マチをママにする程度の能力 作:まだ名前はありません
俺たちがゴールへと到達した段階で、既に一人、ローブの人物が試験をクリアしていた。
俺の勘では、こいつがマチだと思われる。
ネオンに多少の邪魔をされたとはいえ、ここまでは簡単な『天国』ルートを通ってきたため、それなりに早いタイムでゴールできたはずなのだ。
そんな俺たちより先に到着している以上、かなりの実力者であると思われる。
そうなってくると候補として考えられるのは、マチ、ヒソカ、ギタラクルぐらい。
だが、二人のギタラクルは俺と一緒にここまで来たし、ヒソカは俺たちのすぐ後にクリアしていた。
よって、この人物はマチである確率が高い。
その後の第3次試験の結果は、原作世界線にそれなりに近い形へと収束したように思う。
通過人数がちょっと多すぎるような気もするが、数十人程度であれば多分誤差の範囲だろう。細かいことは気にしない。
原作世界線において、危険人物であるヒソカが試験官ごっこと称して受験生の殺戮を行っていた。
こちらの世界線ではこれが発生しなかったことで第1次試験での受験生の脱落が少なかったが、そのかわりにクララが試験前に毒物狩りをして受験生をそこそこ減らしていた。
新人潰しの異名を持つトンパという男もこの被害にあってしまったが、ギタラクルがもともと一人多かったおかげで、人数的にはプラスマイナスゼロ。
こういったことが重なり、それなりにバランスがとれたのではないだろうか。
主人公とその仲間たちも無事に合格していた。
原作では、トンパが色々と妨害したせいで苦戦していたのだが、トンパはクララに狩られていたおかげで比較的時間に余裕を持って試験をクリアしていた。
この結果は、そこまで悪くないものに思える。
第3次試験が原作世界線に近い形で収束した以上、今後もそうなるという確率は決して低くはないだろう。
もし原作世界線に沿うような形でこの後も試験が進むのであれば、次の第4次試験は受験生同士でのプレートの奪い合いになる。
俺にとって非常に有利なルールだ。
この試験で高評価を獲得することでマチに差をつけて、最終試験でマチと戦うことなく真っ先に合格する。
こうすれば、俺とマチは戦わないので国が滅亡することはないだろうし、大きな被害は出ないはずだ。
逆に、マチとあまり評価に差がない場合、最終試験で俺とマチが戦う可能性も出てくる。
そう考えると、この第4次試験が運命の分かれ道となるのかもしれない。
原作世界線では、第4次試験はゼビル島という場所で行われていた。
この島に受験生たちは一週間滞在し、その間に受験番号が書かれたプレートを奪い合うわけだ。
プレートにはそれぞれ得点が設定されており、一週間後の時点で合計6点分のプレートを保持していれば合格となる。
自分のプレートは3点、クジで決められたターゲットのプレートが3点、それ以外のプレートはすべて1点。
他の受験生からプレートを守りつつターゲットを狩れれば合格。
あるいはターゲットに拘らずに、適当に三人の受験生を狩ってもいい。
とはいえ、やはりターゲット一人だけを狩る方が簡単であることは明らかだ。
もしこちらの世界線でも同じような試験となるのならば、なるべく狩りやすいターゲットだといいのだが。
俺の想像になるが、しっかりとターゲットのプレートを手に入れた方が試験官からの評価が高くなるような気がする。
それに、プレートを6点分集めるまでの時間も、少ない時間で集めた方がより高評価を得られるだろう。
よって、俺にとって最も理想的な展開は、第4次試験がプレートの争奪戦となり、同時にターゲットが狩りやすい人物となること。
プレート争奪戦と簡単なターゲット。
俺が望んだこの二つの内、前者は希望通りとなったが、後者に関しては絶望的な結果となった。
第3次試験終了後、受験生たちは試験を通過した順に箱の中からカードを一枚引かされた。
そのカードに書かれた受験番号の相手がターゲットとなるわけだ。
俺が引いたカードに書かれていた番号は44番。
ピエロとかいう種類の危険生物である。
これはダメだな。
相手が人類であるならば何かしらやりようがあったかもしれないが、念能力を使う殺戮ピエロなど俺にはどうしようもない。
君子危うきに近寄らず。
ここは無難に1点のプレートを集めていった方が良いかもしれない。
殺し合いではなく奪い合いである以上俺に有利な面もあるし、大勢でファランクスを組めばなんとかなるかもしれないが、そこまで頑張るメリットもなさそうだ。
たしか原作世界線では、ハンゾーという男が『4次試験の間は受験生全員を試験官が尾行していた』という話をしていたはず。
大人数でファランクスを組んでターゲットを狩ったとしても、俺個人としての評価はそこまで高くならないだろう。
骨折り損のくたびれ儲けというやつだ。
そんなわけで、プレート集めは自分でやろうと思う。
とりあえずパーティーメンバーは木馬ちゃんとチョコロボだけ。
トルテたちと合流するのは6点分のプレートを集めた後だ。
試験を行う島へは、トリックタワーを攻略した順番で入ることになる。
はやく攻略した者ほど多くの準備時間が与えられ、有利に試験を進めることが出来るわけだ。
俺はローブの人物に続き、二番目に出発する。
ローブの人物の正体は、きっとマチであるに違いない。
三番目に出発予定であるトルテが島に足を踏み入れるまで少し時間がある。
この間、向こうがやる気ならば俺とマチの一対一の戦いが発生し得る。
俺は時間稼ぎをするだけで援軍を得ることができるので一見有利であるように思えるが、マチ側には迎撃の準備を整えることができるというアドバンデージがある。
罠に注意を払いながら戦うのは面倒だ。
あまり歓迎できる展開とは言えない。
それに加えて、俺とマチがぶつかるとどこかの国が危ないという予言も気にかかる。
できれば、いまは戦いたくない。
少し緊張しつつも、俺は木馬ちゃんに乗った状態で試験会場である島へと踏み込んだ。
襲撃はなかった。
マチは俺が最終試験での判定勝ちを狙っていることなど知らない。
それどころか、最終試験の内容すら知らないだろう。
だとすれば、俺とトルテたちがすぐに合流すると推測するのが自然。
ならば、いまの瞬間が一番のチャンスだったはず。
とりあえず一度襲撃を仕掛け、援軍が来たらすぐに撤退するという選択肢だってあった。
ここで襲ってこないということは、彼女はこの4次試験中に俺を直接仕留めるつもりはないのかもしれない。
となると、マチはまた刺客を差し向けてくるつもりだろう。
これまでに戦った刺客はポンズ、マチオルタ、ネオン、トルテ、クララ。
次は誰だ?
俺を狙ってくる以上、最低でも念能力者であずはず。
最悪の場合、俺の受験番号『300番』のプレートを狙う受験生とマチが放った刺客の両方を同時に相手にしなければならない。
三人目の刺客であるネオンがトルテとクララを引き連れていた以上、襲撃者が一人であるという保証もない。
そうなると、木馬ちゃんとチョコロボと一緒にファランクスを組んで迎撃したとしても、数的に不利な状況に陥りかねない。
できれば襲撃者の人数は、数的有利をとれる二人以下、最悪でも三人であってほしい。
数が互角であるならば、あとは実力での勝負。
こちらの布陣は盤石。
一人目、ルール的に強い俺。
二人目、いつも静かに見守ってくれている木馬ちゃん。
三人目、いつの間にか動けるようになったチョコロボ。
チョコロボは紙を操る念能力を持っているカルトによって操作されているはずだが、遠隔操作型なのか自動型なのかは未だに不明なままだ。
とはいえ、自力で動けないという弱点が解消されたことで大幅に戦力を増加させている。
このバランスの良いパーティーならば、ピエロとかの例外を除き、同数以下の相手に対してそこまで不利にならずに戦えるはず。
相手が三人以下ならば。
三人なら負けない。
俺は太い幹を持つ大木の根もとに座って襲撃を待った。
もちろん罠も仕掛けてある。
木の上には木馬ちゃんが控えているのだ。
頭上から馬。
普通の馬では絶対に不可能な挙動。
この予想外の攻撃により敵はきっと混乱するはず。
手ぐすねを引いて待っていた俺の前に、三つの人影が現れた。
受験番号197、198、199。
アモリ三兄弟と呼ばれる男たちだ。
ハンター試験のベテランであるトンパからも『絶妙のコンビプレイ』と称えられるほどのチームワークを誇る。
しかも、アモリ人といえば、古代メソポタミアで暴れ回って当時の王朝の滅亡の原因ともなった恐ろしい部族だったはず。
そんな名前を名乗っているやつらが弱いはずがない。
ここまで試験を通過してきていることから考えても、受験生全体の中で見れば比較的上位の実力を持つと思われる。
古代ギリシャVS古代メソポタミアか。
まさかここで世界四大文明の一角が現れるとは。
相手にとって不足なし。
俺は立ち上がり、アモリ三兄弟と対峙した。
彼らは「さっさとプレートを渡せ」などと発言しており、こちらを明確に下に見ているようだ。
木馬ちゃんという伏兵の存在には全く気付いていない。
どうやら俺のプレートがターゲットだったわけではなく、たまたま弱そうな受験生を見つけたから狩りにきたということのようだ。
十二歳のキルアですら彼らには良い獲物としか認識されなかったのだから、それより年下の俺などボーナスのようにしか見えないのだろう。
俺は自分の胸につけていたプレートを外し、番号がよく見えるように手を突き出した。
「ほら、俺は300番。ターゲットの番号じゃないと1点にしかならないよ。やめておいたほうがいいんじゃない?」
実際、彼らは本当に合格したいならば、俺以外を狙うべきなのだ。
その方がまだ合格する確率は高い。
ところが、彼らはそんな俺の忠告を聞かなかった。
イモリと呼ばれていた男が俺からプレートを奪い取る。
そして『
彼は酩酊状態となってその場に崩れ落ちた。
それを見た残りの二人が咄嗟にフォーメーションを組もうとする。
だが、遅い。
こちらは既に盾と槍を構えている。
彼らのフォーメーションが完成するよりも、俺たちのファランクスの方が早かった。
俺は木馬ちゃんの襲撃に驚いた二人を倒し、彼らからプレートを回収した。
これで2点。
そして、奪い返した自分のプレートとイモリのプレートを取り出す。
全部のプレートを合わせれば6点が揃ったことになる。
無事にこの試験を通過するための条件をクリアした。
最速タイムかどうかまでは分からないが、全体で見てもかなり良い時間でのクリアとなったはずだ。
試験官からの評価は悪くないだろう。
ターゲットのプレートをゲットすれば、より高評価だったかもしれないが、結果的に見ればこれで良かったのかもしれない。
原作世界線において、受験番号44番のヒソカはゴンのターゲットであり、そのプレートを奪うためにゴンが修行的なことをするという展開がある。
彼は修行の成果を発揮して無事に目的のプレートをゲットするのだが、その直後に別の受験生に襲撃され倒れてしまう。
これもある意味で良い経験となったことだろう。
俺が44番のプレートをゲットするということは、これらの成長の機会が失われるということでもある。
できれば彼にはなるべく強く成長してもらいたい。
危険な蟻の駆除とかで活躍してほしいからな。
それにあまり原作世界線から離れすぎない方が俺にも都合が良い。
そう考えたところで俺は気づいた。
ゴンがヒソカを狙ったのは、ヒソカが彼自身のターゲットだったからだ。
ピエロの印象が強すぎて今まで忘れていたが、この試験においてはターゲットが重複することはない。
俺のターゲットがヒソカである以上、ゴンのターゲットはヒソカではない。
じゃあ、彼のターゲットはいったい誰だ?
頭の中が思考で埋め尽くされた瞬間、俺は茂みに潜んでいた野生動物に襲われた。
正確に言えば、野生動物としか思えない気配の少年に、だ。
突然の主人公との遭遇。
どうするべきか悩んだ瞬間、釣り針によって俺の手にあった198番のプレートが奪い取られ、宙を舞う。
そして、釣り竿を操っていた少年が、その手でプレートをしっかりと掴む。
彼はそのまま走って逃げようとして、その場に倒れ込んだ。
この流れは、ある意味で原作世界線に近いと言えなくもない。
じゃあ別にいいか。
登場人物が修行を行う展開についてどう思いますか?
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好き
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あまり好きではない
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どちらともいえない
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さっさと話を進めてほしい
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短い期間ならば許す
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師匠か弟子が女ならば許す