて、その期間も短縮されたはいえ、未だ二日はかかる上に、この作業は束のみしか行えない。

 

もし敵がこの事実に気付いているとしたら、次は何が来るか、答えは本命の部隊を送ることだ。

 

思考がついに答えを導き出した、その時白骨都市の空に飛来して来た物体を見た。

ヘリとしてはかなり小型な部類に入るであろう、MH-6がリトルバード。

 

黒い胴体を見せつけ、ローター音を聞かせながら、俺たちの頭上にやって来た。

 

とっさに近場の建物の陰に隠れて様子をうかがう。

 

視界に捉えただけで7機。そのうちの二機が急降下をしてミニガンを掃射する。その地点の男たちもライフルやRPGを撃って抵抗するが、命中せしない。

 

火力差で押し負けた男たちは敵に着地点の確保を許してしまった。

 

そして、次々とリトルバードが降下して兵員を下していく。

 

「まずいな……」

 

降りた兵員が本命だとすれば、こちらは質では劣っているとみていい。そして、こっちの切り札は最早喪失している。連中は全てを手に入れる気でいる。

 

この戦は勝てない、俺は一瞬でそう判断できた。勝てる見込みはほとんどない、鉄火場に出れば、今度こそ俺は命を落とすかもしれない。

 

だが、逃げてどうする? 俺はまた女子供を捨てて、逃げるのか。

 

『あとで、何を言おうとしたのか、教えてください……必ず』

 

交わした約束の言葉が脳裏をよぎった。それを思い出したら、俺はもう止まらなかった。

いつかウダイは言った。こいつだけはなくすな、と。成程、今本当にそれがわかった気がした。

 

先ほど晒した醜い姿を隠すためではない、ただ一つの責任を胸に俺はつぶやいた。

 

「今度こそ、約束は果たすさ」

 

ようやく手に入れたものだ。それを捨てるわけにはいかない

 

そう判断した俺は周りの男たちに大声で指示を出す。

 

「全員、聞こえるな!? ラボに向かうぞ! あそこにはウダイと束たちがいる! そいつらを救出して、この町から逃げる! いいな?!」

 

男たちは自らを奮い立たせるために負けじと声を張り上げて答えた。

 

家族を守り、米軍に対する意地も含めて男たちは銃を固く握りしめて、俺に続く。

雑多な小火器を手にした俺たちは街道を駆ける。

 

 

 

 

 




最近、少し短めになった気がしますが、また次回は長くなると思われます。

本当は五千字くらいがちょうどいいのでしょうか?
余計な話なかり書いて、申し訳ありませんが、まだ続きます。
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