マチをママにする程度の能力   作:まだ名前はありません

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試験を突破する程度の能力

ポンズを屈服させた俺たちは、急いでこの地下道を進むことに決めた。

はやくこの道の先にあるヌメーレ湿原という場所まで行かないと、試験に失格となってしまうかもしれないからだ。

 

 

 

「あぁ、それに関しては心配しなくていいわよ」

 

ところが、ポンズは特に焦る必要はないと主張する。

 

 

 

「ほら。もういらないし、これあげるわ。『試験官のサトツ』よ」

 

彼女が差し出してきたのは、原作世界線において第1次試験の試験官を務めていたサトツというハンターであった。

 

 

「実はこのサトツっていう男が本当の試験官だったのよ。どう? 驚いた?」

 

ポンズはイタズラが成功した子供のような表情を浮かべるが、残念ながら俺はその程度は既に想定済みである。

 

反対に、トルテとクララは非常にびっくりしていた。

 

 

 

「ええっ!? あの女、もしかしてトロイを監視するためだけに、試験官ボコって入れ替わったってこと? 過保護すぎない?」

 

「プロのハンターを仕留めたというのか。そのマチという女、油断できないな」

 

トルテは、偽マチの目的が俺の保護にあると考えて驚いたようだ。

 

俺はいまいち偽マチのやりたいことが分かっていないのだが、たしかにトルテの言うような可能性も否定できない。

 

普段から過保護だったマチが、危険なハンター試験を受けさせるのに、何も保険をかけていないというのは考えにくかった。

 

 

 

そして、クララはプロハンターである試験官を倒すことができたこと自体に驚愕したようだ。

 

実際、念能力者であるサトツを打倒するのは簡単ではなかっただろうし、彼女が驚くことにも無理はない。

 

 

 

「別に難しいことじゃないわよ。プロの美食ハンター、しかも同じ試験官から毒を盛られるなんて普通は思わないでしょう?」

 

 

ポンズの口から出た『美食ハンター』、そして『同じ試験官』という言葉。

 

原作においては、第2次試験の試験官をメンチという女と、ブハラという男が務める。

 

つまりポンズの発言が正しいとすると、メンチかブハラがマチの協力者でありサトツに毒を盛った確率が高いと思われる。

 

マチはフルーツに特化した美食ハンターとして有名であり、同僚であるメンチやブハラと何らかのつながりがあってもおかしくはない。

 

 

よって、現時点において俺の敵になり得る人物は、マチ本人を除くと、偽マチ、メンチ、ブハラの3人が候補となる。

 

 

あらためて考えてみると、試験官が敵の可能性があるという今の状況は非常に厳しい。

 

マチも自分に有利だからこそ、わざわざハンター試験で決着をつけようとしているのかもしれない。

 

 

だが、いくら俺に不利かもしれないとはいえ、既に勝負がはじまってしまった以上、勝つしか道は残されていない。

 

 

 

「とりあえずは毒をなんとかしないとな。シスター!」

 

 

俺は保険として少し離れた場所で待機してもらっていたシスターたちを呼ぶ。

 

シスター・シズクは、『相手の念能力と自分が生物と認識しているもの以外を何でも吸い込む』という強力な能力を持つ。

 

相手の体に傷があれば、そこから血液を吸い取ることだってできてしまう。

最高の避妊具としても使えるなど非常に応用の幅が広い。

 

 

彼女の能力を使えば、サトツ試験官の体内の毒を抜くことだって簡単なはずだ。

 

 

 

シズクに処置をお願いしている間に、シスター・マリアにはポンズの記憶を探ってもらった。

 

いくら協力的に見えるとはいえ、一度は敵対した相手を簡単には信用できない。

 

その結果、マリアからは「この娘はただのショタ好きよ」という、有難いのか有難くないのかよく分からないお墨付きをいただいた。

 

ついでに彼女は「ウチではじめた新しい宗教は、ショタもロリも重婚も何でもオーケーなの。入信しない?」などと勧誘を行っていた。

 

 

 

 

 

 

新しい信者が増えて結婚式の予約も入れてもらったことで喜ぶシスターたちを先行させた後、俺たちは移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

到着した場所はヌメーレ湿原。

 

ここは別名『詐欺師の塒』とも呼ばれ、人間を騙して捕食する生物が多数生息している危険な場所だ。

 

そんな生物たちの中でも、原作世界線で最初に登場するのが、人面猿である。

 

この猿たちは、人間によく似た顔をしており、人の言葉を使うことができる。

 

そこで、試験官に成りすまし、受験生を罠に嵌めようと企んだのだ。

 

 

 

 

「そいつは偽物だ。本物の試験官はオレだ!」

 

「たしかに彼女は1次試験の試験官ではありません。本当の試験官は私です」

 

「あたしは1次試験の担当者が消えたってことで正式に代役を頼まれたんだ。偽物じゃないよ」

 

3人の試験官が自分を本物だと主張する。

 

 

 

原作では試験官と、それを偽物と呼ぶ人面猿という構図だった。

どちらかが本物でもう一方が偽物。

ランダムに選んでも、正解する確率は2分の1だ。

 

しかし、今回の場合は、そこへさらに1人追加されて、正解する確率は3分の1である。

 

確率2分の1の時でさえ、レオリオなど騙されそうになっていた者がいたのに、さらに難易度が高くなってしまった。

 

 

そして、混乱しているのは受験生だけではないようだった。

 

 

 

猿も混乱していた。

せっかく事前にがんばって偵察を行い、顔が試験官(サトツ)に似ている仲間を連れてきたと思ったら、全然違うやつ(マチ)が試験官になっていた。

ふざけんなと言いたくなるだろう。

しかも、後から最初に試験官だと思ったやつ(サトツ)まで現れて、自分が本物だと主張している。

何が起こっているのか、全く理解できていないはずだ。

 

 

そして、マチを名乗る女も同じように疑問を感じている。

しばらくは目が覚めないくらい大量の毒を与えられたはずなのに、なぜサトツは動けているのか。

念能力で解毒した可能性や毒を盛ったことがバレた可能性も想定し、行動や発言は慎重に行わなければならないと考えているはずだ。

 

 

もちろん、サトツだって現状を完璧には理解できていない。

いつの間にか気を失い、気づいたら知らないショタに背負われていた上に、大切な仕事を寝坊ですっぽかしていた。

しかも、なぜかロリから新鮮な海産物を勧められる始末。

目覚めたばかりで、試験官の人事変更についての連絡も聞いていなかったので、まさに寝耳に水といったところであろう。

 

 

この場にいる人間のほとんどが、何が何やらわからない状態であった。

 

 

受験生が混乱している中、少し冷静になった試験官同士が話し合いを行い、サトツがメインとなり、マチがその補佐として受験生の引率を行うことになった。

 

ちなみに猿は2人に無視されたせいか、項垂れて帰っていった。

原作では彼はピエロに殺されるので、少しだけ幸せになったともいえる。

 

 

 

 

 

それから、俺たちは湿地の中を進み、何事もなく無事に第2次試験の会場へと到達した。

 

原作の世界線だと、ピエロが試験官ごっこをして他の受験生を殺しまくるのだが、今回は引率がいたおかげか比較的平和だった。

 

 

ピエロは原作だと幻影旅団のメンバーということになっているのだが、こちらの世界線でもそうなのかもしれない。

 

もしマチ=コマチネを名乗る女の正体がマチオルタだとしたら、自分の同僚ということになる。

あまり面倒ごとを起こすな、とでも言われれば従う可能性もなくはない。

 

 

 

俺の中で、偽マチ=マチオルタ説が有力になってきた。

 

 

とはいえ、1次試験が終わった以上、彼女が何者であろうと大きな障害にはなりえないはずだった。

 

 

 

 

ヒロインの料理適正について、好みを教えてください

  • 料理上手な娘
  • メシマズな娘
  • ほどほどが一番
  • オレはどんなものでも食える
  • 裸エプロンこそが至高
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