マチをママにする程度の能力   作:まだ名前はありません

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空想科学閑話 蟻の王の脅威 (改)

【木馬ちゃん用の投槍銃を購入した日のこと】

 

 

 

 

 

 

人間、権力や武力を手に入れてしまうと、それを使わずにはいられなくなる。

 

 

そんなわけで、俺も木馬ちゃんも新装備を試してみたくなったのだが、試し撃ちするのにちょうど良い場所がない。

 

そういった相談をマチママにしたところ、ただ一言「撃ってみな」と言われた。

 

 

 

流石はお金持ち。

壁とか壊れても修理費用ぐらいなんてことはないんだなと思いながら、遠慮せず槍を放ってみた。木馬ちゃんが。

 

その結果、発射された槍は普通にマチママの念糸で絡み取られてしまった。

 

「えっ」

 

「スピードはクロスボウくらいか。悪くないね」

 

 

原作において女神マチは突然味方から発せられた音波攻撃を耳を塞いで回避したという逸話がある。

 

音の速さは秒速340メートルほど。

 

クロスボウの速さは時速400キロメートルくらいは出ることもあるらしい。

俺はパソコンの電卓機能を起動し、ちょっと計算してみることにした。

木馬ちゃんが俺の肩越しに画面をのぞき込む。

 

 

電卓を叩いてクロスボウの速さを秒速に変換してみたところ、結果は秒速約111メートル。

音速の3分の1程度のスピードである。

 

音の速さにすら対応してみせたマチママならクロスボウくらいは余裕なのかもしれない。

 

 

 

クロスボウと言えば、キメラアントの師団長にヂートゥというチーター顔の男がいて、こいつがクロスボウを具現化していた。

その際に、自分の脚よりも遅いものを能力にしてどうするんだ的な指摘をされていた。

 

つまり彼は時速400キロよりも速く走れると推測できる。

さらに言うと、時速400キロの速さのものを明確に遅いと表現しているあたり、実際は時速500キロくらいは出ていると考えるのが妥当ではないだろうか。

 

個人的には彼に対してあまり強そうなイメージを持っていなかったが、実はかなりの潜在能力を誇っていたようだ。

 

運動エネルギーは速さの2乗に比例するので、速いというのはそれだけで強いのだ。

 

 

 

 

 

 

そんな出来事があった日の夜、俺は夢を見た。

 

 

昼間に遊戯王とかいう単語を思い出したのが悪かったのだろうか。

あまりにも意味不明で酷い夢だった。

 

 

遊戯王にはモクバというキャラが登場する。

木馬ちゃんと同じ名前だ。

 

 

そして、そのモクバには瀬人(せと)という名の兄がいる。

彼は古代エジプトの(ファラオ)のライバルであり、何度も死闘を繰り広げるのだ。

 

そのモクバの兄のモデルになったのは、名前から考えて、エジプト神話のセト神であると思われる。

セト神は動物の頭と人間の体を持つ神であり、叔父と甥の関係にあるホルス神と王の座を巡り争った。

 

 

そういった様々な記憶が混ざったせいだろう。

俺が頭に三角の耳をつけた状態で、叔父と甥っぽい関係にある蟻の王と王位を争うという夢を見たのだ。

 

しかも瀬人の嫁が青目白髪の女だったせいか、俺の横ではトルテまで戦っていた。

さらには、その瀬人の嫁がドラゴンのモンスターっぽいやつを操ることができたせいか、トルテはオーラをドラゴンっぽい形に変化させていたというオマケつきだ。

 

 

 

 

蟻の王がいくら強いとはいえ、生物であることには変わりがない。

 

爆弾などの現代兵器を多数投入すれば倒せるのではないか。

最悪の場合でも、原作で蟻の王を倒した貧者の薔薇の毒とかを使えば何とかなるのではないか。

 

そんな考えを抱いていた。

 

 

しかし、夢で見た蟻の王は恐ろしく強かった。

 

あれは果たして本当に倒せるものなのだろうか。

 

 

 

キメラアントは上から順に、王、直属護衛軍、師団長、兵隊長、戦闘兵といったように続く。

 

その真ん中の師団長でさえ、速いものであれば時速500キロほどで走れる。

 

これを秒速に変換してみると、秒速約140メートルとなる。

 

 

 

 

さて、これと比較して爆弾の爆風はどの程度の速さがあるのだろうか。

 

かつて鬼畜と呼ばれた国が作った爆弾は、爆発してから10秒で約4キロメートルほど先まで爆風が到達したとされる。

試しにこれを一つの基準として考えてみる。

この爆風の速度を秒速で表現すると、秒速約400メートルとなる。

この情報を何かで見た時、音速=秒速約340メートルよりも少し速い程度なのか、という感想を持ったのを覚えている。

 

 

つまり、秒速約400メートル以上の速さで移動することができるならば、目の前で爆弾が爆発してもその影響を避けられるわけだ。

 

これは師団長クラスの2.8倍のスピードとなる。

 

よって、王や護衛軍が師団長の約3倍のスピードで、爆弾の爆風の最大範囲から出るまで移動し続けることができれば、爆弾は効かないということにもなり得る。

 

王の圧倒的な強さを考えれば、その程度のことはできても不思議ではない。

 

 

 

例えば、王はハンター協会の会長であるネテロと戦って一応は勝利したとも言える。

 

 

このネテロという男は、山に籠り、一日一万回の正拳突きを行ったことで有名だ。

 

最初は一万回の正拳突きを行うのに約18時間はかかっていたが、最終的に山を降りる頃には1時間以内に終わるようにまでなった。

 

1時間で10000回の正拳突き、この山を降りた時の速度は「音を置き去りにした」とあるので音速=マッハ1は超えているだろう。

 

 

そして、このネテロは王と戦った際にはさらにパワーアップしており、1分にも満たぬ時間で1000以上の拳のやりとりをしたとされている。

1分で1000回ということは、60分=1時間で60000発の拳を放てることになる。

 

ネテロが山を降りたばかりの、1時間あたり10000回の正拳突きの時点で既に音速=マッハ1を超えているのだ。

 

その時と、一連の所作のそれぞれに必要な時間の比率が同じままであると仮定すると、1時間あたり60000回というのは、その6倍、すなわちマッハ6を超える拳を放てることになる。

 

 

爆弾の爆風が秒速400メートル=マッハ1.18であることを考えると、マッハ6という数字はあまりにも大きい。

 

 

そんな速さの拳に対応し、打ち破ってみせた王が、たかがマッハ1ちょっとの爆風を躱せないと考えるのは逆に難しいのではないだろうか。

 

 

薔薇には毒という追加効果もあるものの、原作でその毒について説明しているコマに複数の化学構造式が描かれていることから、その正体が何らかの化学物質であると仮定すると、爆風範囲から事前に逃げることができるならば、その毒からも逃れ得ると推測できる。

 

 

 

つまり、王が結果的に負けた原因はネテロが上手く油断を誘えたからだと考えるのが妥当だ。

 

 

逆に言うと、ネテロの作戦が少しでも上手くいかなかったりしたら失敗していたわけだ。

 

その場合、蟻の王はさらに力を強くし続け、人類は敗北していた可能性がある。

 

 

というか、現時点では未来の話なので、人類は現在進行形でやばいのかもしれない。

 

 

 

でも夢でよかった。

 

 




誤字報告ありがとうございます。
一部考察を追加。

【2回目】比較的、雰囲気が他よりマシだったと思う部分を教えてください

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