マチをママにする程度の能力   作:まだ名前はありません

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答えを知る程度の能力

黄金の果実を差し出すか、否か。

 

選択を決して間違えてはならない。

 

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。

 

 

俺は愚者か、それとも賢者か。

わからない。

だが、不思議と賢者という単語の方が身近で、なんとなく馴染むような気がした。

 

 

 

 

 

ならば、歴史に学ぼう。

 

 

過去の歴史でパリスは選択を間違えた。

ゆえに、破滅することとなってしまった。

 

 

俺も間違えれば、そこで終わってしまうかもしれない。

 

 

 

 

どちらを選べば良いか。究極の2択だ。

 

 

そんな時、どうしたらいいか。

 

 

思い出せ、これを突破する方法を、俺は一度だけ見たことがあるはずだ。

 

 

原作知識という名の、最強の武器を使う時がきた。

 

 

原作のちょうど今と同じ時間軸の時に、それは発生していたように思う。

 

 

 

 

 

 

『ドキドキ2択クイズ』

 

 

母親と恋人が悪党に捕まり、一人しか助けられない。

 

どうするか?

 

 

ハンター試験の会場への案内役であるナビゲーターを探す際の試練の途中で、そんなクイズが出題されるのだ。

 

 

なぜ出題者は、母親と恋人が別人であることが普通であるかのような前提で話をしているのか。

しかもこの出題に対し、母親、と答えた人物は酷い目に合わされた。解せぬ。

 

 

そういった細かい部分は不明だが、ともかく、この出題に対する答えを俺は知っている。

 

 

 

 

 

 

 

そのクイズの答えは『沈黙』。

 

選ぶことなどできはしないのだ。

 

 

 

選べないなら、選ばなければいいのだ。

 

差し出すのではない。差し出さないのでもない。

 

 

 

 

無言のまま、相手の果実を自分のものにすればいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

原作主人公のゴンは言った。

 

 

 

『俺の母親はミトさんだ』と。

 

 

だが、ミトはゴンの父親の従妹、つまりゴンからすると従伯母であるのだ。

 

よって、ゴンの母親は彼女とは別に存在するはずである。

 

しかし、ゴンは彼女のことを母親と呼んだ。

 

 

 

つまり、従伯母でもママになれるのである。

しかも、本来のママも存在するわけだ。

 

ようするに、ママが二人。

 

 

ママが一人でなければならないなどというルールはこの世界には存在しない。

 

 

複数のママを持つことは、世界の作り手が認めた法則なのだ。

 

 

念能力とは違い、新しくママを作るために、メモリーなどというものを消費する必要はないのだ。

 

ママ≧念能力。この宇宙の法則が、俺に勝利をもたらす。

 

 

 

 

 

 

人間というものは、自分が持たないものを欲しがる。

だから、俺は欲しい。

母親が。

 

 

 

「トルテ、俺の母親になってくれないか?」

 

「え? 母子じゃ結婚できないんだよ。兄妹の方がよくない?」

 

 

トルテは、まるで兄妹なら結婚できるかのような謎の発言をする。

 

まだトルテは幼女で知識が不足している。

 

いくらアテナの如き知恵があろうと、それでは宝の持ち腐れというやつだ。

 

 

しかも、従伯母でさえ母親になれるのだ。

なぜ、妹が母親になれないと思ったのか。

とにかく、言葉で説得するのは難しいかもしれない。

 

 

 

 

 

俺は腰のナイフを引き抜いた。

 

このナイフの名前は既に考えておいた。

 

『ミルクオリゴ(とう)』だ。

 

脳内で「勝手に変な名前をつけるな」という声が響いた気がしたが、戦闘中なので気にしている余裕はない。

 

 

 

それを見たトルテは、わずかに顔をこわばらせる。

 

これが普通のナイフではないと気づいたのだろう。

 

 

 

「交渉決裂だな。ならば戦って決めよう。俺が勝てば、お前はママだ」

 

 

俺はトルテに向けて、ナイフを投擲した。

 

当然、彼女はそれを回避する。

 

まぁ、その程度は予想済み。

こんな正面から投げて当たるはずもない。

 

 

 

続けて俺は、片手に本を取り出し、信用できない守護霊を呼び出す。

 

こいつが俺の思惑通りに働いてくれるとは思えない。

 

 

でも、自分のコレクションが海に落ちそうだったら?

 

黙って見ていられるか?

 

 

 

 

「ちっ!」

 

やはり、見捨てられるはずもない。

 

男は全力でナイフのもとへと向かう。

 

 

 

そして、その男の実力は、戦神のようなトルテであっても無視する気にはならないだろう。

 

 

なぁ、ママ。凶器を持った自分に勝るとも劣らない実力者に背後を脅かされながら、満足に戦えるか?

 

 

「しまった!?」

 

いきなり想定外の強敵が現れて、彼女は混乱している。

 

それは甘さだった。

若輩であるせいか、俺が相手だからか。

とにかく、そこに油断があったことは否めない。

 

 

 

俺はその一瞬の隙をつき、彼女の両肩を掴んだ。

 

 

 

 

「82時間28分28秒」

 

「へ?」

 

トルテが少し間抜けな声を出す。

 

 

 

 

「俺が口の吸引力だけで、誰かにしがみついていられる時間だ。バブーチュパチュパと覚えておけ」

 

木星は自転を1回するまでにかかる時間が10時間に満たない。

それは、1日の時間が10時間未満であることを意味する。

 

 

すなわち、俺は木星を基準にして考えると、8日間以上もの間、口だけで相手に吸い付いていることができるわけだ。

 

もし木星が地球と同様の週休二日制を採用していると仮定すると、限界時間はさらに2日間は伸びることになる。

 

 

 

今までの人生において固形物をほとんど食べずに、液体だけを吸い続けることで鍛え上げた必殺の吸引力。

ずっと液体だけを吸っていたせいでもはやほとんど固形物が食えなくなった代償として、俺はこの力を得たのだ。

 

 

この圧倒的な吸引力の前では、たとえ十二単(じゅうにひとえ)を着ていたとしても無力。

 

相手の身に着けているもの全てを貫通して、ミルクを吸い取ることができるのだ。

 

味が落ちるので普段は絶対にやらないがな。

 

 

「っ!」

 

トルテはもう逃げられまい。

 

 

大地の子たる人間たちは、どれだけ高く跳び上がろうとも、母なる惑星の引力からは逃れられない。

 

つまり、母と子はその間で働く引き合う力により、絶対に離れられない運命にあるのだ。

 

科学がいくら発達しようとも、重力井戸の底で争いに明け暮れ、隣の惑星で生活することすらできていない。

 

このまま、母の揺り籠たる青い惑星の上で滅びるまでの時間を無為に消費し続けることだろう。

 

外宇宙の厳しさも知らぬまま、最後の瞬間までぬくぬくと過ごすのだ。

 

それは、ある意味で幸せなことなのかもしれない。

 

母を失うよりはよほど良いだろうから。

 

 

 

 

 

 

マチは去り際に行った。

 

ヒントは循環だと。

 

 

あれは、俺の吸引力が武器として有効だと暗に言っていたと判断できないこともない。

 

 

俺のこの強力な吸引力だけで、おそらくマチは2カップ以上大きくなったはずだ。

 

つまり、マチは俺が育てたと言っても過言ではない。

 

マチが俺を育て、俺がマチを育てた。

 

これは終わらない循環を意味する。

 

 

 

 

 

まだ幼く決して濃密ではないものの、若木の活力を感じさせるような爽快さとチョコのような若干の甘さ。

それが彼女の持ち味だった。

 

 

 

 

その甘さに感謝しながら、俺は捕らえた彼女を引き倒し、勝利を味わった。

 

 




感想、評価、アンケート等いつもありがとうございます。
たぶん比率的にはこれで合ってるような気がします。

試験中に活躍してほしい女性?キャラクターは誰か教えてください(マチは殿堂入り)

  • 木馬(天馬)
  • チョコロボ
  • トルテ
  • パクノダ
  • シズク
  • ポンズ
  • ネオン
  • マチ=オルタ
  • クララ
  • メンチ
  • ドキドキ2択クイズを出題した女性
  • カラ
  • 女に興味はない
  • その他
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